デ-タはウソをつく: 科学的な社会調査の方法 (ちくまプリマー新書 59)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 82
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  • Amazon.co.jp ・本 (169ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480687593

作品紹介・あらすじ

正しい手順や方法が用いられないと、データは妖怪のように化けてしまうことがある。本書では、世にあふれる数字や情報の中から、本物を見分けるコツを伝授する。

感想・レビュー・書評

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  • この人の書いてる事って社会科学では至極常識的なことかと思うけども,それを実行するのは難しい。

    僕は質問紙調査をよく行っているけども,信頼性やら妥当性って,いくら突き詰めても満足できることなんてなくて,ある程度のところで折り合いをつけないと先に進めなくなってしまうのだけど,そのある程度がどこなのかってところがいつも難しいように思う。

    この本も前の本もとても当たり前で大事な事を沢山書いているけども,調査やら研究やらをやっているうちに,徐々にその基本的な所って見過ごされがちになっているような気がするのである(自分も含めて)。自戒も込めて言いますが,やっぱり何でも基本的な事は一番大事にしないといけないと思うのである。

    あと,この本にはちょっした騙しのテクニックなども実例をもとに紹介していた。騙しを身につけるのではなくて,こんなのにはひっかかるなという意味で解説されているのだけれども,時として,悪意を持って誘導的にデータ結果を紹介する人も少なからずいるのは事実である。

    Stern曰く,「EBMはマネーゲーム」であり,
    某精神科医曰く,「EBMは製薬会社に作られる」のである。

    批判的に考える事を忘れずにいたいと思う。

  • リテラシーを身に着けよ、自分の頭で考えよ、という思いと、マスコミなどの欺瞞に対する怒りに満ちた本
    「マスコミは正しい」と思っている人には良い本かも。思っていない自分には、著者が言いたいことを様々語っているので、若干とっちらかった印象だけ残った

  • 『「社会調査」のウソ』では徹底的にマスコミらを叩き続けていたが、今作では「科学とは何か?」という根本的な所から入っており、より講義っぽい内容になっている。文系的な学問観から語られているので、理系の方からすると大雑把過ぎるように感じるかもしれない。社会科学って所詮こんなもんです。
    前作よりも密度は薄いが、批判だけでなく体系的な理解が得られるのが良いと思う。コレ一冊読めば充分、統計資料等を見て色々ものを考えられるようにはなれる。もちろんマスコミに対する辛辣な口調も健在で、その辺の快感も保証出来る。

    このシリーズにしてはややカタい内容で、大学生向けな感じ。というか、英訳して入試問題にしたら良い問題が作れそう。


    400円。

  • 会社の紹介で受講した外部研修でオススメされた本です。

    マスメディアで氾濫するデータと、そこから導き出されている結論を、あたかも事実として語る。そんなあくどい手口に気をつけよ、という啓発本として読みました。

    作中で谷岡がみつけた様々なトリック、私にも似た経験があります。

    地元の新聞がテレビCMを日中流すのですが、曰く、「新聞購読しているご家庭のお子さんは、学力が高い傾向にあります」だそうで。

    ちょっとでもいい点数、いい進学校に進ませたい親御さんなら飛びついてしまいそうです。
    ですが、この論調はとても胡散臭く、ずっと意識に残っていました。

    作中の言葉を借りるならば、新聞購読は良い学力の原因なのか、それとも見せかけの相関関係なのか、わからないのです。

    数字が具体的に示されると、思わず信じてしまいそうになります。しかし、その数字がどう算出されたのか?その背景を疑わないと、容易に意見をコントロールされてしまいます。自衛のため、より自分の確固たる意見を組み立てるために役立つ一冊だと言えそうです。

    追記 逆に過去ののウソ、騙しのテクニックのオンパレードですので、そのまま流用も、、、できます。
    この本の知識をどう活用するかは、個々人の倫理感に委ねられます。

  • 本当は「「社会調査」のウソ」を読みたかったけど、最寄りの図書館に蔵書がなかったためこちらを手に取りました。

    少し著者の自我が強めなので読みにくいなと思うところもありましたが為になる内容もたくさんありました。
    特に第四章と第五章が印象に残ってます。
    第四章では質問表作成にあたっての注意点が記述されており、実践的で分かりやすかったです。
    第五章では身に付けるべき3つの力について述べられていおり、興味深かったです。やはり批判的思考力は重要なのだなと再認しました。

  • こちら側のメッセージを読み手に伝わりやすくするために恣意的にデータを使って誘導するのがコンサルタントの役割のひとつだと思う
    正しく自分で考える力を忘れないように読むべき書籍

  • 事実とは何か
    データを比べても偶然の可能性がある。

    見たいものが見える
    自然科学の分野でも、学者たちに見えないものがある。データを比べるときは情報収集が重要。

    矛盾が起きたとき
    ニュートン力学も一般化されて受け入れられたはずだったのにその後否定されてしまった。

    社会科学におけるノイズについて
    自然科学は他人の実験を再現できるが、社会科学は多少ズレが出る。

    グラフとイラスト
    見出しを書くときに、大きい方の数字を出して比較するが、あえて小さい数字を書くときもある。

    データの誤用と悪用
    「皆様の意見を参考にするふり」をするのではなく、自分たちの意志で決めるべき。

    トピックと仮説
    トピックや仮説が作られる前に、過去の文献や論文を調べる必要がある。

    分析
    データを集める方法は、訪問インタビュー、郵送法、電話、パネルなどがある。

    今回初めて新書を読んだ。最初は内容が難しく感じられたが、読み進めるうちにNHKの例え話や新聞の読み方など身近な話がたくさん出てきたので、分かることが増えてきた。グラフやデータを比較するときには、それが本当に合っているかや、誤解されない表現の仕方について、考えようと思う。

  • ちくまプリマ―新書ということで、読者層の中心を学生に設定しているためか、「社会調査のウソ」に比べて読みやすくしようとしているなとは思ったが、その分筆者の個人的な好き嫌いが前に出過ぎているように感じた。例えば、概ね好評であるいしいひさいち氏の4コマ漫画も、私には「おもしろいでしょ」「視点が鋭いでしょ」と押し付けがましく挿入されているような感じがして、かえって興冷めしてしまった(いしいひさいち氏の漫画は、「がんばれタブチくん」の頃から読んでいて好きですが)。データではない「漫画」という個人の好みで楽しむものを、自説の補強材料のように使うのはいかがなものか。ちょっと自己矛盾してないかな、と思ってしまい、星は3つとさせていただきました。

  • 最後の研究者の向き不向き、データリテラシーの箇所がすごく参考になった

  • 子供の課題図書。面白そうなので、読んでみた。データ自身や、その表現を疑わなく(考えなく)なって久しいな、と気づきを頂けた。

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著者プロフィール

大阪商業大学学長

「2021年 『悪魔の証明』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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