あしたは戦争: 巨匠たちの想像力[戦時体制] (ちくま文庫)

  • 筑摩書房
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レビュー : 14
  • Amazon.co.jp ・本 (458ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480433268

感想・レビュー・書評

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  • 手塚治虫作品が読みたくて借りる。

    小松左京/筒井康隆両氏の作品が印象的。
    SFは好まないジャンルなので小松左京作品は読んだことがなかったが、「召集令状」は秀逸だった。

    筒井康隆氏もはじめて読んだ。
    テンポよく、面白おかしいが、強烈に恐ろしい。
    あっという間に読んだ。

    この2作だけでも十分だった。

  • 米国の大統領は基本、軍人。その5、60年代SFはほとんどが戦争テーマか、戦後の荒野が舞台だったが朝鮮戦争の講和懇願、ベトナムからの撤退で敗者の明察が含まれるようになった/日本に戦記物SFは少ない。が日本SF御三家は戦争を銃後で体験した世代。思春期に価値が逆転したルサンチマンが生んだ『東海道戦争』は裏に米軍に行使される恐怖。星作品は何もしてくれない米軍。小松は戦争の日常性。解説の斎藤美奈子は平成28年時点で「ひたひたと押し寄せる戦争」と現状を見る、平和主義でいたから隣国に侵略され財産人命を奪われているのに。

  • 戦争関係の短編集 江戸川乱歩の「芋虫」は、圧巻だね。戦前(太平洋戦争直前)に書かれた海野十三の作品も面白い。

  • SF

  • 召集令状 / 小松左京 著
    戦場からの電話 / 山野浩一 著
    東海道戦争 / 筒井康隆 著
    悪魔の開幕 / 手塚治虫 著
    地球要塞 / 海野十三 著
    芋虫 / 江戸川乱歩 著
    最終戦争 / 今日泊亜蘭 著
    名古屋城が燃えた日 / 辻真先 著
    ポンラップ群島の平和 / 荒巻義雄 著
    ああ祖国よ / 星新一 著

  • いろんな作家さんたちの、戦争にまつわる短編集。好きなものもあれば、そうでもないものもあり。筒井康隆はやっぱり表現が苦手。星新一は鋭いが後味が軽い。手塚治虫と江戸川乱歩はやはりもう別格だと再確認。好きだったのは2話目の異次元からの電話のやつ。人の行動は、思想よりも人情に基づくべきなのだ。

  • 残酷で、不条理で、救いがなくて、戦争というものを本当に知っている人たちが書いたのだなあ、と思う。

  • 【新着ピックアップ!】江戸川乱歩から荒巻義雄まで、古今の作家たちが戦争を描いた短篇集です。小松左京「召集令状」や筒井康隆「東海道戦争」などの古い作品が多いのに、近い未来を感じさせる一冊。手塚治虫のマンガもあり。

    【Newly Arrived!】A collection of short war novels including ‘Shoshu Reijo (Military Call-up Papers)’ by Sakyo Komatsu or ‘Tokaido Senso (The Tokaido War)’ by Yasutaka Tsutsui. It seems that all works predict the near future. Is war just around the corner?

  • 金星人の襲来から東京大阪戦争までいろいろだが、どこかに皮肉風刺をしていると感じられた。

  • 巨匠というのは素晴らしい。戦争を題材にしてここまで面白く、ここまでグロテスクに、ここまでシニカルに書けるものなのだと。個々の作品はかなり古いものから比較的新しいものまで収録されている。戦前に書かれた作品もある。これはいつの時代でも戦争について物語を創作くらい人類は戦争が好きな証拠だろう。多くの人は否定するかもしれないが、自分が巻き込まれない限り、戦争はエンタテインメントである。本書を読めば、いかに戦争を楽しめるのか、不謹慎な表現で申し訳ないが、そんな自分に気が付かされるかもしれない。

    以下、個別作品の感想。

    ◎召集令状(小松左京)
    戦争は終わっているはずなのに、戦中と同じように召集令状が送られてきて、どこかへ消えてしまう。そんな不思議な事がなぜ起こるのかを解き明かす物語。召集令状の謎だけではなく、なぜ戦争をしたのかまで、小松左京の想像力で読者に物語を提供する。奇想天外な物語ではあるが、誰かの想像(思い)が国全体を巻き込む不幸な事態になる可能性はフィクションといっていいものか考えさせられる。

    ◎戦場からの電話(山野浩一)
    シュールだ。その一言につきる。でも、兵士になる(ならされる)きっかけはこんなものなのかもしれない。

    ◎東海道戦争(筒井康隆)
    結構グロテスクな物語ではあるが、コミカルなところもある。戦争の始まりのくだらなさ、戦争を報道するテレビのくだらなさ、戦争を続けるくだらなさなど、戦争なんて「馬鹿馬鹿しい」とエンタテインメント作品に仕立てあげて皮肉っているようだ。とても面白い。

    ◎悪魔の開幕(手塚治虫)
    ストーリーとしてはよくあるものだけれども、これが巨匠の手にかかると一級作品になる。エンタテインメント作品なのだが政治の批判など主張があるのが面白い。

    ◎地球要塞(海野十三)
    奇想小説だ。世界大戦と不思議な行動をする人物(ネタバレになるので正体は書かない)のかかわりは、悪くはないが今となっては古くさい感じがする。様々な場所を行ったり来たりして、話が少し長い。

    ◎芋虫(江戸川乱歩)
    強烈な話である。戦争で命を落とす人がいるのは分かる。負傷者が出るのも分かる。では、兵士はどちらの状況になるのが幸せなのだろうかと考えさせられる。死んだらそこで周りの人々(本人もふくめて)はある種の区切りがつくだろう。負傷者は怪我の具合にもよるが、一生背負わされる。本人だけではなく周りの人々も。作品では「いっそひと思いに…」と表現されるような残酷な場面がずっと続く。まさにこの世の地獄。戦争の恐ろしさを以前より理解できたような気がする。この作品の初出は1929年。第二次世界大戦の前だ。この作品が当時の政治家をはじめ国民に広く読まれていたならば、日本は戦争への道を進まなかったかもしれない。

    ◎最終戦争(今日泊亜蘭)
    核戦争の恐怖を訴えるとともに我々世界がある宇宙の構造をSFとして語っている。核技術と原子の世界をリンクさせることで、核兵器は我々人類を滅ばすだけでなく、さらに極微な宇宙の破壊に及ぶことを示唆することで核戦争反対を訴えている。また、自分たちの宇宙も微細な宇宙のひとつであることを示すことで、巨大な宇宙での振る舞いに影響される無情さを提示される。結構深い物語である。

    ◎名古屋城が燃えた日(辻真先)
    どこかコミカルであるが、これはこれで戦時の混乱や状況を伝えているような気がする。結末が恐ろしいことになっているが、それがあるからこそ全体で笑える。それにしても、名古屋弁で語られるところは馴染みがない人には読みにくいのだろうな。なぜ名古屋なのだろう。

    ◎ポンラップ群島の平和(荒巻義雄)
    この作品はほのぼのとしていて楽しく読める。また、戦争状態にあるかどうかは外から見ていただけでは分からないことも教わる。勝ち負けを決めなきゃならん時もあるだろう。その場合でも殺し合いではなく儀式的なもので済ます方法を人類は学ぶべきなのではないかと思った。

    ◎ああ祖国よ(星新一)
    もう日本は戦争をしないだろうから、この作品のように、相手国に好きにされるのは今となってはリアリティーがある。日本のスタンスを面白おかしく、それでいて奥深くには皮肉めいたものを表現するのは、さすが星新一という感じだ。面白いし、この作品が巻末だから本書の読後感がスッキリしたものになる。

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