- Amazon.co.jp ・本 (199ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480683502
作品紹介・あらすじ
イネは奇妙な植物だ。その種子コメに魅せられた人間とイネの深くて長い関係を、植物学から歴史・経済まで分野を広げて考える。
感想・レビュー・書評
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稲垣さんは植物学者なので、初めのイネはそもそもどんな植物なのか、というところが専門的で詳細に書いてあり、ある意味ここが一番難しい(と言っても読めばわかる)が、後半はイネと日本史、イネと日本人という内容がざっくりと書かれており、大変わかりやすい。
なぜふつうの白米よりもち米が白いのか、餅はごはんよりすぐお腹いっぱいになるのに、お腹が空くのも早いのはなぜか(まあ、消化がいいんでしょ、程度に考えていた)というような、素朴な疑問も全て解けた。
日本の田舎の風景とヨーロッパの田舎の風景を比較すると、ヨーロッパは広々として家も点在してるのに、日本はちまちまと寄り集まっていてかっこ悪いような気がしていたが、これもコメの作物としての優秀さを表しているそうだ。麦は連作障害が起こるため、牧畜を挟まないといけない上、コメと比較すると収量が低いので(15世紀で、撒いた種の3~5倍、コメは20~30倍。現在では麦は20倍、コメは110から140倍)面積を広くせざるを得ない。
稲は少ない面積でたくさんの人を養うことができる。だから日本の農家は寄り集まっている、というわけ。
ではなぜコメは連作障害が起きないのか、という理由も書いてある。
狩猟採集生活から稲作への転換で、貯えることのできる「富」としてのコメをたくさん持つことが権力となったことや、日本ではほぼ通貨として使われた訳など、コメがどれほど日本の歴史に大きく関わっているかがよく分かった。
この本を読んで初めて知ったことも多かったが、読み終わって、いや、これは日本人として、知っておかなければならない基礎知識だよな、と思った。こんなことも知らないで今まで生きてきたとは情けない、という気持ちになった。
とても読みやすく面白いので、日本に住んで、コメを主食として生きている人は読むべき本。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
古都丞美先生 おすすめ
45【教養】616.2-I
日本食の基本となる「お米」について、植物としての特性や、日本人の歴史・文化・農業・経済との関わりなど、幅広く理解できる本です。 -
第五章「米と日本人」は一見の価値ありです。
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とにかく「イネ」!でした。(当たり前か)
イネがどう育つかには、正直あまり興味がなく…。睡魔と戦いながら読みました。5章の「イネと日本人」が、雑学がたくさんで楽しく読めました。 -
ちくま新書がkindle100円セールやってたときに買った本。
分子構造の違いによって糯米、粳米の諸々の性質が決まってたり、田んぼが広がっていった理由と歴史を紐解いたり、と様々な視点を提供してくれる本だった。
論理も明解でわかりやすい。
人は田んぼのある風景を見て「何もないところだなぁ」という感想を抱くがとんでもない、そこには田んぼという人工物が存在しているのだ、という指摘にははっとした。
確かに田んぼの生成過程を見てない都会人の自分としては、田んぼ=自然と誤認識してしまうが、そこには確かに人間が手を加えた形跡があるのだ。
イネを化学的、社会的など多角的に観察できるようになる好著。
やはり多角的な視点を養うには、本書のようにテーマを絞った本を読むのが良いと実感した。
雑多なオムニバス本を読むのも当該分野に触れる最初の段階では良いが、やはりある程度深掘りした方が楽しい。 -
イネを科学、地理、歴史の切り口で解剖すると、文化が稲作とともにあったことがわかる。
お酒づくりに対応して、
お米づくりについても知りたいと思い手に取った本だったが、
期待以上の内容と面白さだった。
イネがいかに特殊な植物であるか、
日本の風土における田んぼの役割とは、
地理・歴史・文化は稲作とともにあったこと、
と、口語でわかりやすく説明されている。
情報の多さも、
それだけ密接な関わりがあるということとして伝わってきた。
繰り返しのフレーズが多いのはご愛嬌。
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自分は農学部出身なので、日本で最も重要な栽培植物であるイネについては一定のことは知ってるつもりだったけど、前半の部分は復習もかねて整理できてよかった。
後半はまぁ、1つの切り口として面白かったかな。 -
稲垣先生の本は、以前、読んだことがあり、そこそこ面白かったので、この本も読んでみました。
めちゃくちゃ面白かったです。
期待を遥かに超えましたし、以前読んだ本は完全にかすんでしまいました。
植物としてのイネ、食物としてのイネ(米)、貨幣の代わりとしてのイネ、イネの歴史、稲作の歴史、日本史とイネ(米)の関係、どこをとっても面白かったです。
日本人ならば是非読んでほしい、自分にとっては、そのぐらいレベルの高い1冊です。 -
読了。素晴らしい本だった。勉強になった。
著者プロフィール
稲垣栄洋の作品





