[増補]お砂糖とスパイスと爆発的な何か 不真面目な批評家によるフェミニスト批評入門 (ちくま文庫 き-44-1)
- 筑摩書房 (2025年2月10日発売)
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感想 : 18件
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Amazon.co.jp ・本 (368ページ) / ISBN・EAN: 9784480440082
作品紹介・あらすじ
ミス・マープルの本当のすごさや、文学史に輝く “キモくて金のないおっさん”を描いた名作、そして新時代のディズニーアニメの悪戦苦闘。あの名作が100倍面白くなり、見たい映画とドラマと本と舞台がどんどん増える、フェミニスト批評集がついに文庫化!
書き下ろし「どうもありがとう、パメラ・アンダーソン」を含む、型にはめない、はまらないものの見方を教えてくれる批評6本を増補してお届けします。
装画 小林紗織
カバーデザイン 名久井直子
感想・レビュー・書評
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受け取ったものが多すぎて爆発しそう、という読後状況。あらら本当に「爆発的な何か」だ。そう、このタイトルも好きだし、まえがきとあとがきも好きだし、各エッセイもそれぞれ面白かった。批評対象に挙げられている作品は知らない映画や演劇が多かったが、それでもこの本を楽しむには問題なかった。ただし『ファイト・クラブ』だけは念入りなネタバレ注意報があったので、素直に従って読み飛ばした。だが北村さんの批評を読むために、遠からず見たいと思っている。
まえがきとあとがきで、「批評」という行為についての説明があり、フェミニズムにまで踏み込まずともこれだけでもじゅうぶんためになった。特に印象に残ったのは下記の二点。正確な引用ではなく、私の記憶と解釈入りです。
「つまらない、または嫌いだと感じる作品であっても、批評することにより興味深いものとすることができる」。物事を好き嫌いだけで断じるのはもったいない。
「批評に正解はない(ただし誤りはある)、どんなに説得力のある批評がひとつあっても、それは他の解釈を否定するものでは決してない」。チェスタトンの「犯人は創造者だが探偵は批評家に過ぎない」という言も引かれており、本編にはミス・マープルも登場するが、そんなミステリー脳でいうと「正解(推理)はひとつではない」という態度はまるでバークリーだ。偉そうに、そして必死に「論破」してくる輩に欠けているのは、毒チョコ精神なのでは。肝に銘じておこう。
最後の方は北村さん自身の経験を開示するような内容で他の章とは少し違う迫真性があった。特に「どうもありがとう。パメラ・アンダーソン」の中の小見出し「クズどものオモチャか、かわいそうな被害者か」が刺さる。思うところがかなりあるトピックだが、今はまだ言葉にできない。
各論メモもたくさんとったが多すぎるので割愛。北村紗衣さん、同世代だという点も嬉しいというか心強いというか、とにかくこれが私にとっては出会いの一冊。 -
さえぼう先生こと北村紗衣によるフェミニズム批評集。元がウェブ雑誌のコラムだったということもあって、著者の本業である英文学の古典からハリー・ポッターにアメコミ映画までの射程の広さもさることながら、軽妙でありながらハッとさせる視点の数々が提示され、自身の世界に対する視界を広げ、みえる世界を豊潤にしてくれる感覚がある。
SNSにはアンチフェミニズム、ミソジニーが溢れてしまっているけれど、少しでも多くの人がこの本を読めば世の中は(それらを拗らせた人も含めて)もっと多くの人にとって生きやすいものになるだろうに -
映画やドラマ、本や演劇をフェミニスト的観点から批評した本。 見たこと読んだことのない作品が多くて、見たことのあるものも新しい観点から論じられていて興味深々。見たいものリストが充実しました。 著者の北村さんがディズニー好きじゃないと語っていたところに共感w
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すっごく面白かった!
さまざまな小説や映画に出てくるヒロインたちの、役割や意味やメッセージが理解できた。このセリフはこんなことを意味してるんだなあ、とか、このキャラははっきり書かれていないけど、こういう描写からゲイ(レズビアン)だということが分かるとか…。
この世のすべての作品を解説してほしい〜!笑 -
めっちゃ良かった。
書店で見かけてて、絶対面白いだろうなとは思ってたけど、実際読んでみたらホントに良かった。
僕が入社2年目の春、後輩の新卒の子達が、男の子も女の子もみんな紺のリクルートスーツを着てた中で、1人ピンクのスーツを着て来た女の子がいて、僕の同期の娘が、その子の事をベタ褒めしてて、僕もまぁでもポリシー持ってる感じでかっこいいかな、くらいの解像度だったんだけど、この本読んで、少し同期の娘が感じてたリスペクトが少し分かった気がした -
未読かと思ったら、ハードカバーで既に読んでいた。
・力を持つ者が力を持たない者に対して言っている言説かどうか
・話し手が攻撃している事を自覚しているかどうか
・言説の対象が、生来のものかどうか(先天的・生得的、つまり自分ではどうにもならないものなのかどうか)
この辺は良く注意して物事を感じたり、発言しないといけないな、と思った。
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5、6年前に単行本を読んでいるけど、今の方がスッと入ってくる。
フェミニスト批評って興味深い。
あまりにも視点が違いすぎて面白いんよね。
日本でもジェンダーの問題は取り上げられるけど、海外の比じゃないな。
楽曲をカバーする際、歌い手の性別によって代名詞を変えると知って「そこまで気にしないといけないのか…」と正直驚いた。
舞台・映画・小説等に滲み出る“性差別”や“ステレオタイプ”についての解釈も「そういう発想は無かった」と驚いてばかりだった。
今後、何かしらの作品を鑑賞する時には少し気にしてみようと思いました。 -
あの名著が文庫版に!!…と言いつつ、4、5年前は買ったものの積読にしてしまい、最終的に古本屋に売ってしまった本作。時が経ち、文庫版になり、再チャレンジしたところまあ面白いの何の。善良な人間を自評する人ほど男性中心主義で権威主義を内面化してるのは割と男女共にかも…と自省中。
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最初の「さよなら、マギー」からいきなり引き込まれる。
自分を苦しめているものと戦うために、それを見定めて名前をつける。
自分を苦しめている内なる存在に対抗するための別の存在を、自分の中に住まわせる。
あちこちに読者を勇気づける言葉が散りばめられていて、元気が出て来るエッセイだった。 -
増えた人魚姫のところは正気勉強になった。アンデルセンの伝記的なそれは知らんかったし、解釈としておもしろいと思う。
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【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/826802
名探偵ミス・マープル、ディズニーアニメなどの作品がもっと面白くなる!
型にはめない、はまらないものの見方、フェミニスト批評集。 -
・面白かった〜。
・フェミニズム批評の本ではあるけれど、何より一つの切り口で作品を見てみる、という「批評」のビギナーズガイドとして、あまりその界隈詳しくない自分は、めちゃ面白かった。
・このやり方なら、過去に観た作品をもう一度観た時もフレッシュにあたる事ができる訳ですね(という位何も知らない)。
・あと、全体のほのかなユーモアのバイブスも、良い。この人、好きだな〜っていう。頭の良い人のトボケ具合(でも、どこまで?)が効いているな〜、っていう。
・特に自分は古典が苦手なので、それと現代的な作品(や感覚)を行き来する様子が(研究者達の間ではそんな珍しくないんでしょうが)、めちゃ楽しかった。
著者プロフィール
北村紗衣の作品

北村紗衣さん、『女の子が死にたくなる前に見ておくべきサバイバルのためのガールズ洋画100選』という長いタイトルの本書いてま...
北村紗衣さん、『女の子が死にたくなる前に見ておくべきサバイバルのためのガールズ洋画100選』という長いタイトルの本書いてますよね?思い出しました。上野先生が絶対つけそうにないタイトルですよね。でも「もう女の子でもないし」と「映画あんまりみてないし」という理由で読みたい本から勝手に外してました。akikobbさんおすすめのこちらの本ならミステリー好きには合うかも。読んでみます♪
『お砂糖と〜』もミステリーの本というわけではもちろんないですが、ミス・マープルの章があるのとチェスタトンへの言及があるのは事実です!111108さんの感想楽しみにしてます♪