社会を知るためには (ちくまプリマー新書)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 95
レビュー : 7
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480683823

作品紹介・あらすじ

なぜ先行きが見えないのか? 複雑に絡み合い社会を理解するのは難しいため、様々なリスクをうけいれざるを得ない。その社会の特徴に向き合うための最初の一冊。

感想・レビュー・書評

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    筒井先生がいかに「社会」と向き合い続けてきたかがわかる内容。ちくまプリマー新書は,ヤングアダルト(おとなとこどもの間)を対象とした新書(wikipedia)らしいですが,その層だけでなく,ややアダルト(30代前半頃)にも響く。

    社会がいかにわからないか,そしてなぜわかりにくくなっているか,その中でどのように私たちは生きていけばいいか,「社会」に向き合い続けて考えてきた筒井先生だからこそのお話がたくさんあります。

    社会学入門の入門書としても良い一冊ですし,社会心理学入門の入門書としても読んでほしい一冊です。社会心理学は社会学と心理学を包摂するような,あるいは,間を循環するような学問である必要があると個人的には思っていますが,心理学に染まっている「社会」心理学にとってはぜひとも必要な視点であると思います。

    社会と向き合う心理学者にとっても,平易でありながら,学問のあり方について再考を迫るような一冊ではないかと思います。

  • 【配架場所、貸出状況はこちらから確認できます】
    https://libipu.iwate-pu.ac.jp/opac/volume/532292

  • 磯直樹先生、岸政彦先生推薦

  • 実用的な製品やサービスに結びつきにくく、非専門家からはその価値が見えにくい社会科学系、人文系の学問の価値について理解するのに役立つ本だと感じました。
    複雑な社会の中で人々は不安になることを厭い、単純明快な理屈に(ときには陰謀論のようなものにも)惹かれがちだが、「社会は複雑で、わからないもの」という前提を受け入れ、安定と変化の両立を図ることが重要と著者は説きます。
    特に 第一章「わからない世界」にどう向き合うか は高校生や大学生の方は文系理系問わず(むしろ理系の方にこそ)役立つ内容だと思いました。

  • 【書誌情報】
    『社会を知るためには』
    著者:筒井淳也
    イラスト:宇田川由美子
    シリーズ:ちくまプリマー新書
    定価:本体840円+税
    Cコード:0236
    整理番号:359
    刊行日: 2020/09/07
    判型:新書判
    ページ数:224
    ISBN:978-4-480-68382-3
    JANコード:9784480683823

    なぜ先行きが見えないのか? 社会は複雑に絡み合い、様々なところにリスクが生じている。その社会の特徴に向き合うための最初の一冊。
    https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480683823/

    【簡易目次】
    目次 [003-008]
    はじめに [009-011]

    第一章 「わからない世界」にどう向き合うか 013
    1 世界は思っているより「わからない」 
    2 世界は思っているより「緩い」 
    3 専門化する社会
    4 「わからないこと」が増えていく
    5 絡み合う社会
    6 動き続ける社会
    7 自分たちで作り上げたよくわからない世界
    8 本書について 

    第二章 専門知はこうしてつくられる 049
    1 社会と切り離される専門知
    2 社会をかたちづくる専門知
    3 自分の土俵をつくらない学問
    4 社会全体の理論――グランド・セオリー
    5 哲学の動向と社会学
    6 社会の認識は、社会のあり方の認識に依存する

    第三章 変化する社会をどう理解するか 075
    1 「すでに作られた環境」に投げ込まれる人間
    2 人間と社会についての二つの見方
    3 人間が社会を作るが 
    4 個人と社会の「緩い」関係
    5 副作用
    6 陰謀論を生み出す欲望 
    7 意図と結果の緩みのない関係
    8 「緩い」ほうが「科学的」? 

    第四章 なぜ社会は複雑になったのか 111
    1 社会の規模
    2 社会の厚み 
    3 近代化
    4 分業による連帯
    5 分業をめぐる壮大な意図せざる結果
    6 保守主義と理性の限界
    7 思い通りにならない経済
    8 官僚制
    9 変わってしまった世界
    10 社会変化について考えてみる

    第五章 変化のつかまえ方 147
    1 社会を記述する
    2 記述より説明?
    3 「原因と結果」以外の説明
    4 親子関係の変化を説明する 
    5 見えにくいところに光を当てる
    6 理論の意味
    7 自然言語による「理論」
    8 「一回きり」でも理論 

    第六章 不安定な世界との付き合い方 185
    1 「不安定さ」と「意味のなさ」 
    2 不安の中で生きること
    3 日常生活に潜むリスク
    4 不安定な中の舵取り
    5 社会と安定
    6 どこまで責任を負わすのか? 
    7 理屈と議論 
    8 社会は「他でもあり得る」 

    あとがき [216-218]
    読書案内まとめ [219-221]

  • 《残念なことに、実は私たちが住むこの世の中は、専門知識を勉強すればどんどんよくわかるというふうにはできていません。むしろ専門的な学問が発達すればするほど、世の中はどんどん複雑になり、全体的に「よくわからないもの」になるのです。》(p.26)

    《「ソフトウェアの設計には二つの方法がある。ひとつは、明確に何の欠陥もないほどシンプルにしてしまうことだ。もうひとつは、明らかな欠陥がなくなるまでに複雑にしてしまうことだ」。微妙な違いですが、前者は欠陥が「ない」ことが、後者では「明らかな欠陥がない」ことが強調されています。社会を考察する際の含意としては、「全くミスを許さないような社会は非常にシンプルな社会であって、実質的に何の役に立たない」ということになるでしょうか。》(p.40)

    《このことを構造化理論では、「構造は条件であり、同時に結果である」「行為が構造を再生産する」と表現します。どんなに規模の大きな制度や社会構造も、それを使うたくさんの人々の行為がなければ存続できない、ということです。そして大事なことは、行為が構造を結果として再生産していることを、私たちは普段は気にしていない、ということです。つまり再生産そのものは行為の主観的意味ではないのです。ですから、通勤している人に「あなたは電車の運行システムを維持しているのですね」と聞いても、「?」となるでしょう。再生産が行為の目的ではないとすれば、それは何なのでしょうか。構造化理論では、構造は行為の「意図せざる結果」として再生産される、と考えます。》(p.84)

    《この世にたくさんある陰謀史観あるいは陰謀論というのは、このような「目的と手段の緩みのない関係」の世界を想定しています。何か悪いことが生じたときに、「なんだかよくわからないけどこういう結果が生じた」と考えるのではなく、その結果を引き起こそうという明確な意図をもって行動した者が必ず背後にいる、と考えるのです。》(p.99)

    《意図や理性に対して距離を置く考え方のことを、保守主義といいます。(…)それは、何か急激な社会変化を何らかの意図のもとで引き起こす動きが生じたとき、それに対して否定的・懐疑的な立場をとることを言いました。(…)フランス革命のとき、それに批判的な立場をとった有名な保守主義者がエドマンド・バークです。社会主義に批判的な保守主義者の代表が、さきほどのハイエクです。
     このように保守主義とは、理性的な思考がすべてを説明するという立場に対して懐疑的であり、したがって急激な社会変化をもたらすマイナスの側面を強調する立場であると言えます。いまでは保守主義の意味がだいぶ変わってしまいましたし、このもともとの意味での保守主義の立場に立つ思想家は目立たないのですが、あえていえばギデンズがそうでしょう。》(p.127-128)

    《原理主義は、ある意味では惰性と反省のあいだでバランスをとって生きることからの逃避です。本質的に不安定な環境で舵取りすることを余儀なくされるこの世界で、前近代社会における伝統や宗教的権威のように、外的に安定性を与えてくれる存在を無理に求めてしまうことによって生じる現象なのです。》(p.199)

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著者プロフィール

筒井淳也| Junya Tsutsui
1970 年福岡県生まれ。立命館大学産業社会学部教授。一橋大学社会学部卒業。同大学社会学研究科博士後期課程満期退学。博士(社会学)。専門は計量社会学、家族社会学。主著に『仕事と家族』(中公新書、2015 年)、『計量社会学入門 ̶ 社会をデータで読む』(世界思想社、2015 年)、『結婚と家族のこれから』(光文社新書、2016 年)など。

「2018年 『インスタグラムと現代視覚文化論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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