人生のレールを外れる衝動のみつけかた (ちくまプリマー新書 453)
- 筑摩書房 (2024年4月10日発売)
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感想 : 193件
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784480684820
作品紹介・あらすじ
「将来の夢」「やりたいこと」を聞かれたとき、なんとなくやり過ごしていませんか? 自分を忘れるほど夢中になれる「なにか」を探すための道標がここにある
「本当にやりたいこと」「将来の夢」「なりたい自分」こんなテンプレに惑わされないために。
変化を恐れない勇気、あげます。
「将来の夢」や「本当にやりたいこと」を聞かれたとき、
それっぽい答えを言ってやり過ごしたことはないですか?
自分を忘れるほど夢中になれる「なにか」を探すために
スマホを置いて一歩を踏み出そう。
【本書に登場する話題】
魚豊『チ。』/山田鐘人・アベツカサ『葬送のフリーレン』/伏瀬『転生したらスライムだった件』/山口つばさ『ブルーピリオド』/屋久ユウキ『弱キャラ友崎くん』/香山哲(漫画家)/黒澤明/ドストエフスキー/ウィリアム・ギブスン『ニューロマンサー』/ジョージ・ソーンダーズ(作家)/ジェニー・ホルツァー(現代アーティスト)/空揚げの無料配布/幽霊文化/マーク・フィッシャー/キルケゴール/フロイト/チャールズ・テイラー/プラグマティズム/宇野常寛/小川公代/鶴見俊輔/森田真生/けんすう『物語思考』/ダニエル・ピンク『モチベーション3・0』/クレイトン・クリステンセン『イノベーション・オブ・ライフ』/スタンフォード式 人生デザイン講座/「本当にやりたいこと」/キャリアデザイン/OODAループ/言語化/観察
みんなの感想まとめ
自分の「衝動」を見つけ出すことをテーマにした本書は、人生の選択肢や夢についての考え方を深める手助けをしてくれます。「将来の夢」や「やりたいこと」といった一般的な枠組みにとらわれず、自己の内面を探求する...
感想・レビュー・書評
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著者の谷川 嘉浩(たにがわ よしひろ)さんは、京都市在住の哲学者で、京都市立芸術大学美術学部デザイン科講師です。
中高生に向けて、なんとなく持っている将来の夢が本当に自分の中から湧き上がってきたものなのかを「衝動」という切り口で問いかけます。
まず、『チ。地球の運動について』(魚豊)を取り上げ、迫害を受けても「取り憑かれたように」地動説に向かう主人公ラファウの「自分ではコントロールしきれないくらいの情熱」を語ります。そして、その情熱は、要領のよさとは反対にあるもので、「衝動」によるものであると語ります。
次いで、「衝動」とはどういうものかを突き詰めていく説明を進めます。
「衝動」とは、説明から常に零れ落ちる(非合理的な)ものであり、自分でも驚くような行動をもたらし、そして極端な持続性があるものだと言います。
さらに、「衝動」を見つけるために、セルフインタビューを行い「偏愛」の解像度を上げながら、自分を丁重に扱い粗末にしないことを勧めます。〇〇のためなら世界が破滅しても構わない、と言えるものが見つかるように自分を掘り下げます。
そして、「衝動」から目的を省察し、環境を観察しながら戦略化し、生活に実装していきます。大切なのは、自分の偏りや特性に基づいた計画性に従うこと、つまり「しっくり」くる「心地よさ」に従うことだと言います。
以下、私見。
現在、例えばある公立中学校では、1年生からマインドマップ作成を行って自分の特性を知り、2年生では自分の興味に基づいて職業体験に行き、3年生で将来の就業を見据えて進路を考える、といったことが総合科の授業で行われています。18歳成人制となった日本国において、このやり方を否定はしませんが、本書では、『「将来の夢」や「本当にやりたいこと」を聞かれたときに、それっぽい答えを言って、やり過ごしていないか』を危惧しています。
大人になってから、こんなはずではなかった、と後悔しないように、自分の「衝動」を見つけて欲しいですね。(それにはね、読書だと思うな、わたしは。たくさんの疑似体験を本の中でして欲しいな。たくさんの本に当たって、ホンモノを見極める嗅覚を鍛えながら、自分の「衝動」を見つけて欲しいな、と思っています。古今東西3000年間くらいの作者がキミを待ってるよ。) みのりんはブクログしながら青春を応援します♡
【目次】
序章 なぜ衝動は幽霊に似ているのか
第1章 衝動は何ではないか
第2章 衝動とは結局何ものなのか
第3章 どうすれば衝動が見つかるのか
第4章 どのようにして衝動を生活に実装するのか
第5章 衝動にとって計画性とは何か
第6章 どうすれば衝動が自己に取り憑くのか
終章 衝動のプラグマティズム、あるいは実験の楽しみ
【本書に登場する話題】
魚豊『チ。』/山田鐘人・アベツカサ『葬送のフリーレン』/伏瀬『転生したらスライムだった件』/山口つばさ『ブルーピリオド』/屋久ユウキ『弱キャラ友崎くん』/香山哲(漫画家)/黒澤明/ドストエフスキー/ウィリアム・ギブスン『ニューロマンサー』/ジョージ・ソーンダーズ(作家)/ジェニー・ホルツァー(現代アーティスト)/空揚げの無料配布/幽霊文化/マーク・フィッシャー/キルケゴール/フロイト/チャールズ・テイラー/プラグマティズム/宇野常寛/小川公代/鶴見俊輔/森田真生/けんすう『物語思考』/ダニエル・ピンク『モチベーション3・0』/クレイトン・クリステンセン『イノベーション・オブ・ライフ』/スタンフォード式 人生デザイン講座/「本当にやりたいこと」/キャリアデザイン/OODAループ/言語化/観察 -
子供の時の夢を叶える事が素晴らしいかのような、刷り込まれた価値観でテンプレ通りに語るのはとても残念だ。
何になりたいかなんてなくて良い。この社会においてナビゲーションされる一見健全そうなレールは、親子共に安心して努力する事を美しく演出するようなメイクストーリーだ。だが、ユーチューバーになんてならなくて良いし、スポーツ選手に憧れない、医者にも興味ないあなたは、それに憧れるヤツらに劣等感を感じる必要などないのだ。
ただただやっていて楽しい事。夢中になれるもの。夢とはその範囲でフレーミングした欲望に過ぎず、そうやって時間を過ごすのは素敵な事だろう。しかし、更にいうならば、夢中になれる事すらなくて良い。社会的価値観の押し付けに焦る必要はない。ゆっくり生きて、偶然に何かと出会うならば、いや出会わないならそれすらも、多様性による調和的な存在意義である。あなたはあなたで良い。私が私で良いように。
生きる事に条件などなく、ただ、生きていく。
お仕着せの「良い生き方」など、レールの上にもレールの外にもありはしない。錯覚世界の中で、成功者の幻影を自らに重ねてそれに浸るのみだ。
私だってそうだ。衝動とは、リビドーや渇き、生命を守るような判断に突き動かされるだけであって、何時間も夢中になれるものなんて、YouTubeのショート動画を延々と見ているそのムダ使いみたいな時間と、忘我の為の読書くらいだ。何になりたい訳でもなく、それで良いということを概ね確信して生きている。
ー その行動の背後で働いているものを、私たちは「衝動」と呼んでいます。それは「え?なんでそんなことを、そんな熱量で?」と、周囲や自分自身が疑問に思うくらい非合理な動機であり、“要領のいい”行動、賢い”行動とは無縁です。衝動を持つ人は、ちょっと不可解で、はちゃめちゃなところがあるわけです。
こうした◯◯は良いことみたいな生き方模索的な啓発を信じ込むことは、なにやら情報商材に騙されているみたいな感覚だ。良いこととはその人の価値基準における良いことであって、あなたには無関係な生き方だったハズだろう。
ー ナラティヴ・トランスポーテーション(物語的移入)は、物語世界の中に入り込み、没入することを表しています。つまり、ジャックインのことなのですが、これを単に「フィクショナルな移入」と言わずに、「物語的移入」と表現したことには、物語という形式でこそジャックインが成立しやすいという心理学者の直観が働いているように思われます。
ほら、本書も書いている。レールの上での成功体験も、レールを外れた情熱体験も、フィクショナルな物語的移入に過ぎないのだと。ジャックインとは、コードを繋ぐこと。どうして自分にコードを繋いでまで、レールの所在を意識して走る必要があるのだろう。レールの内外を「走る必要性」から、先ず考えてみたらどうだろうか。 -
突然、人生のレールから外れたことがある。今はもう、戻ったつもりだが、どこかまだ据わりが悪い。あえてレールを外れたらどうなるのか興味があって本書を手に取りました。期待はしていなかったけれど、やはり具体的なハウツーはない。考え方だけ教わった気がする。同じ人間だって、十年たてば、いや五分後だって別人だ。それこそそのときそのときの衝動に従うしかないのかな。
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このひとを知りたい、というひとがいる。
そのひとにこの本を渡して、もし読んでもらえたら、
少したってから訊いてみたい。
あなたの衝動は何でしたか、と。
あなたの偏愛をどこまでも具体的に、細かく細かく辿っていった先に、何がありましたか。
実際のところ、あなたは何を楽しんでいるのですか。
その言語化された偏愛をほどほどに一般化したら、何が残りましたかーー。
それから、僕の衝動はこれでした、と話してみたい。
とても個人的な、けっこう奥のほうのことだから、
むやみに訊くことでもないし、云うことでもない。
だから、もし双方が知りたいと思うとしたらの話。
ーーそんなことってあるだろうか。
これはとても愉しい本。
『香山哲のプロジェクト発酵記』(香山哲著 イースト・プレス 2022)を買いもとめることになる本。
自分にインタビューをすることになる本。
そして、自分はこれに突き動かされていたのか。なるほど、どうりで。と腑に落ちて、
それなら、と今の自分にしっくりくる方法で今日を生きられるようになる本。
そうして僕は〈情報カード〉を入手した。
ケースも揃えた。 -
最近こういう系統の本はめっきり読まなくなったのですが、
知り合いから紹介されたので手に取ってみました。
そしたら、あら不思議。結構のめり込んで読んでしまいました。
ジャンルとしては自己啓発にあたるんですかね?
しかし著者が哲学者なこともあり、
一般的なビジネス書で見られるような自己啓発書とは、
一線を画すような仕上がりになっていて、
その点が興味を引いたところです。
特に、前半部分が良く、漫画「チ。」や「ひゃくえむ。」を紹介しながら、
この本のテーマである「衝動」について探求していきます。
途中、「衝動」と「偏愛」の違いがよく分からず、
こんがらがってしまいましたが、
それも途中にしっかりと解説されており、
一定の納得感で読了することができました。
最後は、若干尻すごみ感がありましたが、
全体的には満足のいく本でした。
おかげさまで?、漫画「チ。」と
「ひゃくえむ。」を読むことになりましたとさ。
(影響を簡単に受けてしまう自分もどうかと思いますが。。)
※チ。 -地球の運動について- 豪華版
https://booklog.jp/item/1/4091794599
※公式トリビュートブック『チ。 -地球の運動について-』第Q集
https://booklog.jp/users/noguri/archives/1/4098630664#comment
※ひゃくえむ。新装版(上)
https://booklog.jp/item/1/4065274346
※ひゃくえむ。新装版(下)
https://booklog.jp/item/1/4065274311
くやしいけど?、「チ。」はとても良かったです。 -
この本でいう「衝動」は、モチベーションの語彙では説明しきれないものだ。衝動に突き動かされている行動は、「え?なんでそんなことをそんな熱量で?」と、周囲や自分自身が疑問に思うくらい非合理な動機であり、“要領のいい”行動、"賢い”行動とは無縁なものである。
衝動を持つ人は、ちょっと不可解ではちゃめちゃ。「自分ではもうコントロールしきれないくらいの情熱」「過剰なパッション」と表現されたりも。
自分にはそんな「衝動」はないな〜特に今は気持ちも塞ぎ込んでいて、何をしても楽しくないし、何が楽しいかもわからない。
そんな状況を打破するために、本書では自分の「偏愛」探しを勧めている。自分の中で何故か説明できないけど好きなもの、それが偏愛なのだが、偏愛は具体的な活動を出口として見つけた衝動なのだという。つまり、衝動が具体的な活動を形にとったものが偏愛と呼ばれるのだ。自分の偏愛を知るためには、自分へ丁寧にインタビューすることが大切。それっぽい回答に満足せず、万人ウケしないオリジナルの偏愛を見つけ出す必要があるのだ。
唐揚げをただただ揚げ続ける人の話面白かったな。
あと、「PROTECT ME FROM WHAT l WANT」のフレーズは刺さる。消費者が自分の欲望を見失っている高度消費社会や国際政治の状況などを念頭に置いている感じがよく出てる。自分で望んだはずのことなのに、結果、自分を恐怖や不安に陥れている。日常生活で意外と身近にあるのでは。 -
タイトルに惹かれて読んだ
心の奥底や、日頃の些細なところから見出す衝動に対して、その発見を阻害するのがSNSや自分の卑下、それっぽい説明などであり、まずはそこを取り除くのがスタート。これらを著者は「平均多数派という鋳型に自分を溶かし入れる」みたいな表現をしていて、それが理解しやすく秀逸。
そこから衝動を実装する方法としては、学ぶことによる衝動の誘導や、日々の生活で実験的に新しいことにトライするなどを、あげていた。暇と退屈の倫理学や、心眼と近い内容と思った
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40代ながら、生きるヒントというか
自分の潜在的な衝動をもっと分かりやすく形にできるヒントとなった、が、自分の思考、日々の鍛錬が必要
数年後、再読してどう感じるか -
“しかし、他人の成功譚を聞くことよりもっと大切だと私が思うのは、成功が保証されていない状況で、なんとなく一歩を踏み出してみる非合理な衝動です。つまり、失敗するかもしれない状況で、とりあえず動いてみる意味不明な好奇心のこと。その佇まいをあえて言語化するなら、意味不明なほどの熱量、先が見えないのに一歩進む非合理な勇気とでも呼ぶべきものだと思います”
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どうしてもやってしまうこと、没頭できることの元になる衝動について、それがどういうものか考える本。プリマー新書なので、たぶん対象読者はこれから人生を始める人。人生をまとめる者としては、わかる~という気持ちで読んだ。実際、自分の周りで衝動を殺さずにきた人たちは、それぞれにどうしようもなく個性的になっている。わたしが知らないだけで、本来的には誰もがそうなるのだろう。
著者は自分の衝動がどういう形をとるか、良いと思う物事に接してみながら知っていけばいいんですよ、という至極真っ当で地味な結論をもって本書を終わらせている。健康に生きるには適度な運動とバランスの良い食事が必要だっていうのと同じくらいに真っ当。自分としては、コンテンツ過多な時代にあって、良いかもしれない物事がそもそも目に入りにくいように感じている。好奇心の喚起のしかたについて気にしてみようと思った。 -
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令和人文主義の提唱者、「スマホ時代の哲学」が大ヒットの著者である。Podcastで音声発信も精力的。人文学・思想書が一般へアウトリーチするべく活動目覚ましい、感謝である。
本書のテーマはずばり「衝動」を意識した生き方。
衝動って大仰な響きであるが、類似表現である「モチベーション」や一般的な「目的」との差異を詳らかにしていく。最終盤には外在的アプローチや同調圧力に流されない「多孔的な自己」であることの大切さを説く。
捻くれた性格である私は、その「衝動」を持ち得る人って限られた選ばれた存在なんじゃない?と訝しく思ったりするが、そんな読者も想定の範囲内である。「衝動」とは一貫して変容しない確固たる内在されたパッション、みたいな暑苦しいものではなく、あらゆる外部環境からの刺激を受けながら時には生まれ変わったりするものである。
つまりは、生得的に備わっているものという認識ではなく、自分から良いなって思うことにトライしてみたり、魅惑されてみたりして育み発現するものなのだ。
成長とか主体性とか、モチベーションやコミットメントとかの文脈の先に透けてみえる社会規範に沿った「できる人」を目指す潮流って昔からしんどいなーって思うことがある。自分を杓子定規ものに嵌め込むしんどさって社会にいると少なからずある。そんなときに、本書で学ぶ「衝動」へのまなざしを頭の片隅に留めておくと、そんな自分を許せるかもしれないし、ジャックインした人生を取り戻せるのかもしれないという希望の書だ。
著者あとがきには今後の創作意欲の高さを表明している、高まる期待。この界隈が好きなので、最近さらに充実した読書ライフだな。 -
衝動を『幽霊』のメタファーで論考していく点が印象的。
章ごとにまとめがなさているので、難しい展開になっても道筋を見失うことなくゴールに辿り着けた。
自分がトレーニングにかける熱量って周りから見たら『なんでそこまで?』って感じでよく言われるけど、これが衝動なのかなぁ。。
一方で、やりたいからやってる感もあるし、その点から考えるとダニエル・ピンクの記すところのモチベーション3.0に当てはまるのかな。
まぁ、この気持ちを必ずしも分類わけしないといけない訳じゃないし、今後も衝動の向きや目的は変わりうるだろうし。。
ただ少なくとも、これからもキャリア的な(偶然を想定していないような)生き方はせず、自分らしく偶然に身を任せていこうとおもふ。
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正直なところ、読み終わった現時点で、衝動を見つけられたか、というとそんなことはないし、たぶん今後もそうそう見つけられないと思う。
この点では、「みつけかた」というタイトルには誇張があるのでは、とも思う。
特に、偏愛してることをセルフインタビューで見つけられるか?って気はする。
ただ、今後の生き方に何点かの視点を持てたと思う。
・実験→興味を持ったことに少しずつ取り組むこと
・外の世界と関わりを持ち、相互に影響を及ぼすこと
この辺りは意識的に取り組んでいきたい。
今は特に身を焦がすほどの衝動を見つけられる気はしないけど、今後上記の生活をしていけば、もしかしたら自分の内側の衝動が表出してくるかもしれない
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「衝動」というキーワードだとやや強いので、それを「偏愛」という種に落とし込み、丁寧に自分の内外を探って見つけて、育てられるような素地づくりが大事、ということだと理解した。
逆算思考的に、目指す姿を明確にしてそこに向かっていく、という動きを批判しているのも特徴的で、日々の心の機微、自分の偏愛を大事にしようという論で、地に足がついているように思う。
いっぽうでそのような自分の中から出てくる偏愛は、スケールしづらいものが多いのではないか。
言い換えれば「社会的成功」のコンテキストとは異なるものになりがち。それで良いと思うのだが。
社会に溢れるメッセージとしては「社会的に成功するために」やりたいことをみつけよう、という暗黙の前提があるように思う。
社会的・経済的に成功した人からの逆引きの「やりたいことを探す論」だと、どうしてもスケーラビリティや経済的・社会的リターンが強くイメージされがち。
そうじゃなくてもっと自分の内面の、「小さいけど深い欲求」を大事にしていこう、というメッセージ、とも言えると思う。 -
進路選択や就職活動のなかで「将来の夢」「本当にやりたいこと」「なりたい自分」といったテンプレの質問になやまされる若い人たちが、本気で自分のうちにあるマグマをみいだすためにはどうしたらいいか? 地動説を扱った人気コミック「チ。」の主人公の例をいとぐちに、本人にもコントロールしきれないほどの、しかし何事かを成し遂げるには不可欠ともいえそうな謎の「衝動」の正体に迫り、「夢中になれる」「熱中できる」状態をていねいに観察し、自分の「偏愛」の正体を見極め、それを自分の生活に実装させていく方法をともに考える本。
今の学校などで行われるいわゆるキャリアデザイン、キャリア教育にはずっと懐疑的なのだが、それについてひじょうに的確な批判があってよかったので、ぜんぶ読む時間や力がない人は第5章だけでも読むといいと思う。
自分で考え選んで決めるといっても、人生には自分の意志ではどうにもならない要素ばかりだとはずっと思ってきた(と書くとちょっとネガティブに聞こえるかもしれないが、意志を貫こうとするよりそのときそのときの最善を選べるように生きてきてて、この本に書いてあるようなことをわたしは心のどこかでずっと考えていたのだと思う)。人生に意味を与え自分をいい方向にドライブしてくれそうな「衝動」、つい夢中になってしまう趣味の一つもみつからないとたしかにつらいと思うが、スマホなどでいつでもゆるく繋がりあっている今はそういう人が増えているらしく、若い人にはこういう指南書が必要な世の中なのだなと思った。
一方で読みながらずっと気になっていたのは、この本で考えていたのとは逆の、みつけたいというより抑えたい逃れたい負の「衝動」(←依存や嗜癖のようなものとか)はどうしたらいいのか(それで困っている人のほうが多そうで)ということだった。絶対的な善し悪しは決めつけられず、どちらもコインの裏表なのかもしれないけど・・・
それはともかく、前後して読み終えた森田真生「ぼくたちのセンス・オブ・ワンダー」(これも筑摩書房)と実は同じようなことを言っているなあと思った。 -
公序良俗に違反しない形で衝動に知性のスパイスをかけて実行可能へ。知性がないからわたしの偏愛は実がならなかったのねと思った。哲学者の話は難しい。
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タイトルに惹かれて本を買ったのは久し振りだしこういった啓発本でエモーショナルさを掻き立てられるものはあまりなく、どちらかというと打算的なものを打算的に読むことが多かった。小説よりもエモーショナルに、打算を打たずに読める啓発本。それだけで読む価値がある。
それだけ期待値が高い状態で読み始めたわけだが、ボルテージはそのまま上がっていった。現代の情報過多・マルチタスクの常態化によって、何かに熱中したり衝動に突き動かされることがどうしても減ってしまうよねという話。
細分化された具体的な欲望である偏愛をもとに、衝動の手がかりを見つける。そしてその衝動を実生活に実装する。およそ衝動とは近いと感じがたい実践的な方法論とセットが述べられているが納得の連続。
私自身、ランニングもブログ執筆もインプットも、ある種の偏愛の末にある衝動として出力されているのかもしれない。なんでそんなに頑張ってるの?と言われる所以が衝動以外に説明がつかないともいえる。 -
側から見たら意味不明だけど、どうにもやってしまうものを見つけられたら寂しさや孤独とも共存できる
ということだろうか -
「衝動的に〜」と言うと、なんとなく下の句には「犯罪に手を染めた」的な良くない言葉が入ることが多い気がして、一時的な、刹那的な強い欲望というイメージで捉えていたが、ここで扱う「衝動」とは、もっと内から湧き上がるもので、かつ持続していて、さらにその欲望の強さは問わないものらしい。自分でもその存在を意識するのが難しく、自分の衝動を見つけるためにはどうしたらいいか?というテーマに多くの章が割かれているくらいだ。
そんな捉えどころのないものに左右されて、「人生のレール」を外れることが、はたして推奨するべきことなのか?という疑問がもたげてくるが、そもそもレールに沿って人生を進めていくことこそがリスクなのではないか?などと言われると余計にわからなくなる。
衝動に身を任せることは、必ずしも社会的成功に関連するものではなく、むしろ社会的成功の度合いを測る尺度から自由であるために、衝動に身を任せようというのが本書の趣旨であるようなので、幸福度の追求につながるということなのだろうか?
お金にもならないのに、やたらと情熱を傾けていること【偏愛】は、実は私にもある。それがなかったら、人生はきっと今より無機質だし、それがあるから仕事もほどほどに頑張れているので、まぁたしかに大事なんだろうなと思うけど、そこにはやっぱり「上手くなりたい」とかいう気持ちがあって、その向こうには「認められたい」とかいう気持ちがどうしても出てきてしまうので、自分の「衝動」とがっぷり四つで向き合うっていうのは、なかなか難しい。
一見、自己啓発書っぽいタイトルだが、それとは程遠く、結構しっかり哲学書なので、何度か読むたびに味わいが増してくる気がする。著者の他の本も気になってきた。
著者プロフィール
谷川嘉浩の作品

わたしたちが、読書を楽しんでいる背中を見せるのよ♡
わたしたちが、読書を楽しんでいる背中を見せるのよ♡
お名前、コルベティーナだったわね。
イタリア人みたいに呼んじゃったわ。
誤 Corvettina
正 Corvetina
お名前、コルベティーナだったわね。
イタリア人みたいに呼んじゃったわ。
誤 Corvettina
正 Corvetina