本好き女子のお悩み相談室 (ちくま文庫)

著者 :
  • 筑摩書房
3.53
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本棚登録 : 257
感想 : 32
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480434937

感想・レビュー・書評

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  • 6月に「本屋で待つ」のウィー東城店で買い求めた本の最後の一冊。著者・南陀楼綾繁(なんだろうあやしげ)さんのサイン入りです。初めて聞くお名前で怪しげですが、店員さんからは「コレ大変面白いですよ」とお墨付きです♪

    限られた場所で、限られた対象に、本をお勧めする、という昨今流行りの本ですが、場所と対象がとっても面白くて、選んだ本たちが、その場の思いつきじゃなくてしっかり考え調べた上で提案しているということで、とっても誠実な本でした。

    南陀楼さんはあの「一箱古本市」を始めたパイオニアでした。この十数年は全国で一箱古本市をプロデュースしてきたよう。勘違いしていたのですが、この古本市の魅力は本を発掘することだけじゃないんです。店主はみんなその本を読んできた人ですから、その本についてとってもよく知っています。また、絶対本好きの人たちです。店主、スタッフ、お客さんみんな本好きで、だからとっても話が合うようなんです。そこに行けば、本好きどうしが交流出来る。それが1番の魅力だと、南陀楼さんは書いていませんが、私はそう読み解きました。

    特に最近は女性の姿が目立つようになりました。本のセレクトやディスプレイも、本の勧め方も、女性の方が上手なんだそうです。しかもみんな若い。この女性たちの読書経験を聞けば、「本好き女子の読書史」が描けるのではないか。そう思い立って2年間、35組39人、10代から40代の本好き女子の話を聞いてきました。悩みを聞いて本を3冊お勧めするのは、その上でのささやかな「お返し」だそうです。

    仮名が多いです。有名人はいません。今どきの若い本好き女子って、こんなんかぁ、と実感できました。本人たちの多くは、ちょっと人見知りだったりして「私ちょっと変わってる」と思っているかもしれませんが、そんなことないよ、みんな魅力的です。

    以下、ちょっとメモ。
    ・一人暮らしをしたいけど、仲のいい両親との関係も壊したくない。実家を出る方法は?(28歳)
    辻村深月「ゼロ・ハチ・ゼロ・ナナ」
    長嶋有「サイドカーに犬」
    有吉玉青「身代わり 母・有吉佐和子との日々」
    →この3冊は正解な気がする。

    ・いま住んでいる田舎の家は土地は広いんですが、ふえてゆく草と毎日闘っています。そういうことも含め、この先、歳をとったらどうなってゆくのか。田舎暮らしに不安があります(46歳)。←ほとんど私の悩みです。
    熊谷達也「ゆうとりあ」
    はた万次郎「北海道田舎移住日記」(「アブラコの朝」集英社文庫)←読みたい!
    井上ひさし「吉里吉里人」
    →田舎であろうが都会だろうが、理想と現実とのギャップはありますよ、とのこと。

    ・千葉の縄文大好き女性・25歳。両親のクリスマスプレゼントはいつも本。最も記憶に古い本は「ブレーメンの音楽隊」。何故か最終ページをハサミで切ったそう。理由は記憶なし(←想像が膨む)。中高で母の蔵書宮部みゆきは全作読了。法科卒業。公務員になって加曽利貝塚にハマる(つい最近)←最近かよ!
    お年寄りとの会話で、昔話や説教が苦痛。付き合い方を教えて。
    →ながさわたかひろ「に・褒められたくて 版画家・ながさわたかひろの挑戦」好きな有名人のところに突然行って「あなたを描かせてください!」と頼んで、そこから関係を作ってゆくという本、らしい。←うーむ、ま、ありかも。
    山田風太郎、森まゆみ「風々院風々風々居士  山田風太郎に聞く」(ちくま文庫)関川夏英の時は不機嫌だった山田がご機嫌に話したらしい。←たいていの老人は若い女が好き
    湊かなえ「ユートピア」←世代が近くてもギャップは起こり得る。

    ・中国広州市から古本市スタッフにメールで応募してきた変わり種。19歳。小学校の時母からは「論語」暗記を強制されて、その反発から漫画やアニメへ。それで日本語をペラペラまで覚えて、日本の美術大学へ。それで相談は「能力を世間に証明する必要あるのか。自分なりにゆっくり頑張ったらダメなの?」←彼女の読書史を聞く限りでは充分才女という気もしますが、立身出世を望まない彼女の気持ちもわかります。さて著者の回答は?
    水木しげる「ねぼけ人生」←まぁそうだよね
    宮本常一「家郷の訓」←斜め上の回答
    「中谷宇吉郎 雪を作る話」(平凡社)←明答。

    ・古本屋の娘さん(13歳)は、10年の付き合い。幼いと思っていたらいつのまにか大人びて‥‥。で、彼女は自分で雑誌を作ってみたりなかなか行動的。周囲からは「落ち着きがない」と言われるのが悩み。回答は?
    長嶋有「ぼくは落ち着きがない」←まんま(笑)。でも、いいかも。
    若竹七海「さよならの手口」←確かにいつも不幸に見舞われてるけど、13歳には厳しいお話かも。
    沢村貞子「わたしの三面鏡」←理想的な落ち着きが見れると、私も思う。

    南陀楼さんのサインには、横に一言「本屋の宇宙」ってありました。

    • ひまわりめろんさん
      本好きが集まるという意味ではブクログも一緒ですね
      ありがたや~
      本好きが集まるという意味ではブクログも一緒ですね
      ありがたや~
      2023/09/05
    • kuma0504さん
      と、書いているレビュアーもいます。
      私もそう思います♪
      と、書いているレビュアーもいます。
      私もそう思います♪
      2023/09/05
  • “一箱古本市”というブックイベント主催の南陀楼綾繁(なんだろう・あやしげ)という1967年生まれのライターのオジサマが、10代から40代の全国各地の本好き女子に読書遍歴とお悩みを聞き、彼女たちに合う本を3冊おすすめするというインタビュー集&ブックガイド本。

    お悩みは『他人に影響を受けすぎる』『悪い方向に取る癖がある』『決められない性格をなおしたい』変わり種は『酔った感覚を味わいたい』など。
    なんというか、みんなおんなじようなことで悩んでるんだな、とちょっとホッとしました。
    人間叩けば悩みくらい出てくる(^_^)

    それに対する南陀楼さんのおすすめ本は自己啓発本の類は一切なく、小説やエッセイ、伝記など。
    わたしでも読んだことのある現代人気作家さんから大御所まで、幅広く紹介されています。
    ほとんどが文庫化されているものなので、お財布にも優しい。

    それにしても出てくる本好き女子のアクティブなこと!
    “一箱古本市”に出店しているくらいなので、本と、本に関わる事が好きなのは間違いないだろうけど、その後本当に本屋を開店した人もいる!

    “一箱古本市”は全国各地で同様のイベントがあるらしいので一度訪ねてみたいです。

  • ★3.5
    本好き女子の読書の歴史
    本好き女子のお悩み
    それに対してのおすすめの本
    の構成で、読みやすかったし、面白かった

    本を好きで読む人たちは元々家族も本好きが多いと思った

    この本からブクログの 読みたい 本も増えました!

  • レビューを拝見して、知った本です。
    ライターで編集者の著者が、日本全国を古本市、ブックイベントなどでまわりながら、「本好き女子」三十五組、三十九人に彼女たちがいま悩んでいることに対して、三冊の本を「処方」するという試みの本です。
    出てくる三冊の本以外にも、「本好き女子」の方々の、読書遍歴や読書に対するスタンスや、生き方までもが詳しく載っていて大変楽しく読むことができました。

    この手の本に私は目がなくて、よく読むほうだと思うのですが、そうすると、大体、有名な本で、タイトルだけは知っているものが多かったりするのですが、この本はそういう王道的なブックガイドとは趣向が違っていて、初めて知ったタイトルの本も多く参考になりました。

    今回付箋を貼ったうちの何冊かは、絶対読もうと思います。
    (前も他の本のレビューに同じことを書いた気がしますが)
    まだ、この本でチェックした本も未読なのに、続編が出ればいいと思ってしまいました。

    • 5552さん
      この本、まことさんも読まれたんですね!

      私もブックガイドや(軽めの)評論集が好きです。
      あんまり数は読んでないのですが『きっとあなた...
      この本、まことさんも読まれたんですね!

      私もブックガイドや(軽めの)評論集が好きです。
      あんまり数は読んでないのですが『きっとあなたは、あの本が好き。連想でつながる読書ガイド 』という鼎談集が面白かったです。(リンクの貼り方分からなくて。すみません)
      題名通り、この作家が好きならこの作家も好きかも・・・と提案しつつ作品、作家自体も掘り下げて会話していくというものです。
      こういう本があるんだ!こういう読み方があるんだ!と興奮しながら読みました。

      面白いブックガイドがありましたら是非是非教えてくださいね!
      2019/06/07
    • まことさん
      この本は、5552さんのレビューを拝見して知った本です。どうもありがとうございました。楽しく拝読させていただきました(^^♪
      『きっとあな...
      この本は、5552さんのレビューを拝見して知った本です。どうもありがとうございました。楽しく拝読させていただきました(^^♪
      『きっとあなたは、あの本が好き。連想でつながる読書ガイド』も持っています。なんだか、最近、私ブクログで5552さんの読まれている本や、いいね!されている本を一緒にいいね!している確率が高いような気がしています。
      ブックガイドは私の方こそよろしくお願いします。(といってもなかなか紹介されている本を読むところまでいかないのですが…)
      2019/06/07
  • 全国のブックイベントで出会った様々な本好き女性の読書遍歴を語ってもらいながら、彼女達のお悩みに効く3冊の本を紹介するというユニークなブックガイド。その悩みは「やせたいけど食べてしまう」「話すのが苦手」「他人に振り回されてしまう」などなど千差万別。それぞれのお悩みに真摯に対応する南陀楼綾繁さんのお答え、そして3冊のチョイスには唸らされた。古い本もたくさん紹介されていて、読んでみたいと思える本多数!そして、本好き女性達の読書遍歴にも興味津々。あ、この絵本は自分も読んでたなと懐かしくなったり、紆余曲折を経て今の彼女達があるのだなと思ったり。
    関東に住んでいた頃、南陀楼さんが代表を務めている「不忍ブックストリート」の一箱古本市に一度足を運んだことがあるが、すごくすごく面白かったなぁ!!その後地方に移住してからも、一箱古本市のイベントがあれば極力行くようにしていた。本を愛する人々の熱気に包まれたあの雰囲気を思い出し、読了後、一箱古本市に行きたくてたまらない。
    宇田川新聞さんの、ほっこりする版画イラストも本書の雰囲気にぴったりです。傍らに置いて、時々読み返したくなる一冊。

  • 一箱古本市に出店している女の子たちの悩みに合わせて、
    本をオススメしてくれるというなんとも贅沢な内容。

    わたしは本が大好きなのに、恥ずかしながら一箱古本市の存在を知りませんでした。こんな心くすぐられるイベントがあったなんて!
    今度近くである時には絶対に行こうと心に誓いました。
    そしていつかは出店してみたい。。♡

    最近読む本が偏っている気がしていたので、視野を広げたくて購入しましたが、古いものから新しいものまで、ジャンルも幅広く、とっても参考になりました。


    内容はもちろん、おわりに、で筆者さんが書かれていらっしゃった言葉に感銘を受けました。

    紙の本はなくならないでしょう。

    わたしもそう思うから、なんだか安心しました。

    いつか南陀楼綾繁さんにお会いしてみたいなぁ。
    そしてわたしの悩みにも、本を処方してほしい。笑

  • 2019年再読。
    この方、名前からしてきっと良い方に違いないと思うのは私だけではないはず。
    一箱古本市が魅力的すぎて調べたけど、私の街では開催されてなかった!残念!
    読書の幅が広がりました。

  • 女性が色々な悩みを抱えていて面白かったです。小さい頃に読んだ本が似ていたり、中高で忙しくて本を読まなくなる人が多かったり共感できる部分がたくさんありました。

  • 本好きな女性の読書経歴と悩み相談。お悩みにぴったりの本を3冊ずつオススメしてくれる。

    本好きになる過程にもいろいろあり、同じような境遇であったり同じ本を読んでいたりすると勝手に親近感が湧く。素敵な絵本や児童書に世代は関係ない事も分かった。
    著者のオススメする本は結構個性的に思え、今まで読んだ事のないものが多かったので、また新しい扉を開く事ができそう。
    一箱古本市って知らなかったので、調べてみたらとても楽しそう!参加してみたいけれど、話しかけるのも話しかけられるのも苦手な私にはハードル高いかな(^_^;)

  • 自分の狭すぎる読書の世界を大いに広げて頂いた。こんな本のエキスパートが身近にいたらなぁ、とつくづく思う。最近流行りの一箱古本市の火付け役と知り、なるほど。根津、谷中、千駄木…まだ行った事がないのだが、是非その情緒を味わいに行きたい。

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著者プロフィール

1967年、島根県出雲市生まれ。ライター・編集者。早稲田大学第一文学部卒業。明治大学大学院修士課程修了。出版、古本、ミニコミ、図書館など、本に関することならなんでも追いかける。2005年から谷中・根津・千駄木で活動している「不忍ブックストリート」の代表。各地で開催される多くのブックイベントにも関わる。「一箱本送り隊」呼びかけ人として、石巻市で本のコミュニティ・スペース「石巻まちの本棚」の運営にも携わる。
著書に『ナンダロウアヤシゲな日々』(無明舎出版)、『一箱古本市の歩きかた』(光文社新書)、『町を歩いて本のなかへ』(原書房)、『編む人』(ビレッジプレス)、『本好き女子のお悩み相談室』(ちくま文庫)、『蒐める人』(皓星社)、共著『本のリストの本』(創元社)などがある。

「2021年 『古本マニア採集帖』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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