集団に流されず個人として生きるには (ちくまプリマー新書 421)

  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480684486

作品紹介・あらすじ

過剰に叩かれる宗教団体、危機を煽るメディア、ネットの炎上……集団は強い絆と同調圧力を生み、時に暴走する。そこで流されないためにはどうすればいいのか。

感想・レビュー・書評

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  • 人はなぜ集団化して暴走するのか――自由への不安・忖度・同調圧力|ちくまプリマー新書|森 達也|webちくま
    https://www.webchikuma.jp/articles/-/3048

    森達也オフィシャルウェブサイト -トップページ-
    http://moriweb.web.fc2.com/mori_t/

    筑摩書房 集団に流されず個人として生きるには / 森 達也 著
    https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480684486/

  • すごい大事なことが書いてありました。わかってはいたけれど、集団の中で個を保つのはむずかしい。

  • “負の歴史を見つめること。記憶すること。そしてメディア・リテラシーを身につけること。メディアの弊害を覚えること。世界は多面的で多重的で多層的であることを知ること。集団に帰属しながらも、しっかりと一人称単数の主語を保つこと”

  • 思っていたのとは少々違っていて、どっぷりテーマについて語るというよりは、ディスカッションなのでサクッと読めました。

  • #集団に流されず個人として生きるには
    #森達也
    #ちくまプリマー新書
    #YA
    #読了
    難しかったが、自分にとって必要な本だと感じ読み続けた。予想以上にスケールが大きく素晴らしかった。やはり歴史と世界を見なければ。小集団であっても大きい集団であっても真理は同じ。集団は暴走する。自覚的になろう。

  • タイトルを聞いた第一印象として思い出すのは、梨木香歩「僕は、そして僕たちはどう生きるか」 (岩波現代文庫)。「群れが大きく激しく動く/その一瞬前にも/自分を保っているために」。

  • 【一人称単数】
    群集心理について、有名な研究を紹介しつつ、世界や日本の実例に触れながら教えてくれる本。身近な経験にも重ね合わせながら読めると思う。

    ギュスターヴ・ル・ボンの『群集心理』が発行されたのは、1895年。

    当時の日本は、日清戦争の終わり、そして同年に韓国の王妃の閔妃をその宮廷内で暗殺する。

    『群集心理』では、多くの人が群衆の一人になった時、暗示を受けやすく物事を軽々しく信じる性質」を与えられるとする。(本文より)

    この本が出された後。逆に権威はこの作用を濫用して多くを成し遂げてきているのかもしれない。逆にそうして利用されてきた個々人は、この作用が示されているにもかかわらず、それに対抗するための思考、教訓からの学び、そして行動がまだまだ不足しているのかもしれない。



    歴史的出来事の例として挙げられていたのは、日本の満州事変、第二次世界大戦を始めたドイツのポーランド侵攻、そしてナチスによるユダヤ人虐殺、21世紀に入ってからのイラク侵攻、ウクライナ侵攻…

    人間の傾向として、不安恐怖を抱くと群れる、という。そして、群れは、異質を排除しようとする。

    群れることで安心を得ようとする人々の心理。これは、個々人にも経験があると思う。

    人は、時代とともにより多くの自由を得る一方で、自由は孤独と隣り合わせ。

    エーリッヒ・フロムによると、自由に耐えられないと権威に服従する。他者を排除する傾向にある。

    ジャニスが論じる「集団浅慮」では、人が群れたときに考えが浅はかなまま行動することをいう。

    ハンナ・アーレントは、そうした思考停止に警鐘を鳴らす。

    委縮、忖度、思考停止。有名な研究事例は、ナチスドイツ時代のアイヒマン、ヘス。



    著者は、特に日本は、群れる傾向が強いと考える。

    空気、世間という全体の動きに合わせる。

    震災で叫ばれた、キズナ。この語源はしがらみなどだという。

    群れること、まとまりを作ることで、同じ動きをすることを全体の流れとして決める。

    個人的にふと思ったのは、「社会人」になる時に多くの個人が皆に倣って不本意でも同じ動きをすること。自立、責任が求められる中で、多くの不安がある。だから、より周りに合わせようとする傾向が強まるのかもしれない。

    メディアはこの本の議論の中でも重要なポイント。市場原理と切り離すべきジャーナリズムはその役割と立場について、市場原理と切り離すべき、という。

    ジャーナリズムの自主規制が幻想であるとし、メディアは明確な規制がないことを恐れている点についても述べられていた。

    最近では、2022年12月に閣議決定された、敵基地攻撃に関する法案について。この件では、敵基地への攻撃を「反撃」と言い換えていると指摘。

    これまで戦争などにおいても、全体の統制を要する際に権威による言い換えが目立つ。

    全滅を玉砕、後退を転進、と言っていたのは最近よくいろいろな本でも触れられていた。

    そして今日も、この権威による群集心理の濫用が継続されていること。

    日本で特有の被疑者の実名報道についても書かれていた。

    これも、人間の善悪を分けるカテゴリー付けが強い、事につながりがあるのかもしれない。訂正可能性を許さない傾向。

    一方個人的に思ったのは、記者の実名投稿について。この本では触れられていなかったけれど、逆に記者個々人の名前が各記事に記載されないことが日本ではよくあるのではと思ったりしていて、これはどう関係するのかな。報道内容に対する責任の不在、みたいなのが起こりえないのかな、とか思ったり。

    SNSでも日本は特出してアノニマスなアカウントが多いという。だから著者は、一人称単数での発信、行動を奨励する。

    そして、ネット上でも、声の大きいものに巻かれるエコーチェンバーの作用についても注意を促す。

    結論として、

    今必要なのは、メカニズムを探る、歴史、教訓を学ぶ、一人称単数の主語を抜かないこと。個人名を出さずに投稿している私も、群れの中での安心感に浸る傾向が強い。

  • 負の歴史を見つめること。記憶すること。そして、メディアリテラシーを身につけること。メディアの弊害を覚えること。世界は多面的で多重的で多層的であることを知ること。集団に帰属しながらも、しっかりと一人称単数の守護を保つこと。

  • 書いてある内容は納得することばかりですが、独り語りのような文章のため、批判的な視点がほしいなと感じ、星を1つ減じました。ただ、この本のテーマが個人としての視点・主張ができるようにというものなので、あえて独り語り風にしているのかもしれないとも感じました。集団と自分を同化させて、強い言葉を好んで使う人が増えている時代、いろんな方にこの本を読んでほしいと思います。

  • メディア・リテラシーを持つことがいかに重要か、具体例をたくさん挙げつつわかりやすく説明してくれる本。

    視点や解釈の違い、情報はすべて誰かの視点であり解釈であることを意識してメディアに触れたい。

    メディアと社会と政治は三位一体

    ドイツの戦争のメモリアルディの日本との違いについても知った。戦争の始まりと自分たちの加害をメモリアルにしたドイツと戦争の終わりと自分たちの被害をメモリアルにした日本。

    一人称の主語を持つことの大切さ

    過ちや失敗の記憶を継承し、忘れないでいることの大切さ

    What are your thought and beliefs made up of ?

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著者プロフィール

森 達也(もり・たつや) 広島県呉市生まれ。映画監督。作家。テレビ番組制作会社を経て独立。1998年、オウム真理教を描いたドキュメンタリー映画『A』を公開。2001年、続編『A2』が山形国際ドキュメンタリー映画祭で特別賞・市民賞を受賞。佐村河内守のゴーストライター問題を追った16年の映画『FAKE』、東京新聞の記者・望月衣塑子を密着取材した19年の映画『i―新聞記者ドキュメント―』が話題に。10年に刊行した『A3』で講談社ノンフィクション賞。著書に、『放送禁止歌』(光文社知恵の森文庫)、『「A」マスコミが報道しなかったオウムの素顔』『職業欄はエスパー』(角川文庫)、『A2』(現代書館)、『ご臨終メディア』(集英社)、『死刑』(朝日出版社)、『神さまってなに?』(河出書房新社)、『虐殺のスイッチ』(ちくま文庫)、『フェイクニュースがあふれる世界に生きる君たちへ』(ミツイパブリッシング)、『U 相模原に現れた世界の憂鬱な断面』(講談社現代新書)、『千代田区一番一号のラビリンス』(現代書館)、『増補版 悪役レスラーは笑う』(岩波現代文庫)、『集団に流されず個人として活きるには』(ちくまプリマー選書)、『歯車にならないためのレッスン』(青土社)、『COVID‐19』(論創社)など多数。編著に『定点観測 新型コロナウイルスと私たちの社会』シリーズ(論創社)など。
2023年9月1日、関東大震災の5日後に千葉県の福田村で起きた行商団9人の虐殺事件をテーマにした映画『福田村事件』が公開。

「2024年 『ガザ虐殺を考える』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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