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- / ISBN・EAN: 9784480430274
感想・レビュー・書評
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物語の舞台が見えてきたかな、というところで終わってしまう短編が多くて、あまり楽しめなかった。ル=グウィンにはどうしてもくっきりしたストーリーを求めてしまうので、今回は相性がよくなかったかも。とはいえ「SQ」「目の変質」「マルフア郡」はよかった。
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サンリオ文庫でも持っていた気がするが…
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がっつりSF。読み始めたばかりだけど、面白い。ル=グウィンて名前、訊いたことあるなーと思っていたら、ゲド戦記の作者らしい。
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ありがとうちくま!!祝復刊。「風の十二方位」の後の短編集。「目の変質」が白眉か。80年代のSFと今のSFで何が一番違うかというとコミュニケーションだと思うが、それでも古さを感じさせない。
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SF、ファンタジー、怪奇幻想小説、シュルレアリスム、純文学等々、ジャンルの垣根を越えて混在する短編集。個人的にはすごくよかった短編とよくわからなかった短編が半々だったが、しかしよかったほうの話が非常にツボだった。
「アカシヤの趣旨に残された文章の書き手」は、生物学・言語学が進んでさまざまな動物の言語を解読できるようになりつつある時代を描いたSF。センス・オブ・ワンダーってこういうことかもしれないと思った。スペースオペラと違い題材はごく身近なものであるにも関わらず、植物の言語、岩石の言語の形態に思いを巡らせることで、遠い世界に連れて行ってもらったように思う。
ほかの惑星に移住した人々が、なかなか適応できずに苦労しながら暮らす様子を描いた「目の変質」でも同様に、同じものを見ていても同じように見えているとは限らないという認識の問題について、あらためて考えさせられる一編。
狼男の話「ザ・ワイフス・ストーリー」は面白かったのに、二か所ほど誤訳(……というのは言い過ぎかもしれないが、これはどうも訳語の選択ミスだろうという箇所)があって、そのせいで話がわかりづらくなっている感があり。なんとなく勿体ない気がしたのでメモ。
夫に先立たれた老女とその娘婿の暮らしを描いた「アルファ郡」は、収録作の中でもっともSF要素やファンタジー要素のない普通の人々の話だが、深く静かに心に響くものがあり、印象深かった。
「グイランのハープ」は、ハープ弾きの女性を主人公にした物語で、自分の魂のように思っていたハープを失った、その大きな喪失の後の余生を描いている。この長い「その後」には、非常に考えさせられるものがある。とりわけ何か「唯一のもの」を追いかけている(あるいは持っている)人間にとっては、胸を打つものがあるのではないか。
「スール」は、人類初の南極点到達とされている1911年の探検よりももっと前に、実は女性だけの秘密の探検隊が、ひっそりと世間に知られることなくその地を踏破していた……というフィクション。冒険小説の登場人物が全員女性、というのは何気に珍しいのではいだろうか。性差、ジェンダーの問題について論じ続けてきたというル=グウィン女史らしい一本、なのかなと思う。視点にお茶目なところがあって、ハラハラドキドキ手に汗握る……というよりも、読んでいてワクワク楽しい気分になる一本。 -
ル=グウィンはファンタジー作家だと思っていた……(オマケに〝ゲド戦記〟は読んだことがない)。
この短編集はSFで、コミュニケーションの断絶を扱ったものが多かった印象。前半よりも中盤~後半に収録されているのが好みで、一番楽しんだのは『船内通話器』。