モナ・リザはなぜ名画なのか? (ちくま文庫 に 11-3)

著者 :
  • 筑摩書房
4.08
  • (3)
  • (7)
  • (2)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 48
感想 : 6
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480430700

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 美術のことを全くわからない私でも、なぜ名画なのかわかった。結局、絵から感じるものがあるというより、歴史的価値が高いということなのだろう。モナリザは数世紀先の技術を先取ってた、そのくらい先進的な絵だった。

    最近はグーグルで絵の詳細が見れるから、見てみよう。

  • 本書を読みながら、改めて自分が、レオナルド・ダ・ヴィンチに対して盲目的な畏敬の念を抱いていることを実感した。人が彼について語るとき、その称賛の言葉の語気が強ければ強いほどうっとりする。

    それはさておき本書だ。
    まず『モナ・リザ』の名声について、美術批評史の興りから説明している点が他の類似本と一線を画しており、非常に勉強になった。19世紀末、ウォルター・ペイターの詩的(かつ誤解を含んだ)論評が、オスカー・ワイルドの絶賛もあって一世を風靡した。それは多分に時代の影響を受けるもので、当のダ・ヴィンチの与り知らぬ印象を流布することとなる。

    『モナ・リザ』の見どころとしては、背景に関する考察が詳しい。4つの異なる風景の合成。また微笑については、自分は、よく言われる「左右で印象が異なる」という説明に首をかしげていたのだが、左右ではなく対角線で分けた見方には説得力があった。ただし、ダ・ヴィンチにどういう意図があったのかまでは言及していない。

    『モナ・リザ』の実物を見た多くの人ががっかりする、という事実にも切り込んでいる。この作品が描かれたのは、写真はおろか風景画も人物画もなかった時代、油絵が新しい技法という時代だ。いかに革新的であったか、当時の眼を想像で補うしかないことがもどかしい。

  • モナリザは1911年に盗難のニュースは「ジョコンダ夫人」の絵と報じられ、2年後の発見のニュースでは「モナリザ」。イタリア語の「モナ」と「モンナ」の違いからモンナリザと呼ぶべきとの話しも楽しい。しかし、背景にあるダビンチへの偏見と尊敬がこの絵の神秘性を高めているとの説明はその通りだと思う。後背の景色の素晴らしさについては、これまでは全く気づかなかったが確かに東洋・西洋的な背景画が左右に分かれているというのは興味深いことである。最後にこれほどの名画でありなが、なぜ私たちが感動しないのか!?の説明も全く賛成できる納得性の高い解説。なるほど!

  • モナリザに関する批評史、ダ・ヴィンチの技法等からモナリザが何故これほど有名になったかを解説している。人物画、背景の風景、モデル、ダ・ヴィンチの生涯等モナリザに関する美術史上の情報がきちんと整理されて記述されている。著者の新奇な説を主張するたぐいの本では無い。

全6件中 1 - 6件を表示

著者プロフィール

多摩美術大学名誉教授・版画家

1952年生まれ。柳宗悦門下の版画家森義利に入門、徒弟制にて民芸手法の型絵染を修得、現代版画手法としての合羽刷として確立。日本版画協会展、国展で受賞(1977・78)、リュブリアナ国際版画ビエンナーレ五十周年展(2006)に招待出品。作品が雑誌「遊」(工作舎)に起用されたことを機に編集・デザインに活動の幅を拡げ、ジャパネスクというコンセプトを提唱。1992年国連地球サミット関連出版にロバート・ラウシェンバーグらと参画、2005年愛知万博企画委員。著書『絵画の読み方』(JICC)、『二時間のモナ・リザ』(河出書房新社)等で、今日の名画解読型の美術コンテンツの先鞭をつけ、「日曜美術館」等、美術番組の監修を多く手がける。著書多数、全集「名画への旅」、「アート・ジャパネスク」(共に講談社)を企画、共著にシリーズ「公共哲学」(東京大学出版会)がある。

「2024年 『柳宗悦の視線革命』 で使われていた紹介文から引用しています。」

西岡文彦の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×