えーえんとくちから (ちくま文庫)

著者 :
  • 筑摩書房
4.44
  • (31)
  • (18)
  • (5)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 342
レビュー : 33
  • Amazon.co.jp ・本 (197ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480435750

作品紹介・あらすじ

風のように光のようにやさしく強く二十六年の生涯を駆け抜けた夭折の歌人・笹井宏之。そのベスト歌集が没後10年を機に待望の文庫化! 解説 穂村弘

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ‘えーえんとくちからえーえんとくちから永遠解く力をください’

    ああこれ絶対好きなヤツ。
    好きすぎて泣くヤツだ、と思いながら読んだ。
    案の定うるる、ときてしまった。

    2009年、26歳で惜しまれつつ亡くなった歌人、笹井宏之さんのベスト歌集を没後10年を機に未発表原稿を加えて文庫化したもの。

    文庫版には黄色い紙が入っていて、そこには漫画『ダルちゃん』の作者はるな檸檬さんのエッセイが載っている。
    何と、『ダルちゃん』の重要なシーンに使われている本がこの作品集のハードカバー版だそうだ。

    ‘「はなびら」と点字をなぞる ああ、これは桜の可能性が大きい’

    ‘拾ったら手紙のようで開いたらあなたのようでもう見れません’

    ‘このケーキ、ベルリンの壁入ってる?(うんスポンジに少し)にし?(うん)’

    ‘ひまわりの死んでいるのを抱きおこす 季節をひとつ弔うように’

    ‘五月某日、ト音記号のなりをしてあなたにほどかれにゆきました’

    ‘人類がティッシュの箱をおりたたむ そこには愛がありましたとさ’

    どこが好きなのか、と問われたら「とにかく優しくてほんのりあたたかく、茶目っ気と真剣さが程よい具合で混じり合ってるトコが好き」と答える。

    読んでいる間は笹井さんに恋い焦がれているといっても過言ではない。そこにいるひとのように。

    もう10年も前に亡くなったひとなのに。

    ‘別段、死んでからも遅くないことのひとつをあなたが為した’

    • やまさん
      5552さん
      おはようございます。
      コメントといいね!有難うございます!
      きょうの天気は、快晴です。
      今日も一日、健康に気を付けて良...
      5552さん
      おはようございます。
      コメントといいね!有難うございます!
      きょうの天気は、快晴です。
      今日も一日、健康に気を付けて良い一日にしたいと思います。
      やま
      2019/11/12
    • 5552さん
      やまさん。
      おはようございます。
      こちらも今日は快晴です。
      昨日はヒョウと大雨で大変でした。
      怖かったです。
      コメントといいね!あ...
      やまさん。
      おはようございます。
      こちらも今日は快晴です。
      昨日はヒョウと大雨で大変でした。
      怖かったです。
      コメントといいね!ありがとうございました。
      やまさんの今日が有意義な一日になりますように!
      2019/11/12
  • ああ、もうだめだ…

    一気に読むのが勿体なくて、
    少しずつ読むことにする。
    (まだ最初の2章しか読んでない)

    今日は寝る前にドラマを観ようと思ってたけど、
    やめて余韻を噛みしめながら寝ることにする。

    これは笹井宏之さんという、ぼくと同世代で、10年前に26才の若さで早世した歌人の、ベスト歌集。
    ある方のブクログのレビューで知って、これは読むしかない、ということで今日届いた。
    詩が好きなつもりでいるけど、難しい言葉や理性を感じるとつい敬遠してしまって、好きな詩人は少ししかいない。だから、こういうときほどブクログのありがたさを感じることもない。



    葉桜を愛でゆく母がほんのりと少女を生きるひとときがある

    ゆっくりと上がっていってかまいません くれない色をして待っています

    からっぽのうつわ みちているうつわ それから、その途中のうつわ

    できるだけふるいまぶたをあけてみる そこには海があるはずなんだ

    一様に屈折をする声、言葉、ひかり わたしはゆめをみるみず

    「スライスチーズ、スライスチーズになる前の話をぼくにきかせておくれ」

    鞄からこぼれては咲いてゆくものに枯れないおまじないを今日も



    優しくて透明で、どこか不思議な、なんとなくピアノの右の端の方にあるとても高い音の鍵盤が鳴る感じに似ている、と思ったら、あとがきにピアノを弾いておられたと書いてあった。
    頭でもなく、胸でもなく、全身の手足にまで響いてくるような感動があった。じっくり全部読み終えたときには、もうおいそれとは感想が書けなくなりそうだと思い、いま書きました。

  • 空にただよう風が残したスケッチのような言葉たち。ものは自由自在に別のものに変わり、会話し、触れ合う。
    新たに自由詩が収録。「再会」という詩がとても気に入った。

  • ▽手のひらのはんぶんほどを貝にしてあなたの胸へあてる。潮騒

    ▼個人の短歌集です。「えーえんとくちから」笹井宏之。初出は2010。ちくま文庫。2020年5月読了。衝動買いした1冊。

    ▼笹井宏之さんは、1982-2009だそうです。享年26歳か27歳。佐賀県有田町で15歳から身体表現性障害という難病を患っていたそう。僕は不勉強でどんな病気かもわかっていませんが。

    ▽この星に消灯時間がおとずれるときも手を繫いでいましょうね

    ▼ドキンとするほどロマンチック。生きてゐる、という感覚。エロティック。比喩というか擬人化というか、別の宇宙へ一瞬で吹っ飛んでいくスピード感とか疾走感もあります。若さと刹那と言いますか。ああ、この瞬間が永遠なら良いのに、と何度か思ったとして確実に時は過ぎ老けて斜に構えるより他にない恥ずかしさ、みたいな足元のネバネバを、爽快に剥ぎ取るような。チコちゃんに、ボーッといきてんぢゃねえよ!と、脳天からカチ割られるような気持ちよさ(ちゃんと見たことは無いんですけれど)。

    ▽「スライスチーズ スライスチーズになる前の話を僕に聞かせておくれ」

    ▽しっとりとつめたいまくらにんげんにうまれたことがあったのだろう

    ▽切れやすい糸で結んでおきましょう いつかくるさようならのために

    ▽ふわふわを、つかんだことのかなしみの あれはおそらくしあわせでした

    ▽魂がいつかかたちを成すとして あなたははっさくになりなさい

    ▼ちなみに俳句も作っています。

    ▽あの山を夏だと仮定して叫ぶ

    ▼コレなんか、もう脱帽。ひれ伏します。仮定、なんて言葉をぶっ込んできて、山に叫ばれたら、なんかもう感情的にならざるを得ぬ。緊張と緩和。そして、むせ返るような夏の空気。生きてることを手のひらで掴んでしまった感触がざわざわします。勘弁してほしくなります…

    ▼的はずれな感想ですが、この本、他社から単行本が出ていて、恐らく絶版になっていたのを、ちくま文庫が文庫化したもののようです。そして電子書籍にもしてくれた。流石、筑摩。

    ▼正岡子規34歳。中原中也30歳。石川啄木26歳。フィッシュマンズの佐藤伸治33歳。岡真史12歳。天才が早世するのか、早世したから天才と呼ばれるのか、いずれにせよひねくれた詮索も、夏の夕立みたいに残されたコトバに襲いかかられると虚しく恥ずかしくなります。ネットに溢れる「1分で感動」みたいなのは、なんと色褪せることでしょう。笹井宏之さんは、「インターネットが生んだ、唯一の衝撃的な詩人」なんて称されるそうですが。コトバの才気というのは年齢と無関係なのか。そう思うと長生きした詩人たちの戦いも滋味深いですが。

    ▼どこでひとマス開けるのか。漢字なのか平仮名なのか。句読点でも括弧でも、なんて自由でロックンロールで静寂。めくるめくニホンゴの海、七五調がなんでこんなに予測不可能な情熱の受け皿になるんでしょう。ペトルチアーニのほとばしる演奏のような。

    しばし、打ち砕かれたのは、下の一首。


    ▽午前五時 すべてのマンホールのふたが吹き飛んでとなりと入れ替わる

  • 以前穂村弘さんの本で知り気になってた方。文庫になったのをやっと見つけて書店で購入。シンプルな装丁と澄み切ったような歌が合ってる。

  • 平衡感覚を失いそうなこの時に出会えて、心が少しふわりとしました。

  • 気に入りのカフェでモーニングをしながら一気に読む。遠くへと向かう列車の中でその車窓から、美しい木立が後ろへ後ろへと流れてゆくさまを見つめ続け、気がついたら眠りに落ちていたような。少しだけ心細く、けれど同時に安堵感もある。私は新しく確かな場所へ行くのだと。そんな読後感。次は本当に、旅の中、列車の中で読みたい。きっと持って行こう。

  • 夭折した歌人の短歌集。作者は病魔に侵されほとんど寝たきりの状態であった。

    __________________

    日常にありふれた物を主体にした句が多い。汎心論的。海、風がよく出てくる。現代短歌にありがちだが、意味不明なものが多い。

    解説を読んで思うが、作者の死や病魔に侵されていた、ということに触れるべきなのか疑問だ。亡くなったこと、闘病していたことをひとつの売り文句として消費しているのではないか。これらの句は作者にとっては、闘病という状況が無ければ生まれてこなかったかもしれない、また短歌が作者の支えのようなものになっていた、というのは事実かもしれないが、それを能動的に語ることはおかしい。文芸的な評価と作者の状況は切り離して考えなけれならないと思う。

    表題作が最も秀逸だと思う。が、他にも十数点ほど優秀だと思った句があった。また、p175の夕刻遊歩という詩も良い。 

  • 2020.4
    うわ。なんだろこの感覚。優しくて切なくて。言葉はこんなにも眩しい。毎日でも読める。

  • 短歌、俳句、詩、どの言葉もはっとする光や空気がありました。
    研ぎ澄まされてる。
    こんな風に言葉を切り取れるのは、お持ちだったご病気のせいも少しはあるかもしれないけど、それはきっときっかけでしかなかったのだろうと思いました。ご病気でなくても、笹井さんは言葉を紡いでらしただろうな、と。
    もっと読みたくなると同時に、もう新しい作品を読むことは出来ないのだと思うととても悲しいです。

全33件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1982年佐賀県生まれ。2004年より作歌をはじめる。2005年、連作「数えてゆけば会えます」で第4回歌葉新人賞を受賞。2007年、未来短歌会に入会、同年度の未来賞を受賞。2008年、第一歌集『ひとさらい』(Book Park)刊行。2009年1月24日、自宅にて永眠。2011年、『えーえんとくちから笹井宏之作品集』(PARCO出版)を刊行。第二歌集『てんとろり』刊行、併せて『ひとさらい』再刊(ともに書肆侃侃房)。2018年、その早逝を惜しむ声を受けて、書肆侃侃房が短歌新人賞として笹井宏之賞を創設。第1回受賞者が2019年2月に短歌ムック『ねむらない樹』vol.2にて発表される。ブログ「些細」http://sasai.blog27.fc2.com/

「2019年 『えーえんとくちから』 で使われていた紹介文から引用しています。」

笹井宏之の作品

えーえんとくちから (ちくま文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする