文庫本を狙え! (ちくま文庫 つ 22-1)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (427ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480433794

作品紹介・あらすじ

20年に及ぶ週刊文春の名物連載「文庫本を狙え!」。そのスタートから4年間・171話分を収録。文庫出版をめぐる生きた記録。

感想・レビュー・書評

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  • ずっと前から狙っていた。今年正月に古本屋再デビューしたのと、電子版で30%引きになったのを機に手元に置くことにした。何故ならば、ここで取り上げられた本の多くは既に普通の本屋さんでは流通していないからである。本書は当たり本探索の頼りなる標識となるだろう。

    96年8月から、少なくとも2016年までは毎週書き続けられてきた「週刊文春」の人気書評欄である。最初の連載から00年6月までの171篇を全て載せている。書いた時は全て新刊ではあった。残念ながら坪内祐三さんは現代小説と推理小説は扱わないと述べているので、世の中の「売れ筋の文庫本」は扱われていない。でも、この人の選択眼には信頼がおける。一応私では心許ないだろうけど、私が保証する。

    171篇のうち、我が蔵書及び読了本は4冊しかない。それが全部「お勧め本」であることが、信頼できることの根拠である。即ち、
    水木しげる『猫楠 南方熊楠の生涯』角川ソフィア文庫
    森鴎外『渋江抽斎』岩波文庫
    石川達三『生きている兵隊』中公文庫(2014年6月マイレビュー済み)
    矢吹晋編/鈴木博訳『周恩来「19歳の東京日記」』小学館文庫(2019年4月にマイレビュー済み)

    よって、古本屋巡りの時には、私はまず本書の目次をながめて探してみようと思う。1年間で発刊される文庫本はいったい何万冊だろうか?そのうちのたった50冊ほどの当たり本を教えてくれる本書は貴重である。

    とりあえず、いま探しているのは以下。
    高見澤潤子『のらくろひとりぼっち』光人社NF文庫
    篠田鉱造『明治百話』上下 岩波文庫
    澤田隆治『上方芸能列伝』文春文庫
    金子光晴『絶望の精神史』講談社文芸文庫
    椎名誠『さらば国分寺書店のオババ』新潮文庫
    産経新聞社会部『葬送』現代教養文庫
    池田弥三郎『銀座十二章』朝日文庫
    いその・えいたろう『性商伝』徳間文庫
    関川夏央『海峡を越えたホームラン』双葉文庫
    清水勲『近代日本漫画百選』岩波文庫
    篠沢秀夫『学校では教えない文章術』青春文庫
    大槻ケンヂ『のほほん雑記帳』角川文庫
    みなもと太郎『お楽しみはこれもなのじゃ』河出文庫
    石井研堂『明治事物起源1』ちくま学芸文庫
    阿久悠『夢を食った男たち「スター誕生」と黄金の70年代』道草文庫
    高信太郎『おもろい韓国人 愛があるから、ここまで言える』光文社文庫
    宇野千代『神さまは雲のなか』ハルキ文庫
    朝日新聞社編『朝日新聞の記事にみる恋愛と結婚』(明治・大正)朝日文庫
    梶原一騎『地獄からの生還』幻冬社アウトロー文庫
    植草甚一『ミステリの原稿は夜中に徹夜で書こう』双葉文庫
    岡茂雄『(新編)炉辺山話』平凡社ライブラリー
    いしいひさいち・漫画/峯正澄・文『95大問題』創元ライブラリ
    森茉莉/早川暢子編『貧乏サヴァラン』ちくま文庫
    前坂俊之編『阿部定手記』中公文庫
    柴田錬三郎『デカダン作家行状記』集英社文庫
    津野梅太郎『歩くひとりもの』ちくま文庫
    山下清『日本ぶらりぶらり』ちくま文庫
    星新一『明治人物誌』新潮文庫
    勝新太郎『俺、勝新太郎』廣済堂文庫
    蛭子能収『エビスヨシカズの秘かな愉しみ』講談社+α文庫
    池波正太郎『青春忘れもの』中公文庫
    泉昌之『かっこいいスキヤキ』扶桑社文庫
    水上勉『私版 東京図絵』朝日文庫
    杉田かおる『すれっからし』小学館文庫
    岡本太郎『沖縄文化論』中公文庫
    四方田犬彦『月島物語』集英社文庫
    ビートたけし『真説「たけし!」オレの毒ガス半生記』講談社+α文庫
    佐藤良明/柴田元幸『佐藤君と柴田君』新潮文庫
    丸山昭『トキワ荘実録』小学館文庫
    松本哉『永井荷風ひとり暮らし』朝日文庫
    渡辺淳一ほか『本屋でぼくの本を見た』角川文庫
    加藤周一『現代日本の文化と社会』平凡社ライブラリー
    山田太一編『土地の記憶 浅草』岩波現代文庫

    坪内祐三さんがどう紹介したかは、紹介する余裕がない。兎も角、気になる本だけを書き写して気がついたのは、
    ひとつは、既にない文庫が多く存在するということ。
    ひとつは、昭和の文化の変遷を多重的に捉える選本になっていること。
    ひとつは、多くはネットで直ぐに手に入れることができるかも知れないが、幾つかは既に古本屋で見つける僥倖を得るまでは幻の本になっているだろうこと。

    図書館やネットで手に入れるのは簡単だが、暫くは古本屋で探すよすがにしたいと思う。

  • ものすごくおもしろかった。毎日通勤時に読んだ。ぎゅうぎゅう詰めの車内で回りの中国人に変な顔をされながら。残念なのは紹介されている本が海外のためすぐに買いに行けない点だ。日記関連、伝記関連が面白そうな本が多かった。ブックオフに買いに走りたい。

  • 元の単行本を読んで以来の再読。

  • 週刊文春を毎週読む目的の最大の理由が坪内祐三の「文庫本を狙え!」を読むためです。この書評は本当に勉強になります。小林秀雄の妹が田河水泡の妻なんていうことも知りました。

  • <目次>
    省略

    <内容>
    全171作、「週刊文春」連載中の「文庫本を狙え!」のスタートから。文学は今読まない私ですが、このような名読書家のコラムを読むと、読みたくなります。むろん坪内さんのように本の裏や作家の裏を読み取ることはできないし、たぶん読み切れないようなものが多いと思いますが、いつか読んでみたいな…

  • 訃報を聞いて、追悼読書用に入手。雑誌連載「文庫本を狙え」の初回から数年分の完全版(といういきさつはあとがきに詳しい)。南伸坊さんによる、いろんな文庫のシンボルマークが散りばめられたカバーがかわいい。この続きのものも(単行本は文藝春秋やら本の雑誌社からでているが)できればちくま文庫に入ってくれるといいのだけれど…

  • 2016/8/23

  • 『週刊文春』で長期連載中の『文庫本を狙え!』の1996年の第1回から2000年の第171回までを収録。毎月刊行される文庫本の中から毎週1冊のお勧め文庫を紹介するという企画である。本の内容の紹介だけに留まらず、その背景や著者に纏わる蘊蓄も紹介されているので、興味深く読むことが出来た。

    本書では、どちらかというとベストセラーには成り得ないが、読んでおきたい古典的な名作やサブカルもの、はたまた漫画までが紹介されている。従い、おのずと普段は余り手を出さない出版社が多い。また、現在は絶版となり入手困難な文庫本が目につく。悲しいことに、年々、文庫本の刊行から絶版までのサイクルは短くなっているようで、まったく油断も隙もない。

  • 奥深い 数々

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著者プロフィール

評論家、エッセイスト。1958年、東京生まれ。早稲田大学文学部卒。「東京人」編集部を経て、コラム、書評、評論など執筆活動を始める。評論、随筆、対談、日記エッセイ、解説等多彩に活躍。『慶応三年生まれ 七人の旋毛曲り―漱石・外骨・熊楠・露伴・子規・紅葉・緑雨とその時代―』で第17回講談社エッセイ賞を受賞。著書に『ストリートワイズ』『靖国』『文学を探せ』『私の体を通り過ぎていった雑誌たち』『総理大臣になりたい』など多数。近著に『昭和にサヨウナラ』『文庫本を狙え!』『文庫本宝船』など。

「2017年 『壁の中【新装愛蔵版】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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