増補 アルコホリズムの社会学 アディクションと近代 (ちくま学芸文庫 ノ-12-1)

  • 筑摩書房 (2024年11月9日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (272ページ) / ISBN・EAN: 9784480512734

作品紹介・あらすじ

ひとはなぜアルコホリズム(アルコール依存)に陥るのだろうか。原因を「意志の弱さ」に求めていては何も解決しない。自分の意志ではどうにもできないと認めることが回復への第一歩となるのだ。そこから見えてくるのは、「自らの意志で欲求をコントロールする主体」という、近代社会の理想的人間像である。アディクション(依存症)とは、そうした近代的あり方の綻びが露呈したものに他ならない。だとすれば、回復への道は近代合理主義が切り捨ててきたものの中にこそ見出し得る──。ベイトソンやギデンズの思想に依拠しつつ、アディクションを社会学的に解明した先駆的名著。

みんなの感想まとめ

アルコホリズムとその背景にある社会的要因を深く掘り下げる本書は、依存症の理解を新たな視点から提供します。単なるアルコール依存の話にとどまらず、近代社会における自己の変遷やアディクションの本質に迫ります...

感想・レビュー・書評

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  • おもろい!!!読んでる途中で挟んだ『斜め論』が理解の補助線として効いていた
    10章がアツい

    「一瞬前の自分を対象化し評価し反省しそれを未来へと投企するような果てしない営み、これだけが、再帰性の名に値する。そして、この営みからの逸脱が、アディクションと呼ばれ、そのアディクションを克服するささやかな試みは、再帰性への帰還として称賛されるのである。」p.212

  • ちょっとどうかと思うくらい面白かった。
    アルコホリズム(アルコール依存症)の話かと思いきや、アディクト全般の話、近代社会における自己とその変遷へと射程が広がっていくのがすごい。

    その中で自助グループであるAA(アルコホリックス アノニマス)の方法論がとにかく効果的ということで、なぜ効くのかという話は他で読んだことがなく、新鮮だった。12のステップのうちの最初のステップで「私たちはアルコールに対し無力であり、人生が手に負えなくなっていたことを認めた。」というコントロール不能の宣言をするのが凄みがある。
    飲酒はコントロール可能、意思が弱いことが原因という実益のない神話をまず壊し、自分の信ずる神に委ねるという怪しさ(スピリチュアリズム)こそがキモという指摘もすごい。
    途中からこれは社会学なのか?とよくわからなくなる読みごたえ。

  • 個人的に学びが多かった本なので、復刊は嬉しい。
    流石に情報として古い箇所があったり、解釈に違和感がある箇所もある。ただ、逆に未だに気付きになる箇所もあった。読み直して良かった。

  • 今年読んだ中で最高に面白かった

    アルコホリズム(Alcoholism)、一般にはアルコール依存症として扱われる「病気」はどのような経緯を経て病気となったのか、といった逸脱論的アプローチから、アルコール依存症がどのように治療されているのかという医療社会学的・臨床社会学的アプローチ、ひいては依存性(アディクション)は近代的自己というフィクションが形成したという近代社会論まで幅広く、丁寧に、 中立的に、アルコホリズムの実態を描き出した傑作

    まさかアルコール依存症の話から自己という観念的な話に向かうなど想像もできず、大変面白く読めた

    アディクションという「病気」は、近代社会が要請した「合理的で、コントロールする主体としての自己」というフィクションの反動として生まれた、という論はとても鮮やかで感動した

    言いたいことがありすぎて、全部書くととても長くなってしまうから簡潔に済ませると、どうやら人類はやり過ぎたらしい、ということ
    近代に入ってから封建的社会は解体され、合理主義が蔓延り、万人に「自由」が与えられた
    それが果たして全て肯定できることだったのか?
    依存性という疾病に対して考えるきっかけを与えてくれる良書
    サブタイトルも必見

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著者プロフィール

野口 裕二(のぐち・ゆうじ):1955年千葉県生まれ。北海道大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。東京学芸大学名誉教授。専門は臨床社会学、医療社会学。著書に『物語としてのケア──ナラティヴ・アプローチの世界へ』(医学書院)、『ナラティヴの臨床社会学』(勁草書房)、『ナラティヴと共同性──自助グループ・当事者研究・オープンダイアローグ』(青土社)などがある。

「2024年 『増補 アルコホリズムの社会学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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