ザ・フィフティーズ2: 1950年代アメリカの光と影 (ちくま文庫 は 46-2)
- 筑摩書房 (2015年9月9日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480432865
感想・レビュー・書評
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全三巻の二巻目。50年代のアメリカを様々なテーマから取り上げる。色々な角度からの鋭い考察については読んでいて感心するのだが、特に登場人物について、必ず生い立ちまで遡るアプローチが特徴的でより深い理解を促す。
有名人であったとしても意外な生い立ち、過去を理解すると、その人物を多面的に理解でき、彼の周りにおきるイベントの理解も深まる。
黒人問題もそうだが、50年代は60年代の社会変革に向けての種が蒔かれた時期でもあるので、幾つかのKeyとなる事象・事件は理解しておく必要があるのだろう。
今回取り上げるテーマは、ニクソン、フーバー、ダレス、黒人問題、エルビス、ディーン、GM、広告等。
次回は三巻になるが、デビット・ハルバースタムの他の著書をもう少し読んでみたい。
以下引用~
この(黒人の)大規模な移住(南から北)は、第一次世界大戦のころに始まり、アメリカ国内における植民地主義の終わりの始まりを示していた。ほかの工業大国ーイギリスやフランスやオランダなどーは、本国から遥か遠い有色人種の土地に、搾取のための経済システムを築き上げた。アメリカは植民地主義を採らないことを誇りにしたが、実際は、非公式な植民地主義がまかり通っており、国内に住む無力な黒人たちが食い物にされていた。二十世紀半ば、英仏が植民地支配をやめたとき、両国は搾取してきた地域とのつながりをばっさりと断ち切った。米国の場合、被搾取者はアメリカ国内のアメリカ国民であり、大多数が南部に住んでいた。かくして植民地域である南部農村地帯から、新天地たる北部大都市圏への大規模な移住が始まった。
エルビスの礼賛者であるジョンレノンの表現を借りれば、「エルビス以前には何も存在していなかった」のである。詳細をみるコメント0件をすべて表示