包帯クラブ The Bandage Club (ちくまプリマー新書 X 1)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480687319

感想・レビュー・書評

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  • "思春期"特有の複雑な感情をまっすぐに描かれていてよかった。ちょっとまっすぐすぎるかなぁと思ったけど。主人公は高校生たちだけど、多分中学生とかにもぴったりくるんじゃないかな

  • 全くハマらなかった……。

    しかし折角がんばって読了したので、その原因を考察。

    ・「これは○○県の方言で△△という意味で~」式の解説で集中力が途切れる。
    ・どのアダ名もなんか嫌。「ディノ」て。
    ・そもそも子供の性描写が無理な体質。
    ・よって、「ディノ」の下ネタが不愉快極まりない。

    細かい。細かいよ私。そんなことよりもっと重大なヤツがあるでしょうが。

    ・押し付けがましい。

    これだなあ……。

    心の傷の自覚。それは大切だと思う。
    辛い苦しい助けてって気持ちに翻弄された状態から一歩引いて、自分を冷静に客観視している段階に進んでいるのだから。
    だから、辛い苦しい助けて状態の人に「あのー、あなた傷付いてますよ?」と声を掛けて気付かせてあげるのは非常に親切なことだと思う。

    なんでネットで「お悩み」募っちゃったかな。

    募るにしても、なんで「そんなあなたに、心の傷に効くおまじない☆傷付いた場所に包帯巻くとちょっとは楽になる(かも)よ!」に留めなかったのかな。

    なんで「巻いてあげます」になるのかな。

    自分の傷を知っていてくれる人がいる。その事実だけで少し救われる。
    うん。確かに。喋ったらなんかスッキリしたってヤツだよね。
    で、包帯クラブは知るだけじゃなくて、「他のみんなにも見える形にしてあげる」んだよね。会った事もない誰かの、誰でもいいからとにかく知ってほしい傷を。
    じゃないと巻いた包帯放置して来ないよね。誰とは言わないけどとにかくここで傷付いた人がいるんですーいるんですよ皆さーんっていうマーキングだよね包帯は。
    折角巻いたのに傷を見えるようにしてあげたのにそれを「薄汚い布」とか言うなんて酷い!って頭来たから薄汚い大人の真似して嘘も吐いたんだよね。

    えええええ。その無差別っぷり、おばさんには辛いわー。

    してまた依頼人に送る包帯画像もどんどんアーティスティックにエスカレートしていくでしょう。それってなんか、凝れば凝るほど自作のポエムのような危険性が倍増していく気がするの。
    楽しそうに包帯を巻くクラブの皆を妬んだあの子は妬んでましたって白状するけど、HPに寄せられた「かえって腹が立った」「結局わたしの傷で遊んだだけでしょ」の声は妬みじゃなくてガチの方。まあ、本気で赤の他人に癒してもらおうと思っちゃってた子達なんだろうけど……。

    自分で巻こうよ。
    いつも側にいる友達が巻いてくれるって云うなら多少は甘えてもいい。
    でも、原則的には自分で巻こうよ。
    誰でもいいから解って欲しいって気持ちは解るけど、誰でもいい誰かは必ず余計な解釈までするし、されたらされたで「そうじゃない!」って思っちゃうに決まってるし、そうなったら最初に相手が解ろうとしてくれた気持ちにも考えが及ばなくなって、双方付かなくてもいい傷が付くんだって。

    そして、そんな遣り取りの残骸を見せ付けられている更に多くの人達もいるんだって。ディノに泥水飲まされそうになったクラスメイトもいるんだって。

    んー、中高生の頃だったら、もっと純真な感じで素直に感動とか共感とかできてたのかなー。

    あ、そうそう。主人公のワラ。
    タンシオはタンシオって呼ばれるのが嫌いだってわかってんのに何で心の中ではタンシオタンシオ呼んでんの?

  • 誰でも、生きている中で「傷ついた」経験を持っていると思います。はたから見れば大したことが無いものであったとしても、本人にとってはとても大きな影響を与えていることもありますし、「他人を思いやっている自分」という立場を自覚したことで自身のおごりに気づいたということもあるかもしれません。

    主人公の「ワラ」は女子高生。中学までの友人とは進学する高校がちがったことで少しずつ疎遠になり、両親は離婚し、彼氏とも別れ、「生きている意味」を見失っていました。
    ひょんなきっかけから出会った「ディノ」と呼ばれる青年との会話から、「自分が傷ついた場所に包帯を巻いて治療する」とう行動をとることになります。
    次第にメンバーも増え、他人の「傷」と自分の「傷」を認め合いながら成長してゆく物語です。

    世の中には思い通りにいくことは少ないし、子どものうちではなおさら周囲の力に(善意であれ悪意であれ)振り回されることも多いです。その中で、自分を見つめながら生活することを通して次第に周囲にも目を向けていけるようになる「ワラ」の成長は、これからの生活で悩み、傷つくであろう中学生・高校生を勇気づけることができるのではないかと思います。

  • 高校生のセンチメンタルな心を描いて、生きる意味みたいなのを見出す本。良くも悪くも厨二病

  • やっぱり映画がむちゃくちゃよかった!柳楽くんが屋上で叫ぶシーンは言葉ではいい表せないから。とは言うものの、原作のこの本も悪くないです。「HPにその人が傷ついた場所や物を書き込んでもらい、包帯クラブメンバーが実際にそこへ行き、傷ついた場所や物などに包帯を巻き、その画像をHPにアップする」という包帯クラブ。高校生らしい葛藤がよかった。一度、実際に、友達が私が傷ついて凹んでいるときに、この真似をして包帯を巻いた画像を送ってくれました。ちょっと泣けたな。意外にも、実際に効果があるみたいです

  • 傷ついた少年少女たちは、戦わないかたちで、自分たちの大切なものを守ることにした…。
    いまの社会を生きがたいと感じている若い人たちに語りかける長編小説。

    ~*~*~*
    「巻けます、効きます。人によります」

    傷ついたところに 包帯をまく
    とてもステキな話だと思った

    心的な外傷は、みた目に見えない
    どれくらい傷ついているのか 
    本人でしか いや本人ですら分からないかもしれない

    だから 他者からは理不尽な言葉を投げかけられたり
    本人もどうしてよいか分からないものを抱えていたり

    大きな心の傷は 話すということすら困難がともなう
    話すことで 過去になる」という部分もある


    だとしたら 目に見える包帯をまくことで 何かが変わるかもしれない
    これはひとつの傷の癒しではないかと思った

    *この本に関して「傷を愛せるか」 宮地尚子著にも載っていた

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「巻けます、効きます。人によります」
      このキャッチコピーは素晴しいね。
      私は此れから読みます(最近、文庫になってました)。
      「巻けます、効きます。人によります」
      このキャッチコピーは素晴しいね。
      私は此れから読みます(最近、文庫になってました)。
      2013/08/07
    • silenciosaさん
      nyancomaruさん
      はい、このキャッチコピーいいですよね^^

      文庫になっているんですねー。

      若い人向けなのかもしれないけど
      何か・...
      nyancomaruさん
      はい、このキャッチコピーいいですよね^^

      文庫になっているんですねー。

      若い人向けなのかもしれないけど
      何か・・・心が弱っている大人にとっても(笑)
      そんな時には
      優しいおはなしだなぁ、って思いました
      2013/08/09
  • 青春小説。永遠の仔などの作風とはがらりと変わって、どこか明るめの雰囲気。みずみずしい。若いって、ただそれだけで救いだ。
    今、世界のどこかで誰かの心が傷付いたとする。でも世間は、傷付いた人に対してあんまり優しくない。いちいちそんなことで凹んでどうするの?そもそもあなたが○○だからこんなふうになるのよ!なんて、時には既についてしまった傷まで否定されてしまうこともある。でも自分が心に痛みを負ったと思ったなら、確かにそれは自分の傷なのだ。それぞれが隠し持ってる自分の弱さとか、無理に忘れようとしていた心の痛みに肯定的に向かい合える手助けをしてくれるかもしれない物語。私も誰かに包帯を巻いてあげたいし、なんかあった時には巻いてほしくなった。

  • 天童さんの本を読むのは初めてだったのですが、天童といえば永遠の仔とか
    重い話を書くイメージがあったので、こんな青春小説っぽいのも書くんだなぁって。
    傷を受けた場所に包帯を巻く、っていう発想が面白かった。
    人から見たら大したことない傷も、本人にとっては立派な傷かもしれない。
    それを自分で認めてあげようっていう考え方も、大切なことだなって思いました。
    ところどころ、「現在」の主人公が過去を振り返ってコメントを寄せる
    っていう形式も面白かった。

  •  2章ほど読んで読みきれなくなったので終了。

    「傷を愛せるか」おであらすじを知ってしまったのが悪いのか、それとも私自身に「包帯を巻きたいようなところ」が薄いためか、人物たちの行動がどうにも不可解で、読み進められなかった。
     若さが必要なのかなぁ……残念。

  • たまに。。幸せでいること。。
    じゃないね。。
    幸せであろうという事に。。
    疲れる事がある。。
    幸せに生きていなければ。。。
    楽しく生きていなければ。。
    いけないんじゃないか。。って
    脅迫観念で。。探し求めている時がある。。。

    天童さんの本は、いっつも号泣しちゃうんだけどさ。。。
    でも読み終わると。。
    心に不安から解放された清々しさを感じる。。。
    元気をもらうっていうのかな。。
    例え幸せでない時があっても、人は生きていていいんだ。。って。。
    私にはそう思わせてくれた本だった。

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著者プロフィール

天童 荒太(てんどう・あらた):1960(昭和35)年、愛媛県生まれ。1986年「白の家族」で野性時代新人文学賞受賞。1996年『家族狩り』で山本周五郎賞受賞。2000年『永遠の仔』で日本推理作家協会賞受賞。2009年『悼む人』で直木賞を受賞。2013年『歓喜の仔』で毎日出版文化賞を受賞する。他に『あふれた愛』『包帯クラブ』『包帯クラブ ルック・アット・ミー!』『静人日記』『ムーンナイト・ダイバー』『ペインレス』『巡礼の家』などがある。

「2022年 『君たちが生き延びるために』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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