世にも美しい日本語入門 (ちくまプリマー新書)

  • 筑摩書房
3.41
  • (20)
  • (18)
  • (55)
  • (7)
  • (4)
本棚登録 : 269
レビュー : 52
  • Amazon.co.jp ・本 (137ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480687272

作品紹介・あらすじ

七五調のリズムから高度なユーモアまで、古典と呼ばれる文学作品には、美しく豊かな日本語があふれている。若い頃から名文に親しむ事の大切さを、熱く語りあう。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 安野光雅さんと藤原正彦さんの「美しい日本語」についての対談集。
    かつての師弟関係であったという事実もさることながら、画家と数学者という接点の少なそうなお二人の基底として流れるものが酷似しているというのが奇跡的だ。
    読んでいて非常に興味深いのはその点。
    対話形式なので深い部分まではなかなか触れられないが、読み物として楽しい。
    日ごろから名文にふれることと、国語教育の大切さ。
    文語体や童謡・唱歌の美しさ。
    日本語の峻厳な世界を広め、伝えようという姿勢が貫かれていて気持ちよい。
    時折現れる南伸坊さんのほのぼのした挿絵がユーモラスで、心が和む。
    前書きが藤原正彦さんで、後書きは安野光雅さん。これだけでも贅沢というものだ。

    思わず笑ってしまったのは、第三章の「日本人特有のリズム」の中で、安野さんが語る「片想い百人一首」の話。
    私たちは五七五七七のリズムの中で生きてきて、百人一首で遊んだ覚えもある。
    すると、でたらめにつないでも不思議と意味のありそうなものになるのでは、と試験的に作ったのが「古池や 犬が西向きゃ水のおと われもて末に 蟹とたわむる」というもの。
    以下、似た歌が並んでいる。実は私も友人とこれで遊んだことがある。
    荒唐無稽なだけではつまらないので、色々くっつけては出来るだけ意味のありそうな歌にしていくという作業だ。
    「立ちつくす 青田に君のにじむまで 人しれずこそ 思ひそめしか」
    これは藤原さんの歌。元の歌が何と何か、分かります?

    安野さんの「大志の歌」という歌集が手元にあるのだが、深遠な哲学でもあるのかと懸命に読んできた。でも、三章の流れで「悪のりで作った」と分かり、ぐっと気が楽になった。そういうことは「早く言ってよ」だ・笑
    そんな楽しい安野さんの推薦図書は「即興詩人」なのだそうだ。

    ところで大きな疑問がひとつ。
    前書きに「美しい日本語にふれないと、美しく繊細な情緒が育たない」とあるが、その「情緒」はどこから来るのかを知りたい。
    同じものに同じくらいの頻度で触れていても、何も感じない人というのは存在する。
    いわば心のセンサーのようなものは、育てられるのかどうか、今はそれを考えている。

    • だいさん
      心のセンサー

      誰しも持つ
      それは清く尊い
      気づくまで時間がかかるが
      成熟して伝わる
      心のセンサー

      誰しも持つ
      それは清く尊い
      気づくまで時間がかかるが
      成熟して伝わる
      2019/09/16
  • 藤原センセイの小学生時代の恩師が、安野光雅先生だそうで。
    正彦君は相変わらず奔放に、いつも通りの持論を展開し、安野先生がやわらかく包んでくれたという感じの会話が続く。

    いろんな本を読みたくなる。

  • 藤原正彦の小学校の時の先生が、安野光雄だったとは、つい一月前に知ったばかりでした。
    まえがきを藤原正彦が、あとがきを安野光雄が書いているだけでも贅沢だ。
    二人について興味がない人が読んでも、面白くないかもしれない。
    絵と数学というそれぞれの専門家の二人が、絵本、小説などの作者として日本語について語っているのは貴重だ。読書、教育、歌、日本語がかかわるさまざまな視点の話題が満載。
    挿絵は南伸坊で、すこしほっとする感じです。

  • 藤原さんの国語教育重視の考え方に賛同しているワタシ。今回は久しぶりにその流れの一冊を。
    藤原さんの小学校の恩師(!)である安野さんとの対談形式で進むこの本のいいところは、「今の若いもんは…」的な嘆き調になっていないこと。だから、読んでいて反発を覚えるどころか、やっぱり日本人としては日本語を誇り、日本語、しかも文語を読まなきゃ、という気にさせてくれる。
    内田樹さんも指摘している通り、母語のほかに英語をマスターしないと職につけないなどという状況もなく、日本語さえ使えれば何とかなってしまう。この環境に感謝しつつ、文語にも目を向けることにしよう。

  • 課題図書一冊目。

    サラサラと読めてしまうが、二人の話のディープな所にはちょっと立ち入りにくい感じ。
    特に古典〜明治期の名作を紹介したり、漢文の良さを語っている所は、ちくまプリマーを読むくらいの学生さんには伝わるのだろうか。
    全体としては、難易度が高め。

    でも、読書や日本語に触れる上での味わい方はしっかりと抑えられているようにも思う。
    難しくても読みこなす内に質が上がるとか。
    分からなくても暗唱していると、ある時にふと結びつくものがあるとか。
    生きていく中での読む意味合いを、二人の掛け合いの中から拾いあげることができた。

    もう一つ。
    個人的にジーンとしたのが童謡のパート。
    歌詞から、ああ、習ったなぁという気持ちが湧いてきて、メロディーに乗せると涙が出そうになった。
    私の祖母も歌が好きで、「椰子の実」という歌が学生時代歌った記憶に残っているそうだ。
    いつか、祖母が亡くなったとき、私が歌えるようにと密かに音源を入れている。
    そういう、歌詞とメロディーと思い出の不思議な結びつきが立ち現れて、グッときた。

    さて、どう調理するか。楽しみ。

  • 画家と数学者が日本語について語った本。

    対談なのであっという間に読めてしまいます、でも、読み終えるのがもったいないんです。
    短い言葉の中に、日本語への誇りとか憧れとか抒情とか…そういうものがいっぱいに詰まっていて、読みながら、熱いものが喉元に込み上げてくるのを何度感じたことか…

    この中で紹介されている本をぜひ読もう、読みたいと思いました。

  • いつも小説ばかり読んでいるので、新書を手にとってみました。
    日本語って綺麗だなあと漠然と思っていたけれど、改めて日本語の奥の深さや、自分の浅学さを感じることができた気がします。

    「文字を簡略化するたびに、世代間に一種の段差ができます。世代くらいならまだいいのですが、古典との間に開きができます。」

    日本は、日本語で書かれた書物が古くから多く残っている国です。私たちが日本語を正しく身につけられていないことで、その歴史や文化との間に壁が出来るのは、悲しいことだと思いました。
    昔から紡がれてきた文学を、言葉を、美しいと思えるように、美しい日本語を学び続けたいなと感じました。

    日本語が愛しくなる本です。対談形式で、読みやすかった。

  • 画家と数学者のおふたりが昭和20年代に師弟関係だったとは。
    人と人との出会い、巡り合わせの不思議を感じる。
    読みやすい対話形式で素数の話、文学の話、ユーモアについてなど大事なことを楽しく読める。

  • 古来より受け継がれてきた「和歌」「漢詩」や小学校で歌う「童謡」の豊かな表現とリズムのなかに、美しい日本語は脈々と鼓動していると本書から感じた。

    文語体は読みにくい、古臭いと敬遠がちだけれど、日本語の美しさを知りたいのなら自ら挑まなければいけない。

  • 日本語に対する愛着が痛いほど伝わってくる対談。根っからの文系人間を自認しているけど、この両者から見たらひよっこもええとこやな~、って反省させられることしきり。

全52件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

安野 光雅(あんの みつまさ)
1926年、島根県津和野町に生まれる。BIB金のリンゴ賞(チェコスロバキア)、国際アンデルセン賞、講談社出版文化賞、菊池寛賞などを受賞。1988年紫綬褒章を受章し、2012年文化功労者に選ばれる。
主な著作に『ふしぎなえ』「『旅の絵本』シリーズ(全8巻)」(福音館書店)、『本を読む』(山川出版社)、『小さな家のローラ』(朝日出版社)などがある。いまなお『旅の絵本Ⅸ』、『いずれの日にか国に帰らん』など新刊を続々刊行。ほかにも多くの書籍の装丁を手がける。
2001年、津和野町に「安野光雅美術館」、2017年、京丹後市の和久傳の森に「森の中の家 安野光雅館」が開館。

世にも美しい日本語入門 (ちくまプリマー新書)のその他の作品

安野光雅の作品

世にも美しい日本語入門 (ちくまプリマー新書)を本棚に登録しているひと

ツイートする