先生はえらい (ちくまプリマー新書)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 244
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  • Amazon.co.jp ・本 (175ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480687029

感想・レビュー・書評

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  • 中高生向けに書かれた本という体裁ですが、内容はかなり難解に思えました…
    えらい!という先生に出会うのは偶然なんかではなく必然で、受け手の感覚次第ということなんでしょうか…?
    こんな考察も、最後の章を読むと学びに内包されていて勝手に私が誤解してるだけなのかしら…?
    色々と考えるきっかけになる本でした。

  • 「学び」は「教わる」ものだと、つい考えがちであるけれども、学ぶ者に視点を置いてみると、結局は「教わったつもり」になったものなのだ。学ぶ側には、解釈の自由がある。だからこそ「学び」が成立するのだ。

  • 名著。靴をぽろぽろ落とす師匠から兵法の極意を得た張良の話が印象的だった。

  • くだけた感じで語っていますが、語っている内容はけっこう難しいことをいっています。
    分類的には教育論なんでしょうが、完全に思想、哲学です。

  • 「「先生はえらい」のです。たとえ何ひとつ教えてくれなくても。「えらい」と思いさえすれば学びの道はひらかれる。だれもが幸福になれる、常識やぶりの教育論。」

    目次
    先生は既製品ではありません
    恋愛と学び
    教習所とF‐1ドライバー
    学びの主体性
    なんでも根源的に考える
    オチのない話
    他我
    前未来形で語られる過去
    うなぎ
    原因と結果
    沈黙交易
    交換とサッカー
    大航海時代とアマゾン・ドットコム
    話は最初に戻って
    あべこべことば
    誤解の幅
    誤解のコミュニケーション
    聴き手のいないことば
    口ごもる文章
    誤読する自由
    あなたは何を言いたいのですか?
    謎の先生
    誤解者としてのアイデンティティ
    沓を落とす人
    先生はえらい

    著者等紹介
    内田樹[ウチダタツル]
    1950年東京生まれ。東京大学文学部仏文科卒業。東京都立大学大学院博士課程(仏文専攻)中退。神戸女学院大学文学部総合文化学科教授。専門は、フランス現代思想、映画論、武道論

  • 尊敬できるような先生に出会えないのは、先生が悪いのではなく、漫然とえらい先生の出現を待っている自分が悪いのだと内田センセイはおっしゃる。
    それはまあ、そうかもしれない。
    どんなに先生が素晴らしいことをおっしゃっても、聞く気のない人の耳にその言葉は届かない。
    逆に先生が何の気なしに言ったことが、人生を変えることだってある(かもしれない)。

    そもそも、万人向けの言葉の中に大切な言葉はない。
    たった一人の自分のために言われた言葉だから価値があるのだ。
    わかりやすくある必要はない。
    この人の言う言葉がわかるのは自分だけだ!くらいの勘違いが、尊敬できる先生との出会いのきっかけになるのだそうだ。

    恋愛しかり。
    「わかりやすい=誰にでもわかる」よりも「自分にしかわからない良さ」が、ポイントなんだって。

    ”わからないけれど、何か心に響く。「たしかに、そうだ」と腑に落ちるのだけれど、どこがどう腑に落ちたのかをはっきりと言うことができない。
    だから、繰り返し読む。
    そういう文章が読者の中に強く深く浸透する文章なのです。”

    この文章を読んだとき、なぜ村上春樹が人気あるのかわかった気がしました。
    私はわからないうえに腑に落ちないから、村上春樹にハマれないんだということも。

    ところで「反面教師」ってことば、中国の文化大革命の頃の用語なんですって。
    「資本主義に毒された反革命的な先生」という意味だったそうです。
    単純に「ああいう人になってはいけない」ような人ってことではないんですね。
    勉強になりました。

  • 内田樹を読むことの1番の魅力は、本気か冗談か分からない主張を、屁理屈まがいにロジカルに成立させた文章を、面白おかしく読んでいるうちに、読者自身が、なんかすごい大事なことに気づいてしまう、という図式です。敷居が低く、出口が高くなっている。

    第二次安倍内閣あたりから、政治への怒りが閾値を超えてしまい、最近は面白おかしく読ませてくれる文章が減っていて残念なのですが、この頃の内田先生は最高です。特にこの本は、(ちくまプリマー新書シリーズ全般そうですが)言葉が平易で、長すぎず、非常に読みやすいです。ヤングにもアダルトにもオススメ。

  • ー 私たちが会話においていちばんうれしく感じるのは、「もっと話を聞かせて。あなたのことが知りたいから」という促しです。でも、これって要するに、「あなたが何を言っているのか、まだよくわからない」ということでしょう?

    私たちが話をしている相手からいちばん聞きたいことばは「もうわかった(から黙っていいよ)」じゃなくて、「まだわからない(からもっと言って)」なんですね。恋人に向かって「キミのことをもっと理解したい」というのは愛の始まりを告げることばですけれど、「あなたって人が、よーくわかったわ」というのはたいてい別れのときに言うことばです。

    ごらんの通り、コミュニケーションを駆動しているのは、たしかに「理解し合いたい」という欲望なのです。でも、対話は理解に達すると終わってしまう。だから、「理解し合いたいけれど、理解に達するのはできるだけ先延ばしにしたい」という矛盾した欲望を私たちは抱いているのです。

    対話へと私たちを駆り立てるのはその欲望です。理解を望みながら、理解に達することができないという宙づり状態をできるだけ延長すること、それを私たちは望んでいるのです。 ー

    簡単に読めるけれど、書かれていることは非常に奥深いコミュニケーションについての話。本題は、“自己の学び”と“先生”と自分が思う人は本質的に“偉い”という話。

    コミュニケーションがなぜ難しいのか、という本質を突く論考。

    だって、ロジカルかつ極めて明確に自分が相手に伝えたいことを伝えようと努力して、相手にも同等の努力を求めかつ期待した方が、圧倒的にコミュニケーションにかける労力は減るはずなのに、どうしてそうしないのか、あるいは出来ないのか。って永遠の疑問じゃん?

  • [読書]6 先生はえらい 内田樹(2005)

    先生は既製品ではありません
    恋愛と学び
    教習所とF-1ドライバー
    学びの主体性
    なんでも根源的に考える
    オチのない話
    他我
    前未来系で語られる過去
    うなぎ
    原因と結果
    沈黙交易
    交換とサッカー
    大航海時代とアマゾン・ドットコム
    話は最初に戻って
    あべこべことば
    誤解の幅
    誤解のコミュニケーション
    聞き手のいないことば
    口ごもる文章
    誤読する自由
    あなたは何を言いたいのですか?
    謎の先生
    誤解者としてのアイデンティティ
    沓を落とす人
    先生はえらい


    とくりふ読書会の課題図書
    内田樹さんの本をいつか読みたいと思ってたのでありがたしありがたし
    そしてとっても面白かった。ニヤニヤしながら読みました。
    半分は教育の話でも先生の話でもない。

    対話をするとき、わかってもらいたいと思って話してると思っていたけど、「わかった」と言われたら腹が立つっていうことがびっくり納得でした。結果より過程。
    対話、コミュニケーションに興味のある方におすすめです。
    ぜひ!ぜひに!!

  • 内田樹さん。一冊通して読んだのは初めてか?ひねくれているがおもしろい。わからないからおもしろい。謎から想像が生まれ新しいものが生まれる。わかりきったものはおもしろくない。想像を超えたところにいくおもしろさ。コミュニケーションも学びも自分からそのわからなさを楽しめるかどうかだ。

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著者プロフィール

1950年東京生まれ。東京大学文学部仏文科卒業。神戸女学院大学を2011年3月に退官、同大学名誉教授。専門はフランス現代思想、武道論、教育論、映画論など。著書に、『街場の教育論』『増補版 街場の中国論』『街場の文体論』『街場の戦争論』『日本習合論』(以上、ミシマ社)、『私家版・ユダヤ文化論』『日本辺境論』など多数。現在、神戸市で武道と哲学のための学塾「凱風館」を主宰している。

「2023年 『日本宗教のクセ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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