レ・ミゼラブル 1 (ちくま文庫 ゆ 5-1)

  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (543ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480429711

作品紹介・あらすじ

寒さと飢えに苦しむ幼い子のためにパンをひとつ盗んで、19年を監獄で過ごすことになったジャン・ヴァルジャンを主人公にくり広げられる叙事詩的な小説。この巻は、第1部「ファンチーヌ」を収録。ミリエル司教と銀の燭台のエピソード、マドレーヌ市長になったジャンを怪しむ冷酷なジャヴェール警部、哀れな母親ファンチーヌと残された幼い娘など、劇的スリルあふれる場面が描き出されてゆく。

感想・レビュー・書評

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  • 卒論のテーマにしようと決めてから3ヶ月かけて読みました…やっと1巻読了…
    先は長いけど内容はすっごくおもしろい!
    スピード上げてここからあと4巻、楽しみながらどんどん読む!

  • 有名なレ・ミゼラブル、新訳で初体験。ユゴーのひらすら饒舌な文体が現代のペースにどうかとも思うが、ひたすら過剰なまでにドラマティックに進行する物語の中で、全ての登場人物の心理描写を微に入り細に入り掘り進む。泣ける。これぞ大衆小説の極北。早く続きが読みたい。

  • 19世紀フランスの文豪ヴィクトル・ユゴーによる、言わずと知れた超名作。演劇や映像作品などで広く知られる。

    有名なのでなんとなく大体の筋書きは知っているという人も多いのではないか。自分は高校生くらいの頃(ウン十年前)に読みかけて序盤で挫折した。おそらく最初の司教篇の、歴史うんちくについていけなかったものと思われる。フランス革命からナポレオンの没落に至るまでのアレコレを、今回は興味深く読ませてもらった。新しい訳の本書では、注釈が語句ごとに括弧で入っていて読みやすいが、難しいと思われる箇所は読み飛ばして登場人物の動きだけを追っていってもストーリーはつかめるので問題ない。

    第一巻ではまだコゼットが物語の表舞台に登場しない。だがここまででも波瀾万丈でかなりドラマチックだった。そういった物語の展開の面白さの背景に、社会の本質に迫る鋭い洞察、人間の心に潜む善悪を暴く繊細な描写、慈愛を感じる作者の視点など、小説だからこそ表現できるのだろう深みが読みとれる。

    話の内容は知っていても、実際に小説を読むと圧巻だった。これはすべての政治家に読ませなければいけない、必修の文化遺産だろうと思った。「感動的な物語」などという美辞麗句で終わらせてはいけないだろうと。これは現代の物語でもあり、いまだ人類社会はこの小説を必要としているのだ。
    『この地上に無知と貧困があるかぎり、本書のような性質の書物も無益ではあるまい』
    冒頭のこの文句はいまだ有効である。

    最後のジャヴェール警部とサンプリス修道女の短いやり取りが、両者の人間性を劇的に描写していて見事。

  • 情け容赦のない貧者の転落っぷりは蟻地獄のよう。
    フォンティーヌなんて、苦しむために生まれてきたのかというほど、ただひたすらに哀しい。
    ジャヴェール警部がジャンバルジャンとフォンティーヌを追い詰め問い詰めるシーンは、もうこれ以上は勘弁してあげて、、と思うほど。

    どうしようもない不条理の世の中を徹底的に描いていて、やるせないです。

  • ◎(1〜5)。ユゴーの代表作『レ・ミゼラブル』。映画やミュージカル版では分からない長編小説。1巻から5巻までぜんぶを制覇してみよう。

  • 【紙の本】金城学院大学図書館の検索はこちら↓
    https://opc.kinjo-u.ac.jp/

  • 原書名:Les Misérables(Hugo, Victor Marie, 1802-1885)
    フォンチーヌ(正しい人◆転落◆一八一七年に◆預けることはときに授けることになる◆淪落◆ジャヴェール◆シャンマチュー事件◆余波)

    著者:ヴィクトール・ユゴー(1802-1885)
    訳者:西永良成(1944-)

  • ミュージカルでおなじみの『レ・ミゼラブル』。ついに(?)原作に手を出してみた。映画で見た後だから人間関係がわかりやすい。貧困に苦しむ人々、血なまぐさい革命、正しい心とは何か?とか、考える。でも結局正しい行いをするのもお金なの?と思ってしまう。神父も、市長になった後のジャン・ヴァルジャンもお金があるから、困っている人を助けたりできるわけでは?と悲しい考えが頭をよぎってしまった。

  • ユゴー『レ・ミゼラブル 1』(西永良成訳、筑摩書房、2012)を読む。

    4分冊の1、映画に合わせてか文庫新訳となっています。翻訳はフランス文学者で東京外大名誉教授の西永先生。サルトル研究やクンデラの訳でつとに著名です。

    一巻ではのちにジャンバルジャンを救う慈悲深い司教の描写からはじまり、しばらくしてようやくバルジャン登場、名市長マドレーヌさんへの転身、融通の利かぬ警部ジャベール、薄幸のファンチーヌといった前半の役者が出揃います。

    キリシタンの倫理観が色濃く反映したそれぞれの正義。ナポレオン時代に清貧を守り通した司教さんの見事な生き様はひとつの理想といえましょう。

    友人同僚が時計やクルマを自慢するたび、彼らの魂のために祈りましょう。あわれな欲望の囚われ人。

    【本文より】
    ◯「美しい掛け時計ですな!見事な敷物ですな!立派なお仕着せですな!こういうものは、さぞかし煩わしいことでしょう!ああ!わたしならこのような余計なものは願い下げにしたい。たえずこんな叫びが耳元に聞こえてくるようなので。飢えた人々がいるのだぞ!貧しい人々がいるのだぞ!と」

    ◯みんなが大声で叫び、すぐに憤慨するのを見ると、彼はにこにこしながら言った。
    「おや、おや!これはずいぶんと大きな罪らしいが、みんながおかしている罪ですよ。そこには、あたふたと抗議し、じぶんだけ安全なところに隠れようとする偽善が見られますよ」

    ◯「無知な者たちには、できるかぎりのことを教えてあげなさい。無料で教育を施さないのは、社会の罪です。社会はみずからが産み出す蒙昧に責任がある。無知な魂は闇におおわれ、そこで罪がおかされる。罪人とは罪をなす者ではなく、闇をつくる人間なのです」

    ◯司教がこの「あなた」という言葉を優しいが重々しく、じつに親しみのこもった声で言うたびに、男の顔は輝いた。徒刑囚に「あなた」と言うのは、メデューズ号の遭難者に一杯の水を与えるようなものなのだ。汚辱にまみれた者は敬意に飢えているのである。

  • この度新訳全五巻が完結したので、一巻から読み始める。先行訳に比べ格段に読みやすい。会話文はより現代的な言葉遣いで、典雅な雰囲気は失せたがパンチ力抜群。脚注ではなく本文中の割り注にしてあるのもありがたい。現代の読者には冗長とも感じられるユーゴーの文を、第一巻から非常にスムーズに読むことができた。

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