星の文学館 (ちくま文庫)

制作 : 和田 博文 
  • 筑摩書房
3.00
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本棚登録 : 452
感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480435293

作品紹介・あらすじ

稲垣足穂も、三浦しをんも、澁澤龍彦も、私たちはみな心に星を抱いている。あなたの星はこの本にありますか? 輝く35編の文学アンソロジー。

感想・レビュー・書評

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  • 星にまつわる小説や詩、エッセイなど35篇を集めたアンソロジー。
    1 天の川と七夕、2 ハレー彗星と日蝕、3 太陽系の惑星、4 天体観測と星座、5 宇宙の深淵
    好きな作品もありましたが、学術的であったり、仮名遣いが旧式だったりで、私には読みにくい作品もかなり多かったです。三浦しをんさんの「冬の一等星」はかつて読んだことのある『君はポラリス』にも載っていましたがこの作品が一番好きです。あと台湾の伝説を書いた「太陽征伐」も印象的でした。谷川俊太郎さんの詩「二十億光年の孤独」も好きです。宮沢賢治の「よだかの星」は学生の頃読んだことがありましたが、今読んでみるとさらに悲しく感じました。最後の一文[今でもまだ燃えていゐます]がいいですね。

  • 35篇の星のアンソロジーということで、小説、詩、随筆などが35篇も収録されている。ひじょうに興味を引かれるアンソロジーで、けれど途中で飽きてしまわないか心配だった。読了してみればそんな心配はまるで杞憂、バラエティに富んだ一冊であった。稲垣足穂「星を造る人」、三島由紀夫「月食」、下村湖人「太陽征伐」、倉橋由美子「宇宙人」あたりが特に印象深い。埴谷雄高の「宇宙について」は、内容はおもしろかったが「~ですね。」という語尾の連発が鬱陶しく、我慢の読書になった。「月の文学館」も同時に買ったので、楽しみにしておこう。

  • 『月の文学館』と対になる「星」のアンソロジー。しかし「月」が単品だったのに比べて「星」は範囲が広いですね。七夕、星座、占星術、彗星、そして太陽系の惑星のみならず太陽そのものまで。作品セレクトは月のほうと同じく小説だけでなく詩やエッセイまで含んでいるので幅広いながらも、やはりこちらも作家自体はすでに亡くなってる方が多く現役作家は僅か。既読のものも幾つか。

    好きだったのは、刺繍の上手なおばあさんの童話的な「ようか月の晩」(宮本百合子)、二つの太陽のひとつが月になる台湾の伝説をもとにしたという「太陽征伐」(下村湖人)も面白かった。太陽が二つもあるものだから暑すぎてみんな干からびてっちゃうの、日々地獄のような暑さにさらされている現在、妙に実感を伴って「それはつらいよね、わかるわかる!」と無駄に共感。太陽征伐そりゃしたくなるわ。下村湖人は子供の頃に『次郎物語』を読んだことしかなかったけれど、こういうのも書いていたのか。

    寺山修司「コメット・イケヤ」は戯曲。未読だったので得した気分。「私たちが何かを発見したときには、同じ世界の中に何かを失なわねばならないのではあるまいか」という疑問から、彗星が発見されたときに失踪したサラリーマンの間に因果関係を見出そうとする寺山の視点が面白い。

    星といえば安定の足穂や賢治はもちろん、谷川俊太郎や茨木のり子の詩もいつ読んでも沁みるし、結局既読の倉橋由美子「宇宙人」や、三浦しをん「冬の一等星」(何回読んでも泣いちゃう)が改めて好きでした。

    ※収録
    「星空をながめて」山口誓子/「天の河」川端康成/「ようか月の晩」宮本百合子/「七夕祭」鷹野つぎ/「たなばたさま」野上弥生子/「七夕幻想」安東次男/「七夕竹」石田波郷

    「星を造る人」稲垣足穂/「ハレー彗星」森繁久弥/「帚星」内田百けん/「帚星」金子光晴/「コメット・イケヤ」寺山修司/「日食」三島由紀夫

    「太陽神ラーの楽園」水木しげる/「太陽征伐」下村湖人/「太陽がすごすぎ&美しくって」川上未映子/「太陽と月」武者小路実篤/「火星を見る」荒正人/「火星の運河」江戸川乱歩/「月と土星」丸山薫/「水の星」茨木のり子/「中世の星の下で」阿部謹也

    「天体望遠鏡が怪しい」中村紘子/「湖畔の星」尾崎喜八/「星」岡本かの子/「冬の一等星」三浦しをん/「星のわななき」原民喜/「北極星発見」上林暁/「よだかの星」宮沢賢治

    「宇宙のへりの鷲」大江健三郎/「宇宙人」倉橋由美子/「星碁」小松左京/「星位と予言」澁澤龍彦/「二十億光年の孤独」谷川俊太郎/「宇宙について」埴谷雄高

  • 気が向いたらパラパラ捲って読む本になりそう、、、

    筑摩書房のPR(版元ドットコム)
    稲垣足穂も、三浦しをんも、澁澤龍彦も、私たちはみな心に星を抱いている。あなたの星はこの本にありますか? 輝く35編の文学アンソロジー。
    https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784480435293

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/764852

  • なんだろう、編者の方の趣味嗜好なのか、とっても幻想チックな雰囲気の文章多め

    そして何故だか奥付けのエッセイで雪舟えま先生の恋シタイヨウ系の話で締めてた
    さてはオタクだな、和田博文氏

  • 『星の文学館』

    星に関するアンソロジー。
    目次から宇宙でわくわく。壮大な宇宙にちっぽけな人間が思いを馳せる、それ自体に趣があるなぁと思った。宇宙は謎に満ちてて、それぞれの考える宇宙が全部本当になる。つまりこれは、一冊で38個の宇宙が覗けるお得な本。

  • 月に続けて星を。

    稲垣足穂と宮沢賢治目当てですけどね。

  • 星や天体に関するアンソロジー。

    印象に残った話

    コメット・イケヤ/寺山修司

    池谷彗星の発見とサラリーマンの失踪から、「何かを発見したときには、同じ世界の何かを失わねばならないのではあるまいか」という疑問を発端とし描かれた戯曲型の作品。
    雑踏の声や、池谷さんと長谷川さんの奥さんへのインタビューなどの間に、作者の疑問を代弁する盲目の少女(星の王女様)など、場面転換がテンポよく、短編ドラマを見ているようで面白かったです。


    太陽征伐/下村湖人

    台湾の伝説。二つの太陽がために、世界は枯れようとしていた。太陽までの道は熱く遠い。3代の勇者が征伐に向かう。矢で太陽を射る。太陽は青白いまんまるな銀盤、すなわち月となる。太陽の血潮が飛び散ったもの 星と呼ぶ。昼と夜の区別の起源も語られる。SF神話のようで面白かったです。


    冬の一等星/三浦しおん

    車の後部座席で眠っていた「わたし」と、計らずしも誘拐してしまった「文蔵」の短い時間の交流が描かれる。孤独な「わたし」を救ったのは、見ず知らずでおそらく後ろ暗い闇を背負う青年であって、「わたし」の心にその交流は生きている。とても印象に残った作品です。

    よだかの星/宮沢賢治

    慎ましく生きているのに、よだかの周りは理不尽に溢れていて悲しくなる。最後には望み通り星になれたので救われるが、切ない。

    宇宙人/倉橋由美子

    LとKの関係性や、家族造形が奇妙でした。(始め、外国の小学生くらいの子供たちを想像した)
    Lの結婚式の後、宇宙人の穴の中に入っていく二人「まるで、生まれるときの逆だ」
    色々、暗示的な読み方もできるし、そのまま読んでも不思議で面白かったです。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/764852

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