ひきこもりはなぜ「治る」のか?―精神分析的アプローチ (ちくま文庫)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 250
レビュー : 25
  • Amazon.co.jp ・本 (243ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480429957

作品紹介・あらすじ

「ひきこもり」の治療や支援は、どのような考えに基づいて行われているのだろうか。その研究の第一人者である著者が、ラカン、コフート、クライン、ビオンの精神分析家の理論を用いて、「ひきこもり」の若者かたちの精神病理をわかりやすく解説する。なぜ、彼らはひきこもるのか?家族はどのように対応すればよいのか?「ひきこもり」に対する新たな視点が得られる。

感想・レビュー・書評

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  • 名前は女性の様だが,おっさんだ~ひきこもりの相談相手をしている理論はラカンから拝借。欲望は他人の欲望だという名言から,人と接触することが事態を改善させる最良の方法だと気が付いて,グループワークを重視している。コフートの「野心」と「理想」もヒントになる。コフリートは三種類の「自己-対象」が必要だと考え,「鏡自己-対象」「理想化自己-対象」「双子自己-対象」の3つだ。クラインは恨み半分,感謝半分もよく理解できる。ビオンの集団は一つの実体をもった存在であり,単なるメンバーの心理的集合体ではないとの論も参考になる~確かに野心は下から突き上げてくるエネルギーで,理想は引っ張り上げるエネルギーだ。ラカンの「去勢」というイメージは掴みにくいなあ。彼は気に入ってるようだが。双極自己ってのも,もう少し丁寧に読めば解るんだろうけど,今は念入りに読む気力がない。母親と子の関係って大切だと言うことは解ったけどね。自分の事を精神科医だと言っているのはあとがきの一カ所だけで,本文では治療者と呼んでいる。確かに精神病ではないので,引きこもりの相談相手を務めるのは医者じゃなくて,カウンセラーだろう。文庫本用のあとがきで,一番キュートなひきこもり本と喜んでいる。キュートな名前だが,61年生まれのおっさんだ

  • 欧州の青年対策の上限が25歳なのに対し、日本は35歳。これは政府が成人年齢を35歳であると宣言したのと同じ。との事だが、自分も35歳成人説というのは結構いい線だなって気はする。が、35歳以上の引きこもり対策の方が厄介で重要なのかもしれない。現状は何の対策もないようだが。
    引きこもりとニートの違いは対人関係の有無。これはわかりやすい。ここから他者の重要性に論点が置かれる。
    ラカンの「欲望は他者の欲望である」というのはわかりにくいのだが、「他者と関わらなければ欲望もない」と逆に考えてるとちょっとわかりやすくなる。また他者がいないと義務と欲望の判別がつかなくなり動けなくなるというのは臨床経験ならではの見解という印象。要するに欲望の自覚のために他者に会えという事なんだが、これは引きこもりの解決手段であって、人間に欲望が必要なのか?というのは別問題なのだろう。
    コフートの「自信(理想自我)」と「プライド(自我理想)」、「理想」と「野心」の関係性・違いも面白い。親は子供に自信を与える事はできないというのは当然と言えば当然だ。双極自己の発達のために「適度な欲求不満」が必要との事だが、この適度のコントロールは中々難しいだろう。
    引きこもりは悪でも病気もない。が、親や本人が苦しむ場合がある。精神科医はその苦しみを取り除くために治療をする。でも、そもそも「なぜ苦しむのか?」の答えは本書にはない。この問題の追及は精神科医の仕事ではないのだろうけど。

  • ひきこもり(その状況と対応方法)にふと興味が湧き、読んでみた。

    前半の理論編は、ラカンとかコフートとかクライン、ビオンとか、申し訳ないけど正直こんな事何を根拠に言ってるの?という感じで、正直良く分からんかった。どうも自分は精神分析とか心理学とかあんま好きじゃないみたいだな…というのを自覚。

    むしろ後半のカウンセリングの実践の方からは、経験知が溢れていて、読んでて素晴らしいなと思える内容だった。こちらは前書が出ている様で、そちらを参照すべきという事らしい。

    但しその素晴らしい実践が、前半の理論を元に生み出されている事を思うと、やはり自分が切って捨てるような代物ではないのだろうな…

    非常に薄い文庫だけど、少々自分には荷が重い本だった様なので、しばらく時間をおいて機会を見つけて、他の本も含めてまた読んでみるようにしたいと思う。

  • 17年前に引きこもり経験者です。当時学生の自分、ルーツのようなものを感じたくて本書を手に取りました。もはや今の私に共感できることは微塵も無く、当事者としての心情を思い出すことも困難でした。人間はここまで変われるのかと逆に勇気を頂きました。間違いなく人間は変われます。ありがとう。

  • ひきこもりという状態とその対応について、精神分析の視点から裏付けとなる理論を解説した本。

    精神分析というと難解なイメージだが、理論の解説と交互に実際のケースに当てはめた解説が入るので、わかりやすい内容になっている。
    知っているようで知らないことがたくさんあったので、大変参考になった。

    内容は家族や支援者向けで、男性のひきこもりを当事者のイメージとして想定しているように感じた。
    女性のひきこもりは、男性とまた違う困難があるので、いつかそのことについても解説した本を出してほしい。

  • 会話が大事
    メールなどより対話

    家族より友達や集団

    ひきこもりはプライドは高いが自信がない。自信を取り戻すには家族より友達の方が効果的

    なかなか前に進めないのは社会的地位(学歴とか社会に評価されるもの)にこだわって、自前の理想を持てないから

  • 斎藤環さんの本の中ではかなり良いのではないかと思った。実践をベースに理屈の部分を説明した良い本。

  • 書名に惹かれて購入。アドラー心理学の解説本を以前読んだが、本書で紹介されている別の理論の解説は新鮮だった。心に関する唯一絶対の理論など存在しないとは言いえて妙だと思う。

  • 師匠に勧められて読み進めている。文章は読みやすいが、たまに話が少し飛ぶというか論理的な飛躍があるのか(おそらく専門書ではないため親切にも詳細を省いてくれただけのように思うが)ところどころ話がわかりにくく感じる。精神医学や心理学、社会学に素養のない人でも読破はできそう。

  • 著者の作品の中でも特に好きなもの。読者に配慮して非常にやさしく丁寧に書かれている。前章では、精神分析理論の難解な部分を削ぎ落として、実際に使える部分だけ解説してくれる。それ以降の章では、ひきこもりの方(ひきこもりでない方にも)どのように小精神療法的に関わっていけば良いか、たくさんの示唆を与えてくれる。

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著者プロフィール

1961年岩手県生まれ。精神科医。筑波大学医学研究科博士課程修了(医学博士)。現在、爽風会佐々木病院精神科診療部長。専門は思春期・青年期の精神病理、病跡学。「社会的ひきこもり」の治療、支援に取り組む診療医であり、執筆や講演などによる文化評論活動も行なう。

「2020年 『臨床医学の誕生 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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