小説のストラテジー (ちくま文庫 さ 33-3)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (309ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480429797

感想・レビュー・書評

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  • 早稲田大学の講義に使用された覚書に基づく小説論ということだが、大変示唆に富みこれまで読んだ小説論の中でも群を抜いて面白い一冊だ。
     書き手による記述が物理的に読み手にどういう効果を及ぼすのか、具体的かつ明晰に解き明かされ、小説の深い味わい方の心得を与えてくれる。また、書き手についての出自などの情報や読み手のイデオロギーによって作品を矮小された解釈へ落とし込みがちである、という戒めも重要な指摘だろう。あまり古典に親しんでいない当方にとっては、登場する各種古典への言及も今後の読書への手掛かりとなりそうだ。
     キケローの弾劾についての民衆の反応や回想録に関する論考などは歴史や社会といった視点からも非常に参考になった。これはいい本だ。

  • 祝文庫化!書くための戦略の手解きを望む者は必読。。。

    単行本(青土社)のPR
    「フィクションとは、作者と読者が互いの手の内をうかがいながら丁々発止とわたりあう、遊戯的闘争の場である。超一流の書き手にして読み手が、古今東西から選りすぐった実例にもとづき、その戦略・技法の全てを具体的かつ実践的に伝授する。 」

  • 読了していなかったことを思い出して再読、途中から初読。これまで読んできた小説指南書とは根本的に異なっており、膝を打ちつつ同意した部分は記述の運動によるコントラストの付け方、物語と記述の関係性、「言語表現の精確さは、辞書的な意味に対する忠実さ以上に、個人的言語の揺らぎと滲みを、物事の揺らぎと滲みにいかに的確に当てて行くかにかかっている」のくだり。細部まで噛み砕けなかった章があるので(そっちの方が多いです……)もう一度読まないと。

  • ブンゲイ批評
    かかった時間もこまぎれなのでわからない。というか、読み終わったのは半年くらい前だと思われる。

    小説とは何か、が、ずっとわからなかったのだが、この本でようやく、なんとなく「小説で書き手は何をやりたいのか」がぼんやりと見えてきた(遅い)。
    筆者の、小説というコミュニティに参加することに対する、それを必要としない人へのあっさりした突き放し方と、そうでない人に対するあくまでも知的に作者と対峙する姿勢の要求とが、小気味よい。
    早稲田かどこかの講義録だそうだが、大学ってこういうことするところだったよな、そういえば、と、思う。まあこの話が成立する学生さんも、きょうび少なそうだけど。

  • 2012-11-9

  • 小説を書く人、読む人の立ち位置を考察し、その関係性をつまびらかにしていこうとしている本。

    早稲田大学での著者の講義を基にしているとのことだが、完全にリライトされているのか、口語的な平易さはなく学術書に近い感すらある。

    また、例示に西洋文学の古典作品が多く、そもそも西洋文学に疎い身にはかなりの難読。一定の、その分野の教養を持っての読書が期待されるか。

    小説の構成、構造論始め、扱われているテーマ自体はどれも興味深いので、自分の学の無さを恥じつつ、もっと分かりやすいと嬉しかったなー、と思う。

  • 書き方が少々不親切。オペラ的とかメロドラマとか定義してから使って欲しい。

    この人の文体というか、語り口はかなり好き。


    大学図書館901.3SA85

  • 小説の読み方、書き方について興味深く、大いに刺激を受けた。さらっと流しているようなことでも、読み手の背景によって、知らずしらずのうちに随分影響しているということを改めて認識した。若干鼻につく部分もありますが。

  • 再読。またしても世界が変わる経験

  • 話が難しいですが、その分だけ小説の深い部分について言及しています。なんだか、必要なことはすべて古代ギリシャ人が語りつくしているって感じです。

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著者プロフィール

1962年、新潟に生まれる。1991年『バルタザールの遍歴』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞。2002年『天使』で芸術選奨新人賞を、2007年刊行『ミノタウロス』は吉川英治文学新人賞を受賞した。著書に『鏡の影』『モンティニーの狼男爵』『雲雀』『激しく、速やかな死』『醜聞の作法』『金の仔牛』『吸血鬼』などがある。

「2022年 『吸血鬼』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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