友だち幻想 (ちくまプリマー新書)

著者 :
  • 筑摩書房
3.65
  • (34)
  • (93)
  • (75)
  • (13)
  • (3)
本棚登録 : 901
レビュー : 105
  • Amazon.co.jp ・本 (156ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480687807

作品紹介・あらすじ

友だちは何よりも大切。でも、なぜこんなに友だちとの関係で傷つき、悩むのだろう。人と人との距離感覚をみがいて、上手に"つながり"を築けるようになるための本。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 100パーセント自分のことを理解して受け入れてくれる、そんな存在は幻想でしかない。そんな“他者”はいない。いたならそれは“自分”であり、“他者”ではない。人と人は完全には分かり合えないし、完全に受容してくれる存在はいない、それを分かって認めることから友情も恋愛もはじまる。
    いくら頑張っても認められないこともあるし、人には限界もある。みんな仲良くはできないし、だけれども苦手な人ともうまくやっていかなくてはいけない。学校では教えられず、無限の可能性を信じさせられていることは問題である。
    もやもやと常日頃感じていながら形にできないでいた認識や考え方が、明確に言語化されていて、その通りだと思いとても共感できました。人間関係、友人関係に対して呪いが解ける本でした。

  • 小学校時代「同じクラスなのだからみんな仲良く」という空気に馴染み切れなかったので、そのころにこういうことを教えてくれる大人がいたら良かったな、と思う。
    今はあまり同調圧力を感じずに、自分は自分人は人と思って生活しているけれど、それでもたまにストレスを感じるのは「周りの人に同調できない自分」に劣等感を感じていたのかもしれない。
    でも、すべてを同じように感じる人はいないわけで。
    合わない人とは適度な距離感を取り、フィーリングが合う友達でもすべてを受け入れてくれることを期待しない、という姿勢はとてもしっくりくると思った。
    社会人になって、本当に多様な人と接しなければならないけれど、その人その人に合った距離感があると考えて接していきたい。そして、「苦味を味わうことを通して味わううま味」を実感したい。

  • 中高生にも読ませたいけど、教師にも読んでほしい。

    前向きで努力家の教師ほど「クラスの一体感」「みんなで団結」みたいなことをことあるごとに言うから。そういう感覚を自分が中高生の時に感じたからこそ教師を志したのかもしれないが、そうは感じていない生徒が必ずいるということは忘れがちになる。感じていない生徒を目の敵にしてしまう教師もいる。
    自分が感じられないタイプだったので、こういう本に若い時であっていたら救われただろうなと思う。感じないことは「悪である」という感覚が、劣等感となっていたので。

    社会に出ると、「ルール関係」と「フィーリング共有関係」の区別がついて、楽になったけれど、中高生は、最悪の場合死を選ぶこともあるから、早いうちに知っていた方が良い。
    私は、もう他人には「ルール関係」しか求めない。たまに「フィーリング共有関係」ができればラッキーだけれども、敢えて求めない。それで十分幸せである。大人になるとこんないいこともあるから、死ぬんじゃないよ、と伝えたい。

  • 新聞の書評がきっかけで興味をもった本です。
    「一年生になったら、友だち100人できるかな」という歌に象徴されるように、学校とは「みんな仲良く一つになる」という「幻想」が強調される場所である……という本書の趣旨紹介の、「幻想」という言葉が衝撃的で。

    本書は、社会学者である著者が、学生や若い読み手に向けて、人間関係を築くうえでの考え方の基礎を、社会学の手法をベースにひも解いた本です。
    友人、教師、学校、親、そして自分自身といかに付き合うか、悩みの根はどこにあるか、具体的な社会現象やエピソードを織り混ぜながら、平易な言葉で整理されています。

    若い読み手に向けて書かれた本ですが、自分の環境におきかえて読むことで、はっとさせられた記述がいくつもありました。
    例えば、[先生]は[生徒]の記憶に残らなくてもいい、という一文。
    その理由は、先生が生徒の記憶に残ることを求めすぎると、過剰な精神的関与や自分の信念の押し付けに走ってしまう恐れがあるから、というものなのですが、私の場合は[担当者]は[顧客]の記憶に残らなくてもいい、と読み替えて、頭を割られたようなショックを受けました。
    なんだかんだ、しょっちゅうしんどいなーと思いつつ仕事をしているのですが、大河ドラマと半沢直樹を足して割ったような謎の武勇伝(理想的な職場で仲間と一丸となり熱い思いでつき進んで成果をあげる……みたいな)を思い浮かべ、それと比較して一人でモヤモヤしていた部分があったのかも、と。
    具体的ではないからこそ、お化けのように自分の回りを漂っているという点で、「幻想」という言葉が本当にぴったりだと思いました。

    同質的な共同性は幻想であることを前提に、自分以外の人間を他者として認識すること。
    自分の限界を知り、人生の苦味をうま味に変えて味わうことが、人間をルサンチマン(恨み、嫉妬といった負の感情を表す言葉。ニーチェがその思想において焦点をあてた)の淵に沈んでしまうことから救ってくれること。
    学生時代にこの本を読んで、これらの知識を得ていたら、もう少し痛々しくない青春がおくれたかしら。。。
    いやいや、大人になったいま読んだからこそ、身にしみるんだと思います。
    竹田青嗣さんのものをはじめ、面白そうな文献も文中でたくさん紹介されているので、また機会を見つけて読んでみたいです。

  • 著者と同年代ということもあり、昔を思い出しながら読んでいました。現在よく使われる「うざい」などの他人を遮断するたぐいの言葉は、確かに自分が小中学校時代にはなく、著者の言う「耐性」が誰にもあった気がします。ただ、今のような管理体制もなく、白黒はっきりさせなければならない現代に比べ、グレーゾーンが多かった気もします。少し本から外れてしまいましたが。

    集団の中に溶け込めない自分の性格に劣等感があったので、読んで多少楽になりました。

  • 概念を言葉で定義していて、
    中高生には難しいと思った。

    友だちとの距離の取り方なんかは、
    わかりやすい。
    特に「気に入らない人とも並存する」
    という考え方は、
    悩んでいる人には
    なるほど、と思うかも。

    コミュニケーションや読書まで、
    ずいぶん幅広かった。

  • 人との距離感。
    大事ですよね。接客業してると特に。当たり前ですが。
    この本は中学生?を対象に書かれてるみたいなのでまず読みやすいです。大人が読んでも共感できること多かったです。
    同調圧力、フィーリング共有関係。
    確かに学生の時は多少僕もそういうの気にしてたと思います。
    最近その辺を気にしてなさ過ぎてちょっと問題かなと思ったりもしますが…。
    「1年生になったら友達100人できるかな」とかまさにですよね。
    まるで友達多くなかったらダメかのような。
    友達少なかったら問題あるかのような。
    学校に通う前からもうそういう考えを押し付けてる気がします。
    実際友達と呼べる人なんて5人いるかいないかぐらいだと自分は思ってます。
    自分は友達1人って人もいると思います。
    全然良いと思います。
    ただそういう「友達」と呼べる人に対してもあくまで他者ということを前提に付き合うことが大切です。
    題名が友達幻想なのでちょっとショッキングですが、友達を作ることなんて無意味という内容ではありません。
    友達と呼べる人に対しても自分のことを100%受け入れてもらえるという考えをやめよう、他人との距離感をもっと考えようと主張している本です。
    学生の方や組織の中で働く方々にオススメかと。

  • 「フィーリングではなく、ルール重視であるべき」、「みんな仲良くという同町圧力がいじめをうむ」というのはとても納得できた。
    また、先生は記憶に残らない程度がよいといのも私が常々感じていたことを言葉にしてくれてスカッとした。
    学校は個性を伸ばす場所ではない、普通に生きるすべを学ぶところ。
    しかしながら、「普通」というのが何か。国が決めるのか。先生の一存か。というところには疑問が残る。
    無限の可能性があるが、限界もある。この当たり前のことを言ってくれる先生がいてくれたら、私ももう少し悩まずに生きてこれたかもしれない。
    本書は理論面に重点が置かれているが、ぜひ著者の考える具体的な指導法についての本も読んでみたい。
    昨今の教育でみんなでゴール、お姫様役が5人とかいうのを聞いていてやるせない気持ちになっていたが、とても痛快であった。できれば特定の思想を持った小中学校の先生方の人に読んでもらいたい。

  • 友だち幻想
    2008/3/6 著:菅野 仁

    友だちが大切、でも友だちとの関係を重苦しく感じてしまう。そうした矛盾した意識をつい持ってしまうことはありませんか。こうした問題を解きほぐして考え直すためには、じつは、これまで当たり前だと思っていた「人と人とのつながり」の常識を、根本から見直してみる必要があるのではないか。

    本書は、身近な人たちとのつながりを見つめなおし、現代社会に求められている「親しさ」とはどのようなものであるかをとらえ直すための、「見取り図」を提示している。
    構成は以下の8章から成る。
    ①人は一人では生きられない?
    ②幸せも苦しみも他社がもたらす
    ③共同性の幻想
    ④ルール関係とフィーリング共有関係
    ⑤熱心さゆえの教育幻想
    ⑥家族との関係と、大人になること
    ⑦傷つきやすい私と友だち幻想
    ⑧言葉によって自分を作り変える

    子供も大人も友だちや人付き合いの悩みは尽きない。
    それは答えのない問題であり、人は一生その問題に向き合っていくことになる。

    本書は難しい言葉を使わずに学生にも読めるようにと工夫されている。しかし、本書を理解してそれを生活に落とし込めるほどの人は大人であってもそうそういない。

    だが、知っておいて損はない。数年経ったときにそういえば、あの本に書いていたことってこういうことだったのかもしれないと振り返れたらそれで御の字なのかもしれない。問題の渦中にいるものにとってそれは暖簾に腕押しなのかもしれないが、著者が伝えたい気持ちもよくわかる。

    自分の息子にはまだ早いがいつかそっと彼の本棚に滑り込ませて読ませてあげたい。

  • 横高生の夏休み課題の一冊
    人間関係の本質をとーっても分かりやすい論旨で書かれています。自分も高校生の時、こんな本に出会っていたら、どんだけ不毛な軋轢を回避できたことか。

全105件中 1 - 10件を表示

友だち幻想 (ちくまプリマー新書)のその他の作品

菅野仁の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ヘミングウェイ
デール カーネギ...
三島 由紀夫
ヴィクトール・E...
有効な右矢印 無効な右矢印

友だち幻想 (ちくまプリマー新書)を本棚に登録しているひと

ツイートする