- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480683700
作品紹介・あらすじ
日本の歩みは、いつの時代も中国の圧倒的な影響下にあった。両国の長く複雑な関係性を一望することで、歴史の本当のありようを浮き彫りにする。はじめての通史!
感想・レビュー・書評
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日本が中国からどのような影響を受けてきたか。
一言に中国の影響といっても、北の地域の影響だったり、南の地域の影響だったり、時代によって違うのですね。
高校生向けに書かれていてわかりやすくて良いです。
呉音、漢音、唐音といった漢字の読み方、漢詩、落語の話などがおもしろかったです。
歴史は未来に続きます。
学んで良いものにしていけますように。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
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偉大な“兄”中国と、“従弟”の日本。二つの国の成長譚が分かる本。
日本が中国に対して抱いてしまう、海を隔てているが故の理想と、拳を交えたことで知った弱さ。それは、日本人の、中国人に対する偏見=己との違いでもある。
その指摘には、この本が、子ども達に語るべき二千年史であるという、著者の誇りを感じた。
また、ことばに興味のある私としては、20世紀初頭までは東アジアの国際共通語であった中国語が、なぜ今はその地位を失っているかという疑問が湧いた。
権威主義に端を発する情報統制により、中国語の話者を統べることは、もしかしたら中国語を現代に生き永らえさせるための“必要悪”なのかもしれない。 -
子供向けくらいの方が分かりやすくていい。二千年前から日本は世界とつながろうとしていたというのは素敵な話だと思う。それだけに今になって日本サイコーと内向きになろうとする人たちがいるのが残念でならない。このような良書を若い人たちが読んで、変な固定観念に染まらぬことを願うばかり。
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古代から日本にとっての中国は、大きな影響を受ける憧れの対象だった。鎖国(著者は完全な鎖国だったわけではないという意味で「海禁」の語をより好むようだ)の江戸時代には、中国への憧れ、中国由来の知識はより幅広い社会層に広がった一方で、現実の交流が制限されたことで中国を相対化する見方も出てくる。そして近現代は憧れと敵対という二重のイメージ、という流れだ。教育勅語も暴支膺懲も中国由来だというのが象徴的だ。
遣唐使廃止後に日本独自の国風文化を発展させた、という歴史観。著者はこれも明治期に作られたという。確かに国風文化はあったが、その後に入ってきた13〜16世紀中国の五山文化、これが現在につながる日本の伝統文化の形成期だというのが著書らの共同研究の結論とのこと。本書で紹介された『最後の授業』の事情も含め、国民国家の形成期には、国家意識にまつわる歴史観というのは国家により意図的に作られるというのがよく分かる。 -
素晴らしい