14歳からの社会学―これからの社会を生きる君に (ちくま文庫)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 972
感想 : 59
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480430267

作品紹介・あらすじ

「これからの社会をどう生きればいいのか」-子どもたちも大人も不安を抱えている。そこで「社会を分析する専門家」である著者が、この社会の「本当のこと」を伝え、いかに生きるべきか、という問題に正面から向き合った。なぜ社会に「ルール」があるのか、「恋愛」と「性」、「仕事」と「生活」、「生」と「死」等の話題を、わかりやすく語った。重松清氏、大道珠貴氏との対談と、ブックガイドを新たに附す。

感想・レビュー・書評

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  • 20代の前半頃に一度読みました。

    自分は心理学部で心理学を勉強していて、人間の内側のメカニズムみたいなものに興味があってどうしたら自分のしんどさみたいなものが軽減されるのかなと大学4年間くらいはずっと考えていたものの消化不良でした。

    卒業した後に、初めて社会学というものに触れたのがこの本だった気がします。

    そっか、しあわせって内側だけの問題じゃなくて外側(社会)の影響もあったんだ

    と、今だと当たり前のことのように思いますけど、当時は内側ばかりに意識が向いていたのでこの本を最初に読んだ時はショックだったような気がします。

    22、3歳頃はそれくらい社会っていうものの実態を捉えられていなかったのだと思います。

    それから10年くらい経ってこの本を読み返したのですが、今読むと前よりはここに書いてあることがわかる気がしました。

    書かれていることの知識量が膨大すぎてまだまだ消化不良ですが、読み返しながら生活に活かしていけるポイントもたくさんあるなと思いました。

    結局どうしたらいいんだろうと思いますが、

    ・承認を求めるのではなく理解しようとすること
    ・最低限これがあれば大丈夫なものを突き詰めること
    ・痺れる誰かに感染すること
    ・欲望に対して一歩引いた視点を育てること
    ・非日常的な体験から得られる社会の外にある世界を感じとりつつ社会の中での役割を全うすること
    ・勉強して考えることを続けること

    とかならできるかなと思います。

    また時間を置いて読み返したらわかることが増えるかもしれません。

  • 身近なことから次第に社会学のことが少しずつわかるようになっており大変勉強になった。
    自由とは何か、社会とは何かを考えさせられる一冊である。

  • 14歳に向けて、「本気」で書かれた本。
    人は他者からの承認を経て尊厳を手にするのに、その経験がないから一般には不可解に見えるような動機の曖昧な殺人事件が起きうる、というのは、まさに今の社会だと思う。書かれたのは2008年だけれど。

  • 自分にとっての幸せを見つけるために、試行錯誤をする必要がある。しかし、その試行錯誤が他者から承認されず、尊厳を得られなければ、試行錯誤することが怖くなってしまう。そんな悪循環に、今の自分は陥ってると気付かされた。
    もっといろいろなことをしてみようと思った。

  • 思ったより面白くなかった

  • 1自分と他人
    みんなが情報化社会や複雑化社会によって周りの人ではなくなってきた。このみんなは合意とコミットメントが必要。
    また戦争後、みんなが豊かさを望み、共通の目標あった時代。今は違う。共通前提がないから試行錯誤ができない。だから脱社会的存在が生まれてしまった。みんなの共通目標だった豊かな目的地について、それぞれの目的地に向かう。

    自分で選ぶ訓練をする。
    選択肢を知っていることとそれを選ぶ能力が大切。

    多様性がなぜ必要か?
    人々が幸せになるため、自由であるために多様性が必要だから。社会にはそれぞれ文化があって、自己主張上手な人が得する文化、協調性高い人が得する文化、キリスト教の文化などある。キリスト教の文化の社会でイスラムは生きにくい。社会が一色の文化に染まると別の文化の人が生きにくくなる。だからいろんな色が必要。

    尊厳とは自分はそこにいていいんだと思えること。尊厳値が低いと信仰が理由であれ性格が理由であれ自分は許されないのでは?と他社の前で堂々と出きないつまり自由ではなく、試行錯誤できない。
    これは承認された経験が必要。
    (自由による試行錯誤→承認他者が認める→失敗しても大丈夫という尊厳のサイクル)

    見ず知らずの他者を信頼することが共通前提だけど、例えばレストランでご飯食べられたり、今はそれが脅かされてる時代。

    アイデンティティとは失敗しようが自分は自分だと言える根拠、つまり尊厳。それは他者に承認された分だけ強くなる。成功しても承認から見放されてるのなら寂しく死ぬ。幸せとは??

    2社会とルール
    行為功利主義どんな行為をすれば人が幸せになるか
    規則功利主義どんな規則が人を幸せにするか
    卓越主義的リベラリズム 優れた人がルール考えるべき

    国は人を教育から解放した、上からの教育小さくなったけど、結局変わらなかった。勉強で子供を絞るのは程々にしようとしたが、ゆとりの時間に塾通い始めた。

    民主政治の堕落を批判する衆愚政治というギリシアの言葉がある。人々がしがらみから解放されて自由に意見言えればそれでOK?政治の良し悪し見極める力がなければ民主的な政治はかえって自分を不幸にする。民主的な政治で幸せになるためには選ぶ能力が前提。エリート、幸せは人それぞれだけど多くの人が幸せになれるルールがあるはずだと考えられるタフな人間が、3つくらい選択肢絞って、それを選べればいい。例えばドイツは小学高学年でエリートになる学校へ行くか決め、専門的訓練士はし始める。階級社会。

    主意主義 不条理が満ちてる
    社会学はこの立場。人が何かしたとき、意思を出発点にする。事件あった時家庭環境は前提あたえただけでその人が何をするかは意思による。
    どんな社会が良くなっても人が幸せになるとは限らない。お金持ちになってもこんなものかと思うかも。意思は当てにならない。意思が絶えず変わるからいい社会になっても止まらず回り続ける。幸せを単純に考えてはいけない。
    主知主義 人間の知識は全て覆える

    3こころとからだ
    男は自分ばかりではなく女を理解する余裕のための承認の経験を!

    4理想と現実
    江戸時代はとても上手く行ってた。農民豊かで寺子屋2万以上あるし入会地も整備されてた。
    そして自然信仰のもとでみんなで力を合わせてやる農業してた。だから日本人は仕事を綺麗なものに見てしまいがち。仕事と生活を切り離せない。

    明治の近代化で工場労働のために教育を変えた。学校教育のモデルは軍隊と監獄。教室の空間は監獄から、掛け声は軍隊から。

    近代過渡期 豊かになるため一生懸命働く
    近代成熟期 大量生産から多品種少量生産へ
    モノの豊かさから心の豊かさへ
    そして経済成長率低くなるから賃上げ要求無理だから労働環境の整備へと
    そして労働の代わりに消費の時間増えて、いい労働者ではなく消費者に変わっていく
    前ならいい労働者になるには規律性やればよかったけど、今は何が自分に相応しいか見極める力を養うこと大切。経験をして何が好きか見定めていく。だから試行錯誤による選ぶ能力大切。

    新しいエリートも人それぞれ求めてるものに対応するコミュ力大切。創意工夫。

    社会が必要とするから仕事がある。
    選択肢たくさんあるから、もっとぴったりの会社があったのではと、就職しても迷いが消えない。選ぶ能力ないと選択肢増えても幸せになれない。
    ないものねだり。自分に何が必要なのか。これさえあれば十分という考え方をしろ!!
    実際生きがいを与える会社なんてない。
    生活のために仕事をする。

    誰かを癒せればOKではなくて、社会を変えなくては根本解決じゃないのでは?自分の苦しみばかり考えて社会を考えてこなかった人。こういう人に限って強欲。

    最低限のトーナメント戦

    5本モノと偽物
    感染動機が知識を血肉化させる
    小室尚樹、廣松渉
    学ぶ理由は三つ
    競争動機勝つ喜び
    理解動機説明できた喜び
    感染動機は直感ですごいと思う人のそばに行き全てを真似してしまう、学ぶはまねぶ、すごい人に感染して何かしている時間全て喜びの時間となる。

    学校がはぶとなってすごい人と繋ぐこと大切

    6生と死
    死について考えるとなんでも自分でコントロールできないと考えられる
    送りの儀式、看取る人たちに祝福されながら死ぬことが自分の人生悪くなかったとわかる
    死んだ後人々の生活が何も変わらないのは寂しい
    これから承認されて死ぬの難しくなる。
    →それは寂しいなあ。
    まずは結婚式でたくさんの人に祝われる人生にしたいなあ

    7自由への挑戦
    消極的自由 自由に選べる からの自由
    積極的自由 選ぶ能力 への自由

    やりたい放題が自由ではなく、降ってくる欲望に抗うこと。
    意思よりも前に引っ張られるのが自由。

    8映画
    安倍工房 第4期氷河期、他人の顔
    風の谷
    未来惑星サルドス

    9本
    透明な存在の不透明な悪意
    人生の教科書 よのなかのルール
    制服少女たちの選択
    せかいはそもそもらでたらめである


    私は何が最低限必要なのだろうか。
    権力?知識?家族?恋人?友達?、、、
    人生を幸せに生きれるこのような知識をもっと知りたいと思った。

  • 社会学に目覚めたきっかけ
    難しく読み解く力がないのでもう一度読みたい

  • 14歳がどう受け取るのでしょうか。生きがいなど、あまりピンとこない気がします.

  • 学者でありながらどこか芸術家気質な自由さもあり、まあ考えが、言葉が、かっこいいよね。しかし自分の力不足もあり、完全に理解ができなかった。。。悔しいので繰り返し、読む。理解してやるぞ宮台真司!!!!

  • 口調は子供向けだけど内容は詰まってるし難しい概念もわかりやすく説明していた。
    14歳の耳には痛い社会の本質を突きながら生きる指針をしっかり示していた。
    人間には願望水準上げろって言ってたのが印象的だった

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著者プロフィール

宮台真司:1959年宮城県生まれ。社会学者、映画評論家。東京都立大学教授。1993年からブルセラ、援助交際、オウム真理教などを論じる。著書に『まちづくりの哲学』(共著、2016年、ミネルヴァ書房)、『制服少女たちの選択』(1994年、講談社)、『終わりなき日常を生きろ』(1996年、筑摩書房)、『私たちはどこから来て、どこへ行くのか』(2014年、幻冬舎)など。インターネット放送局ビデオニュース・ドットコムでは、神保哲生とともに「マル激トーク・オン・ディマンド」のホストを務めている。

「2024年 『ルポ 日本異界地図』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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