承認をめぐる病 (ちくま文庫 さ 29-8)

著者 :
  • 筑摩書房
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レビュー : 13
  • Amazon.co.jp ・本 (338ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480433954

感想・レビュー・書評

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  • あとがきにて著者本人が、タイトルを考えた編集者に感謝を述べている。
    確かにタイトルが面白そうだと思って買ってしまった。

    引用が多く、言い回しが文系らしく非常に回りくどい。(著者にとっての精神分析とは…しないための…メタ規範である。とか何回読んでもわからない)
    ただ、専門が引きこもりとあって、それに対する臨床治験や秋葉原事件の話は面白かった。

    自分が学生の時は、統合失調症患者が偏見及び差別により社会から隔離され、社会復帰が困難となっている問題に焦点が当たっていて、あまり若年層のうつや自殺については触れられていなかったと思う。

    携帯依存、SNS依存、マスク依存、わりと最近生まれた依存症は、すべて承認に関わるようだ。

    この本を読んだとき、エヴァをよく知らなかったので、序盤のエヴァの登場人物を使った説明はあんまり伝わらなかった。
    映画見た人ならすごく分かりやすいんだろうけど。

    社会が成熟し、インフラ、環境が整うにつれて、人は未成熟でも許される。という記述が興味深い。人との関わりすら消費行動になってしまうらしい。
    暴走老人、モンスターペアレントなど、もはや年齢は関係ない。自分に都合の良いように周りが動いてくれないとキレるって、幼児行動そのものだ。
    「お金払ってんだから」という注釈がつくとまた複雑になるけど、教育は義務であり、サービスは単なる付加価値なんだから、そこを忘れてはいけないと思う。
    (ただし、理不尽な暴力だったり犯罪であれば別だが)

    また、キャラ化によって、他者に承認を委ねる危険性について、著者は警鐘を鳴らしている。
    常に流動的な周りに自分の価値観をゆだねると、立場がすぐに変わる。何かアクションを起こすことで、学校内で守られていた優位キャラが容易に覆る。
    いじめていた子が学校が変わったとたんいじめられる、といった流動性サイクルが起こっているという。
    それは全く気が抜けない。安心できる場所が自分のふとした言動で覆るとなると、そりゃあ余計なことはしない、目立たないことを大事にするだろう。傍観者という第2の加害者はこうやって生まれる。

    こういった問題で苦しんでいる人は、成熟している人とのつながりがある場所を得る、同じ目標を持っている人とつながるなど、別の居場所が確保できるといいのに。
    もしくは飛び級制度とか。

  • 承認をテーマとした「思春期解剖学」反精神医学をテーマとした「精神医学へのささやかな抵抗」の2カテゴリー17編。他者の許しがなければ、自分を愛することすら難しい、証人依存とはつまるところそういうことだ。

    あとがきに、全編の140字要約があります。順に読んだけど、最初からこれを読めばよかった。

  • 「碇シンジは引きこもり、惣流・アスカ・ラングレーは境界性人格障害、綾波レイはアスペルガー症候群」から始まり「庵野は現代の太宰」とまとめるパワーワードしかないエヴァンゲリオン論から始まり、いろんなテーマの論文がまとまって読める楽しい本だった。構成が上手い。

    個人的には冒頭のエヴァンゲリオン考察、秋葉原連続殺傷事件の犯人が犯行に至った経緯についてのひとつの可能性の提示、フランクルは何にイエスと言ったのか?という章が面白かった。

    ただいろんな雑誌へのいろんなテーマの寄稿であるので、似たような表現があったり同じ話が繰り返されていたりもするのでアッまたこの話…と思っちゃうこともなくはない。今度はテーマが一貫した一冊の本を読んでみたいと思う。

  • あとがきにもあるように「かわいい表紙に難解な内容」の本である。承認欲求の精神医学的アプローチを試みた内容かと思いきや、承認欲求についてはちょっぴり、加藤智大、エヴァ、ひきこもりなど内容は様々です。しかしわかりにくい文章なのにけっこうサクサク読めてしまった。かなりおもしろかった。

  • 表紙とタイトルに惹かれて購入したら 少し前に読んだ母との確執の著者と同じだった。キャラの確立、エヴァを使った解説、プレコックス感。他者の許しがなければ自分を愛することすら難しいご時世。話題があちこち散らばっている感はあるけど最後まで興味深く読めた。著者の他の本も読んでみようと思う。

  • 内容がくどいかな、掘り下げて説明されるので、何が言いたかったのかどんどんわからなくなってしまう
    。エヴァの話も難しくて読むのがやっと。本の半分までなんとか読めました。やさしい解説を付け加えてくれると助かるのだが・・・。

  • タイトルに惹かれて読んだけど思ってたのと違って、神経内科とかの、本当に病気について書かれてました。あといろんな方向に話が飛んでて内容もすごい難しかった…
    クラス内のキャラ付けとか、納得できるとこもあったけど全部は理解出来なかった…エヴァの話はおもしろかった!
    ここでもスクールカーストが出てくるんだな〜と思いました。

  • 人を記述可能な「キャラ」として把握することは、思考処理する点で便利ではあるが全体像を捉えられない。人はどこかしら矛盾を持つものだから、完全な記述は不可能なはずである。せめて自分にとって大切な人くらいは、矛盾も含めた全体像を捉えられるよう努力しようと思った。ただこの本、具体例として挙げられるアニメや芸術作品を知ってる前提で論を展開するから、少し説明不足を感じた。あと、後半の精神医療に関する考察や哲学については専門用語が多く理解が追いついていない。
    この本はキャラを押し付けられるものとして表現していて、それが不本意なものならその通りなんだけど、自分に都合が良いキャラを押し付けられだ場合は結構居心地の良い隠れ蓑になったりする。だからそこに依存してしまうということもあり得る。
    あと、特に仲の良い友人とはキャラを交換し合える傾向がある気がする。と言うより交換し合える程お互いがお互いの事を知っているから仲が良いのかも知れない。
    自キャラが固定された人間関係しか持っていなかったら、例え知人が多くてもかなりの地獄だろうな

  • 若者とお付き合いする事が多い仕事柄、また、社会の仕組みを理解したいという個人的欲求もあって話題の書を読了。承認依存という現象について、精神医学者の立場から分析、解説しているが、エヴァンゲリオンの主要キャラクターを引き合いに出すなど、とてもわかりやすい。「他人の許しがなければ自分を愛する事すら難しい」「キャラ設定に基づかないとコミュニケーションできない」「生存欲求に勝る承認欲求」等、衝撃が走る。私の世代がなぜ働くかを問われれば十中八九食っていくためと答えるであろう。しかし現代の若者は「承認されたいから」という欲求が非常に強い。承認されなければ引きこもるし鬱になるし自死を選ぶ。マズローのいう生存欲求(第一段階)を満たして成熟するのではなく、承認欲求(第三段階)が満たされなければ、生存欲求すら放棄(自死)してしまう逆転現象。確かに病である。

  • 若者の承認欲求をめぐる現状について、精神医学の臨床経験を踏まえて論じられている。寄り合わせの論考集でもあるが、非常に面白くためになった。

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著者プロフィール

1961年岩手県生まれ。医学博士。筑波大学医学医療系社会精神保健学教授。専門は思春期・青年期の精神病理学、病跡学など。

「2016年 『ひとはなぜ戦争をするのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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