笑う子規 (ちくま文庫)

著者 :
制作 : 天野祐吉 
  • 筑摩書房
3.80
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本棚登録 : 78
レビュー : 11
  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480432391

感想・レビュー・書評

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  • 3人も もはや鬼籍に入りにけり
    天野さん 子規博物館館長を 引き受け初の企画だそうだ
    おかしみの文芸である 俳諧は
    柿くえば鐘が鳴るなり法隆寺
    ホラ、なんかおかしいでしょ

    いかん、連歌で書評書こうとしたけど無理やった。と、まぁ愛媛県の子規記念博物館で9年以上続けている月替りの大きな垂れ幕の俳句に、南伸坊さんの絵を足してできた本らしい。

    夏がきた。と、いうことで、お気に入り夏の選句を紹介。もちろん、使われた句はもっと多い。春夏秋冬を9回以上数えたのだから、当たり前。「笑う四季」とも言う。

    〈南伸坊〉カエルの上に点々が4つほど
    〈子規〉 夕立ちや蛙の面に三粒程
    〈天野祐吉〉一粒じゃ寂しい
          五粒じゃうるさい
          三粒程がよろしいようで

    〈子規〉雷をさそう昼寝の鼾哉
    〈天野祐吉〉これもわしの知り合いだが、この男と旅をしたときは、
    夜中に宿の者が勘違いして、部屋の雨戸を閉めにきたよ。

    〈子規〉行水や美人住みける裏長屋
    〈天野祐吉〉落語の「妾馬」じゃないが、昔から美人は裏長屋に住んでいるもんだ。ま、そうでない場合もあるけどな。
    〈南伸坊〉明らかに子規さんが覗いている図

    〈子規〉夕顔に女湯あみすあからさま
    〈天野祐吉〉これ見よがしにやっているわけじゃない。おとこのほうが勝手にそう感じるだけだ。ま、そうでない場合もあるけどな。
    〈南伸坊〉武家髷の真白い肌の湯あみ姿

    〈子規〉金持は涼しき家に住みにけり
    〈天野祐吉〉クリ坊ちゃんのお屋敷では、部屋ごとに扇風機がまわっておってな、「ウチワってなんですか」と、クリ坊ちゃんが涼しい顔で聞いたそうな。

    〈南伸坊〉団扇に美人の顔
    〈子規〉睾丸をのせて重たき団扇哉
    〈天野祐吉〉いやらしいなぞと言う人はいやらしい。
    これこそ、平和の図だ。
    真之なら「睾丸」が「砲丸」になってしまう

    〈子規〉愛憎は蠅打って蟻に与えけり
    〈天野祐吉〉「愛憎」という言葉の、これ以上みごとな定義はないと思わないか。
    〈南伸坊〉蠅叩きの図

    まぁ部屋にこの本置いていたら、ちょっとホッとするぞ


  • 数ある俳句の中から天野氏(松山市立子規記念博物館名誉館長 )が選びコメントをつけた子規のユニークな俳句集
    このコメントがユニークさをさらに引き立てるスパイスになっている
    また季節ごとにまとまっており、ゆる〜いイラストの挿絵もいい!



    司馬遼太郎氏の「坂の上の雲」を読み、すっかり正岡子規のキャラが好きになった
    肺結核を患い、皆が反対するなか、従軍記者として、日清戦争の戦地へ出発
    晩年は脊椎カリエスで歩行も困難となり、34歳で亡くなる数年は寝たきりの
    状態の中、作品を作り続けている
    何年もの闘病生活を感じさせないようなユーモアあふれるカラっとした作品にとても魅力を感じるのだ

    ちょっとご紹介

    ■人に貸して我に傘なし春の雨
    恐らく紳士ぶって女性に傘を貸した手前、大見栄張って雨に濡れながら歩いたのだろう
    この時代はこんな男性結構居たんだろうなぁ
    紳士たるもの大変である


    ■夕立や豆腐片手に走る人
    豆腐片手⁉︎ へ?素手に豆腐?
    相当な無精者に追い討ちをかけるような夕立!
    こんなおばちゃん居そうだわ
    家に帰ったら豆腐はどうなっちゃったんだろう…
    ま、きっと大して気にならないんだろうな(笑)


    ■涼しさや人さまざまの不格好
    ううっ
    我が家の実家も恥ずかしながらこんな感じよ
    母な良く言えばムームー姿、父はもちろんパンツ一丁
    こんなもんよね
    ノボさん


    ■何笑う声ぞ夜長の台所
    母親と娘かな?(子規には妹がいたし、狭い家に住んでいたからこんなこともあったであろう)とにかく女子どもが台所でしょーもない話しで、笑い合って盛り上がる
    いつの時代も同じだ
    小さな幸せ、日々の幸せ
    いいじゃんいいじゃん


    ■渋柿や古寺多き奈良の町
    渋柿がなければ、干し柿も柿渋も作れないことから…
    この世に無駄なもの(生きもの)は一つもない
    はい、万物は共存すべきに一票!


    ■冬近し今年は髯を蓄えし
    格好つけより、何か目的ある決意表明みたいで、寒い空気感と相まってピリッと引き締まる感じ
    ところでヒゲあると男性陣は多少暖かくもなるのかしらん?


    ■蒲団から首出せば年の明けて居る
    蒲団から出られない病人子規が、ひょいと顔を出したら年が明けていた
    粋なフリして結構切ないんだなぁ
    これ


    ■糸瓜咲て痰のつまりし仏かな
    子規が死の前日に書き残した最後の作品
    噛み締めると切なくて言葉が出ない…



    もちろん季節情緒も楽しめ、目の前に描写された映像がまざまざと浮かぶ
    「なんかわかるわぁ」的なものから、プッと笑える作品まで…
    それにしても子規は相当な食いしん坊だったようである
    確かに作品にも枝豆、芋、松茸やら河豚だの、そして当然柿…とやたら食べ物が出てくるのである(笑)
    本当に闘病中なのかこの人は⁉︎
    肉体と精神が別々に機能しているのかしら?
    ある意味変人、超人だ!
    そんなところも含め魅力的な人物である

    さばさばした良い気分になれたよ
    ノボさんありがとう!

  • 私が知っている正岡子規は「柿食へば 鐘が鳴るなり 法隆寺」だけど…この本を読んで、それだけじゃない、正岡子規の世界を感じることが出来た。
    これは、ある方からお借りした本なので、自分では絶対に選ばなかったな。
    天野祐吉さんの突っ込みに、南伸坊さんの可愛らしい、どことなく脱力感のある絵……思わずクスリと笑ってしまって、これは元気のない時に読むといいかも知れない。

    シリーズで、笑う漱石って言うのもある様なので、今の積読を減らしたら、2冊とも私の本棚に仲間入り決定。

  • 子規の句が気軽に楽しめます。
    句に添えてある文句がまた秀逸で、おかしみがあって、子規っぽい。
    絵もすばらしい、おかしい、かわいい。

    学校の授業とかで、こういうおもしろい句、紹介してくれたら、作者への興味が湧きそうです。

    お気に入りは

    緑子の凧あげながらこけにけり

  • 正岡子規さんという俳句や短歌を作ったり研究した人が、明治時代にいまして。
    その人の俳句を並べて、ちょこっと天野祐吉さんがコメントをして、折々に南伸坊さんがイラストを添える。

    まあ、それだけと言えばそれだけの本なんです。
    読むっていうか、ごにょごにょっと眺めて楽しんでいくような本でして。

    ただ、僕は好きな本でした。

    本の作り手側の目線としては、ブンガクがどうこうということではなくて、「クスッ」「ニヤッ」「ばかばかしいっ!」みたいな、そういう「笑えるもの」として俳句を愉しんでほしいな、と。正岡子規の世界を楽しんでほしいな、と。
    そして、「俳句集」ってことで、文庫本1頁にずらーっと10句も20句も並んでてもねえ。

    ホントに俳句にマニアックになってる人ぢゃなけりゃ、ちょっと楽しめないですものねえ。

    この本は、贅沢に、1頁に1句。と、天野さんが3行くらいのコメントっていうかエッセイ?を添えます。

    うーんなんて素敵。
    なんていうか、丁寧に作った水出しの緑茶を、日陰と風鈴の下で味わう夏の午後。
    そんな気分の一冊です。
    コレでもってお腹いっぱいになるとか、料理としてどうこう、じゃないんですけど。

    でもすっごく素敵な本でした。

    是非、楽しんでほしいし、「うん?ちょっとこの句は、今一つ判らない」ということがあっても、立ち止まって検索したりせずに、ずんずん飛ばして読んで行ってほしいですね。
    きっと、くすっと出来るページがいくつもあると思います。

    それにしても、子規の俳句の、写生の向こうの俳画のようなおかしみっていうか。想像力の娯楽というか。
    この最小限の表現からの、最大限の愉しみって、すごいですねえ、十七文字。

    天野祐吉さんも好きですが、南伸坊さんのイラスト、ほんっとに好きですね。この脱力さ。

    天野祐吉さんが、育ちとして伊予松山であるっていうことを初めて知りました。正岡子規と一緒ですね。
    あの鋭い知性の中にも、どこか温暖で陽性な暖かさ。
    ひょっとすると、瀬戸内海と伊予の穏やかさの賜物なのかも知れませんね。

    ※好きだった句

    ●緑子(=幼児)の 凧あげながら こけにけり
    (もうこれは、解説不要の微笑ましさですね)

    ●紅梅や 秘蔵の娘 猫の恋
    (関連無いんだけどありそうな三つのコトバを並べるだけで、なんだか色気があってミステリーに素敵!)

    ●蝶々や 順礼の子の おくれがち
    (蝶々が気になっておくれてんのかなあ 春だなあ)

    ●女生徒の 手を繋ぎ行く 花見哉
    (女生徒同士が、なんでしょうけどね。なんか、甘酸っぱいですね)

    ●行水や 美人住みける 裏長屋
    (解説不要ですねえ 別に、覗く、とか気になる、とか書いてないところが想像広がりますねえ。
    行水の音だけして…)

    ●ツクツクボーシ ツクツクボーシ ばかりなり
    (笑っちゃいますね 「もう勘弁してよ…」というウザッタイ感じがよくわかりますね)



    ちくま文庫、好きなんです。
    この本も、近所の本屋さんで衝動買いしたんですけど、ちくま文庫は、見つけたときに買わないと、すぐ絶版になる気がして(笑)…。

  •  南伸坊という面白いおじさんがいるのをご存じだろうか。
     イラストレイターで編集者。なんと説明したらわかるのか、わからないからまあいいやという態度で説明すると、昔、「ガロ」っていうマンガ雑誌があって、そこで編集者をしていた時に「面白主義」という考え方を提唱、実践して以来、「面白いでしょこれ」的な表現の世界を作ってきた人なんだけど、当然、面白い人には面白いけど、面白くない人には面白くないわけ。だからこの本も、僕は面白がれるけれど、「アホか」という人は大勢いるというわけ。
     まあ、そこのところは、とりあえずということで、この本は子規の有名ではない、「ばかばかしいねこれ」っていう俳句を集めて、一冊の句集を作ったという本で、句集だから季節の順に並んでいて、一句ごとに南伸坊のイラストがつけられているというわけ。
    https://www.freeml.com/bl/12798349/811501/
    https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/201904100000/

  • 子規の、素朴で笑える句集。
    「緑子の凧あげながらこけにけり」
    なんて、かわいい光景が目に見えるようで笑ってしまった。
    天野さんの添え書き、伸坊さんの挿絵もとてもいい。
    絵本みたいに何度も読み返したいな。

  • 単行本は迷って買わなかったけれど、文庫になったので買った。面白かった。

  • 子規と四季を掛けている構成。知らない句も多く、また再読したい。シンボーさんの絵も味があって大好き。

  • さくさくと読める構成になっています。
    正岡子規が病床のなかでも3800kcalを摂取していたということです。短歌に最大限の脳エネルギーを使っていたのではないかと想像されます。

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