オタク・イン・USA:愛と誤解のAnime輸入史 (ちくま文庫)

制作 : 町山智浩 
  • 筑摩書房
3.63
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本棚登録 : 158
レビュー : 14
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480430618

感想・レビュー・書評

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  • 面白かったです。
    英語名のなんちゃって作者名かと思ったら、本気のアメリカ人でした。
    アメリカオタクの黎明期から現在までが、あらゆる項目について書かれてる。
    一つ一つの章は短いながら、みっちりと濃い未知の世界。
    手ごろな厚さの文庫本、しかもオタクなネタと思って甘く見ていたら
    あまりに濃すぎて読み進むのに時間がかかる!
    日本のオタク黎明期でさえ、
    情報を探し仲間を探し深くかかわっていくのは大変だったのに、
    まったく言葉の違う異国で、中途半端なまがい物などに紛れながら、
    日本にあるホンモノへ向かっていく情熱の凄さといったら。
    まあその延長線上に、
    私がドイツサッカーを追っていたことなんかも同じものだとを思えば
    そんなに他人事でもないし、
    好きになってしまったらやってやれないことはないのだと思う。
    それにしても、オリジナルの改編(合体やら追加やら)・クオリティの低いグッズ・
    放送時間のいい加減さなどなどに阻まれながらも
    惹かれていく、のめり込んでいく、その力はものすごい。
    そしてネットで簡単に情報が手に入るようになった今、オタクであることとは
    まったく次元が違うのは、日本もアメリカもかわらない。
    広いジャンルを網羅して、なお語りすぎず、
    単なる情報に終わらず一通りの状況をリアルに知っている人によって書かれていて、
    コンパクトにアメリカのオタク状況を知るには格好の本。

  • あとがきにて アメリカの日本マンガやアニメのオタクは2013年の時点でかなり社会的に肩身の狭い思いをしているように感じた 日本のコミックを販売している500店舗もあるチェーン店の本屋が潰れるとかまじでやばい

  • 2006年発刊の文庫化なのでやや状況は古いが文庫版後書きによるとアメリカでの日本のマンガの英訳所の販売部数は2007年に680万冊、総売上は6200万$に達した。同じ年のマーベルの売り上げが12570万$なのでほぼその半分だ。しかし、粗製濫造とマンガを揃えた全米チェーンの書店ボーダーズの倒産もあり2012年には販売部数120万部、総売上2100万$にまで落ち込んだ。著者のパトリック・マシアスは1972年生まれ、アメフト選手とチアガールが象徴するアメリカだが小学生の頃はみんな「マッハ・GO GO GO」や「科学忍者隊ガッチャマン」や「宇宙戦艦ヤマト」を見ていた。そして21世紀の新世代のアニメファンは自分のことをOTAKUと呼ぶ。Hip Hopと同じくサブカルチャーのひとつとして爆発的に拡がり全米で年間に開かれるアニメ・コンベンションは20以上参加者はのべ10万人を超える。コスプレイヤーがあふれるのはハロウィンで仮装するのに違和感がないからだそうだがほんまかいな。

    1960年代ハリウッドはテレビ局を敵視し映画の放送権を売ろうとしなかった。そこで海外の質の良いSF映画を作る会社として配給会社UPAのサパスタインが目を付けたのが東映だった。「怪獣大戦争」「サンダ対ガイラ」制作費を持つ代わりにゴジラを勧善懲悪のヒーローとしていく。そうだったのかガイガンとかメカゴジラ好きなんだけどなあ。最も一番好きなのはヘドラだったりするが。84年に東宝がゴジラを復活させると香港製の安っぽいゴジラ人形が300万個のバカ売れ、そして人間大のビニール製風船ゴジラもバカ売れだそうだ。

    おもちゃで言うと原作アニメのないまま超合金シリーズが「SHOGUN WARRIORS」として輸入されマジンガーZのロケットパンチやライディーンのチェンジ・ゴッドバードなどに子供たちが群がった。高さ60センチのジャンボマシンダーシリーズも売られている。それまではブリキのカクカクしたろぼっとしかなかったころだ。これが後にトランスフォーマーにつながることになる。

    しかし、アメリカに輸入されたアニメやヒーローものは結構ひどい目にあっている。ウルトラマンの翻訳は原作に忠実だったが94年にやっと放送されたウルトラセブンは無惨だ。零下140℃の対決でポール星人はモロボシ・ダンに語りかける。「我々はダーゲン・ハッツ星からやって来た。」さむい。しかもお茶の間では暴力シーンにうるさいアメリカではアイスラッガーでの切断シーンはカット。大人気だったガッチャマンも暴力シーンが生々しいと大幅カット、ビルの倒壊シーンもカットそれでもアメリカのアニメに比べるとアクションシーンはダイナミックだったし何よりも衝撃的だったのが白鳥のジュンのパンチラキック。大ヒットの原因はパンチラですか・・・クールジャパンのルーツはエロとバイオレンス、日本にいると感じないがこれがクールなのか。そういえば最近クレヨンしんちゃんのお尻ぷりぷりがインドネシアでポルノ扱いされたようだ。何を今更と言う感じですねえ。人気爆発のセーラームーンも衣装がセクシー過ぎると問題になったという。

    小池和夫の子連れ狼に影響を受けたのが今では人気作家のフランク・ミラー、セリフの多いアメコミと日本マンガのコマ割りの技法を融合させたのが「デアデビル」そしてバットマンを復活させた「ダークナイト・リターンズ」や「シン・シティ」だ。映画だと日本マンガの影響はわからないけど、クエンティン・タランティーノは「キル・ビル」に日本映画や香港映画のオマージュを埋め込んでいる。wikiによると小池和夫がキル・ビルの原作は修羅雪姫であると映画会社に版権料の支払いを要求したところちゃんと払われたらしい。他にも「ワイルドスピード」は南カリフォルニアのアジア系からメキシコ径へと拡がった日本車改造ブームのルポから始まった。ジョン・シングルトン監督はグランツーリスモをイメージして演出したそうな。

    日本のアニメやマンガ文化を真面目に論じた研究がなかなかナンセンスで面白い。「サイケな国日本、こんなにもすごい場所だったとは!」96年発刊の「サムライ・フロム・アウタースペース/日本のアニメを理解する」によると「らんま1/2」に仏教や神道を無理矢理あてはめ、「デビルマン」でさえ日本的だそうだ。そして「サイレントメビウス」と俳句を結びつける。2001年の「現代日本のアニメ/「AKIRA」から「千と千尋の神隠し」まで」ではテキサス大学で日本文学と日本文化の教鞭をとるネイピア女史が「アニメは日本の現代社会を映し出すのに役立つ鏡であり・・・」と語る一方で「AKIRA」の旧東京にぽっかり空いたクレーターを女性器と肛門に見立てるのだそうな。おいおい。

    ブッカー賞を受賞した小説家のピーター・ケアリーは富野由悠季とのインタビューでこう聞く「モビルスーツ戦争は第二次大戦の経験から生まれたのか」「赤く光るビームサーベルを手にしたRX−78はサムライの直系の子孫ではないのか?」富野「ガンダムはただ単におもちゃのロボットを売るために作られたにすぎません」ケアリー「でも、そこに何か特に日本的なものがあるに違いないと思うんです」「つまり、登場人物はみんな日本語を話していますよね?(あたりまえじゃ、笑)」富野「そこに特に深い意味はありません」クールだわ。

  • 町山さんの著作かと思い、図書館のネット予約したら、思いがけない本だった。(笑)
    良く知らない分野なので、逆にへぇ~というような話が読めて良かった。
    ゴジラや仮面ライダー、ピンクレディがアメリカで、どういう風にウケたり、ウケなかったりしたのか全く知らなかった。
    ただ、いかんせん、冗長。
    だらだらとオタクの長話を聞いているような感じで、後半は飛ばし読み。
    これは自分にアニメ等の予備知識がないせいもあるが、なんでもかんでも紹介せず、もう少しテーマを絞った編集にすれば良かったと思う。

  • 今から少し前の(といっても10年ぐらい前か?)アメリカのオタクたちの姿。

    町田 智浩訳で読みやすいです。というか、訳者の名前を見て、これは信用できると買った1冊です。

    感じは、町田の本とよく似ている。まぁ、文体もよく似ているし、話の進め方にも、かなり町田のアドバイスが入っているそうなので、自然とそうなるのかと思います。

    どうしようもないアメリカ。でも、元気なアメリカ。オタクも元気。
    いや、オタクって、することあるから、いつもけっこう元気なんだと思います。なにかを全力で愛していいというのは、心の安定につながる……かも。

    でも、やっぱり日本と同じように、世代間のギャップがあったりして、グループ化はしていくみたいです。

  • 戦後以降からゼロ年代までの間に、日本のサブカルチャー(主にマンガ、アニメ、特撮など)がアメリカにどのような影響を与えてきたかについてまとめられている。

    時代的に古い作品の名前が多く、その作品がどのようにしてアメリカに持ち込まれ、それを見たアメリカ人たちにどんな影響を与えたかという話がメイン。こういう題材をがっつり扱った本は珍しい。

    文体は口語調の軽い感じなのでスラスラ読める。が、著者もオタクなので内容はディープ。

  • これは、ちょっと本として評価し辛いな。
    判んない人には、判らないどころの話やないやろう。
    私は、この世界に片足は入ってるので。
    こういうのを外の目から見てもらえるのを読むのは面白いのだ。

  • アニメやマンガなどの、日本のいわゆる「オタク文化」が
    いかにしてアメリカに浸透していったのかをつづる一冊。

    いやー、そういうことだったのか。
    そんな風に捉えられ、
    そんな風な文化風土の中で
    そういう思惑で広がっていったのだなぁ、
    と、いろんな意味で「ほほう」満載でした。

    うーん、やっぱり感覚は違いますね。
    この本は文庫版なので、最初に出てからもう数年が経っています。
    いろいろその後の変動もあるんでしょうが、
    同じものを好きでいる者同士は大切。
    国策やら文化の違いやらで
    めんどくさいことにはなってほしくないもんです。

  • アメリカのオタク文化をアメリカ人オタクが書いた本。訳は破天荒映画解説者でお馴染みの町山智浩。
    2006年刊行の本の文庫化なので情報は古いがまあそれはしょうがない。
    それでも著者本人の子供時代のエピソードからアメリカでのオタクの歴史がわかるのでカバーできる。
    多分日本の初期のオタクもそうだったんだろうけど、昔の方が団結してるんだろうなぁ、と思う。今はジャンルがどんどん細分化されてさらに情報が容易にネット等を通じて手に入るのでもう昔ほどの仲間感はないよね。
    下手な日本人より日本のこと詳しいんだろうなぁ。
    まあ一度読んでみてください

  • アメリカのオタクたちの歴史。2006年に出版されたものの文庫化だから、この中の最新情報になる部分はとても古い。しかしオタクの始まり部分はもう動かない事実なので、楽しく読んだ。オタク文化はクールジャパンと言い出す前から既にここまで愛されていたのだな。

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