skmt 坂本龍一とは誰か (ちくま文庫)

  • 筑摩書房
3.69
  • (4)
  • (5)
  • (5)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 124
感想 : 12
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480433077

作品紹介・あらすじ

坂本龍一は、運動体である。
予見にみちた思考の軌跡。

坂本龍一は、何を感じ、どのように時代をとらえ、どこへ行こうとしているのか? 彼の感受性にぶつかるのは何であり、時事性がどのように創作へと彫琢されるのか? インタビューの達人として知られる独特編集者・後藤繁雄とともに、坂本の思考の系統樹をたどり、「時代」に解消されない独創性の秘密にせまる。『skmt』『skmt2』を合本した「予見」の書。

【目次】
この本のために①
この本のために②

skmt1
計画/この本はどのようにして書かれ、つくられるのか?
というのは…
skmtについてのいくつかのことがら
問いと答え
根拠なし
ほか

skmt2
計画ヴァージョン2/この本はどのようにして書かれ、つくられるのか?
世紀末から新世紀へⅠ(DISCとBOOK)
世紀末から新世紀へⅡ
アメリカという幻想の終わり
帝国からの避難
ほか

あとがき① この本について
あとがき② 官能美学の人 坂本さん

文庫版あとがき

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 1999年と2006年に出版された「skmt」「skmt2」の合本文庫版で初版は2015年。

    編集者がひたすら観察し考察した坂本龍一像を、教授との会話や日記引用で記録のように綴られる。
    ヒストリーやインタビューを単純に綴ったものとは異なり、2人の思考のやり取り、教授の脳内回路、ルーツ、発想の生まれる瞬間が、垣間見ることが出来る。

    非常にシンプルながらクリエイティヴィティに富んでいて、個人的には教授の関連著書の中でも「音楽を自由にする」(坂本龍一/新潮社/2009)年)の次に並ぶくらいに好きな本となった。

  • 「坂本龍一というものは、坂本龍一自身も所有していない、分裂し、矛盾に満ちながら運動し続ける総体である。だからこそ、ばらばらに断片化し、それぞれが次の『種』となるように、つまり散種として記述するスタイルをとった」

    聞き手を務めた編集者の後藤繁雄がこう書いているように、本書は1996年から2006年を生きた坂本龍一の「アモルファス」な状態の思考の断片を蒐集し、流動するままに本という物体に仕立て上げたような不思議な質感の書籍であり、読書体験だった。

    無数の断片的な思考は固着されていないがゆえに、アメーバのように時間と空間を超えてつながりあい、なんらかの新しい意味を形成している。それを予見と呼ぶこともできるし、真理とも呼ぶこともできるだろうが、宙ぶらりんで掴みどころのない本でもあるなと思う。そこに生の坂本龍一を感じられたような気もしておもしろかった。

  • 2023/6/29

  • 坂本龍一は常に動き続ける。物理的に様々な土地を旅するミュージシャンでもあるし、彼の中で多彩なアイデアが湧き出るままに一貫性を守ることを犠牲にしてでも自分を変え続ける。自分自身に忠実に、自分の一貫性を守ろうとする姿勢とそうしたコロコロとアイデンティティを変えて冒険し続ける姿勢が堂々と共存しているところが彼のパーソナリティの面白さであるだろう。あるいは、彼は(古臭い言葉ではあるが)未だに「スキゾ・キッド」なのかもしれない。私自身、自分の鈍重さに悩んでいた時に読んだからか、彼の自分に正直過ぎる姿勢を眩しく思った

  • 1996年から2006年の間、編集者の後藤繁雄が行った坂本龍一へのインタビューをまとめた一冊。インタビューの後半は今はなきNTT出版の思想誌「Intercommunication」で連載されており、学生時代に定期的に購読していた自身として、懐かしさを感じる部分も多々あった。

    雑誌購読のときから印象に残っており、改めて再読しても同じ感覚を持ったのが、坂本龍一の提唱する「エコ&エロ」である。環境問題を考えようとしても、サヨク的なつまらないアプローチでは社会は動かない。特に自民党のエロ爺どもは。つまり、エコで社会を動かそうと思ったらエロが必要、という指摘は、15年経った今でも通用するのではないか。もちろんそれは「環境問題をセクシー」に、という小泉某のアプローチとは別である(彼は恐らくAVを見たことがないピュアピュアボーイなのだと思う、早いうちにAVを視聴されることを祈る)。

  • 情報が古すぎるようだ。10年以上前の単行本の文庫化。

  • 音楽

  • まさに「予見の書」である。

  • 貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
    http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784480433077

  • 1996年から2006年までの、対話、というほどでもない他愛ないおしゃべりを拾い集めたもの。政治、音楽、環境問題、そして時々、生い立ちが語られる。

全12件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

さかもと・りゅういち:1952年東京生まれ。3歳からピアノを、10歳から作曲を学ぶ。東京藝術大学大学院修士課程修了。78年にソロ・アルバム『千のナイフ』でデビュー。同年、細野晴臣、髙橋幸宏とともにYMOを結成し、シンセサイザーを駆使したポップ・ミュージックの世界を切り開いた。83年の散開後は、ソロ・ミュージシャンとして最新オリジナル・アルバムの『async』(2017)まで無数の作品を発表。自ら出演した大島渚監督の『戦場のメリークリスマス』(83)をはじめ、ベルトルッチ監督の『ラスト・エンペラー』(87)、『シェルタリング・スカイ』(90)、イニャリトゥ監督の『レヴェナント』(2015)など30本以上を手掛けた映画音楽は、アカデミー賞を受賞するなど高く評価されている。地球の環境と反核・平和活動にも深くコミットし、「more trees」や「Stop Rokkasyo」「No Nukes」などのプロジェクトを立ち上げた。「東北ユースオーケストラ」など音楽を通じた東北地方太平洋沖地震被災者支援活動もおこなっている。2006年に「音楽の共有地」を目指す音楽レーベル「commmons」を設立、08年にスコラ・シリーズをスタートさせている。2014年7月、中咽頭癌の罹患を発表したが翌年に復帰。以後は精力的な活動を続けた。2021年1月に直腸癌の罹患を発表し闘病中。自伝『音楽は自由にする』(新潮社、2009)など著書も多い。

「2021年 『vol.18 ピアノへの旅(コモンズ: スコラ)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

坂本龍一の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ジャレド・ダイア...
村田 沙耶香
ヴィクトール・E...
恩田 陸
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×