星間商事株式会社社史編纂室 (ちくま文庫)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 2715
レビュー : 306
  • Amazon.co.jp ・本 (351ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480431448

感想・レビュー・書評

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  • 三浦さんの本は11冊目になるのだが…

    ”三浦しをんワールド全開”
    本の帯にはそう書いてあった。
    そうかも~、と思ったのは最初のうちで…
    どんどん読みづらくなっていった。
    特に、本の中で主人公たちが書く小説(?)がとても読みづらく…
    なんとか読み切ったという感じ。

  • 仕事よりも趣味重視。
    大っぴらにはしていないけれど、けっこうそういう人はいそうな気がする。
    主人公である幸代は、まさに趣味のために仕事をし、趣味のために生きている。
    友人と定期的に作っている同人誌を売るイベントは、幸代にとっては何よりも大切にしているものだ。
    だが、やる気がまったくなさそうに見えた編纂室の課長に同人誌作りがバレたことから、事態は思いもかけない方向へと転がり始めていく。

    社史編纂のために行なったインタビュー以降、何やら不穏な動きをみせる正体不明の脅迫者。
    友人は結婚のために同人誌を抜けると言い出し、長年付き合ってきた恋人はどうにも幸代との将来を見据えているとは思えない。
    まさに風雲急を告げる展開で、いったいどんな結末が待ち受けているのかと楽しみだった。
    それにしても、同人誌とはそんなにも隠さなければならない代物なのだろうか。
    この物語が最初に発売されたのが2009年。
    もうその頃にはコミケも一般に認知され、一部のマニアックな人の嗜好ではなくなっていたように思うのだけれど。

    物語の核となるものは重いけれど、軽いタッチで書かれているために陰鬱さは感じない。
    登場人物たちの明るさに救われている部分も多いように思う。
    何よりも結末の後味の良さに好感が持てた。

  • 作品が直木賞、本屋大賞を受賞した人気作家、三浦しをん。
    新作が出ていないか、チェックしている作家さんの一人です。
    漢字だらけの題名の作品が、文庫になって並んでいたので、さっそく読んでみることにしました。
    舞台は中堅商社の、社史編纂室。
    会社設立60周年にも間に合わなかった社史を編集するのは、みな「ワケ有り」のメンバー。
    主人公も、会社の仕事はそこそこにして、人には言えない趣味の時間を作りたいという、30歳手前の女性社員。
    「ゆるい」職場のメンバーに、主人公の趣味がバレるというシーンから、話が始まります。
    社史を作っていく中で、会社のOBたちが話したがらない時期があることに気づいた、主人公たち。
    その秘密をいかにして暴いていくか・・・という展開。
    オタクの世界を描いた作品かな、と思って読み始めましたが、謎解きもあり、期待されていない社員たちが会社上層部に食いついていく爽快感もありと、複数の楽しみが詰まっていることが、読み進めていくうちにわかってきました。
    そして、登場人物たちの会話や心理描写の表現で、クスッとさせられるのも、この作家さんの魅力ですね。
    登場人物のキャラクターもそれぞれ特徴があって、映像化されても面白そうだなと、感じました。
    大きな賞を受賞した後も、このように力が入り過ぎない作品が書ける、この作家さんの魅力がまた広がったなあと感じた、一冊でした。

  • とても読みやすくてあっという間に読めちゃうけど、実はとても内容は濃い。
    29歳の女性が抱える諸問題。
    仕事と恋愛。恋愛と結婚。職場における自分の立場。そして結婚と友情。

    どれもこれも風雲急を告げるのである。

    しかしまあ、タイトルからしてわかるとおり、中心となるのは会社の仕事。
    なのに、一緒に働くこのメンバーがこれだよ。
    やさぐれもせず業務を遂行しようとする主人公は、実に実に真面目だと私は思う。
    何事にも正面から体当たりなので、うまくいかないことはもちろん多いが、そんな時は一癖もふた癖もある同僚や、周りの人たちが助けてくれる。

    何もしないで助けてもらうのを待つのではない。
    何かしたことによって、周りが動きだす。そこがいい。

    “自分の足が踏みしめる大地を、荒野に変えるか否かは、いつだって本人の意思にかかっている。”

    幸代の趣味である同人誌作りが業務の遂行とリンクしてきて、秘密を守ろうとする者の思惑と闘っている緊迫した状況なのに、幸代の書く作品、課長の書いた昭和23年生まれの幕府の隠密が活躍…暗躍・・しない自伝、社のOBが書いたバリバリのロマンチック冒険小説、ストーリーに挟み込まれたこれらの作品が、いい意味で緊張感を解いてくれる。

    そう、作品の中に登場人物の創作した作品が入り込んでくるのは「ロマンス小説の七日間」のようでもある。
    無駄に入り込んでいるわけではないそれらの作品群を読み、一冊で何度もおいしい。

    オタクの描写がいいんだよ。
    お金も時間も大変なのに楽しんで。楽しむために大変を引き受けて。

    “損得を度外視して熱中しちゃうのが、オタクの特徴ですから。”

    そんな思いをして社史を作った結果が、すっきりとした勧善懲悪ではなく、へなへなした終わり方なのがまた、しをんちゃんらしい。
    きっといつか、作品にならないところで川田幸代の逆襲がある、と、私は信じている。

  • 社史編纂室勤務のヒロインが、会社の後ろ暗い歴史を発見する。
    粗筋だけみるとシリアスっぽいけど、ヒロインが所謂腐女子で、それが社編室の同僚たちにバレる場面なんかは声を出して笑ってしまった。
    黒歴史を暴く部分も腐女子である設定を生かしていると思うし、同僚のヤリチン先輩や、爆裂ボディのみっこちゃん、昼行燈の本間課長など脇キャラも個性的でするすると読めた。
    一緒に同人誌を作成している友人達との間にも、恋人との間にも三十路間近の女性の悩みなんかも織り込まれていて楽しめた。

  • 面白過ぎて早く読み進めたい気持ちといつまでも星間商事株式会社社史編纂室のメンバーの一緒にいたい気持ちの狭間で揺れた。
    いま一番上手い小説家のひとりが三浦しをんだと思う。
    キャラクターの造形も魅力的。

  • 主人公にあまり共感できなかった。
    裏社史にも興味が湧かなかったけど、BL小説とかコミケのくだりはおもしろかった!
    矢田かっこいいとおもう。

  • 三浦しをんさんの小説はどうしてこうも人物か生き生きとしているんだろう。社編の人たちがすぐ身近にいそうな、そんな錯覚を覚えてしまう。

    2014年3月10日 ちくま文庫

  • 三浦しをん作ということで、期待したが、読み進むのにいまいち身が入らなかった。
    企業の、隠された暗部を暴く裏社史の発行を目指す社史編纂部員の活躍、とまあまあのテーマではあるが、BLとか腐女子とか、あるいは、作中作とか、ちょっと理解の外であった。まあ、これが良いという人も、いるかもしれないが。

  • 本を作ること、仲間との同人活動に対する情熱!!なんだか久しぶりに思い出した気が(^_^)

    社会に紛れて生息する社会人腐女子・ヲタク女子のリアルな感じも良かったし、のんびりした社史編纂室が隠された歴史の真実に近づいて行く過程もよかった。
    登場人物もみんな好感持てて、読んでスッキリ!できるラストで。難しく考えず楽しんで読めました。

    そうそう、本間課長も矢田も、BLに偏見が無い?ところがまたよかったと思った点の一つ。本間課長なんて幸代の小説を楽しみにしてたし。男同士の恋愛に拒否反応を示す男性も多い世の中ですが、そういった差別意識を出さない男性陣になおのこと好感を持った次第。

    とかく忙しくストレスフルな毎日、小説の世界でくらいは爽快な気持ちに浸りたいのです。

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著者プロフィール

三浦 しをん(みうら しをん)。
1976年、東京生まれの小説家。出版社の就職活動中、早川書房入社試験の作文を読んだ担当面接者の編集者・村上達朗が執筆の才を見出し、それが執筆活動のきっかけになった。小説家の専業になるまで、外資系出版社の事務、町田駅前の古書店高原書店でアルバイトを経験。
2006年『まほろ駅前多田便利軒』で直木賞受賞。2012年『舟を編む』が本屋大賞に選ばれ、翌年映画化された。2015年『あの家に暮らす四人の女』が織田作之助賞受賞。また、『風が強く吹いている』が第一回ブクログ大賞の文庫部門大賞を、2018年『ののはな通信』が第8回新井賞を受賞している。
Cobalt短編小説賞、太宰治賞、手塚治虫文化賞、R-18文学賞の選考委員を務める。最新刊に、『愛なき世界』。

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