- 筑摩書房 (2024年1月15日発売)
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感想 : 20件
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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784480439314
作品紹介・あらすじ
偏見、決められた結婚、友情、文学への情熱、美しい北海道の自然……明治末の女学生・野村悠紀子の青春と苦悩を描く少女小説の傑作。解説 堀越英美
感想・レビュー・書評
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著者の半生を反映した1940年刊行の小説。
北海道を舞台にした明治の文学少女というのが、とても伝わってくる。
風景、季節の表現が目に映るようであり、良妻賢母教育に抗う硬派な明治の文学少女らしい言葉使い。
文学を愛した少女の信念すら感じるほど。
偏見や噂などを気にして、悩みながらも成長していく少女の姿をいつまでも追いかけたい気持ちになった。
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特に知識なしで読み始めてしまい
時代背景が飲み込めず、ひたすら
もどかしく哀しい気持ちになっていった。
解説を読み著者の自伝的な位置付けや家長が結婚を決める時代背景を知る。
読んでいて、文学への想いを抱えて気持ちを随筆、自伝小説にこめていく姿が「更級日記」を思い出させた。
当人が「恋」であることに気づいてない感じが、解説を読んで理解出来た。それくらい恋をすることが禁じられていたのね。 -
入手しづらい状態が続いていたが、界隈では人気の作品とのこと。1940年に発刊された自伝的長編小説の復刊と知り、気になって読んだ。
本読む少女は不良だと思われていた時代。
良妻賢母教育に抗う文学少女、悠紀子のお話。
北海道で生まれ育ち、女学校に通う。色々なもめ事があったり、あらぬ疑いをかけられたり、誤解を招く事が多くて、あまり楽しそうではない青春を送っている。
でも土井先生だけは唯一の救いだった。悠紀子のことを、ここに留まっているべき人物ではないと励ましてくれる。そんな土井先生もやがて学校を出て行き…。
あと、お姉さんもいるが病気になって、体の弱い悠紀子は追い出されるように秋田の親戚の元へ送られる。
とにかく、やるせない気持ちになる小説だった。それでも悠紀子が我が道を貫いていこうと決意する最後のシーンは良かった。
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「本読む少女は生きづらい - 明治末の女学生・野村悠紀子の青春と苦悩。少女小説の傑作、待望の復刊!」との帯に惹かれて読んでみれば、何という名作!この手の本を眠らせておいて、本が売れないとか言っている出版社のなんと多いことか…
冒頭「風が、土が、日光が、果実をそだてるとおなじように、その土地の少女もまた、うるわしい果実の一つとして成長する。」と詩的な文章で始まる本作は、明治末に北海道札幌で生まれた、一少女の成長物語。著者自身が幼少期を過ごした経験を踏まえた、半自伝的小説です。
主人公の悠紀子は、文学が好きで、空を眺めていたり、林檎畑に出かけたるのが好きな女学生。しかし、当時は良妻賢母を良しとして、文学に傾倒する女性は不良扱いされる時代。当然、周りから偏見の目で見られたり、勝手な噂を立てられたりしますが、頭の良さが災いして、つい反抗的な態度を取ってしまいます。
そんな彼女が、数々の困難に遭遇し、少しずつ成長していく姿に心打たれます。特に後半、故郷を離れて内地に行って受け取った、反目しあっていた姉からの手紙をもらった場面が心に染みました。
なお、時代が古いですが、現代でも同じような悩みを抱えている女性は多いと思われるので、女性が読むとより共感できるかもしれないですね。
追記:発刊が1940年と古いですが、新字新かな遣いで読みやすかったです。表紙のイラストも好きです。あと、巻末の解説も秀逸で、当時の世相と著者の来歴が紹介されています。著者がリアルで家を出る契機になった母の痛烈な言葉が心に刺さりました。 -
作家の佐原ひかりさんがおすすめしていたので読みました。
北海道が舞台ということもあり、自然の描写が目に浮かぶようでした。そして氷室冴子さんのことや岩井俊二さんの映画なども思い浮かべたり。
そして全ての登場人物の揺れ動く心が良くも悪くも魅力的でした。
言葉とはまったくふしぎないきものである。
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少女小説が好きなのでまだ未読のこちらを読んでみました。刊行1940年当時の時代の雰囲気を難しくなく女性らしい感性で表現されていて、思ったより読みやすかったです。なかなか当時の作品は復刻がされていないものが多いと思いますが、他にもこの時代の作品を読んでみたいと思いました。
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「本読む少女は生きづらい」明治末の北海道で文学や自然を愛した著者の自伝的小説。文学かぶれして煩悶が何とか言うだけで不良少女とされ周囲の無理解に苦しむが、理解し背中を押してくれる存在にはどんなに心強かったことか。詩的な自然描写、揺れ動く感情の表現に酔いしれた。
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明治時代の東北を舞台に、1人の文学好きな少女が様々な経験を通して成長していきます。
主人公はとても芯の通った真っ直ぐな性格だなと思いました。当時の価値観と自身の価値観がずれていたとなれば、さぞ生きにくかったのではないかと思われます。
また、自然の描写が濃密で美しく、とても臨場感のあふれる文章でした。
明治時代の文化がわかるとより楽しめる作品だと思います。 -
何を買って読もうかな〜と悩んでいた時ふと目に入った本。
誰かを待っているかのようにひっそりと置かれた、純粋ながらどこか哀愁を漂わせる少女の表紙に一目惚れして読み進めると、現代とは時代の背景がだいぶ異なるものの、情景がすんなりと目に浮かぶような繊細な表現に引き込まれて一気に読み終わってしまった。国木田独歩という小説家が度々登場するが、この「独歩」というワードが、さまざまな人に囲まれた独りの少女の感情と重なっているような気がして個人的にお気に入りのポイント。
終盤に書かれた、主人公と仲の悪い姉からの手紙は涙せずには見られなかった。何処か間接的な大人、女性への偏見、許嫁等が当たり前だった封建的な時代の苦悩(現代にも通ずる)を受けながらも、純粋無垢で真っ直ぐ、生涯自分の意思で生きようとする石狩少女の姿に、心打たれた。
そのままでいいのだと、背中を押してくれる小説。 -
明治末の北海道札幌で幼少期を過ごした著者の自伝的小説。
私も子供のころ札幌で生まれ育ったのだが、さすがに明治時代の様相はわからないなー、と思いながらも、著書の素晴らしい描写により様々な感覚が記憶に呼び戻された。雪解けあたりの地面の匂いとか肌に当たる冷気とかなんだかはよく知らない木の実が宿る頃のまとわりつく空気とか。ああ、著者も私も北海道の人間なんだなぁ、と時空を超えて感じさせてくれた不思議な書物であった。 -
森田たまさんの復刊、手にとれてよかったです。
明治という時代に良妻賢母になろうとは思わず将来学問で身を立てたいと思っていた悠紀子はこの時代では珍しかっただろうと思う。でも、いつの時代も周りがそうだからと合わせることなく、女性であるとか関係なく自分の道を自分で切り開く人が必ず1人はいるんだなと思いました。
男性でも、女なんだから学問などしなくてもよしと考える人ばかりではなく土屋先生のように「あなたは必ず文章で身をたてる事のできる人です」と言ってくれる人もいて、この時代にそう言ってくれる人と出会えるのは稀だったんじゃないだろうか。
フェミニズム的なものを感じました。 -
自伝的な中編。一八九四年(明治二七年)に札幌で生まれた女の子は文学少女となっていくが、その頃は文学や恋愛は不道徳なものであり、お裁縫に長けた姉と母に虐げられ、周囲の男たちからは揶揄われ、当時としては当然のことながら勝手に顔も知らぬ男を婿養子に迎えることを決められたり、と、散々な青春時代を歩んでいく。しかしそんな時代にもちゃんと理解者は現れる。それが主人公(というか森田たま)を勇気づけていく。正直いってあちこちなんだかなあと思う箇所はあるけれど、それは、今の時代に読むから思うこと。最後の一文には、現代に生きる自分も共感。姉との別れの場面はとても切なくも愛おしい。
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「誰からも離れて、たった一本、山の頂に咲いている桜の花のような女になろう」
「女はたれもかれも、鋳型へはめられて、しやぼん玉を吹くようなのんびりした心の遊び」を失ってしまう
良かった。 -
情景の表現が美しかった。
80年以上も前に刊行されたにも関わらず、主人公の感じる想いにとても共感できるところが多々あった。 -
青山ブックセンターの(確か)昭和女性文学的なフェアで購入。
大人が読む本を読みこなすというだけでたった15歳の少女を「男を悩殺する女になる」と評する気持ち悪さ。(とは言え、性交同意年齢が16歳(たったこの前までは13歳)のいまも変わってないだろう)
姉・母親と折り合いが悪いのもきっと文学を愛することとは無関係でなく、規範とかいうもので女同士を分断するのほんまに勘弁してくれ〜〜明治から変わってないんかい〜〜 -
強くまっすぐな人間に出会えた作品です。
明治を舞台にしていることから、女性の立ち位置があまり良くありません。
文学を読むことが野蛮とされる。良妻賢母、勉学よりも裁縫や料理。子どもがいて家庭の中心でも、姑や舅によって家から追い出されてしまう嫁などなど....
私が印象に残っているシーンは、最初主人公が名前を聞かれるところです。しかし、主人公は答えません。なぜなら答えたくなかったからです。
自分の気持ちに正直で強い。このような自分を強く持てる人間になりたいと思わせてくれました。
また、最後の「私は一生一人でいようと思ったのである。」で締めくくられているのも心に残っています。
最後の言葉は、秋田で過ごして見て、彼女が彼女らしくいたいと思って出た思いなのではないかと考えます。
著者プロフィール
森田たまの作品
