世にも美しい日本語入門 (ちくまプリマー新書)

  • 筑摩書房
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レビュー : 53
  • Amazon.co.jp ・本 (137ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480687272

感想・レビュー・書評

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  • 安野光雅さんと藤原正彦さんの「美しい日本語」についての対談集。
    かつての師弟関係であったという事実もさることながら、画家と数学者という接点の少なそうなお二人の基底として流れるものが酷似しているというのが奇跡的だ。
    読んでいて非常に興味深いのはその点。
    対話形式なので深い部分まではなかなか触れられないが、読み物として楽しい。
    日ごろから名文にふれることと、国語教育の大切さ。
    文語体や童謡・唱歌の美しさ。
    日本語の峻厳な世界を広め、伝えようという姿勢が貫かれていて気持ちよい。
    時折現れる南伸坊さんのほのぼのした挿絵がユーモラスで、心が和む。
    前書きが藤原正彦さんで、後書きは安野光雅さん。これだけでも贅沢というものだ。

    思わず笑ってしまったのは、第三章の「日本人特有のリズム」の中で、安野さんが語る「片想い百人一首」の話。
    私たちは五七五七七のリズムの中で生きてきて、百人一首で遊んだ覚えもある。
    すると、でたらめにつないでも不思議と意味のありそうなものになるのでは、と試験的に作ったのが「古池や 犬が西向きゃ水のおと われもて末に 蟹とたわむる」というもの。
    以下、似た歌が並んでいる。実は私も友人とこれで遊んだことがある。
    荒唐無稽なだけではつまらないので、色々くっつけては出来るだけ意味のありそうな歌にしていくという作業だ。
    「立ちつくす 青田に君のにじむまで 人しれずこそ 思ひそめしか」
    これは藤原さんの歌。元の歌が何と何か、分かります?

    安野さんの「大志の歌」という歌集が手元にあるのだが、深遠な哲学でもあるのかと懸命に読んできた。でも、三章の流れで「悪のりで作った」と分かり、ぐっと気が楽になった。そういうことは「早く言ってよ」だ・笑
    そんな楽しい安野さんの推薦図書は「即興詩人」なのだそうだ。

    ところで大きな疑問がひとつ。
    前書きに「美しい日本語にふれないと、美しく繊細な情緒が育たない」とあるが、その「情緒」はどこから来るのかを知りたい。
    同じものに同じくらいの頻度で触れていても、何も感じない人というのは存在する。
    いわば心のセンサーのようなものは、育てられるのかどうか、今はそれを考えている。

    • だいさん
      nejidonさん

      オヤジは説明へたでしょ ごめんなさい
      情緒という感覚 = 心のセンサーですが 気づいている者同士では お互い ...
      nejidonさん

      オヤジは説明へたでしょ ごめんなさい
      情緒という感覚 = 心のセンサーですが 気づいている者同士では お互い 難なく伝わるという意味です
      ただ 気付くのには 時間がかかるし きっかけが必要なのかなと思います
      例えば「ふるさと」って言ったらあのイメージが 伝わるでしょ
      nejidonさんは妙齢の人だと言っても
      言葉を知らなければ何のことかわからない
      2019/09/19
    • nejidonさん
      だいさん、こんにちは(^^♪
      再訪してくださり、ありがとうございます。
      だいさんは「オヤジ」ではありませんよ。「オジサマ」です!

      ...
      だいさん、こんにちは(^^♪
      再訪してくださり、ありがとうございます。
      だいさんは「オヤジ」ではありませんよ。「オジサマ」です!

      ところで、大変分かり易くなりました。
      まさに気付く「きっかけ」が大切ですね。
      言われてみれば私自身もそうでした。
      あの時のあの出来事が・・とか、あの人との
      出会いが・・とかね。
      センサーが著しくズレている人と仕事をする機会が増えてなかなか大変です。
      レビュー最後の数行には、そんな気持ちも込められています。
      2019/09/19
    • だいさん
      センサーが著しくズレている人

      御意(*^-^)
      いますね
      センサーが著しくズレている人

      御意(*^-^)
      いますね
      2019/09/21
  • 安野光雅と藤原正彦
    この2人の対談というだけで、
    読む価値があるような気がしてくる。

    個人的には安野光雅さんの絵も見れたら
    嬉しいなあと思っていたけど、
    そこは違った 笑

    藤原正彦さんの小学校の先生が安野光雅さん
    だったなんて、知らなかった。

    【引用】
    先生の人気は、類い稀なユーモアによるものだった。
    得意中の得意である二等兵物語に、
    生徒たちは皆、授業中ずっと笑い転げ、
    時々シュンとした。シュンとしたのは、
    先生の笑い話に抒情や悲哀が時折含まれて
    いたからだった。

    いい先生だったんだろうなあ。
    うーん。

    藤原さんは、大学で読書ゼミをやっているらしい。
    いいなあ。今更ながら、学生時代に
    こういうゼミに入っておきたかったと
    強く思う。
    遊んだ経験も本当にありがたいことだし、
    あの学生時代がなかったらカチコチの人間になっていた
    んだろうけど、
    人間の幅を広げるための時間も
    もっとほしかったなあ。
    いや、いまからでも遅くはないか。

    新渡戸稲造『武士道』
    内村鑑三『余は如何にして基督信徒となりし乎』
    『代表的日本人』
    岡倉天心『茶の本』
    鈴木大拙『日本的霊性』
    山川菊栄『武家の女性』
    『きけ わだつみのこえ』
    宮本常一『忘れられた日本人』
    無着成恭『山び学校』
    福沢諭吉『学問のすすめ』『福翁自伝』
    少しずつ読んでいきたい。

    【引用】
    国語教育の目的は、いかにして「自ら本に手を伸ばす子」を育てるか、がすべてだと思っています。
    小学校で習う漢字を、学年別配当表などで制限しているのは、ほんとに信じられないことです。
    しかも画数の多いものは高学年という非科学的基準だkら、「目、耳、口」は1年で教えるのに「鼻」は3年です。「夕」は1年で「朝」は2年、という具合です。だから、2年生の教科書に「近じょ」「かん字」「人ぶつ」など、ぶざまなまぜ書きが登場するんです。どしどしルビを打ち、読ませてよいと思います。

    少々引用が長くなりましたが、ここは激しく同意。
    頭を悪くしようとしているのかしらと思ってしまうほど。難しい漢字も読み先行でいいのだ。
    書くのは後で教えたっていい。
    読めたらどんなに自己肯定感も上がると思うなあ。
    あと、もっと国語の時間を増やすことね。
    独断だが、英語はいらない。

    【引用】
    ある調査によると、英語とかフランス語とかスペイン語は、千語覚えていれば80%分かる。ところが日本語の場合、同じ80%分かるために五千語知らないとわからないらしい。(中略)なぜ、言語量が多いのかというと、車に関してだけで、「空車」「駐車」「停車」「対向車」とか、いろいろあります。これに対応する英単語はない。

    造語。これは日本語の強みだ。
    明治時代にたくさんの造語をつくった福沢諭吉さんたちは本当に天才だし、今の日本を作ってくれたんだなあと思う。
    もちろんいろいろな見方があるだろうが。
    日本語を大切にしなければならない。
    その為に読書。
    古典といわれる文章も読む。
    簡単にすることでバカになる。

    【引用】
    英米露などは、武力で日本を植民地化しようと思えばできたかもしれない。でも、江戸の町で本の立ち読みをしている庶民がいるのを見て、「この国はとても植民地にはできない」と思ったという話があります。当時の江戸識字率は50%と言われ、最先進国の首都ロンドンの20%に比べても圧倒的でした。文化の高さは防衛力にもなるということですね。

    だから、学び続けなければいけないのだ。
    侵略されないために、
    文化を守る
    学び続ける
    賢い民族であり続ける

  • 藤原さんの国語教育重視の考え方に賛同しているワタシ。今回は久しぶりにその流れの一冊を。
    藤原さんの小学校の恩師(!)である安野さんとの対談形式で進むこの本のいいところは、「今の若いもんは…」的な嘆き調になっていないこと。だから、読んでいて反発を覚えるどころか、やっぱり日本人としては日本語を誇り、日本語、しかも文語を読まなきゃ、という気にさせてくれる。
    内田樹さんも指摘している通り、母語のほかに英語をマスターしないと職につけないなどという状況もなく、日本語さえ使えれば何とかなってしまう。この環境に感謝しつつ、文語にも目を向けることにしよう。

  • 画家と数学者のおふたりが昭和20年代に師弟関係だったとは。
    人と人との出会い、巡り合わせの不思議を感じる。
    読みやすい対話形式で素数の話、文学の話、ユーモアについてなど大事なことを楽しく読める。

  • 日本語に対する愛着が痛いほど伝わってくる対談。根っからの文系人間を自認しているけど、この両者から見たらひよっこもええとこやな~、って反省させられることしきり。

  • 唱歌や童謡、今の世まで残ってきた文学作品。
    意味もわからずただ覚えた(覚えてしまった)あの台詞が、今は自分の血肉となっていることが手にとってわかる。自分のためになることだったのだと。

    装丁はクラフト・エヴィング。

    (20131016)

  • 安野光雅と藤原正彦が武蔵野市立第四小学校の師弟関係、というのが面白い。

  • 面白かったです。

  • 画家の安野光雅さんと、数学家の藤原正彦さんが日本語について語るなんて面白そうだし、専門家が語るより気軽に読めると思い、借りました。
    漢詩(読み下し)や童謡など、意味が分からなくても若いうちから暗誦することの大切さを話していて、とても「にほんごであそぼ」的であると感じました。暗誦すると、確かにあとから効いてきて、人生をより豊かに過ごせるように思いました。
    「読書ゼミ」で読む、と挙げられていた本は、なかなか難しそうなものが多かったですが、これから少しずつ読んでいこうと思います。
    二人の実感に基づくお話が繰り広げられていて、ふーん、そんなものなのか、と感心しつつ楽しく読みました。

  • [ 内容 ]
    七五調のリズムから高度なユーモアまで、古典と呼ばれる文学作品には、美しく豊かな日本語があふれている。
    若い頃から名文に親しむ事の大切さを、熱く語りあう。

    [ 目次 ]
    第1章 読書ゼミのこと
    第2章 国語教育の見直しを!
    第3章 日本人特有のリズム
    第4章 日本語は豊かな言語
    第5章 小学唱歌と童謡のこと
    第6章 文語体の力
    第7章 ユーモアと空想

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    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

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    [ 参考となる書評 ]

著者プロフィール

安野 光雅(あんの みつまさ)
1926年、島根県津和野町に生まれる。BIB金のリンゴ賞(チェコスロバキア)、国際アンデルセン賞、講談社出版文化賞、菊池寛賞などを受賞。1988年紫綬褒章を受章し、2012年文化功労者に選ばれる。
主な著作に『ふしぎなえ』「『旅の絵本』シリーズ(全8巻)」(福音館書店)、『本を読む』(山川出版社)、『小さな家のローラ』(朝日出版社)などがある。いまなお『旅の絵本Ⅸ』、『いずれの日にか国に帰らん』など新刊を続々刊行。ほかにも多くの書籍の装丁を手がける。
2001年、津和野町に「安野光雅美術館」、2017年、京丹後市の和久傳の森に「森の中の家 安野光雅館」が開館。

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