子どもたちに語る 日中二千年史 (ちくまプリマー新書)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 44
レビュー : 7
  • Amazon.co.jp ・本 (287ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480683700

作品紹介・あらすじ

日本の歩みは、いつの時代も中国の圧倒的な影響下にあった。両国の長く複雑な関係性を一望することで、歴史の本当のありようを浮き彫りにする。はじめての通史!

感想・レビュー・書評

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  • 偉大な“兄”中国と、“従弟”の日本。二つの国の成長譚が分かる本。
    日本が中国に対して抱いてしまう、海を隔てているが故の理想と、拳を交えたことで知った弱さ。それは、日本人の、中国人に対する偏見=己との違いでもある。
    その指摘には、この本が、子ども達に語るべき二千年史であるという、著者の誇りを感じた。

    また、ことばに興味のある私としては、20世紀初頭までは東アジアの国際共通語であった中国語が、なぜ今はその地位を失っているかという疑問が湧いた。
    権威主義に端を発する情報統制により、中国語の話者を統べることは、もしかしたら中国語を現代に生き永らえさせるための“必要悪”なのかもしれない。

  • あこがれから軽蔑へ。

    第五章のタイトルだけど、この二千年の流れを表しているところかと思う。
    超大国中国が西洋の衝撃を受けて、「日本を清のようにしてはならない」と、追いつけ・追い越せをする姿が19世紀の日本だったという。
    尊敬していたカリスマが地に落ちた時に、手のひらを返すような姿は国民性のようにも思えてしまう。

    歴史的な超大国の中国の影響下にあった日本。未だに私達の思想の中には中国由来のものも染み付いている。教育勅語も元はと言えば漢文化というのも面白い。

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    「あいつはけしからん」と声高に叫び、「心を入れ替えてもらいたい」と主張することは容易にできます。でも、それで問題は解決しません。P278

  • 子供向けくらいの方が分かりやすくていい。二千年前から日本は世界とつながろうとしていたというのは素敵な話だと思う。それだけに今になって日本サイコーと内向きになろうとする人たちがいるのが残念でならない。このような良書を若い人たちが読んで、変な固定観念に染まらぬことを願うばかり。

  •  古代から日本にとっての中国は、大きな影響を受ける憧れの対象だった。鎖国(著者は完全な鎖国だったわけではないという意味で「海禁」の語をより好むようだ)の江戸時代には、中国への憧れ、中国由来の知識はより幅広い社会層に広がった一方で、現実の交流が制限されたことで中国を相対化する見方も出てくる。そして近現代は憧れと敵対という二重のイメージ、という流れだ。教育勅語も暴支膺懲も中国由来だというのが象徴的だ。
     遣唐使廃止後に日本独自の国風文化を発展させた、という歴史観。著者はこれも明治期に作られたという。確かに国風文化はあったが、その後に入ってきた13〜16世紀中国の五山文化、これが現在につながる日本の伝統文化の形成期だというのが著書らの共同研究の結論とのこと。本書で紹介された『最後の授業』の事情も含め、国民国家の形成期には、国家意識にまつわる歴史観というのは国家により意図的に作られるというのがよく分かる。

  • 素晴らしい

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著者プロフィール

1962年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。東京大学大学院人文社会系研究科教授。中国思想史。『儒教の歴史』(山川出版社、2017年)、『近代日本の陽明学』(講談社、2006年)、『宋学の形成と展開』(創文社、1999年)、『中国近世における礼の言説』(東京大学出版会、1996年)、『中国思想史』(共著、東京大学出版会、2007年)、ほか。

「2021年 『東アジアの尊厳概念』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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