絶滅危惧個人商店 (ちくま文庫 い-52-4)

  • 筑摩書房 (2024年2月13日発売)
3.76
  • (2)
  • (12)
  • (7)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 141
感想 : 15
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784480439369

作品紹介・あらすじ

名店健在なり!

食品店、質店、銭湯、靴店、文房具店……。

駅前、路地裏、商店街を探して歩いて見つけた。



あなたの町にもきっとある!駄菓子屋、豆腐屋、古本屋など、素晴らしき個人商店の数々。路地裏、駅前、商店街で見つけた魅力あふれる19軒。「個人商店は、地域の人々の交流の場であり、扱い商品の専門家である商店主が地域の消費アドバイザーであったかも──と膨らんだ妄想は、妄想ではなかった。個人商店は『町の宝』だと確信した」(本書「あとがき」より)

解説 北條一浩

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 井上理津子『絶滅危惧個人商店』ちくま文庫。

    東京を中心に今や絶滅危惧種となりつつある趣きのある個人商店を実際に訪ね、その店の特色や生い立ちなどを店主にヒアリングしたルポルタージュ。

    東京の下町では、まだまだ個人商店は健在であるが、たまにオフィス街の片隅に味のある古い個人商店が残っていると驚く。しかし、ここ数年の新型コロナウイルス感染禍で個人商店も打撃を受け、絶滅の危機にあるのかも知れない。


    地方では個人商店は確実に消えつつある。現在、自分はまあまあの田舎に暮らしているが、半径2キロ圏内に個人商店が1軒しか無い。しかも、やっているのか、やっていないのか解らない商店で、利用したことが無い。半径2キロ以内には、かつては商店だったんだろうなという建物の痕跡が数軒ある。

    先日、少し離れた所にミニスーパーともコンビニともつかぬ個人商店を発見した。『何でも揃う』という看板は惹かれて、店の中に入ると確かに食料品から生活雑貨、衣類なども並んでいた。その片隅に昭和初期には当たり前だった金色のアルミの弁当箱を発見した。店のおばさんに確認すると大昔に仕入れ、売れ残った最後の1つとのこと。値札通りの1,000円で売ってくれた。

    地方では、こういう面白い味のある個人商店がどんどん消えている。狸や狐の出るような郊外に出店する大型ショッピングセンターや大型チェーン店に押され、個人経営の食品店、八百屋、魚屋、文房具屋、本屋、衣料品店は消える一方だ。かつては栄えた駅前もシャッター通り商店街と化し、開いているのは飲み屋くらいだ。

    本作でも紹介されている個人経営の本屋も古本屋も絶滅に近い。自分の住んでいる所では、辛うじて1軒だけ個人経営の本屋が残っている。普段、本を買いに行くのは隣町の地元資本の大型書店であるが、たまに個人経営の小さな本屋を覗くのも面白い。個人経営の本屋は特色を出そうと地元在住作家や地元関連の書籍を並べたり、努力している。古本屋に至っては全滅である。隣町の全国チェーンの古本屋しか無いのだ。神田の古本屋街などは本当に羨ましい。

    少子高齢化の加速とコンビニや大型ショッピングセンター、大型全国チェーンの台頭により個人商店はますます絶滅の危機に瀕している。特長のある良い個人商店には是非とも生き残って欲しいものだ。

    本体価格840円
    ★★★★★

    • kaonioさん
      これは読みたいと思う。
      これは読みたいと思う。
      2024/02/26
    • ことぶきジローさん
      kaonioさん。是非に読んでみて下さい。
      kaonioさん。是非に読んでみて下さい。
      2024/02/26
  •  最近は個人商店って、ほとんど行くことがない。まあ床屋さんとクリーニング屋さんくらいか。大型スーパー、コンビニ、ドラッグストア、各種チェーン店ばかりの利用だ。うちの町も、昔からの商店街はシャッター通りと化してる。

     本書で紹介されている商店は、いづれも創業から結構な年数が経っている。しかし跡を継いでくれる人がいないところも多いようだ。「家業」という言葉には代々の職業という意味があるが、健在なのは政治家くらいか。いや「政治屋」というべきか。

  • 【書評】『絶滅危惧個人商店』井上理津子著 - 産経ニュース(2021/1/10)
    https://www.sankei.com/article/20210110-VBYNVZEBKRMGBC573WAEJZ4VEA/

    絶滅危惧個人商店 井上理津子著 : 読売新聞(2021/02/07)
    https://www.yomiuri.co.jp/culture/book/review/20210206-OYT8T50120/

    ◆地域密着の経験と矜恃[評]木村晃(サンブックス浜田山店長)
    絶滅危惧個人商店 井上理津子著:東京新聞 TOKYO Web(2021年2月14日)
    https://www.tokyo-np.co.jp/article/85681

    井上理津子著『絶滅危惧個人商店』 時代の流れにコロナ追い打ち|【西日本新聞me】2021/2/20[有料会員限定記事]
    https://www.nishinippon.co.jp/item/n/695586/

    「絶滅危惧個人商店」井上理津子著|日刊ゲンダイDIGITAL(2024/03/28)
    https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/book/338068

    キャリア35年 フリーライター井上理津子の『絶滅危惧個人商店』に学ぶ、お店取材のコツ | FREENANCE MAG(2021/04/27)
    https://freenance.net/media/interview/8157/

    ノンフィクションライター 井上理津子 - inoueritsuko.com
    https://inoueritsuko.com/

    筑摩書房 絶滅危惧個人商店 / 井上 理津子 著
    https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480439369/
    (単行本)
    https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480818560/
    -----------------------------
    (yamanedoさん)本の やまね洞から

  • 2023.1.14市立図書館
    PR誌「ちくま」連載(2018〜2020)の書籍化(2020年12月)の文庫化。地元で長く愛されているような個人商店19軒を訪ね歩いて取材したレポートで、連載時にずっとおもしろく読んでいて、単行本になったものを図書館で借りて読み直し、文庫入りを待っていた。

    単行本のあとがきから3年、きびしいコロナ禍も経てこれらのお店はどうしているかずっと案じていたが(雑司ヶ谷霊園の花處住吉は2021年3月末で閉店したという記事をどこかで読んだ)、文庫版あとがきによるとおおかたの店は健在とありちょっとうれしくなった。

  • <目次>


    <内容>
    単行本は2020年発行。「ちくま」に連載の記事から。「ちくま」では2018年からの連載なので、今から6年ほど前の話。絶滅危惧種商店はその多くが絶滅したのではないか?そこに見えるのは、店と客の会話。そして店主などのプロ意識。どこかで学ぶよりも経験。こうしたものは、量販店やコンビニではほとんど味わえないもの。だがタイトル通り、こうした店は”絶滅危惧”なのだ。古き良き時代、と簡単に言っていいのか?日本の将来を憂う…。

  • こちらもsimple noteに読了メモがないので忙しかった2024年10月から12月とどこかで読み終えたのだろう。

    著者には取材していただいたことが何度かある。日刊ゲンダイの連載「本屋はワンダーランド」で取り上げていただいたり、『夢の猫本屋ができるまで』で店主の安村正也さんとの話を聞かれたり。いつもにこやかで、それでいていつの間にか要点を聞いていく手法はライターとしてとても参考になるのだが、文章についてもまた同様で、独特の癖の強い文体に始めは驚くのだけれど気がつくと最後まで読み切ってしまっている。この引き込み方は本当にすごいと思う。

    とはいっても実は一冊読み切ったのは『夢の猫本屋』にほかは本書のみで、むしろだからこそ他の本も読みたくなったのだった。次はやっぱり『さいごの色町 飛田』かなあ。

    さて、本書である。本書はPR誌『ちくま』よ連載を文庫化したもので、徐々に、でも確実に減りつつある個人店の店主に著者がインタビューしたものだ。全部で18店。自分も知っている吉祥寺の「ウエスタン」が取り上げられていた(p.122-p.137)のが嬉しかった。それに新刊書店と古書店が1店ずつ掲載されているのも見逃せない。

    以下引用。

    "私? インドネシアに住んでいて、年に二度帰国しますが、その度にこの店に来るんです。靴はこの店でしか買わないから」
     なんと三十年来の常連だという。

    これだけ気持ちよく、いいものを勧めてくれて安心な店、どこにもありません」" p.116

    "出来合いの工具では十分でなく、自転車屋が鍛治をして自分専用の工具も作った。「刀鍛冶と一緒です。親父が、鉄に焼きを入れて強度を高くし、ハンマーやミノを使って、店の一隅で、つくっていましたねえ」" p.150

    "「商売、遊ばなきゃ」" p.196

    "世話になった客が、お礼の気持ちの小銭を箱に入れていく仕組み。三助さんも女中さんも給料は安く、そういった客の「男っぷり、女っぷり」的な謝礼金が主たる報酬だったという。
    「そういうのを知っているのは七十代以上の人じゃない? 東京オリンピック(一九六四年)くらいまでだったから。粋な人がいなくなって廃れましたね〜。" p.297-298

  • 日暮里の中野屋 「金子良子、シャンソン、で検索してみてくださる?」 「ご近所に住んでらして、しょっちゅう買いに来てくださった」という立川談志、「よく買いに来てくださるの。いい男だわよ」の中尾彬らのサイン色紙も何枚か。 佃村の漁民達は家康に懐柔されたと 鶴見のかなさぎ精肉店と魚作分点 神田の越後屋 梅屋敷のレ・アルかきぬま 港区芝の魚屋 持参してきていた包丁を老舗「有次」へ研ぎに出し 地上げに弾みがついたという 山谷の金星堂洋品店 流言飛語が飛び交った 神田神保町のミマツ靴店 吉祥寺ハモニカ横丁のジーンズショップウエスタン 懐中時計を入れる為 阿佐谷の木下自転車店 店の一隅いちぐう 西荻窪の須田時計眼鏡店 しんめい神明通り 知覧 赤湯温泉りんご村 亀有の栄眞えいしん堂 みなみすなまち南砂町のたなべ書店 おうぶん旺文社 大山商店街の竹谷文房具店 麻布十番のコバヤシ玩具店 池上の青木屋 秩父・長瀞ながとろ 雑司ヶ谷の花處住吉 成増の谷口質店 神楽坂の熱海湯 井戸水で薪を沸かしておられたのだ 「そうかい」は肯定も否定もしない相槌だから 気高い商い 一回毎の直感と偶然に委ねられていて

  • 読んでいるうちに自分も筆者と一緒にそれぞれのお店に足を運んで話を聞いているような気分になる素敵な本。
    チェーン店が台頭する現代で生き残ってるだけあってどのお店もドラマがあって彼らの人生を追体験しているみたい。
    お店や店主の歴史もそうだけど、長く営業しているだけあってそのお店のある街の歴史も一緒に話してくれる店主が多いから勉強になって面白い。
    私は比較的小さな街出身でこの本に出てくるような個人商店を沢山見てきてたはずだけど、いざ思い返そうとすると意外と頭の中に浮かんでこなくて悔しい。
    今度街をよく見ながらゆっくり歩いてみようかな。

  • こだわりの個人商店に通いつめ、
    その店主からお店の来歴、お店のこだわり、おもしろエピソードなどを根掘り葉掘り。
    大坂の人が東京の老舗を探訪ということで
    わからないなりの適度な距離感と
    よくぞここまでというしつこさで「お店の秘密」を洗いざらい。

    いやー面白かったです。

    登場したお店
    「中野屋」(日暮里)
    「かなざき精肉店」「魚作分店」(鶴見)
    「越後屋」(神田)
    「レ・アル かきぬま」(梅屋敷)
    「金星堂洋品店」
    「ミマツ靴店」(神保町)
    「ウエスタン」(吉祥寺・ハモニカ横丁)
    「木下自転車店」(阿佐ヶ谷)
    「須田時計眼鏡店」(西荻窪)
    「栄眞堂書店」(亀有)
    「たなべ書店」(南砂町)
    「竹屋文房具店」(大山ハッピーロード)
    「コバヤシ玩具店」(麻布十番)
    「青木屋」(池上)
    「花虎住吉」(雑司ヶ谷)
    「谷口質店」(成増)
    「熱海湯」(神楽坂)

  • 格式高い老舗ではなく、市井のこだわり商店を取り上げている点に好感を持った。不動産バブルを前に店主は商店を続ける意思はあるが、代替わりによる廃業は仕方ないと思えた。

  • 個人商店は減ったとは思う。絶滅危惧は言い過ぎじゃないか?この本を読むと、あながち言い過ぎでもないかもしれないとは思う。まず商店街が減った。そして、なんでも揃う郊外型ショッピングモールが増えて、個人店はますます減った。しぶとく商売を続ける方達は何代目という方が多く、ご先祖様が成したこの商売を自分の代で潰してなるものかという意地もあるだろうし、お客さまのことを考えて続けてる方も多い。後継問題はあるだろうし、続けることは大変だと想像もする。個人商店は「町の宝」はなるほど言い得て妙だと思った。

  • こういった昔ながらの、良い雰囲気のお店がどんどんなくなっていくことに寂しさを覚えながらも、自分の生活を振り返ると、足が向いていないことに気付いてハッとする。こういうことなんだ。
    時代の流れと言ってしまえばもうしょうがないのだが、自分の日々の行いを棚にあげて、このまま減っていくのが正しいのかという思いに駆られる。
    便利さを追求したお店も、昔ながらの個人商店も、どちらも生き残る道はないのかな。

  • 熱海湯の話が載っていたので購入。今となっては少なくなってきた豆腐屋さんや自転車屋さん、質屋さんなど個人で営んでいる商店のとのインタビュー。店主しか知らない昔の状況と今までの変化の話しはとても貴重なものだと思う。

全14件中 1 - 14件を表示

著者プロフィール

ノンフィクションライター。1955年奈良市生まれ。タウン誌記者を経てフリーに。
主な著書に『さいごの色街 飛田』『葬送の仕事師たち』『葬送のお仕事』『師弟百景』『絶滅危惧個人商店』など多数。
人物ルポや食、性、死など人々の生活に密着したことをテーマにした作品が多い。

「2024年 『ガイドブックにない もうひとつの東京を歩く』 で使われていた紹介文から引用しています。」

井上理津子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×