友だち幻想 (ちくまプリマー新書)

著者 :
  • 筑摩書房
3.62
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本棚登録 : 1213
レビュー : 143
  • Amazon.co.jp ・本 (156ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480687807

作品紹介・あらすじ

友だちは何よりも大切。でも、なぜこんなに友だちとの関係で傷つき、悩むのだろう。人と人との距離感覚をみがいて、上手に"つながり"を築けるようになるための本。

感想・レビュー・書評

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  • 100パーセント自分のことを理解して受け入れてくれる、そんな存在は幻想でしかない。そんな“他者”はいない。いたならそれは“自分”であり、“他者”ではない。人と人は完全には分かり合えないし、完全に受容してくれる存在はいない、それを分かって認めることから友情も恋愛もはじまる。
    いくら頑張っても認められないこともあるし、人には限界もある。みんな仲良くはできないし、だけれども苦手な人ともうまくやっていかなくてはいけない。学校では教えられず、無限の可能性を信じさせられていることは問題である。
    もやもやと常日頃感じていながら形にできないでいた認識や考え方が、明確に言語化されていて、その通りだと思いとても共感できました。人間関係、友人関係に対して呪いが解ける本でした。

  • 小学校時代「同じクラスなのだからみんな仲良く」という空気に馴染み切れなかったので、そのころにこういうことを教えてくれる大人がいたら良かったな、と思う。
    今はあまり同調圧力を感じずに、自分は自分人は人と思って生活しているけれど、それでもたまにストレスを感じるのは「周りの人に同調できない自分」に劣等感を感じていたのかもしれない。
    でも、すべてを同じように感じる人はいないわけで。
    合わない人とは適度な距離感を取り、フィーリングが合う友達でもすべてを受け入れてくれることを期待しない、という姿勢はとてもしっくりくると思った。
    社会人になって、本当に多様な人と接しなければならないけれど、その人その人に合った距離感があると考えて接していきたい。そして、「苦味を味わうことを通して味わううま味」を実感したい。

  • 新聞の書評がきっかけで興味をもった本です。
    「一年生になったら、友だち100人できるかな」という歌に象徴されるように、学校とは「みんな仲良く一つになる」という「幻想」が強調される場所である……という本書の趣旨紹介の、「幻想」という言葉が衝撃的で。

    本書は、社会学者である著者が、学生や若い読み手に向けて、人間関係を築くうえでの考え方の基礎を、社会学の手法をベースにひも解いた本です。
    友人、教師、学校、親、そして自分自身といかに付き合うか、悩みの根はどこにあるか、具体的な社会現象やエピソードを織り混ぜながら、平易な言葉で整理されています。

    若い読み手に向けて書かれた本ですが、自分の環境におきかえて読むことで、はっとさせられた記述がいくつもありました。
    例えば、[先生]は[生徒]の記憶に残らなくてもいい、という一文。
    その理由は、先生が生徒の記憶に残ることを求めすぎると、過剰な精神的関与や自分の信念の押し付けに走ってしまう恐れがあるから、というものなのですが、私の場合は[担当者]は[顧客]の記憶に残らなくてもいい、と読み替えて、頭を割られたようなショックを受けました。
    なんだかんだ、しょっちゅうしんどいなーと思いつつ仕事をしているのですが、大河ドラマと半沢直樹を足して割ったような謎の武勇伝(理想的な職場で仲間と一丸となり熱い思いでつき進んで成果をあげる……みたいな)を思い浮かべ、それと比較して一人でモヤモヤしていた部分があったのかも、と。
    具体的ではないからこそ、お化けのように自分の回りを漂っているという点で、「幻想」という言葉が本当にぴったりだと思いました。

    同質的な共同性は幻想であることを前提に、自分以外の人間を他者として認識すること。
    自分の限界を知り、人生の苦味をうま味に変えて味わうことが、人間をルサンチマン(恨み、嫉妬といった負の感情を表す言葉。ニーチェがその思想において焦点をあてた)の淵に沈んでしまうことから救ってくれること。
    学生時代にこの本を読んで、これらの知識を得ていたら、もう少し痛々しくない青春がおくれたかしら。。。
    いやいや、大人になったいま読んだからこそ、身にしみるんだと思います。
    竹田青嗣さんのものをはじめ、面白そうな文献も文中でたくさん紹介されているので、また機会を見つけて読んでみたいです。

  • 中高生にも読ませたいけど、教師にも読んでほしい。

    前向きで努力家の教師ほど「クラスの一体感」「みんなで団結」みたいなことをことあるごとに言うから。そういう感覚を自分が中高生の時に感じたからこそ教師を志したのかもしれないが、そうは感じていない生徒が必ずいるということは忘れがちになる。感じていない生徒を目の敵にしてしまう教師もいる。
    自分が感じられないタイプだったので、こういう本に若い時であっていたら救われただろうなと思う。感じないことは「悪である」という感覚が、劣等感となっていたので。

    社会に出ると、「ルール関係」と「フィーリング共有関係」の区別がついて、楽になったけれど、中高生は、最悪の場合死を選ぶこともあるから、早いうちに知っていた方が良い。
    私は、もう他人には「ルール関係」しか求めない。たまに「フィーリング共有関係」ができればラッキーだけれども、敢えて求めない。それで十分幸せである。大人になるとこんないいこともあるから、死ぬんじゃないよ、と伝えたい。

  • 著者と同年代ということもあり、昔を思い出しながら読んでいました。現在よく使われる「うざい」などの他人を遮断するたぐいの言葉は、確かに自分が小中学校時代にはなく、著者の言う「耐性」が誰にもあった気がします。ただ、今のような管理体制もなく、白黒はっきりさせなければならない現代に比べ、グレーゾーンが多かった気もします。少し本から外れてしまいましたが。

    集団の中に溶け込めない自分の性格に劣等感があったので、読んで多少楽になりました。

  •  前半は退屈だったが、後半に入るとハッとさせられる部分がたくさんあった。「自由はルールのないところでは成立しない」とか「自分のことを丸ごとすべて受け入れてくれる」なんていうのは幻想だ、とか、「いじめはよくない」ではいじめはなくならない、「誰かをいじめると、自分がいじめられるリスクが生まれる」ことを理解させるべきとか。
     「みんな仲良く」を学校で強制するのは無理があるというのも、納得した。気の合わない人とはうまく距離を保って共在することを学ぶべきだと。

  • 人との距離感。
    大事ですよね。接客業してると特に。当たり前ですが。
    この本は中学生?を対象に書かれてるみたいなのでまず読みやすいです。大人が読んでも共感できること多かったです。
    同調圧力、フィーリング共有関係。
    確かに学生の時は多少僕もそういうの気にしてたと思います。
    最近その辺を気にしてなさ過ぎてちょっと問題かなと思ったりもしますが…。
    「1年生になったら友達100人できるかな」とかまさにですよね。
    まるで友達多くなかったらダメかのような。
    友達少なかったら問題あるかのような。
    学校に通う前からもうそういう考えを押し付けてる気がします。
    実際友達と呼べる人なんて5人いるかいないかぐらいだと自分は思ってます。
    自分は友達1人って人もいると思います。
    全然良いと思います。
    ただそういう「友達」と呼べる人に対してもあくまで他者ということを前提に付き合うことが大切です。
    題名が友達幻想なのでちょっとショッキングですが、友達を作ることなんて無意味という内容ではありません。
    友達と呼べる人に対しても自分のことを100%受け入れてもらえるという考えをやめよう、他人との距離感をもっと考えようと主張している本です。
    学生の方や組織の中で働く方々にオススメかと。

  • 自分のすべてを受け入れてれる人がいるはずというのは、幻想にすぎない。ともだちは所詮他者。すべての価値観が同じなどあり得ないこと。理解しようとして適切な距離感を保つことが大切。

    作者の心からのメッセージが伝わってきました。亡くなられたのですね。素敵な本をありがとうございます。息子がいつか読んでくれるように本棚に置いておきます。

  • 人間関係で悩んだ時に読むと少しホッとした気持ちになる本だと思います。人は他者なのだから自分のことを100%理解してもらおうなんて不可能です。並存することが大事なのです。それを学ばさせてもらいました。

  • ある程度大人になってから読むのと、中高生あたりで読むのとで印象が変わる本だと思います。

    自分が学生時代だった頃の経験談なりますが、当時遠距離で本当に仲良しだと思っていた当時の彼氏から突如として「ほかに好きな人ができたから別れたい」と言われて愕然としたことがあります。
    その経験をを通じて、それまでは他の人の別れ話を聞いていてもどこか他人事で、自分にはそんなことが起こるわけがないと思っていた私の「彼氏幻想」は崩れ、他人は他人なんだという意識が芽生えるようになりました。

    このような経験があったので、本書を読んでもそのことを再確認したという感覚でしたが、
    人間関係の苦味をそこまで味わっていない若い頃に読んでいたら、少しくらいは起こり得る可能性として覚悟はできていたのかもしれないです。(まぁもしかしたら自分だけは例外って思うのかもしれないですが。)

    なので、若い子には是非読んでもらいたいです。
    大人の方には、わかってはいるけど言葉にうまく整理できていなかったことを再確認する意味で読んでもらいたいです。

    コミュニケーション阻害語についても言及されていますがこれは興味深いです。今の世の中に横行している言葉だし自身も使ってしまうので、是非気をつけようと思いました。


    長文失礼しました。

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