彼女の名前は (ちくま文庫 ち-19-2)

  • 筑摩書房 (2025年1月14日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784480439987

作品紹介・あらすじ

未来のために、「次の人」のために立ち上がる女性たち、28の物語。セクハラにあった女性が闘い続ける理由とは? 推し活で届けたい言葉とは?地下2階の部屋に住む女子生徒の悩みとは? 文庫版のための著者メッセージも収録!

日韓累計165万部突破の『82年生まれ、キム・ジヨン』の次作短編集。

文庫解説=桜庭一樹、解説=成川彩 推薦文=王谷晶、伊藤詩織



カバーデザイン 名久井直子

カバーイラスト 犬吠徒歩

感想・レビュー・書評

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  •  チョ・ナムジュさん、『82年生まれ、キム・ジヨン』に次いで2冊目。韓国社会の性差別問題を扱った『キム・ジヨン』は、#Me Too運動からフェミニズムへと社会の潮目を変える契機となったとか…。本作はその延長線上にある短編集です。

     60人余りの様々な年代の女性への取材をもとにした、「私」の一人称で展開する物語です。『キム・ジヨン』よりも更に視野が広がったこと、そして女性たちが目の前の難題に抗い、声を上げ行動している描写が印象に残ります。

     4章立てで、次第に年齢層が上がり、立場や社会的責任の異なる28人の女性が紹介される構成になっています。"目の前の難題"は多様で、深刻度の高低はあるものの、共通するのはやはり女性たちの生きにくさへの抵抗だと感じます。

     本書の発行は2018年のようですが、果たして現在、韓国社会に潜む女性差別や困難は、どれだけ改善されているのでしょうか? 
     というか、これらの物語の舞台が、日本だとしても(悲しいかな)違和感なく受け入れられそうです。なにせジェンダーギャップ指数は、日本の方が韓国より低いですもんね。ちょっと調べたら、2025年ランキング結果だと韓国101位、日本118位!←かなり恥ずかしい…。この低さは、今の現実と大して変わっていないことを示しているのか?

     やはり韓国女性の方が声を上げる人が多い印象?男女関係なく、誰かが犠牲にならず我慢もせず、自分らしく生きることができる社会は絶対大事ですね。自分の価値を自分で下げない生き方が問われている気がしました。
     世の男性、組織のトップの面々が、どう当事者意識をもてるかもかなり重要だと痛感します。本書の陰には、著者の黙認ではない前進し続ける姿勢が満ちあふれていました。

    ※偶然にも、現役トップ女流棋士の福間香奈さんが、妊娠・出産をめぐる連盟規定に対し、見直しを求める意見書を提出した報道が話題(波紋?)となりました。柔軟で理解ある連盟対応を望みます。

  • 14화 조남주 작가의 '그녀 이름은'
    https://brunch.co.kr/@5b0bc39cb3f8433/36

    그녀 이름은, 조남주 : 네이버 블로그
    https://blog.naver.com/wingssprout/221661282975

    「82年生まれ、キム・ジヨン」の作者が短編集 28篇に描かれた女性たち:朝日新聞GLOBE+(2020.09.12)
    https://globe.asahi.com/article/13714201

    未来のための物語|鼎談 未来のための物語『彼女の名前は』×『魯肉飯のさえずり』|小山内 園子,すんみ,温 又柔|webちくま(2021年1月29日)
    https://www.webchikuma.jp/articles/-/2274

    조남주 - 예스24 작가파일
    https://www.yes24.com/24/AuthorFile/Author/146900

    『彼女の名前は』チョ・ナムジュ | 筑摩書房
    https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480439987/
    (単行本)
    https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480832153/

  • それぞれの話の背景には住宅格差、厳しい学歴社会、就職難、ストライキ、デモ参加などが見え、日本社会ではそれほど馴染みがないこれらに「韓国って日本より過酷だな」と呑気に思ってしまうかもしれない。しかし解説にある通り、男女格差は日本の方が遥かに遅れており、危機感を持ちたいところだ。韓国のジェンダーギャップ指数が日本を上回ったのはこの本の女性たちのように声を上げ続ける人がいたからだ。著者がこの本や『82年生まれ、キム・ジヨン』を書いたように、作家たちが世界に発信し続けているからだ。

    28人の韓国人女性たちの声が聞こえる。日本人であっても女性ならばきっと誰かに共感し、互いを抱きしめ合いたいと思うだろう。男性読者は、身近な女性たちの苦しみがここに書かれていると理解できてほしい。自分を含め日本人はもっと今の社会に対して声を上げなければ。フェミニズムだけでなくストライキやデモ参加だってもっと近くにあって良いと思う。冷笑して距離を取るのではなく。

    解説の桜庭一樹の、家父長制の悪を凝縮したグロいエピソードが強烈すぎて呆気に取られた。もうこういう発言を浴びせられる人がいませんように、と願っているけれどきっとまだ道のりは遠い。私も岩に卵を投げつけるひとりとなろう。

  • これも『82年生まれ、キム・ジヨン』からの流れで読んだ。同じ作者の短編集なんだけど、どれも読んでて苦しくなるような話が多くて1話読み終えるたびにけっこう疲弊した。なので進むペースは遅くなったけど、そのぶん一つひとつをちゃんと受け止めながら読めた気もする。

    苦しさのなかに、ほんの少しの希望が見える話もあって、ただ絶望を突きつけられるだけじゃないのが救いだった。中には連作っぽくつながっている話もあって、小説としての構成も面白い。

    フィクションなんだけど、全然他人事に思えなかった。描かれていることの多くが、今も現実に起きていることなんだと思いながら読んでた。社会の側が当たり前のように押しつけてる役割とか沈黙とか、そういうものが物語の中に静かに埋め込まれててそれがリアルだった。

  • 28の物語を収めたこの短編集では、28人分の女性の人生の一部分がそれぞれ描き出されています。いずれも、韓国の現代社会に生きる女性たちの、きっとリアルな生き様で、国を超えて共感できる部分も少なくありません。
    セクハラとたたかう女性、結婚が招く理不尽さにあえぐ女性、労働環境の改善を訴える女性。日常のつらさに直面して、切り開こうと努力する、あるいは受け入れて消化する、彼女たちの問題への対処のスタイルはそれぞれだけれども、芯があってその道行きを応援したいと静かに思う。女だからではなく、人として当たり前のしあわせを掴んで欲しい、と思うから。

    最後の一編は小学生の出馬宣言で締めくくられます。どこか背伸びしたような、けれど純然として理路整然なうつくしい問題提起が、問題として受け入れられる社会になるよう、願ってやみません。

  • 結婚していない、子どももいない、お前だけが我が家の困りごとだと言われていた末っ子に、母が倒れたからと面倒をみせる。家を出る時「だってあなたは娘ではないか」と母が言う。娘だからなんだ、ちょうどいい看病人がいてよかったと思うようなのが家族なのか。会社に行けばセクハラパワハラ、家に帰ればストーカーに襲われる。なんなんだ、これ。ひどいじゃない。そしてこれはみな、小説であっても嘘じゃないんだ。私たちはつながるほど、強くなれる。学生も農家も、みんな何かと闘っている。闘いは時に生活を壊し、信念だけではつらい様子も。きつい現実を描くだけでなく、それを変えようとする女性たちの姿に胸を打たれる。

  • 現代韓国の社会問題をテーマに取り上げた38編の短編小説集。未だ社会全体に潜む男尊女卑、学歴格差社会、そして実際の事件、事故、そんな社会で生活する人たち、何気ない毎日を少しでも明るく希望を持って迎える姿が描かれている。

  • 『キム・ジヨン』の時に散りばめられてはっとさせられた、女性としての生きづらさがここでもいろんな形で描かれる

    読みながら時々苦しくなってしまうけど、だからこそ意味がある小説だと思う

  • 女子栄養大学図書館OPAC▼https://opac.eiyo.ac.jp/detail?bbid=2000073955

  • 2025.1

  • 日本より酷い女性の人権のなさに、暗い気持ちになりながら読んだ。
    多少前向きな流れでそれぞれの物語を締めてはいるが、もちろん何の解決もしていない。

    そんな思いで読み終えようとしていたが、最後に爆弾があった。
    桜庭一樹氏による解説、この中のエピソードが一番おぞましく、吐き気がした。
    都会で育った私ですら、祖父母や父による母の処遇は今思えば許し難いものがあるのだから、田舎という閉鎖的な世界に住む人の考え方は推して知るべし、なのだろうか。

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著者プロフィール

チョ・ナムジュ:1978年ソウル生まれ、梨花女子大学社会学科を卒業。放送作家を経て、長編小説「耳をすませば」で文学トンネ小説賞に入賞して文壇デビュー。2016年『コマネチのために』でファンサンボル青年文学賞受賞。『82年生まれ、キム・ジヨン』で第41回今日の作家賞を受賞(2017年8月)。大ベストセラーとなる。2018年『彼女の名前は』、2019年『サハマンション』、2020年『ミカンの味』、2021年『私たちが記したもの』、2022年『ソヨンドン物語』、2024年『君になってあげる』刊行。邦訳は、『82年生まれ、キム・ジヨン』(斎藤真理子訳、ちくま文庫)、『彼女の名前は』(小山内園子、すんみ訳 ちくま文庫)、『私たちが記したもの』(小山内園子、すんみ訳)、『サハマンション』(斎藤真理子訳)、『耳をすませば』(小山内園子)、『ソヨンドン物語』(古川綾子訳)。いずれも筑摩書房刊。『ミカンの味』(矢島暁子訳、朝日新聞出版)。

「2025年 『コマネチのために』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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