三ノ池植物園標本室 下 睡蓮の椅子 (ちくま文庫)

  • 筑摩書房
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本棚登録 : 227
感想 : 18
  • Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480435675

作品紹介・あらすじ

井戸に眠る因縁に閉じ込められた陶芸家の日下さんを、彼に心を寄せる風里は光さす世界へと取り戻せるか。『恩寵』完全版、感動の大団円。解説 東直子

感想・レビュー・書評

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  • 繊細さを感じた、一冊。

    下巻は終始繊細さを感じた。

    人の心の奥底に眠る表からじゃわからない繊細な部分。
    それを見せられていくと同時に、その一つの箇所を誤って傷つけでもしたら何もかも壊れてしまいそうな取り返しのつかない方向へ向かいそうな、そんな危うさをも感じた時間だった。

    心の縺れほどやっかいで繊細なものはない。

    でもそれもきちんと自分や人と向き合って生きているからこそ、の証でもあるのかな。

    縺れが解けたらまた未来へ思う存分心を伸ばせる。

    それをファンタジーで表現された作品、草地に一歩踏み出す、そんな柔らかな読後感が良かった。

  • 下巻は風里と奏の関係を軸に、その前の世代である葉や響の残した想いなども絡んでくる展開に。ややファンタジーな展開にもなりますが、終盤のいろいろなものが解けて、収まるべきところに収まっていく感じは、とても気持ちがよかったです。
    全体を通してのテーマは「繋がり」なのかと感じました。手を伸ばすことで人と人とが繋がっていく。そういう繋がりを重ねて未来が紡がれていく。そんな物語に感じました。

  • 上巻のいい人たちに囲まれたほんわかした話が続くかと思いきや、下巻は一転して、過去との繋がりを重視した展開に。
    上巻では研究室に出入りしているだけのイラストレーター日下が、下巻ではキーマンに・・・
    上巻で衝撃的なシーンで終わっていたもう一人の主人公・葉のその後も、葉の友人でその後義理の兄と結婚する友子の目線で描かれ、様々な人物の過去と現在の関係が明らかになっていく。
    風里は趣味の刺繍が徐々に生きていく糧となり、イラストレーターの日下と付き合うことに。
    そんな生活の中、風里の夢に変化が起きる。
    上巻のほんわかした雰囲気は全くなく、明らかになるそれぞれの過去に心が重くなることも。
    標本の話もほとんど出て来ないのも残念。
    唯一救いだったのが、最初に仕事に疲れて、心身共にどうにもならなかった風里が思い切って仕事を辞めることで、いろいろあっても、好きな趣味が仕事になっていっていき、幸せになれたこと。
    この作家さんの作品は、他の作品でも人の死を多く描いているが、ここまで重いのは初めてで、上巻が面白かっただけに、ちょっと残念。
    個人的にファンタジーが好きじゃないのも、合わなかったのかも。

  • 物語は、過去と現在のみならず、ますますファンタジーな展開に。
    風里の住む離れや、本家の謎、井戸の謎、過去に住んでいた人々と風里の関わりが、全て解きほどかれていく。

    芸術、物づくりを主題にするほしおさん。細やかな手仕事の背景にあるシビアな現実と、芸術家の突き詰めた怨念のような情熱があることを描いて見せたような気がします。

  • 風里と日下さんの関係や、葉の苦悩と過去の出来事が描かれ、そうか、そうだったのか…の展開。うん、この物語、いいなーーー。風里の刺繍、見てみたい。

  • 心も体も疲れた風里がゆっくりと緩やかに
    再生していく。
    住む場所の歴史と自分の心と愛する人の心の
    リンクの仕方がとっても複雑でひもとけばシンプル。
    やさしく、そして勇気の持てるお話でした。
    全部が繋がると言えばつながるけれど、絡めすぎな感じもある。
    けれど、最初に読んだときより深く感動した。

    今の私が、読んで正解!なんだと思う。

  • 元々『恩寵』という作品を改題・改稿された作品だそうで。知らずに上巻と下巻の間に恩寵も読んでしまいました。加筆はされているけれど、そんなに変わっていないような…

  • 何も前情報を持たずに読み始めたから、いきなり過去に場面が切り替わってびっくりした。もう少し、標本の話や研究室の話も読みたかった。途中で登場人物と関係性が覚えきれず、自分で関係図を書いた。下巻は視点もころころ変わって、誰の視点なのか分かるまでは戸惑う。夢見という、ファンタジーなお話。命はDNAという物理的なものだけではなく、才能などの目に見えないものも繋いでいくんだというテーマな物語。哲学的、概念的なセリフが多かった。

  • シリーズ下巻。
    舞台は標本室から離れ、風里が住む家に昔住んでいた人たちと、その息子たちのお話。
    家を建てた人から3代に渡る物語が中心となる。
    風里と不思議な縁で繋がっていて、彼ら、彼女らの悲しい過去を知り、それらは夢で繋がって、未来へと繋がっていく。
    一人一人の人生にスポットを当てながら、広い視野で「生」を見る…。
    期待を裏切らない面白さだった。

  • 後半はぐっとファンタジー色が強くなりました。
    主人公の夢見の力が、こんがらがった糸を解いていく……
    そんなイメージ。
    しかし三代に渡る人々の縁交わりすぎてちょっと関係図欲しくなりました(^-^;
    出てくる人殆ど何かに秀でたちょっと多感な人ばかりだし、そこも少し疲れる要素かも。
    でもモチーフは全部好きなんだよね。

    解説 / 東 直子
    カバーイラスト / カシワイ
    カバーデザイン / 名久井 直子
    注記 / 本書は2008年12月に角川書店より刊行された『恩寵』を大幅に改稿の上、改題したものです。

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著者プロフィール

1964年東京都生まれ。作家・詩人。95年「影をめくるとき」が第38回群像新人文学賞優秀作受賞。2002年『ヘビイチゴ・サナトリウム』が、第12回鮎川哲也賞最終候補作となる。16年から刊行された「活版印刷三日月堂」シリーズが話題を呼び、第5回静岡書店大賞(映像化したい文庫部門)を受賞するなど人気となる。主な作品に「菓子屋横丁月光荘」シリーズ、『銀塩写真探偵 一九八五年の光』がある。

「2021年 『紙屋ふじさき記念館 故郷の色 海の色』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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