怪奇小説精華 (ちくま文庫)

制作 : 東雅夫 
  • 筑摩書房
3.68
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本棚登録 : 224
感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (648ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480430120

作品紹介・あらすじ

古今の怪奇幻想文学の中から厳選に厳選を重ねて編まれた3巻本アンソロジーの本書は「怪奇」篇。世界最古の怪談会小説として知られるルキアノスの作品に始まり、デフォー、メリメ、ゴーゴリ、モーパッサンなど文豪中の文豪たちによるベスト・オブ・ベストな怪奇小説を、岡本綺堂、神西清、平井呈一らの歴史的名訳によって1巻に結集。

感想・レビュー・書評

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  • 海外の作品の中から、クラシックな傑作がチョイスされているアンソロジー。私はホラーという分野は実話とか流行作ぐらいしか読んだことがなく、怪奇小説や幻想小説という分野にたどり着いたのはゴシック経路からなんですが、きっとこういう経路でたどり着いた方ならものすごく満足度の高いアンソロジーだと思います。ホラーの系譜が語られるときに必ず出てくるリットンの「幽霊屋敷」やポーの「アッシャア家の崩没」なども収録されているし、「猿の手」などの有名な作品も入っている。
    「ヴィイ」「オルラ」などのサイコ的なというのかな、まぁようは幽霊などの外的要因じゃなく自分自身の内面に追い詰められ恐怖を作り上げてしまうような作品もあり、スタンダードな幽霊譚もあり、とにかく非常に読みごたえがあった。
    あとがきにもあったけれど、あえて古い訳をそのまま採用していることも気に入った。龍膽寺旻氏の訳文には本当に胸キュンした。連続して読んでいると「背の高い女」あたりからエンジンの回転数が上がってくるような感覚でした。

    特に気に入った作品は「アッシャア家の崩没」、「蜘蛛」、「闇の路地」です。「闇の路地」本当にすごかった。

  • 怖がりなのに気になってます。。。

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    https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480430120/

  • 図書期限がきたので一回返却。
    『クラリモンド』まで読んだけど、海外作品なのでどれも読みにくい部分は少しあり。
    『幽霊屋敷』は序盤と最後の違いが面白かった。最終的にそうなったのね。『ヴィイ』と『クラリモンド』はなんだか似た雰囲気のお話でしたが、どっちも割合好きでした。
    一回返してまた借り直そうと思います。5/26

    借り直して再読。
    『猿の手』は何度読んでも怖いというより、悲しい気持ちになる。
    個人的に『蜘蛛』と『占拠された屋敷』が好き。
    『占拠された屋敷』は誰に何故占拠されたのか分からないけど、主人公たちがあっさり諦めてるのが怖い。

  • 「幻想文学入門」「幻想小説神髄」と3部作、「怪奇小説精華」をやっと読み終わる。
    きつかった~。
    海外の怪奇小説とかホラーとかは、先ずは面白く無いし退屈だ。
    グイグイと引き込まれるように読ませる作品は少ない。
    でも、何故か怪奇小説のアンソロジーは手に取ってしまう変な魅力が有る。
    でも、読み始めると遅々として進まない(笑)
    今回は「アッシャア家の崩壊」で進まなくなる。
    何しろ訳の漢字が私には難し過ぎて読めない、フリガナが有っても意味が分からない。
    普段から小説を読む時は国語辞典と漢和辞典を横に置いて、分からない漢字や言葉の意味を引きながら読むのだけれど、アッシャア家は小説を読んでるのか辞書を読んでるんだか分からなくて、肝心の小説の内容が入って来ない。
    だって、ただ「見上げる」と訳してくれれば良いのに、
    「瞻る」って書いてある。これで「みる」と読むんだけどさ。
    普段、絶対に使わないでしょ。フリガナがあっても、調べなきゃ意味分からないし。
    他にも熟語やら本当に大変。訳が素晴らしいと感想を書いてる人達は漢字に強い人達なのか?それとも僕があまりにも漢字が読めなさ過ぎるのか・・・
    怪奇小説は、「イギリス」「中国」等の国別アンソロジーの河出文庫が、まだ積んでる状態だけど、また苦労しながら読むのかと思うと楽しみでもあり、苦痛でもあるな~。

  • 怪奇小説の傑作揃いの本書。作品毎に全く異なる『怪奇』の雰囲気が楽しめて、さらに芥川龍之介に岡本綺堂、神西清、平井呈一、など訳者も豪華。大変贅沢な一冊でした。
    私のお気に入りはゴーゴリの「ヴィイ」。「肖像画」を以前読んだ時も怪奇の雰囲気が好みだったのですが、ヴィイは土着の民話っぽいテイストも入ってまた素晴らしかった。他には、異世界からきた生き物に生活を侵略されていくSFめいたテイストがある「オルラ」と「闇の路地」も面白かった!

  • 2012-11-14

  • 「嘘好き、または懐疑者」ルキアノス
    子供や老人であるということも才能の一つであるなどと思えたのなら、著者はゲーテも憧れるアーティストで済んだのだろうが本人が風刺家でありたいのなら仕方ない。才能というぬるま湯の心地よさと、それを受け入れ難い気持ちとを等価に捉えなおすことで己を創造せんとする在り方に居たいものの、あまりうまくいっていない思いが率直に見える表題。

    「石清虚/竜肉/小猟犬」蒲松齢
    人が神を完璧に理解している様子が描かれている稀有な作品。怪奇達は皆親切で健気で自由で可愛らしく、常に厳格なルールの下にあることによって余すところなく神性を表現する。
    老人の神様は駄々をこねる主人公に最初からあげるつもりだった石をくれ、竜は本当に食べたい人だけにこっそり己の切り身をくれ、小さい人たちは勉強に集中したい主人公のために軍を出動させて虫を追い払ってくれ、そして例のお方はソドムとゴモラの良民のリミットを言うだけ下げてくれる。

    「ヴィール夫人の亡霊」デフォー
    作者が歌い上げるのは物理空間における真偽になぞ毛ほどの重要度もない、ということを知っている人の気高さ。そして幸いにも彼の時間は淵の手前で止まっている。

    「ロカルノの女乞食」フォン・クライスト
    そんな簡単で良いのだろうか?との疑念がいとも簡単に押し流される、脳みそが喜ぶベタな勧善懲悪。

    「スペードの女王」プーシキン
    いきあたりばったりで最後は降って湧いた勧善懲悪。読者の脳みそが話についていけてるのかいけてないのか迷って結論は「なんとなく怪奇」

    「イールのヴィーナス」メリメ
    ストーリーとあまり関係のない無駄なエピソードや回り込み撮影のような人物像の4次元的な描写、主人公のリアルすぎる俗っぽい感想など、なかなかに恥ずかしげもなく世界を創りあげている。才能と和解できないルキアノスにして愛すべきペテンのメリメ。

    「幽霊屋敷」ブルワー=リットン
    全力で中二病を吹いておきながら、「まあ聞いた話なんすけどね」的な無責任ラスト。読者の脳が今まで自分が見ていたのは夢だったのか?なんだこいつの精神構造?的な怪奇。

    「アッシャア家の崩没」ポオ
    辛気臭すぎてたぶん1/4でギブアップ。安定のポオ。こいつのせいで以降の作品の読む気までなくした。と思ったがこの本はたぶん少年ジャンプ的な感じで、後ろに行くに従って出来が悪くなるってやつの気がする。ということは、幽霊屋敷は最後にどうにかこうにか我に返ったがポオはラストまでこの調子だったのだろう、と予想。

    「ヴィイ」ゴーゴリ
    「クラリモンド」ゴーチエ
    「背の高い女」デ・アラルコン 素人オカルト報告サイトのような印象の薄さ。
    「オルラ」モーパッサン
    「猿の手」ジェイコブズ
    「獣の印」キプリング
    「蜘蛛」エーヴェルス
    「羽根まくら」キローガ
    「闇の路地」ジャン・レイ
    「占拠された屋敷」コルタサル

  • 耽読中。澁澤龍彦の書評がある短編作品を網羅されている感が。しかも翻訳が素晴らしい。

  • そうそう、怪奇小説ってのはこれなんですよ。ただおぞましいだけ、後味が悪いだけの作品なんて怪奇小説って呼んじゃダメ。やはり美しさがないと。その点、このアンソロジーは作品の選択も翻訳の質もナイスなわけで。既読の作品も含め、非常に楽しませてもらいました。

  • 2012年11月10日初版、並、カバスレ、帯なし
    2014年1月4日阿倉川BF

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