日本の台湾人 故郷を失ったタイワニーズの物語 (ちくま文庫)

  • 筑摩書房 (2023年8月9日発売)
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  • 本 ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480439000

作品紹介・あらすじ

蓮舫、辜寛敏とリチャード・クー、東山彰良、温又柔、ジュディ・オング、余貴美子、羅邦強、安藤百福、陳舜臣、邱永漢らの人生から戦後史を照射。



戦後の日本と台湾をつなぐファミリーヒストリー



戦前まで日本であった台湾。戦後政治に翻弄される台湾。政界、経済界、学界、そして芸能界、文芸分野まで、広く活躍する台湾出身者たちがつないできた日本と台湾の深い絆をたどる。蓮舫、安藤百福、羅邦強、ジュディ・オング、余貴美子、東山彰良、温又柔、辜寛敏とリチャード・クー、そして陳舜臣、邱永漢……。彼らのファミリーヒストリーから、日台関係の光と暗部を浮き彫りにする。

『タイワニーズ――故郷喪失者の物語』を加筆・改題のうえ文庫化!

感想・レビュー・書評

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  • 一番近い国である台湾を、知っている様で知らず。
    この本を読む前に、一青妙「私の箱子」を読んで台湾への関心が増したところで読み始めた。
    たくさんの積読や他に読んでいる本と並行して、時には放置してやっとこ読み終えたそんな本。
    とは言え、内容はとても濃く読んで良かったと思えるそんなものだった。

    ある先輩は、「この本は後書きだけでもいいから読んでごらん」とか「巻末の解説から読んだらいい」そう言うのだけど、私は本は最初のページから最後のページに向かって読むものだという姿勢で終わりらへんのものから読むなんて気がしれない、そう思ってきた。
    この本もまたその様に初めから終わりに向かって読み読了したが、最後の最後でその先輩の仰った意味がなんとなく理解できた。
    この本こそ、巻末にある終章やあとがき、年表を読んでから読み始めたら一味も二味も入ってくるものがあると思えた。

    さて、この本で特に心に残った部分
    宮古島の島民が流れ着いた台湾で先住民に殺されたので出兵し懲罰に行った1874年
    魚問という詩集に「魚が言いました、わたしは水の中で暮らしているのだから、あなたにはわたしの涙が見えません」王璇(ワン・シュエン)は、東山彰良の父王孝廉(ワン・シャオリエン)のペンネーム

    ジュディ・オングの人生を一言で表現してみてくださいと父の翁炳栄にインタビューしたところ「悦己悦人」 ユエ・ジー・ユエ・レン
    人が喜ぶことを自分の喜びとすると答えたと…
    親が子をそんな一言で表すなんて素敵な家族だとジュディさんにもお父様にも関心を持ちました。

    また何かの縁で台湾に触れる書と出会えることを願って読了とします

  • 【著者インタビュー】新刊『タイワニーズ 故郷喪失者の物語』で問い直す戦後日本と台湾-ジャーナリスト・野嶋剛 | nippon.com
    https://www.nippon.com/ja/guide-to-japan/bg900006/

    タイワニーズ : 故郷喪失者の物語 - Webcat Plus
    http://webcatplus.nii.ac.jp/webcatplus/details/book/31287590.html

    筑摩書房 日本の台湾人 ─故郷を失ったタイワニーズの物語 / 野嶋 剛 著
    https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480439000/

  • 日本の政界、経済界、学界、芸能界、文芸界で活躍する、台湾のルーツを持つ著名人たちのファミリーの歴史を通して、故郷喪失者の物語が描かれる。

    紹介されたのは蓮舫、辜寬敏、東山彰良、温又柔、ジュディ・オング、余貴美子、羅邦強、安藤百福、陳舜臣、邱永漢ら。彼ら自身及び先祖の物語を通して、戦前は日本、戦後に中華民国になった台湾の歴史の複雑さがよく伝わる。

  • 陳舜臣の文体が好きだ。生まれた台湾の亜熱帯の様な粘着質な感じでも、育った神戸の港町の様な陽気な感じでもない、大陸シルクロードに吹く風の様などこか乾いた文体。

    本書にも陳は取り上げられ、陳は「戦前の日本や戦後の台湾、あるいは中国の激動のなかで味わった喪失感を、さらなる作品の原動力に変えてきた」とある。喪失感の代わりに得たマイノリティとしての視点から一歩退いて物事を見つめ、乾いた文体によって表現したのだろうか、と思ったりした。

    「秘本三国志」5巻の最後に呂蒙、関羽、関平、孫皎が死んだ後に孫権が「なんだ。…みんな死んだか。…」と呟く。この一言が胸を打つ。

    喜久屋書店阿倍野店にて購入。

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著者プロフィール

野嶋 剛(のじま・つよし):1968年生まれ。ジャーナリスト、大東文化大学教授。朝日新聞入社後、シンガポール支局長、政治部、台北支局長、国際編集部次長、アエラ編集部などを経て、2016年4月に独立。『ふたつの故宮博物院』(新潮選書)、『認識・TAIWAN・電影――映画で知る台湾』(明石書店)、『蒋介石を救った帝国軍人――台湾軍事顧問団・白団の真相』(ちくま文庫)、『台湾とは何か』『香港とは何か』(ちくま新書)、『新中国論――台湾・香港と習近平体制』(平凡社新書)など著書多数。著書の多くが中国、台湾で翻訳刊行されている。

「2023年 『日本の台湾人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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