好きになった人 (ちくま文庫)

著者 :
  • 筑摩書房
3.89
  • (5)
  • (10)
  • (2)
  • (1)
  • (1)
本棚登録 : 168
感想 : 11
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480435231

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ノンフィクション作家の梯(かけはし)久美子によるエッセイ集です。

    48個のエッセイが掲載されています。取材で多くの人達に会い、その思いを書いたエッセイを「月刊ベターホーム」などに掲載したものを本にまとめたものです。戦時中の体験を取材した原爆が投下された広島、多くの市民が死んでいった沖縄の話し、武人として誇れる栗林中将の話には涙がとめどなく出て、読みながら鼻をかみながら音読しました。そして追いつめられた女性が崖から次々と身を投げていくシーンには、言葉が出なくなりました。後半は、父への想いなどやわらかいものが綴られています。
    梯久美子さんの本を読むのは初めてです。

    「梯」という苗字を知ったのもはじめてです。
    調べてみると、相当珍しい苗字です。そして梯という苗字のかたが福岡県久留米市、徳島県吉野川市に多く住んでいるようです。いわれは、徳島県では城攻めの際に堀に橋を架けて戦国時代、安土桃山時代の武将である蜂須賀正勝から賜って青山姓から改姓したなどの謂れがあります。また、福岡県八女郡広川町水原の小字の梯から発祥。
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    【音読】
    2022年10月13日から20日まで、音読で梯久美子さんの「好きになった人」を大活字本で読みました。この大活字本の底本は、2018年6月にちくま文庫から発行された「好きになった人」です。本の登録は、ちくま文庫で行います。埼玉福祉会発行の大活字本は、上下巻の2冊からなっています。
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    好きになった人
    2022.05埼玉福祉会発行。字の大きさは…大活字。
    2022.10.13~20音読で読了。★★★☆☆
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    • ☆ベルガモット☆さん
      やまさん、寒中お見舞い申し上げます。

      レビューで著者を知り、ご紹介の本ではありませんが梯久美子さんの著書を読みました。取材の真摯な姿勢...
      やまさん、寒中お見舞い申し上げます。

      レビューで著者を知り、ご紹介の本ではありませんが梯久美子さんの著書を読みました。取材の真摯な姿勢に胸を打たれました。
      私もそろそろ大活字本や音読を活用しようかと思っています。
      今後もレビュー楽しみにしています。
      2023/01/14
    • やまさん
      ベルガモットさん♪こんにちは(^-^)
      コメントありがとうございます。
      そうですね梯久美子さんの取材の真摯な姿勢に私も胸を打たれます。
      ...
      ベルガモットさん♪こんにちは(^-^)
      コメントありがとうございます。
      そうですね梯久美子さんの取材の真摯な姿勢に私も胸を打たれます。
      音読は、体に良いですよ。
      ベルガモットさん♪のレビューを楽しみにしています。
      2023/01/14
  • 『散るぞ悲しき―硫黄島総指揮官・栗林忠道』や『狂うひと―「死の棘」の妻・島尾ミホ』(どちらも未読)などの評伝を書いた梯久美子(かけはし・くみこ)さんが様々な媒体で発表したエッセイを集めたもの。
    文庫化にあたってタイトルを『猫を抱いた父』から『好きになった人』に改題。旅行記を一本新たに収録。

    梯さんが出合った『好きになった人』達に対する尊敬と慈しみを感じます。
    取材に同行したカメラマンが「オノ・ヨーコの目に似ている」と評した島尾ミホさん。太平洋戦争で犠牲になった人々の残した手紙や遺品から立ちのぼる彼ら彼女らの生き様。家族のこと。子供時代のこと。不思議な縁があった猫達のことも。

    そして、なんてこと!
    詩人で童話作家の東君平さんとのエピソードがある!
    20代の頃彼の詩に触れ、感銘を受けて何冊か本を持っていましたが、処分してしまって・・・。
    いままですっかり忘れてしまっていましたが、意外なところでお名前を見かけてびっくりしました。

    ウン十年の時を経て『好きになった人』に再会できました☆

    解説は梯さんとプライベートでも交流のある作家の中島京子さん。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      5552さん
      「おはようどうわ」かなぁ、何気ない感じがとても好きなんです!
      5552さん
      「おはようどうわ」かなぁ、何気ない感じがとても好きなんです!
      2020/09/20
    • 5552さん
      猫丸さん、こんばんは。
      その作品、読んだことないんですよ〜。(←飼い猫に名付けた割には薄口ファン(^-^;)すみません。
      また機会があっ...
      猫丸さん、こんばんは。
      その作品、読んだことないんですよ〜。(←飼い猫に名付けた割には薄口ファン(^-^;)すみません。
      また機会があったら読んでみますね。
      ネットショッピング覗いてみたら、けっこう東君平作品売ってるんですね。手に入りにくいものもとても多いけれど。今も読み継がれてるんだ、と思うと嬉しいです。
      2020/09/20
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      5552さん
      Good!
      5552さん
      Good!
      2020/09/20
  • 5552さんのレヴューから

    史実への着眼点 |ちくま文庫|中島 京子|webちくま
    http://www.webchikuma.jp/articles/-/1383

    梯久美子が語る「私がノンフィクションを書く理由」 | nippon.com
    https://www.nippon.com/ja/people/e00157/

    筑摩書房 好きになった人 / 梯 久美子 著
    https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480435231/

  • 梯さんの書くものはどれも、凜としていて、しかも優しい。このエッセイ集もその持ち味がとてもよく出ていて、読んでいると固まった心がほぐれていくようだ。

    どの文章もいいのだけど、吉本隆明・森瑤子・児玉清・黒岩比佐子など、直接接した人たちの思い出を語るところが、とりわけ忘れがたく心に残る。硫黄島司令官栗林忠道のテーラーをつとめた方の思い出話にも胸を打たれた。未読の「散るぞ悲しき」を早速読もうと思った。

  • 梯さんの書く評伝をいいなと思うのは、その書き方が上手いのはもちろんだけど、書かれた人物が魅力的で、梯さんがその人を大好きだから(情熱を感じるから)だと思っていたが、それはそうなのだが、私は梯さんという人がそもそも好きなんじゃないかと思うようになった。だから、無名の人を書いたものもいいんじゃないかと思い、読んでみた。

    良かった。
    有名な人も出てくるが、本格的な評伝とは違い、ちょっとしたエピソードだが、その人の人柄が伝わる。有名ではない人も、例えば梯さんの家族や、旅先で出会った人たちのも。もちろん書いている梯さん自身のも。
    そして、読後感はとてもあたたかく、優しい。

    私はある有名文化人の講演で質疑応答の時間に、質問した老人の長くなりそうな話を、その有名文化人がぶった切ったのを見たことがあり、雰囲気を読まない長い話は迷惑だから仕方ないけれど、なんとなく気の毒になったことがあり、もう随分経つのに、この本の森瑤子さんのエピソードで思い出したのだった。森さんの深い優しさ。それは梯さんが書いている、「目の前にいる相手にそのときの自分のすべてを惜しみなく差し出している」(P203)ことと通じる。
    目の前に人がいながらスマホいじる人の多さよ。本当に懐の深い人はそんなことしないものだと、これを読んでつくづく思った。

    すごくインパクトがあるとか、爆笑できるとか、そういう本ではないけれど、またいつでも読み返したい。そして読み返したらまた同じようにあたたかい気持ちになれるだろう。いいエッセイだった。

  • まずタイトルがしみじみ良い。かかりきりになっている間はそれぞれのインタビュイーに恋をしている、と言ってもいいのではないだろうか。
    作品からこぼれたあれもこれも、こぼしておくにはもったいなさ過ぎて、こうしてエッセイとしてまた別の光で磨かれて本当によかった。既に鬼籍に入られた方も、その方について語ってくれる方も、どの方の魅力も滲んでくる。東君平さん、児玉清さん、東海林のり子さん…。

    そうそう、これを読んだ今日から我々も、栗林中将のことは「閣下」とお呼びしなくては。

  • テーマ:実は北大出身の著者

  • 戦時中も含めて、昭和という時代が
    立体的に浮かび上がる、好エッセイ。

    人物に対する確かな観察と、
    控えめなユーモアが良い。

  • はじめての梯さんの本。先輩に借りた本ですが、借りてなかったら自分ではきっと手に取ることなかっただろうなー。戦争に関する話は苦手なので、前半は飛ばして読もうとおもってましたが、まぁためしに読んでみようと思ったところぐんぐん引き込まれました。それは梯さんの言葉選びのセンスの良さのせいだと思います。

  • 猫を抱いた父の改題本とは知りませんでした。ですので追加された箇所を読みました。やはり著者の文章は素敵です。

全11件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

ノンフィクション作家。1961(昭和36)年、熊本市生まれ。北海道大学文学部卒業後、編集者を経て文筆業に。2005年のデビュー作『散るぞ悲しき 硫黄島総指揮官・栗林忠道』で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。同書は米、英、仏、伊など世界8か国で翻訳出版されている。著書に『昭和二十年夏、僕は兵士だった』、『狂うひと 「死の棘」の妻・島尾ミホ』(読売文学賞、芸術選奨文部科学大臣賞、講談社ノンフィクション賞受賞)、『原民喜 死と愛と孤独の肖像』、『この父ありて 娘たちの歳月』などがある。

「2023年 『サガレン 樺太/サハリン 境界を旅する』 で使われていた紹介文から引用しています。」

梯久美子の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
エラ・フランシス...
ヴィクトール・E...
砥上 裕將
アンデシュ・ハン...
川上未映子
レティシア コロ...
村上 春樹
恩田 陸
ヨシタケ シンス...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×