- 本 ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480436856
作品紹介・あらすじ
豊かな恵みに満ちた森は、時に別世界への通路や魔術的な結界となる。宮崎駿、古井由吉、佐藤さとる、多和田葉子……日常を離れて楽しむ38編。
感想・レビュー・書評
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森というより山の、それもエッセイが多かったです。
森の物語があまり無かったのが、タイトルから期待してたのとは違ってたのでちょっと残念。個人的な感覚です。
それでもいくつかは面白く読みました。初めて読んだ中里恒子さん、他のお話も気になります。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
森と山に関する物語・エッセイなどのアンソロジー。
面白いものもあれば
さほどではないものも。
個人的には
「谷」 古井由吉
「森と言葉」 辺見庸
「遺跡訪問ー或いは牧歌の領域」 中村真一郎
「エーデルワイス」 串田孫一
が興味深かった。 -
異界のメタファーとして山と森は同質か。
現実世界では山頂に到達するには森を通過せねばならず、なるほど山と森は一体化している。
本書でもテーマは森から山へ谷へ高原へと自在に行き来する。
しかし山には「今ここ」を侵蝕する怖さはない。
隣り合い重なり合う気配はやはり森のものだ。 -
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/764850 -
テーマに沿っていない作品が混じっているような?
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タイトルと、ヒグチユウコさんの表紙が可愛いので期待していたのだけど、正直に言ってちょっと「思ってたのと違う…」という感じでした。7つの項目に大まかにジャンル分けされていますが、目次見てわかるとおり、後半ほとんど森ではなく山の話です。しかもエッセイ率がかなり高い。なぜか登山の魅力についてのエッセイをえんえん読まされる…。
前半はまあ概ねタイトルに添ったようなお話も多かったですが(佐藤さとる「そこなし森の話」や、古井由吉の「谷」は良かった)、たとえば「戯曲 楢山節考」とか、深沢七郎が楢山節考を自ら戯曲化していたこと自体は興味深かったものの、このへんもほぼ「山」の話なんですよ。恐山のイタコも個人的には面白いけど、このアンソロジーに入れちゃうのかっていう、もやもや。
1作1作は別に悪くない、読めばそれなりに面白い作品もあるけど、基本的に私は「物語」を読みたいタイプなので、アンソロジーで半分以上がエッセイとかちょっとしんどい。なんかもっと、森っていうならキノコとか動物とか、妖精とか精霊とかそういうのが出てくるファンタスティックなお話が多くなるかと期待していたので、あてがはずれてちょっとしょんぼりしました。
※収録
1 深い迷路の奥で
「まっくら森の歌」(村田沙耶香)/谷(古井由吉)/そこなし森の話(佐藤さとる)/森と言葉(辺見庸)/遺跡訪問――或いは牧歌の領域(中村真一郎)
2 森の音に耳を澄ます
森の音(倉本聰)/狼森と笊森、盗森(宮沢賢治)/森番(伊藤比呂美)/きつねの森(多和田葉子)/赤ずきん(池田香代子)/森の持つ根源的な力は人間の心の中にも生きている――『もののけ姫』の演出を語る(宮崎駿)
3 森で迎える死と祈り
戯曲 楢山節考(深沢七郎)/恐山の女たち(松永伍一)/口寄せ(寺山修司)/死の山、月山(森敦)
4 ウィーンの森、ラインの森
ウィーンの森の物語(池内紀)/森と湖に囲まれた国(五木寛之)/森の孤独(高田博厚)/森の魅惑――エルンスト(大岡信)/森の感覚(大佛次郎)
5 高原/別荘/ふくろう
森の中(中里恒子)/はじめてのものに(立原道造)/山小屋作りと焚き火の日々(佐々木幹郎)/森のふくろう(馬場あき子)/森を歩く(稲葉真弓)
6 森林限界とアルピニズム
初めての登山(俵万智)/山上に立つ(亀井勝一郎)/氷壁(井上靖)/山岳(前田夕暮)/南アルプスの懐(中川與一)/初登山に寄す(今西錦司)/机上登山(吉屋信子)/富士のいろいろ(堀口大學)
7 アルプスの少女と山ふところ
アルプスの少女(石川淳)/アルプスへの憧れ(深田久弥)/スヰス行(横光利一)/エーデルワイス(串田孫一)
著者プロフィール
和田博文の作品





