絶叫委員会 (ちくま文庫 ほ 20-2)

著者 :
  • 筑摩書房
4.06
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本棚登録 : 1593
感想 : 177
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  • Amazon.co.jp ・本 (214ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480430663

感想・レビュー・書評

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  • さいっこうに面白かった! 笑った、笑った!!
    そして、こんなこと言われたら、キュン死にするかもしれないと思ったりする言葉もあった。(思わず引用に書き込んだ)
    歌人、詩人と言われる人はなんてキュートでチャーミングな言葉を取りだしてくるんだろう。
    穂村さんのイメージ、180度変わったわぁ!

  • 穂村さんはすごい。
    日々、言葉に出来ない微妙な感情を的確に表現してくれる。
    だからおもしろい。
    誰もがなんとなくわかっている、感じている
    言いようがない気持ちがここにある。

    本を読みながら笑ってしまうって貴重な体験ではないだろか。
    すっかり心を鷲づかみされました。

  • 詩の基本は語と語の意外な組み合わせにあるという。
    映画や小説、日常会話、電車の吊り広告などのいろいろなところから偶然生まれた印象的な言葉を穂村弘が集めたのが本書である。
    先日観たTV番組で、欽ちゃんがお弟子さんたちに全く無関係な二つの単語を組み合わさせるというお稽古をしていて、意外な組み合わせの方が面白いと言っていたのを思い出した。

    • jyunko6822さん
      ほうじ茶さん、フォローありがとうございます。
      穂村さんの新しいエッセイ集買いました!
      「蚊がいる」私もまだ読んでませんが楽しみです。
      ほうじ茶さん、フォローありがとうございます。
      穂村さんの新しいエッセイ集買いました!
      「蚊がいる」私もまだ読んでませんが楽しみです。
      2013/09/22
    • jyunko6822さん
      追伸、『一文クイズ』でもお世話になってます。
      追伸、『一文クイズ』でもお世話になってます。
      2013/09/22
  • 穂村さんの着眼点が素敵で、思わずふふっと笑ってしまうエッセイでした。
    個人的に好きなのは「外の世界のリアリティ」「電車内の会話」「美容室にて」ですねー。

    こんな風に世界を見ることができたら、それだけで毎日が楽しくなりそうです。

  • 穂村さん本、初体験。面白い!

    不合理でナンセンスな言葉、痛快な言葉などの数々。

    自殺未遂した女性ミュージシャンが壁に描いた言葉、「皆憎」。
    (”い”がないだけで、こうもインパクトがでかい)

    どこかの家の前にあった張り紙には「ここに糞をさせたら」。
    (その後は。。?)

    直球勝負の一例としては、『ルードボーイ』という漫画より
    「どうすればあんたとつきあえる?!金か?地位か?
    ルックスか?根性か?」
    (直球って、素敵だ)

    逆効果の一例が飲食店で目にする「テレビで紹介されました!」
    ”!”に距離感のまずさを指摘するところに、ニヤリ。

    観察する、一歩引いてみる、そうすることで世界が広がることを
    示してくれる楽しい本でした。
    種村さん本は、他も読んでみよう。

  • たまに頭がからっぽのまま、落ちてくる単語を仕分けせずに口から出す時があってそういう時になにかミラクルがおこるんじゃないかなあ

  • 目的地のない、不定型の会話ってめちゃくちゃ贅沢だ。だからこそ、ハッとするような言葉じゃないけど、なんか爪痕を残してくる言葉ってそういうところから湧いてくるように思う。
    そんな生き物的性質をもった言葉達を集めた一冊。

    普段10代の若者達と接していると、彼らの言葉の自由さに驚かされる。確かに、中高生の頃って目的もなくずっと喋っていたな。

  • 絶妙の「1人VOW」

    うちの近所に、本も置いている、ちょっとおしゃれなドラッグストアがあります。本の数自体は少なめで、ビジネス書、自己啓発書、料理本なんかが中心。近くの会社に勤めてるサラリーマンやOLがターゲットなのかな、という気がします。小説とかエッセイとかも少しは置いてるんですが。
     ここで見つけたのが穂村弘『絶叫委員会』(筑摩書房)という本。早い話が、「一人VOW」。歌人である著者が、日常生活の中で見聴きした変なフレーズ、印象的な言葉を集めたエッセイ集です。
     たとえば、著者の知り合いのNという人物が自殺した時、集まった友人の一人が言った言葉。

    >「Nが生き返るなら、俺、指を4本切ってもいいよ」

     なぜ4本かというと、「それ以上はギターを弾けなくなるから」だとか。死んだ友人を悼んでいる心境は伝わってくるんですが、それでもギターが優先か……と、何やら微妙な雰囲気になります。
    「世界を凍らせる言葉」という章に出てくるのは、著者がAさんという知人の女性と数年ぶりに会った時の挨拶。

    >ほ「久しぶり、お元気ですか」
    >A「堕胎しました」

     確かにこれは凍ります。つーか、数年ぶりに再会した人にいきなりこんなこと言われて、どんなリアクションを返せばいいんでしょうか。
     あるいは、「天然」という章で紹介されている、江戸川乱歩ファンのこんな言葉。

    >「怪人二十面相はこんな油断しないと思うんだけど、でも、江戸川先生が書くからには本当なんだろうね」

     いや、分かる。言いたいことは分かる。でも変だ!
     有名人の発言も出てきます。たとえば、「銀髪の吸血鬼」という異名を持つ悪役レスラー、フレッド・ブラッシーのエピソード。ある時、母親から、「リングの上の怖ろしいお前と、私の知っている優しいお前、どっちが本当のお前なの?」と訊ねられたブラッシー、こう答えたそうです。

    >「どちらも本当の私ではない」

     うわああああ、これはすごい! 「どちらも本当の私だ」だったら、さほどインパクトないんだけど、「どちらも本当の私ではない」と言われたら、どうしたらいいのか。じゃあ本当のあなたって何なの? と想像すると不気味です。
     あと、上手いのは著者のツッコミ。さすが歌人だけあってか、いろんな言葉に対するセンスが鋭いんです。
     たとえば、あるレストランの入り口にあった「テレビで紹介されました!」という貼り紙に対して、こうツッコミます。

    > 気持ちはわかる。でも、そこはなんとかこらえて、せめて「!」はやめようよ、などと思う。雑誌の切り抜きが貼られていることもあって、それが読めないほど色褪せていたりすると、さらにさみしい気持ちになる。

     あるある!
     あるいは、著者が下北沢で聞いた「日本人じゃないわ。だって、キッスしてたのよ」というおばさんの声。

    > 私の心に様々な思いが一気に押し寄せる。
    > でも、結論は「まあ、いいや」だった。
    > 個人的には「それ、ちがうでしょ、いろんな意味で」と思うけど、でも、わかって貰える気がしない。
    > どうしてもわかって貰わなくちゃいけないわけでもない。
    > そのことに、ほっとする。
    > 良かった。
    > 見ず知らずのおばさんで。
    >「キッスはしたが、ふたりは日本人である(たぶん)」ことを彼女に納得させる係が私じゃなくて。

     この感覚も分かるなあ。
     著者はこういうおばさんのような人を、「載せているOSが古い」と形容します。キスを「キッス」と言ったりするのは、辞書ソフトを新しくするだけではだめで、OSの入れ替えからやらなくちゃいけないのだと。言い得て妙です。
     ウルトラマンの話も出てきます。

    > 技といえば、初代ウルトラマンの「八つ裂き光輪」も良かった。それ以降、彼ら(正義の味方たち)の必殺技は「アイスラッガー」「メガトンパンチ」「ブレストファイヤー」のように、どんどんカタカナっぽくなっていったから、「八つ裂き光輪」はその点でも貴重だ。(後略)

     ごめんなさい。今、「ウルトラスラッシュ」という名前になってます(笑)。
     ただ、著者の言語センスにも、ちょっと文句をつけたいところがあるんですよね。
     大学時代の同級生のムロタという人物のエピソードを紹介した後、こう書くんです。

    > ムロタ、恰好いい奴。下の名前が思い出せない。

     これはすごい、と僕は感動しました。べつに韻を踏んでたりするわけでもないのに、妙にリズミカル。褒めた後で「下の名前が思い出せない」と、さらっと落とすのも見事じゃないですか。
     ところがその後がいけない。著者は次々とムロタのエピソードを紹介し、そのたびに「ムロタ、美しい奴。猫が好きだった」とか「ムロタ、眩しい奴。冥福を祈る」などとつけ加えてしまうんです。しかし、どれも最初のやつに遠く及ばない。
     うーん、もったいない。最初の「ムロタ、恰好いい奴。下の名前が思い出せない」だけでやめておけば良かったのに。
     たぶん著者も、「ムロタ、恰好いい奴。下の名前が思い出せない」というフレーズをふと思いついた後、自分でもすごく気に入ってしまって、「これは一回だけで終わらせるのはもったいない」と思ってしまったのではないでしょうか。蛇足というやつです。
     ほんとにもったいない。

  • 街中の名言を集めた本。「彼が求めてるのはメーテルなんです。でも、あたしはメーテルじゃない。あたしだってメーテルが欲しい。」という名言に対する穂村氏の「全ての女性もまた、己の夢を目指して暗黒の生の宇宙を旅するひとりの鉄郎なのだ。」という解説も名言すぎて大好きでした。

  • 4.5!
    お気に入りの話がいくつもできた
    一文字で言葉の柔らかさ、壮大さ、強制力などなどが変わっていく、言葉の持つ力はすごいな
    それに気づく穂村さんの頭をのぞいて見たい、面白いんだろうな

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著者プロフィール

穂村 弘(ほむら・ひろし):1962年北海道生まれ。歌人。1990年に歌集『シンジケート』でデビュー。短歌にとどまることなく、エッセイや評論、絵本、翻訳など広く活躍中。著書に『手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ)』、『ラインマーカーズ』、『世界音痴』『もうおうちへかえりましょう』『絶叫委員会』『にょっ記』『野良猫を尊敬した日』『短歌のガチャポン』など多数。2008年、短歌評論集『短歌の友人』で伊藤整文学賞、2017年、エッセイ集『鳥肌が』で講談社エッセイ賞、2018年、歌集『水中翼船炎上中』で若山牧水賞を受賞。

「2023年 『彗星交叉点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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