わが推理小説零年 (ちくま文庫)

  • 筑摩書房 (2016年5月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (368ページ) / ISBN・EAN: 9784480433565

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

独自の視点から語られるエッセイ集は、著者の多彩な経験や人間関係を通じて、作家としての成長や葛藤を描き出しています。特に、推理小説というジャンルにおける彼の初期の試行錯誤や、名だたる作家たちとの交流が興...

感想・レビュー・書評

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  • 奇想天外なアイデアと皮相的文章を持つ作家のエッセイ。個人的には他作家との関わりが面白かったが中でも阿佐田哲也(風太郎氏と会っている頃は編集者だけど)氏と接点があるのは意外だった。

  • 山田風太郎のデビューから様々な雑誌などに寄稿したエッセイを集めた本。


     何が面白いといって、風太郎といえば忍法帖だと誰もが知っているところであるのだろうけれど、その作家としての執筆の最初の入り口は推理小説であるところ。

     そして、どう読んだって、風太郎先生自体がこのジャンルを自身の性に合ってるものだと考えてなさそうなところだ。葛藤というよりボヤキ節に近いように思う。

     乱歩横溝なんかのビックネームのもとで独自の推理小説論的なものを展開させている先生の姿を想像するだけでたのしい。

     もちろん、この本はそれだけじゃない。「八犬伝」ほか作品へのこもごもとか、執筆仲間の話とか。

     特に、自身の編集者でもあり、麻雀仲間でもあり(実は接待麻雀だったみたいだけど)、後に本人も作家になった色川氏の追悼で書かれた文章「親切過労死」には、にんがりとなった。

     どんな風に書いていてもどこか物事を身から離したままのような書き振りなのに、これだけはどこか寂しさのようなものを感じてしまった。

     息をするように物語を編んでいるような人生のなかで、思い入れのあるキャラクターが死んでしまったような、どうしようもないことはわかっていて、だからこそ茶化しめいた文章にしたててあるのだけれど、それでも滲んでしまうような。

     そういえば、風太郎先生の風太郎のペンネームは学生時代の四人の悪仲間同士でつけた渾名からきているそうだけれど、自分は体が弱くて兵士として戦争に行くことはなかった先生は、同級生の卒業アルバムに死んでいった友人の命日を書き込んで行っていたらしい。

     幼い頃に父に、中学生の時に母に、死に別れ、「死」はひときわ先生の中に独特の何かを生んでいる気がする。

     毎日、1エッセイというような形で読んでいったけれど、その知識量の凄さの秘密の一端がわかるような部分もあって、とても面白かった。

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著者プロフィール

山田 風太郎(やまだ・ふうたろう):一九二二年兵庫県生まれ。『甲賀忍法帖』『くノ一忍法帖』などで忍法帖ブームを巻き起こす。『眼中の悪魔』及び『虚像淫楽』で探偵作家クラブ賞(現日本推理作家協会賞)短編賞受賞。九七年菊池寛賞を受賞。『警視庁草紙』『戦中派不戦日記』『戦中派虫けら日記』などの日記文学、『人間臨終図巻』ほか著書多数。二〇〇一年没。


「2025年 『東海道綺譚 時代小説傑作選』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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