イネという不思議な植物 (ちくまプリマー新書)

著者 :
  • 筑摩書房
4.04
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本棚登録 : 124
感想 : 10
  • Amazon.co.jp ・本 (199ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480683502

作品紹介・あらすじ

イネは奇妙な植物だ。その種子コメに魅せられた人間とイネの深くて長い関係を、植物学から歴史・経済まで分野を広げて考える。

感想・レビュー・書評

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  • 稲垣さんは植物学者なので、初めのイネはそもそもどんな植物なのか、というところが専門的で詳細に書いてあり、ある意味ここが一番難しい(と言っても読めばわかる)が、後半はイネと日本史、イネと日本人という内容がざっくりと書かれており、大変わかりやすい。
    なぜふつうの白米よりもち米が白いのか、餅はごはんよりすぐお腹いっぱいになるのに、お腹が空くのも早いのはなぜか(まあ、消化がいいんでしょ、程度に考えていた)というような、素朴な疑問も全て解けた。
    日本の田舎の風景とヨーロッパの田舎の風景を比較すると、ヨーロッパは広々として家も点在してるのに、日本はちまちまと寄り集まっていてかっこ悪いような気がしていたが、これもコメの作物としての優秀さを表しているそうだ。麦は連作障害が起こるため、牧畜を挟まないといけない上、コメと比較すると収量が低いので(15世紀で、撒いた種の3~5倍、コメは20~30倍。現在では麦は20倍、コメは110から140倍)面積を広くせざるを得ない。
    稲は少ない面積でたくさんの人を養うことができる。だから日本の農家は寄り集まっている、というわけ。
    ではなぜコメは連作障害が起きないのか、という理由も書いてある。
    狩猟採集生活から稲作への転換で、貯えることのできる「富」としてのコメをたくさん持つことが権力となったことや、日本ではほぼ通貨として使われた訳など、コメがどれほど日本の歴史に大きく関わっているかがよく分かった。
    この本を読んで初めて知ったことも多かったが、読み終わって、いや、これは日本人として、知っておかなければならない基礎知識だよな、と思った。こんなことも知らないで今まで生きてきたとは情けない、という気持ちになった。
    とても読みやすく面白いので、日本に住んで、コメを主食として生きている人は読むべき本。

  • とにかく「イネ」!でした。(当たり前か)
    イネがどう育つかには、正直あまり興味がなく…。睡魔と戦いながら読みました。5章の「イネと日本人」が、雑学がたくさんで楽しく読めました。

  • ちくま新書がkindle100円セールやってたときに買った本。

    分子構造の違いによって糯米、粳米の諸々の性質が決まってたり、田んぼが広がっていった理由と歴史を紐解いたり、と様々な視点を提供してくれる本だった。
    論理も明解でわかりやすい。

    人は田んぼのある風景を見て「何もないところだなぁ」という感想を抱くがとんでもない、そこには田んぼという人工物が存在しているのだ、という指摘にははっとした。
    確かに田んぼの生成過程を見てない都会人の自分としては、田んぼ=自然と誤認識してしまうが、そこには確かに人間が手を加えた形跡があるのだ。

    イネを化学的、社会的など多角的に観察できるようになる好著。
    やはり多角的な視点を養うには、本書のようにテーマを絞った本を読むのが良いと実感した。
    雑多なオムニバス本を読むのも当該分野に触れる最初の段階では良いが、やはりある程度深掘りした方が楽しい。

  • 古都丞美先生 おすすめ
    45【教養】616.2-I

    日本食の基本となる「お米」について、植物としての特性や、日本人の歴史・文化・農業・経済との関わりなど、幅広く理解できる本です。

  • イネを科学、地理、歴史の切り口で解剖すると、文化が稲作とともにあったことがわかる。


    お酒づくりに対応して、
    お米づくりについても知りたいと思い手に取った本だったが、
    期待以上の内容と面白さだった。

    イネがいかに特殊な植物であるか、
    日本の風土における田んぼの役割とは、
    地理・歴史・文化は稲作とともにあったこと、
    と、口語でわかりやすく説明されている。

    情報の多さも、
    それだけ密接な関わりがあるということとして伝わってきた。
    繰り返しのフレーズが多いのはご愛嬌。

  • 自分は農学部出身なので、日本で最も重要な栽培植物であるイネについては一定のことは知ってるつもりだったけど、前半の部分は復習もかねて整理できてよかった。
    後半はまぁ、1つの切り口として面白かったかな。

  • 978-4-480-68350-2
    C0245\820E.

    イネという不思議な植物
    ちくまプリマ―親書324.

    2019年4月10日 初版第1刷発行

    著者:稲垣栄洋(いながき・ひでひろ)
    発行所:株式筑摩書房


    名前、多分地名も、単位も 漢字の成り立ちもお米(イネ)由来。日本人の性格も、歌にも歴史にもすべてにかかわるイネという不思議な植物。

    今回もたっぷり楽しみました。


    --------------------------
    もくじより
    はじめに
    ●お米ってなんだ
    お米はイネの種子 コメは芽を出すか? イネの芽生え
    白米の炭水化物 せんべいとあられの違い 持ち枚という不思議なコメ 粳と糯の違い 持ち枚が呼ぶ幸せ 生米は食べられない 持ち枚の調理方法 美味しいお米を求めて 人間が守ってきた特別なコメ 花粉が米にに影響する 植物の特殊な受精 もう一つの白い米 日本酒の作り方 さらに日本酒が姿を変える 白米が白い理由 赤飯への思い 皮が重要だ
    ●イネという植物
    イネという植物
    ①イネとはどんな植物だろう
    イネの仲間の植物 イネ科の誕生 花びらを捨てたイネ科植物 イネの花の構造 姿を変えたイネ科植物の工夫 大切な部分を守る ある工夫された工作 そしてイネ科は株になる 素早く成し遂げる 鮮やかな節間伸長 草食動物の生き残り戦略 草食動物の進化 魅力的なイネ科植物の種子 イネ科の種子が人類を救った そして人は人となった 農業の生まれる場所 農業のはじまり 糖の魅力 稲の祖先 湿地に適応したイネ科植物
    ②日本のコメと世界の米
    二種類のイネ リンネのアイデア 山田家の太郎君 ゴリラ・ゴリラ・ゴリラの謎 日本のコメと世界のコメ ジャポニカを選んだ日本人 米が作った食文化
    ③田んぼというシステム
    水浸しの平野 田んぼに水を入れる理由 田んぼの進化 田んぼの開発ブーム そして平野が開発された 田んぼの面積が二倍になった 田んぼが水をコントロールする 水田は砂漠化しない 農業による環境破壊 田んぼの底力 連作が可能な田んぼ ごちゃごちゃした日本の風景 生産性の高いイネ 手をかける農業 世界がうらやむ農業
    ④米で読み解く日本の歴史
    日本のコメがやってきた 東日本にイネが広がらなかった理由 稲作と富 時代を大きく変えた物 そのころ、中国大陸では・・・ 鉄の発見 弥生時代からの技術 巨大なクニの出現 大和政権はコメが大好き 北限の稲作地帯 肉食の禁止 米が支えた肉食の禁止 田んぼを拡大したい 新しい村々の誕生 お米が決めた単位 米はお金の代わりだった?どうして米が大切なのか 米が貨幣になった理由 昔の精米技術 江戸煩いの謎 北の大地の挑戦 産地の北進
    ⑤米と日本人
    苗字はイネの苗 ひな祭りも子どもの日も田んぼの行事だった 「さの神様」がやってくる サクラは神様の依代 お月見のススキの意味 国技の住もうと田んぼの関係 稲荷神社に狐がまつられる理由 水を守るヘビ 田んぼの神様がやってくる 神様を感じる 「米」という神聖なもの 日本人は田植えのリズム 日本人のアイデンティティ 災害を乗り越えて 世界に誇るべきもの

    終わりに
    -------------------------
    どこからやってきたのか
    時の権力者と結びついた植物 歴史を作る
    生活の中にある米 単位も米が元
    田んぼ、イネをつくり米を得るために
    苗字の元
    すべてにかかわっていたんだなぁ・・。

    イネの学名は「オリザ・サティバ」
    粳(うるち)はコメ編に硬い
    糯(もち)はコメ編に濡れる(水をよく吸う)
    餅は小麦粉をこねたもの
    糯米は水をよく吸うアミロペクチンはアミロースよりも端の数が多いため水をよく吸い、アミロペクチンは消化吸収が早い。つまり血糖値が早く上がり人間の脳みそは幸福感を得やすい。この特別な幸福感ゆえに大切な行事の時に特別に食べられるようになった。
    せんべい うるち米 (あられは糯米で作られる)
    お団子はうるち米を原料にする お餅は糯米が原料

    一粒からムギは3~5倍 イネは20~30倍 (15世紀ごろ)現在はコムギは巻いた種子の20倍前後の収量、イネは110~140倍の収量 生産性がずば抜けている。
    現在でも人口密度が高い地域は稲作地たちと一致する。イネを作ることは多くの人口を養う事を可能にしている。


    ※ メモあり

  • 稲垣先生の本は、以前、読んだことがあり、そこそこ面白かったので、この本も読んでみました。
    めちゃくちゃ面白かったです。
    期待を遥かに超えましたし、以前読んだ本は完全にかすんでしまいました。

    植物としてのイネ、食物としてのイネ(米)、貨幣の代わりとしてのイネ、イネの歴史、稲作の歴史、日本史とイネ(米)の関係、どこをとっても面白かったです。
    日本人ならば是非読んでほしい、自分にとっては、そのぐらいレベルの高い1冊です。

  • 読了。素晴らしい本だった。勉強になった。

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著者プロフィール

静岡大学教授。生物学者。植物学者。

「2022年 『敗者の生命史38億年(仮)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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