他人のセックスを見ながら考えた (ちくま文庫)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 100
レビュー : 13
  • Amazon.co.jp ・本 (322ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480435767

作品紹介・あらすじ

人気の漫画家が、かつてエロ本ライターとして取材した風俗やAVから、テレビやアイドルに至るまで、セックスをめぐる男女の欲望と快楽を考える。

感想・レビュー・書評

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  • 面白いです。最初のうちは、セックス産業潜入レポで、女性がやってる面白さが際立っているが、そろそろネタ切れかなって感じさせるあたりから、筆者の意見が色濃くなってくる。最後には壮大なジェンダー論になっており、深く考えさせられる一冊。セックス産業という男女の一面を、深く観察した筆者が書いたジェンダー論は必見。

  • 著者、田房永子の記事をネットで読んで引っかかるものがあったので読んでみた。まず「男でごめんなさい」。
    もう、反論する気力がなくなるくらい殴られた気分になる。
    とろこどころクスッと笑えるエピソードもあるけど、それだけに一層切なくなる。
    私はあんな奴らとは違う、とも言い切れない。そういう欲望、自分も隠し持ってる。
    でも、本書のおかげで、私は人として少しやさしくなれたと思う。女性が女性だというだけでこんなに怯えており、男性が男性だというだけでこんなに無神経でいるという世界。息子に、娘に、見せたくないから。

    もう一つ。最後に毛色の違う文章がある。AKB考。これを読むと、著者の観察眼の細かさに気が滅入りそうになる。こんなに気がつく人だと、男性女性問題でなくても生きづらいだろうなぁと思う。文章を読ませてもらう分には「(苦労)3ヶ月分を30分にギュッと縮めて見せてもらってお得」なんだけど、本人の苦労と気苦労を思うと胸が潰れそうになる。鈍感でごめんなさい。気がつかなくて、能天気で、すみません。

  • 「他人のセックスを見ながら考えた」田房永子著|日刊ゲンダイDIGITAL
    https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/book/250580

    筑摩書房のPR
    女性ライターがエロ本の取材現場で見た「他人の性」。密着型理髪店、パンチラ喫茶、おっぱいパブなど、さまざまな形態の風俗店にびっくりしたりあきれたり。男の欲望をかえなる豊富なサービスは、ひょっとしたら男たちがのびのび過ごすこの社会と陸続きなのかも。女目線の風俗取材で気づいた、男女のすれちがいあれこれ。
    http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480435767/

  • 田房さんの文章が好きだ。この本はネットレビューを読むと賛否両論だったので、予め期待値を下げて読んでしまったのだけど、それでも幾つかの場面で涙ぐんでしまった。
    「世の男性は、なんて無自覚なんだ!」という怒りが沸くと共に「僕が言葉に出来なかった女性の不満を代弁してくれてアリガトウ!」という感謝の気持ちが溢れてきて、これが文章の力なんだろうな…と思った。

    喩えの面白さ、的確さといったら!最後のAKB論は圧巻だ。
    あとエロ業界の人の面白さがヤバイ。23歳のころ引きこもって1日8回オナニーしていた小此木さんが好き。ホストに貢ぐためにAVに出てる女の子、今どうなってるのか心配になった。

    昔のバイト仲間が偶然AVに出ているのを目撃してしまった話も好き。バイトの作業中、喋り続けてるせいてま手が止まる人、身近にいるし、そこはムカつくけど、こんな面白かったら夢中になっちゃうかもなー。

    あと「外でくつろげない!」って話は、男女差というより性格の問題じゃないかなって気がする。自分も個室ビデオでオナニーすると(後ろに人がいるんじゃ無いか…?)とビビってしまうが、そこも含め、そういうアトラクションだと思ってるんで、しっかりオナニーはするし、満喫はしちゃってる。

    電車で女子高生を見ながらチンコをいじってる中学生を見た、という問題については考えさせられた。
    最後まで読んでハッキリと痴漢だとわかったけど、自分も痴漢行為の手前ぐらいまでは行ったことがある、という気持ちが拭えない。中学生に対し「微笑ましいな」思ってしまうところもある。

    ハッキリ言えるのは、こういったセンシティブな問題に対して発言する時は、踏みとどまって、しっかり考えたほうがいい、ということだろうか。誰かを傷つける可能性とかを考えたら。

  • 読むドラッグ『男しか行けない場所に女が行ってきました』の文庫化。いろいろ勝手だったり混乱しているところもあるけど、そういうのもこの先生の魅力なのだろう。

  • タイトルがちょっと過激だけどいたって真面目な内容。真面目でおかしく、鋭いツッコミ、深い考察、虚しさ、みたいなものを感じる。単行本のタイトルは『男しか行けない場所に女が行ってきました』。文庫版のタイトルだと読んだことをオープンにしづらいので前のほうが良かったな。内容的にも前の方が合っていたんじゃないかなと思う。この手の産業全般が、身勝手な男の夢も上に成り立っているという指摘にそうだよなあと大きく頷いた。荒木飛呂彦『ホラー映画論』にあった「ガス抜き」と同じようなことかもしれないけれど、映画と違ってこちらは生身の人間が対処していることなので肯定はしづらい。社会の闇の部分とでも言うのだろうか。田房さんのエッセイは引き続き読んでみたい。

  • セックス産業がどんなものかなかなか知る機会がないので、ブラックボックスのなかを明かしたような気持ち。知ることによって、男性に対する嫌悪感が増すことが少し心配だったが、全くそんなことはなかった。そういう書かれ方をしていないからだと思う。コミカルな文章に笑える部分すらあった。最後にはしっかりジェンダー論に発展させられている。あとがきは「女たちは男たちは、自由になれているのだろうか」で結ばれている。女性が感じている違和感をこうして明るみに出していくことで、女性も男性も自由になるための道が見えてくるのではないかと思う。

  • 単行本『男しか行けない場所に女が行ってきました』を読んでいたので、加筆部分だけサラッと読むつもりが、結局全部再読してしまった。

    文庫版のまえがき・あとがきを読むと、単行本の刊行から4年でジェンダーに関する世の中の認識が大きく変わったと実感した。

  • 令和元年6月9日読了

  • ‪女性が覗いたフーゾク。男しか行か(け)ない場所に行って感じる違和感のはなし。‬
    ‪職場の飲み会なんかでよくあるエロ話や性別の役割分担、あれがいつもキツい。所詮こんな人なのかって(男でも女でも)幻滅するあの感じ。‬
    ‪でも、あとがきにあるように単行本から文庫になる5年で随分変わってきたのも確か。‬

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著者プロフィール

1978年東京都生まれ。漫画家、ライター。2001年第3回アックスマンガ新人賞佳作受賞。2005年より男性向けエロ本、実話系雑誌、スポーツ新聞の風俗欄で連載を持つ。10年より「ラブピースクラブ」などの女性向けWEBサイトで連載を持ち、意識が完全にフェミニズムへシフトする。母からの過干渉の苦しみと葛藤を描いたコミックエッセイ『母がしんどい』(KADOKAWA/中経出版)を12年に刊行、ベストセラーに。他の著書に、男性中心社会における女性の苦しみにピントを当てた『ママだって、人間』(河出書房新社)、『他人のセックスを見ながら考えた』(ちくま文庫)など多数。

「2019年 『エトセトラVOL.1』 で使われていた紹介文から引用しています。」

田房永子の作品

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