えーえんとくちから (ちくま文庫)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 62
レビュー : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (197ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480435750

作品紹介・あらすじ

風のように光のようにやさしく強く二十六年の生涯を駆け抜けた夭折の歌人・笹井宏之。そのベスト歌集が没後10年を機に待望の文庫化! 解説 穂村弘

感想・レビュー・書評

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  • 没後10年夭折の歌人のベスト歌集。軽快かつ奥深い言葉の広がり、優しさと弱さが同居している。詩と異なりあまり触れることのない短歌の世界に、この一冊が導いてくれたとしたらこの歌人が果たした役目は大きいだろう。思いもよらぬ傑作に出会った。‬

  • Instagramで短歌を見かけてから気になっていた歌人。10年前に若くして亡くなっています。

    ストーリーや感情の起伏がそこまで強くはないタイプの短歌ですが、親しみを感じる断片的なものたちを描いたこの短歌たちが好きです。
    最後の方には詩も載っています。

  • 文庫化がほんとうに嬉しい1冊です。
    それと同時に、"没後"10年でこの文庫本が出版されたことを悲しくも思います。

    表題の作品をはじめて読んだときの、衝撃と感動を忘れられません。なんて美しい事態だろう、と深呼吸しました。

    短歌を読むとき感じることはたくさんありますが、言葉の化学反応と言葉の再発見について、とくに大きく深く感じます。
    誰もが知っている、だけどここに結びつくとは思ってもみなかった言葉が、静かな音で降ってきて、31音の枠内に最も相応しい光りかたをする。

    軍手と図書館、宇宙服と青林檎、食パンの耳と祈り、美術史と味覚、思い出と霧吹き……

    挙げたらきりがないくらい、ああここにこの言葉がくるのか、と感動しっぱなしでした。わたしの知らなかった言葉の置きかた、音の鳴らしかた、句読点の降らせかた、がこんなにたくさんあったのでした。薄い冷たい手のひらが静かに透き通るような、不思議な優しさです。

    夕焼けを眺めているときに感じる郷愁に似た、少しさみしくて、少し優しくて、少し懐かしい、そういう言葉の郷愁が、笹井さんの短歌にはあるような気がします。
    たった31音のつらなりを読んで引き出される感情の、この名付け得なさ、掴みどころのなさ、それなのにとてもいとおしいのは、なぜなのか、わかりません。

    言葉に触れることができたなら、指でなぞってみたくなる短歌たちでした。やわらかくてつめたくて、夜明けの匂いがしそうな、いのちのインクで詠まれてました。
    唯一無二の、とても美しい歌集です。

  • 光か風か何かのみたいに透きとおったまなざし。「わたし」はでしゃばることなく、いろんなものものと等しく共にある、そんな慎ましさがこのましく心地よかった。「ただしく」「きちんと」「生きる」ことへの切実なあこがれのようなものも感じた。

    〈いつかきっとただしく生きて菜の花の和え物などをいただきましょう〉

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著者プロフィール

1982年8月1日  佐賀県西松浦郡有田町泉山に生まれる。2004年     短歌を作りはじめる。2005年10月   連作「数えてゆけば会えます」で第四回歌葉新人賞を受賞。2007年1月    未来短歌会に入会。加藤治郎に師事。同年度、未来賞受賞。2008年1月25日  第一歌集『ひとさらい』(Book Park)刊行。2009年1月24日  自宅にて永眠。2011年1月24日 『えーえんとくちから 笹井宏之作品集』(PARCO出版)、第一歌集『ひとさらい』、第二歌集『てんとろり』(ともに書肆侃侃房)刊行。

「2013年 『八月のフルート奏者』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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