刑の重さは何で決まるのか (ちくまプリマー新書 454)

  • 筑摩書房 (2024年4月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (208ページ) / ISBN・EAN: 9784480684752

作品紹介・あらすじ

犯罪とは何か、なぜ刑が科されるのか。ひいては、人間とは何か、責任とは何か?――刑罰とは究極の「問い」である。早稲田大学名誉教授が教える刑法学入門。



人間とは何か、責任とは何か――

刑罰とは究極の「問い」である



早稲田大学名誉教授が教える刑法学入門

「主文 被告人を懲役10年に処する」――

その根拠を考えてみたことはあるだろうか?

犯罪とは何か、なぜ刑が科されるのか。

制裁としての刑罰はどうあるべきか。

「刑法学」の考え方を丁寧に解説する。



・日常的な感性と刑法学のあいだにはギャップがある

・ルールにはさまざまなレベルと目的がある

・刑罰は「コミュニケーション」のためにある

・被告人側の事情、社会側の事情、被害者側の事情

・「犯罪」「刑罰」「責任」の新しい考え方 etc.

感想・レビュー・書評

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  • 罪の重さはどうやって決まるのか。
    法学の基礎になりそうな知識が、丁寧に説明されている一冊。

    「犯罪」と「刑罰」と「責任」は、これから、どのように捉えられていくのだろう。
    もう少し具体例に踏み込んで考えてみたい内容だった。

  • 刑法の理念を分かりやすく説明する一冊。
    刑法が守っているのは、法益であって人ではないってことに「なるほどね」と思う。刑事事件で人を守る(被害者に償う)のは民法の役目なんだ。明確に制度設計されていたのですね。

  • 面白い新書ってよりも読みやすい入門書、という感じだった。表面的なことだけを見て量刑は決められないんだな、と思うけれど、やっぱり感情では軽すぎる/重すぎるととらえてしまうことが多いなあ……

  • 刑法についての考え方が、歴史的経緯も含めて最新のものまでコンパクトに説明されている。
    もし裁判員裁判で犯罪について意見を述べるような機会があれば、事前知識としてこういう本を読んでおく必要があるのではないだろうか。

  • ■「廊下に立たされる罰」から刑罰を考える
     第1は、因果応報。宿題をやってこなかったから、その反作用として、廊下に立たせる罰を科すというだけのことで、他に目的はない。
     第2は、他の生徒達への「見せしめ」。宿題をやってこないと、廊下に立たされることになるので、皆に宿題をやらせるために他の生徒達を威嚇して従わせることを目的とするもの。
     第3は、宿題をやってこなかったその生徒を改善・教育するということで、その生徒を立ち直らせて、今度から宿題をやってくるようにさせることを目的とするもの。
     第4は、宿題はやってこなければいけないというルールが破られたことを確認し、そのルールを改めてクラスに周知徹底することによって、そのルールを回復させ、遵守させることを目的とするもの。
    ■「刑罰とは何か」を巡る考え方
     第1の考え方は「応報論」であり、犯罪に対する反作用として刑罰を科すことそれ自体に意味があるという考え方。
     第2の考え方は「一般予防論」であり、刑罰は一般人に対する威嚇のためにあるという考え方。
     第3の考え方は「特別予防論」であり、刑罰は行為者の改善・教育のためにあるという考え方。
     第4の考え方は、「積極的一般予防論」であり、刑罰は国民に規範意識を覚醒させるため、或いは法的平和の回復のためにあるという考え方。
    ■未必の故意
     故意が認められうためには、犯罪事実の「認識」だけでなく、犯罪事実の「認容」が必要であるというのが一般的にな見解で、「認容」とは犯罪の結果が発生しても「仕方ない」「構わない」などの心理状態をいう。
     この「仕方ない」「構わない」と思っていた場合、犯罪事実の認識と認容がある心理状態として「未必の故意」という。
    ■量刑は具体的にどのように判断するのか
     被告人側の事情
    ①行為態様・方法
     行為に残忍性、執拗性、危険性などが認められれば、その悪質性が肯定され、刑は重くなる。
    ②犯罪結果の大小・程度・数量
     犯罪が既遂となった場合と未遂にとどまった場合の量刑の比較が問題となる。
    ③動機・犯行に至る経緯
     動機は、非難の強弱に影響を及ぼす。動機の悪質性はその反社会性、私利私欲性、情欲性、無目的性などから明らかになる。
    ④計画性
     犯罪の計画性が強ければ強いほど、法益侵害の危険性は高まり、法益軽視の度合いが大きいため、強く非難されることになる。
    ⑤被告人の性格
     被告人の反社会性、常習性、犯罪傾向性、粗暴性、精神的未熟性などの性格は、特別予防の観点からは重要な量刑事情となる。
    ⑥被告人の一身上の事情
     被告人の年齢、国籍、職業、社会的地位、経済状態などの一身上の事情も刑の個別化という特別予防の観点からは考慮されることになる。
    ⑦前科・前歴
     満期で刑務所から出所した後や仮釈放中に、再度同様の犯罪を起こしたような場合、非難の程度は大きくなる。
    ⑧余罪
     余罪そのものを処罰する趣旨で量刑事情にすることは許されない。しかし、犯罪の動機・目的・方法、被告人の悪性格、再犯可能性などを推認するための資料とすることは許される。
    ⑨被告人の犯罪後の態度
     証拠隠滅をしたり、逃亡を図ったりするなど、被告人の犯罪後の態度は、量刑を重くする方向で考慮される。
    ⑩共犯の事件
     コミュニティ・社会側の事情
    ⑪社会の処罰感情(処罰要求)
     社会や世間が「犯人を許せない」という状況にあるときには、重い量刑になる傾向がある。しかし、社会の処罰感情(処罰要求)は極めて曖昧なものなので考慮するかどうかを含め新著湯な判断が必要。
    ⑫犯罪の社会的影響
     犯罪の社会的影響も量刑事情となり得ることは一般に認められており、社会的影響が強い場合は非難の程度が大きくなる。
    ⑬社会的制裁
     社会的制裁がすでになされている場合には非難の程度が弱まることも考えられる。
     被害者側の事情
    ⑭被害者の落ち度
     被害者の落ち度が量刑で考慮されることはあり得るが、その具体的な事情が当該事件で量刑事情としてどのような位置づけを与えられるべきかを慎重に判断する必要がある。
    ⑮被害者(遺族)の被害感情・処罰感情
     被害者感情が沈静化し「赦し」があった場合、一般に刑を軽減する方向で考慮される。

  • 第5章に出てきた考え方は新しい視点で参考になった。概説書を読んでもあまり出てこない話なので、少し視野が広がった気がする。
    法学を学んでいるものにとっては、犯罪論、処遇論、量刑論は講義の復習になるかなという印象。

  • タイトルに惹かれて手に取ったが、タイトルについて述べるまでの前提知識が難解でした。勉強だと割り切って読んだ。

  • 背ラベル:326-タ

  • 【配架場所、貸出状況はこちらから確認できます】
    https://libipu.iwate-pu.ac.jp/opac/volume/573418

  • 刑法学入門を学びたくて手に取ったけど、この本は私の問いに正確に答えてくれて、さらに私に問いをなげかけて終わった

    私は本はそういうものだし、そうあるべきだと思っているので、入門書以上に読み終わった時に興奮した

    それはそれとして、自分の刑法の考え方と実情に乖離があると気づけてよかった

  • 刑法学の入門書というものだが、専門用語が次々に出てくるので、法律用語集みたいのを一緒に読む必要がありますね。知りたいと思っていたことが書かれていたので内容は満足。でも理解できたかどうか反芻が必要と思っています。

  • なぜこの犯罪がこの判決なのか、と思う事があり手にとってみた。犯罪論、刑罰論、量刑論から刑の重さを決めているという事がわかり、少し難しいところもあったが全体的に読みやすい。5章では責任論や自由意志について書かれていて、これから社会が変わっていけば刑の重さは変わるのではないかと感じた。量刑検索システムにより、過去の事例に基づいて判断されているようなので、社会や私たちの意識も大切なんだと思う。ネットでさまざまな犯罪が議論されている事もあり、今後の判決が気になる。

  • 刑法学、犯罪論、処遇論、量刑論の世界を第1章から第4章で論じているが、門外漢の小生にはやや退屈な内容だったが、第5章の「刑法学の新しい世界」は打って変わって興味を引くものだった.冒頭に被害者志向的刑罰論と修復的司法論が突然出てくる.さらにウィトゲンシュタインに絡む分析哲学的アプローチの説明があり、ドイツやオーストラリアの例が紹介されている.いまいち理解できていない部分はあるが、犯罪・刑罰・量刑を考える道筋をつけてもらえた感じがしている.

  • 刑法入門としてわかりやすくてよかった。あと第5章が興味深かった。

    過去の関連読了本
    『刑法的思考のすすめ』仲道祐樹(大和書房)

  • 登録番号18275
    326(タ)

  • 女子栄養大学図書館OPAC▼https://opac.eiyo.ac.jp/detail?bbid=2000069619


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著者プロフィール

高橋 則夫(たかはし・のりお):1951年東京都生まれ。早稲田大学法学部卒業。早稲田大学法学部教授を経て、現在、早稲田大学名誉教授。法学博士。著書に、『刑法総論』『刑法各論』『共犯体系と共犯理論』『刑法における損害回復の思想』『修復的司法の探求』『規範論と理論刑法学』(すべて成文堂)。

「2024年 『刑の重さは何で決まるのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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