- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480435767
作品紹介・あらすじ
人気の漫画家が、かつてエロ本ライターとして取材した風俗やAVから、テレビやアイドルに至るまで、セックスをめぐる男女の欲望と快楽を考える。
感想・レビュー・書評
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『男しか行けない場所に女が行ってきました』(2015年刊)を文庫化にあたり改題。
簡単に言うと、著者が男性向け性風俗産業のライターの仕事を通して考えたことを書いたエッセイ。
……と、これだけ書くとイロモノ感がハンパないと思うのだが、どうにもそれだけでは収まらないものがある。
というか、著者の考えに圧倒される本なのだ。
安易なフェミニスト本ではなく、正義感ぶった社会派ルポルタージュでもない。
赤裸々で下世話な話といえばそうかもしれないが、私たち女性がずっとモヤモヤし続けながらも目を背けてきたことを、ものすごい文才で言語化している。
最近たて続けに何冊か著者の本を読んだが、マンガよりエッセイの方が圧倒的に向いているような気がする。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
面白いです。最初のうちは、セックス産業潜入レポで、女性がやってる面白さが際立っているが、そろそろネタ切れかなって感じさせるあたりから、筆者の意見が色濃くなってくる。最後には壮大なジェンダー論になっており、深く考えさせられる一冊。セックス産業という男女の一面を、深く観察した筆者が書いたジェンダー論は必見。
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エロ本編集者だった著者が様々な性にまつわる現場を取材したルポ。ストリップ劇場への取材があり。
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著者、田房永子の記事をネットで読んで引っかかるものがあったので読んでみた。まず「男でごめんなさい」。
もう、反論する気力がなくなるくらい殴られた気分になる。
とろこどころクスッと笑えるエピソードもあるけど、それだけに一層切なくなる。
私はあんな奴らとは違う、とも言い切れない。そういう欲望、自分も隠し持ってる。
でも、本書のおかげで、私は人として少しやさしくなれたと思う。女性が女性だというだけでこんなに怯えており、男性が男性だというだけでこんなに無神経でいるという世界。息子に、娘に、見せたくないから。
もう一つ。最後に毛色の違う文章がある。AKB考。これを読むと、著者の観察眼の細かさに気が滅入りそうになる。こんなに気がつく人だと、男性女性問題でなくても生きづらいだろうなぁと思う。文章を読ませてもらう分には「(苦労)3ヶ月分を30分にギュッと縮めて見せてもらってお得」なんだけど、本人の苦労と気苦労を思うと胸が潰れそうになる。鈍感でごめんなさい。気がつかなくて、能天気で、すみません。 -
セックス産業がどんなものかなかなか知る機会がないので、ブラックボックスのなかを明かしたような気持ち。知ることによって、男性に対する嫌悪感が増すことが少し心配だったが、全くそんなことはなかった。そういう書かれ方をしていないからだと思う。コミカルな文章に笑える部分すらあった。最後にはしっかりジェンダー論に発展させられている。あとがきは「女たちは男たちは、自由になれているのだろうか」で結ばれている。女性が感じている違和感をこうして明るみに出していくことで、女性も男性も自由になるための道が見えてくるのではないかと思う。
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女性へのセクハラ(広義で恥ずかしい)に違和感を持ち続けてきた男性目線ですが、このよくわからない違和感をとても痛く刺されるような表現をしてくれていて読んでて納得できる内容だった。感受性豊かな人や実際に経験したことがある女性の方は気分が悪くなってしまうかもしれないなぁと思うくらいにはスッキリ言語化されていた。
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改めてグロテスクさというか、男女の偏りを強く感じる本だった。無意識のうちに男だから仕方ないと考えてしまう自分を恥じた。男社会は見たいものだけを見て、聞きたくないことは耳をふさぐというスタンスでここまで来てしまっていると考える。その分の不快さを女性に押し付けてしまっているのではないか、と。
とあるテレビ番組について述べられた部分で、差別というのは、社会規範をきちんと身に着けた人が、その社会のコードに従って行うものという話を思い出した。男社会、むしろ日本社会の優等生であればあるほど、無意識に差別をして、差別をしたことにすら気がつかないのだと思う。
少しづつ、少しづつよくなっていけばいいと思う。急に変わるのはバックラッシュが大きいから、ゆっくりと。じわじわと。不可逆的に変わっていく必要があるのだと思う。男性が好きなことを言えないとか、生きづらくなったとかいう主張には、それぐらいでちょうどいいんだ、いままで甘やかされすぎたんだと言いたい。そんなことを考える本だった。 -
田房永子さんが関わってきたエロ業界の話。「私はしずかちゃんになりたかったからエロ業界に入った」って言うのめちゃくちゃ分かるな…
私はどちらかというと気にせず男性の下ネタトークに混ぜて欲しかったタイプなので、田房さんの気持ちがものすごく分かる。
しかし村西とおるは群を抜いてすごいというか、次元が違う。
著者プロフィール
田房永子の作品





