生きのびるための流域思考 (ちくまプリマー新書)

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感想 : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (230ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480684059

作品紹介・あらすじ

予想以上の雨が日本列島を襲っている。頭上の雨だけでは水土砂災害は分からない。雨は流域で集められ、災害を引き起こす。いまこそ、流域思考を身に着けよう!

感想・レビュー・書評

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  • 〇豪雨災害の時代。その危機に備え、生きのびるために。
    〇隅から隅までチェックポイントでした。
    〇居住区や勤務地の流域治水や流域地図を確認したくなった。

    ・「流域」を知る
     豪雨が引き起こす水土砂災害とは、河川ではなく「流域」という地形や生態系が引き起こす現象。
     「流域」とは、雨の水を河川・水系の流れに変換する大地の地形のこと。 
     ←「流域」の構造を知ることで、水土砂災害に備える考え方や行動が出来る。

    ・2020年 四年生理科「雨の水の行方」…流域という言葉は出ていないが、大地の凸凹構造に焦点をあてている。五年生では水(河川)の学習。
    ・2020年7月 国土交通省河川分科会「流域治水」

    ①流域の基本構造
     水循環機能…浸食作用、運搬作用、堆積作用
     雨水はどのように川の水になるか…集水、流水、保水、増水、遊水、氾濫、排水。
     大きな森は安全か。急傾斜の地域。
     流域治水の時代。
     水害と治水…下流の大氾濫を防ぐ・緩和するための工夫は上流から。
     あふれさせる治水
     ☆基本三用語
      河川:始まりと終わりがある1本の流れ
      水系:河川が、本流・支流と区分され、大地に横たわる樹木のような模様になっている姿。
      流域:全ての河川・水系に対して、雨の水をその水系の流れに変換する(集める)大地の領域のこと。
     洪水…一般用語では、河川が氾濫している状態のこと。
        専門用語では、大雨で流域から川に流入し、流下する大きな流れのこと。
        ←洪水を安全に川の中で流すのが河川整備の仕事 
        外水氾濫…川の水が土手を超える氾濫のこと。
        内水氾濫…雨水が川に排除出来ずにたまって氾濫すること。
    ②鶴見川流域
     四十一年前から始まった流域治水。
     →大氾濫が止まる。大型台風…多目的遊水池+上流の流域治水で、ラグビー大会も開催出来た。
    ③持続可能な暮らしの実現のために。
     課題:生命圏再適応…地球環境の危機、流域地図の共有、流域思考で生命圏に対応する。

       

  • 河川や水系があって、雨の水がそれらに集まる領域のことを流域と呼ぶ。

    これまでの治水において対策がなされてきたのは、河川と下水道に対して。そうして水害を防ごうとしてきたが、近年豪雨による河川の氾濫や土砂災害は頻度と規模ともに増している。

    そこで2020年には国土交通省が流域治水の方針を発表した。

    本書で例として挙げられていた鶴見川では、市街地が増えるに連れ水害の規模が増していた。そこで、鶴見川流域を保水地域、遊水地域、低地地域に分類し、それぞれの地域に対して異なる治水対策を行った。その結果氾濫しない川になったとのことだ。

    雨が降って土に染み込み、時には溢れ出し川を流れ海に流れ出す、こうしたひと続きとして捉えることの重要性を説くのは、今丁度見ている"おかえりモネ"でも語られていたこととリンクする(山に植えた木が海の栄養になる、という話)。

  • 鶴見川流域ネットワーキング(TRネット)
    http://www.tr-net.gr.jp/

  • ずいぶん前に養老先生と著者との対談を読んでいた。近年の豪雨による氾濫も気になっていた。流域思考ができないのは教育に問題があるということをまえがきで知った。小中学生の理科を担当する私にも何かできることがあるかもしれないと思った。そういう意味で第1章は理科教育に組み込むことのできる内容で勉強になった。2章以降は具体的な話になるが鶴見川流域の土地勘がないので、本文を読むだけでは感じをつかみにくい部分はあった。が、いずれにせよ、人が勝手に作った行政区分で考えていたのでは流域思考はできないということはわかった。さて、私が住むのは木津川流域。この地域はどういう状態か。過去に氾濫したという話を聞かない。我が家はおそらく人工的に作られた2本の細い川にはさまれている。どちらも木津川に流入する。大雨が降るとその2本の川はもうあふれんばかりに水をたたえている。しかし、これは実際のところ、木津川に入る直前で人為的に調整が行われているのだと思う。大雨のたびに市か府の職員の方がやって来て流入量を調節してくれているのか、それともリモートでできるしくみなのか、それはわからない。とにかくあふれそうであふれない、それが率直な感想だ。それから、数年前、線路近くの公園で工事をしていた。地下に雨をため込む貯水槽を入れていた。それでどれくらいの効果があるのか。何立方メートルかためられると書かれていたような気もするが覚えていない。だいたい、本書での記述もそうだが、立方メートル単位で書かれていても、全くその量を想像できない。1時間に数十ミリの雨が数ヘクタールにわたって数時間降ったとする。それで、およそ何立方メートルになるのだろうか。ちょっと計算して感覚をつかんでおくべきかもしれない。

  • 週刊エコノミクス9月21.28号 61ページ読書日記高部知子

  • 【配架場所、貸出状況はこちらから確認できます】
    https://libipu.iwate-pu.ac.jp/opac/volume/543631

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著者プロフィール

1947年東京生まれ。横浜市立大学生物科卒業。東京都立大学理学部博士課程修了。慶應大学名誉教授。進化生態学。流域アプローチによる都市再生に注力し、鶴見川流域、多摩三浦丘陵などで実践活動を推進中。NPO法人鶴見川流域ネットワーキング、NPO法人小網代野外活動調整会議、NPO法人鶴見川源流ネットワークで代表理事。著書に『自然へのまなざし』(紀伊國屋書店)『流域地図の作り方』(ちくまプリマー新書)。訳書にウィルソン『人間の本性について』(ちくま学芸文庫)、共訳にドーキンス『利己的遺伝子』(紀伊國屋書店)など。

「2021年 『生きのびるための流域思考』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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