コンパス・ローズ (ちくま文庫 る 6-1)

  • 筑摩書房
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (446ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480430274

作品紹介・あらすじ

高度に管理された世界で、反社会的科学者の夫と短い平穏な日々を過ごす「わたし」。一方、南大西洋と西部太平洋には新たな陸塊が海中から出現しつつあって…「ニュー・アトランティス」/精神異常を判定し、収容施設に送りこむSQテスト。世界中に広まったテストにより、被検者の半数が収容施設に…「SQ」/ジャンルを越えた20の短篇が紡ぎだす、「精神の海」を渡る航海者のための羅針盤。

感想・レビュー・書評

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  • 物語の舞台が見えてきたかな、というところで終わってしまう短編が多くて、あまり楽しめなかった。ル=グウィンにはどうしてもくっきりしたストーリーを求めてしまうので、今回は相性がよくなかったかも。とはいえ「SQ」「目の変質」「マルフア郡」はよかった。

  • ・アカシヤの種子に残された文章の書き手
    様々な動物が人とは異なる形で詩を書いていることが判明し、そのような研究分野があったなら。
    ・ニュー・アトランティス
    ディストピア物。
    ・シュレディンガーの猫
    ・北方線の二度の遅れ
    同じエドゥアルドという名の2人の男。一方は親の体調不良で実家に帰る途中、もう一方は手放すつもりだった遺産の家に向かう途中、電車が大幅に遅れて。期間はピリオドの誤訳?
    ・SQ …狂気の度合いを図る精神テストが開発され、クリアできなかった者を療養所に隔離していくことに。コメディっぽい。
    ・小銭
    六文銭的なものって欧米にもあるのか?
    ・ダーブのカダン星に不時着した宇宙飛行士の最初の報告
    ・バラの日記
    平和な全体主義的社会の真面目な精神科医の話。
    ・白いロバ
    ・不死鳥座
    レジスタントと図書館員。
    ・イントラコム
    ・目の変質
    一世が薬なしなら選抜がかかるかもしれないが、どうにも一世代では体質は変わらないと思う。見慣れた風景やら美的感覚は変わるだろうけど。
    ・迷路
    動物実験の風刺?
    ・欲望の通路
    ・グイランのハープ
    おとぎ話っぽい。
    ・マルフア郡
    ・湖面は広い
    ・ザ・ワイフス・ストーリー
    狼男。
    ・時間の欠乏という問題の解決法いくつか
    ・スール
    歴史に名を残さなかった南極探検隊。

  • サンリオ文庫でも持っていた気がするが…

  • がっつりSF。読み始めたばかりだけど、面白い。ル=グウィンて名前、訊いたことあるなーと思っていたら、ゲド戦記の作者らしい。

  • ありがとうちくま!!祝復刊。「風の十二方位」の後の短編集。「目の変質」が白眉か。80年代のSFと今のSFで何が一番違うかというとコミュニケーションだと思うが、それでも古さを感じさせない。

  • 面白い話もあるが,なんだかなーという話もあって。
    イマイチである。

    2013/04/13図書館から借用;04/23朝の通勤電車から読み始め;05/01読了

  •  SF、ファンタジー、怪奇幻想小説、シュルレアリスム、純文学等々、ジャンルの垣根を越えて混在する短編集。個人的にはすごくよかった短編とよくわからなかった短編が半々だったが、しかしよかったほうの話が非常にツボだった。
    「アカシヤの趣旨に残された文章の書き手」は、生物学・言語学が進んでさまざまな動物の言語を解読できるようになりつつある時代を描いたSF。センス・オブ・ワンダーってこういうことかもしれないと思った。スペースオペラと違い題材はごく身近なものであるにも関わらず、植物の言語、岩石の言語の形態に思いを巡らせることで、遠い世界に連れて行ってもらったように思う。
     ほかの惑星に移住した人々が、なかなか適応できずに苦労しながら暮らす様子を描いた「目の変質」でも同様に、同じものを見ていても同じように見えているとは限らないという認識の問題について、あらためて考えさせられる一編。
     狼男の話「ザ・ワイフス・ストーリー」は面白かったのに、二か所ほど誤訳(……というのは言い過ぎかもしれないが、これはどうも訳語の選択ミスだろうという箇所)があって、そのせいで話がわかりづらくなっている感があり。なんとなく勿体ない気がしたのでメモ。
     夫に先立たれた老女とその娘婿の暮らしを描いた「アルファ郡」は、収録作の中でもっともSF要素やファンタジー要素のない普通の人々の話だが、深く静かに心に響くものがあり、印象深かった。
    「グイランのハープ」は、ハープ弾きの女性を主人公にした物語で、自分の魂のように思っていたハープを失った、その大きな喪失の後の余生を描いている。この長い「その後」には、非常に考えさせられるものがある。とりわけ何か「唯一のもの」を追いかけている(あるいは持っている)人間にとっては、胸を打つものがあるのではないか。
    「スール」は、人類初の南極点到達とされている1911年の探検よりももっと前に、実は女性だけの秘密の探検隊が、ひっそりと世間に知られることなくその地を踏破していた……というフィクション。冒険小説の登場人物が全員女性、というのは何気に珍しいのではいだろうか。性差、ジェンダーの問題について論じ続けてきたというル=グウィン女史らしい一本、なのかなと思う。視点にお茶目なところがあって、ハラハラドキドキ手に汗握る……というよりも、読んでいてワクワク楽しい気分になる一本。

  • ル=グウィンはファンタジー作家だと思っていた……(オマケに〝ゲド戦記〟は読んだことがない)。
    この短編集はSFで、コミュニケーションの断絶を扱ったものが多かった印象。前半よりも中盤~後半に収録されているのが好みで、一番楽しんだのは『船内通話器』。

  • 祝復刊!アーシュラ・K・ル=グウィンらしさの出た短編集(だったと思う)

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著者プロフィール

アーシュラ・クローバー・ル=グウィン(Ursula K. Le Guin)
1929年10月21日-2018年1月22日
ル・グィン、ル=グインとも表記される。1929年、アメリカのカリフォルニア州バークレー生まれ。1958年頃から著作活動を始め、1962年短編「四月は巴里」で作家としてデビュー。1969年の長編『闇の左手』でヒューゴー賞とネビュラ賞を同時受賞。1974年『所有せざる人々』でもヒューゴー賞とネビュラ賞を同時受賞。通算で、ヒューゴー賞は5度、ネビュラ賞は6度受賞している。またローカス賞も19回受賞。ほか、ボストン・グローブ=ホーン・ブック賞、ニューベリー・オナー・ブック賞、全米図書賞児童文学部門、Lewis Carroll Shelf Awardフェニックス賞・オナー賞、世界幻想文学大賞なども受賞。
代表作『ゲド戦記』シリーズは、スタジオジブリによって日本で映画化された。
(2018年5月10日最終更新)

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