増補 古典としての旧約聖書 (ちくま学芸文庫 ツ-13-1)

  • 筑摩書房 (2025年3月12日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784480512949

作品紹介・あらすじ

旧約聖書とはいかなる書物なのか。古代ユダヤの人びとはそこに何を読み込み、何を託してきたのか。本書は、半世紀にわたって旧約聖書と取り組み、古代オリエント学者としても豊かな学識をあわせもつ著者が、複雑で多層的な性格をもつ旧約聖書をさまざまな角度から読み解いていく珠玉の講演集である。文庫化にあたっては、定評ある旧版に、物語構造論の観点から聖書を分析する「旧約聖書における物語文学の構造と主題」など、5本の講演を大幅増補。その言葉は今を生きる私たちに何を投げかけるのか。旧約聖書の魅力を、第一人者が余すところなく語りつくす。

感想・レビュー・書評

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  • 旧約聖書の普遍性と古典性

    単なる宗教文書を超え「すべての人の古典」「人類の古典」としての普遍的価値を持つ
    筆者は旧約聖書の普遍性について「きっぱりと『然り』」と断言

    歴史叙述の特異性

    単なる出来事の記録ではなく、信仰の視点から神と民の関係性を解釈
    「罪と罰」「恩寵」という神学的観点を通した歴史理解
    「眼には見えない神の慈悲を見きわめようとした信仰の記録」
    出来事を多角的視点から捉える特徴

    預言者の批判精神

    同時代の政治・社会・信仰のあり方に対する厳しい批判
    ホセアによる北イスラエルの外交政策やバアル崇拝への批判
    権力者の内面や民の堕落した信仰を根源的に問い直す姿勢

    苦難の意味と多様な解釈

    苦難は神の裁きや人間の罪の結果として理解される一方
    ヨブ記のように因果応報的理解を超えた苦難の存在も示唆
    ヤコブ、エレミヤ、ヨブなど苦難に対する多様な視点の提示

    契約という概念の重要性

    神とイスラエル民との関係を規定する重要な概念
    シナイ山での契約は「今日のわれら」と結ばれた現在的契約として理解
    「全心全霊をもって神ヤハウェを『愛する』こと」が求められる

    他文化との比較

    ギルガメシュ叙事詩との友情観の比較
    旧約聖書には体系的な友情論はなく、「友」と「隣人」の概念が文脈によって使い分け
    ダビデとヨナタンの友情は神の前で結ばれる契約としての性質

    普遍主義と民族主義の葛藤

    唯一神ヤハウェが全民族の神という普遍主義的視点と選民意識に基づく民族主義的視点の共存
    ルツ記はモアブ人女性ルツを肯定的に描くことで狭隘な民族中心主義を批判

    重要なアイデアと事実

    創世記3章15節解釈: キリスト教では蛇に対するキリストの勝利の予表として重視(ユダヤ教では伝統とならず)
    預言者の政治的役割: 国内外の政治情勢を鋭く洞察し、安易な外国依存や妥協的外交政策を批判
    レーヴィットの歴史観批判: 近代の直線的歴史観がナチズムのような全体主義を生む危険性を指摘
    ヤコブの生涯: 人間的弱さや狡猾さを描きながらも神の約束と導きによって生きる信仰者の姿を示す
    ホセアの預言: イスラエルのバアル崇拝を「淫行」と見なし、政治批判と宗教批判を重ねる
    ルツ記の意義: 異邦人女性を主人公とすることで排他的民族主義を批判し、ダビデの系譜に異邦人の血が繋がる事実を強調

    結論
    旧約聖書は単なる古代の宗教文書ではなく、普遍的な人間存在の古典として再評価される。歴史・預言・知恵文学・物語など多様なジャンルを通して、人間の根源的問い、神と人との関係、民族のアイデンティティが掘り下げられており、現代社会においても色褪せない意義を持つ。

  • キリスト教徒の方以外はあまり読む機会がないかもしれません。でも、あらゆる西洋文化の基礎にはこの書物があります。聖書を直接の題材とした作品はもちろんですが(「バベル」「ノア 約束の舟」「ベン・ハー」など多数!)、そうでなくても洋画に聖書のモチーフや一節が出てくることはとても多い。たとえばハリー・ポッターシリーズなどは聖書モチーフが盛りだくさん。聖書を一度読んだことがあるだけで、映画を何倍も楽しめます。

    ◆長野県立大学図書館OPAC
    https://u-nagano-lib.opac.jp/opac/Holding_list/search?rgtn=11371721

  • 勉強になった。まあ翻訳の問題はむずかしい。

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著者プロフィール

月本 昭男(つきもと・あきお):1948年、長野県生まれ。東京大学文学部卒業。同大学大学院人文科学研究科中退。ドイツ・テュービンゲン大学修了(Dr. Phil.)。立教大学キリスト教学科教授、上智大学神学部特任教授、古代オリエント博物館館長などを歴任。立教大学名誉教授・上智大学名誉教授。経堂聖書会所属。専門は旧約聖書学、古代オリエント学。著書に『詩篇の思想と信仰』(シリーズ全6巻)、『古代メソポタミアの神話と儀礼』、『物語としての旧約聖書』などが、原典翻訳に『ギルガメシュ叙事詩』、『創世記』などがある。

「2025年 『増補 古典としての旧約聖書』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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