独学という道もある (ちくまプリマー新書)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (143ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480688057

感想・レビュー・書評

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  • 【もっと自由に生きていいのではと勇気をもらえる】

    著者の柳川範之さんは、この本を書かれた当時は東京大学大学院経済学研究科の准教授をされていたそうです。そんなすごい肩書きの方は、いわゆるいい高校、大学を卒業されたのかと思うと、大検を受け、通信課程で大学に通い、学者になったそうです。

    そういう経緯で、学者にもなれるのだなあと思いました。私は、若い頃にもっと勉強しておけばよかったなぁとしみじみ思っているのですが、この本を読んで「今からでもまだ間に合うかな?」と勇気がでました。

    本の中に
    “窮屈なレールは実は誰も矯正していない”
    とあります。周りを気にしていなければ、自分がこうしたいというものがあれば、その先へ行く道はいくつもあります。

    日本の当たり前は、他の国からみると当たり前ではない。それがいいことか悪いことかはわかりませんが、大人も子どもももっと自由に勉強して、仕事を楽しめるようになったらいいですね。

  • 著者は日本の高校に通わず、大検を受験。その後慶応義塾大学の通信課程を卒業し、東大の教授になった人物である。いわゆるエリートコースとは異なる道を歩んできた人である。経歴だけ見ると異端な感じもするが、破天荒な感じはない。ちゃんとした人である。上から目線のメッセージという感じもしない。

    人生決まったレールの上を走らされているという感覚、この道しかないのだという閉塞感、それは思い込みに過ぎないのだと著者は言う。確かに、その通りだと思う。しかし、日々同じような人たちとだけ会い、同じような毎日を繰り返していると、どうしても世界が狭いと錯覚してしまう。そして何かでうまくいかないと、自分で自分を追い詰めてしまう。

    しかし、日頃私達が触れている情報や考え方、価値観は、ある時代の、地球上の人間の中の、ごくごくわずかな人たちのものでしかないということを忘れてはならないと思う。今の道が息苦しければ、思い込みを捨てて、そのレールからドロップアウトして新しい道を進めばいい。

    時にはそんな生き方が非難や蔑みを受けるかもしれないが、他人に迷惑をかけなければ良いと思う。そうして生きることは決して楽ではないと思うが、ずっと我慢して生きるよりはマシかもしれない。

  • 独学に関する筆者の考え方には、賛同です。
    私もドロップアウトしながら、多くのことを独学でやってきたので。また、経験することの大切さも全く同意見です。

    経験が大切な分野と、修得が大切な分野があって、数学に象徴されるような後者はじっくり取り組む「独学」が私には必要だと思います。今は数学だけではなく、法学そして、あらゆる意味での研究、政策提言に独学の姿勢が求められているとも感じます。

    いずれにせよ、安易に学校や予備校に通って、実を取ろうと思っている方に一読を勧めます。こういう道もあるんだよ、という別の道を示す筆者の語り口は、とても好感が持てました。

  •  幼少期を、ブラジル、シンガポールで過ごし、大学検定で慶応大学に入学後、慶應義塾大学経済学部通信教育課程卒業。東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。東京大学大学院教授といった異色の経歴をもつ経済学者の著書。

     非常に平易な文章だけど、勉強には多様な道があり、日本の教育や受験システムの閉塞感、ひいては日本経済への閉塞感を憂える著者の気遣いが伝わってくるような本でした。
     受験や就職活動に失敗すると、すべて終わりだ、となってしまいますが、そんなことはなく、ルートは色々あるんだ、と繰り返し述べられています。

  • こんな人のようにはなれないなあと思う一方、こんな人もいるんだから自分も頑張れそうだなあとも思う。良書。

  • 「個人差はあるが」というような前置きや、自己卑下も虚栄心もない文体が良かった。読者への気配りどころが私には合っていたようです。素直に「よし、腐らずがんばろう!」と思わせてくれた本。

  • 大検→通信生大学卒(経済学)→国立大学院(経済)→現在准教授

    という経歴の柳川先生による自身の独学主体の勉強法について説明いただいている。
    経歴だけに目が留まりそうだけど、実はとても真摯誠実、そして丁寧な学修法の教授になっている。
    講演を拝聴しているような読書感があり、100数十頁ほどの分量のためすぐ読めてしまった。
    ご自身の幼少の頃からの歩みと照らして、その時々の学修への取り組み方、工夫したこと、そして現在の研究者としての執務でどのように役立っているのか、という話がメイン。

    基本的に教科書や参考文献を読むことと、レポートという小論文を論述することが日々の学修の根幹である通信大学生には、柳川先生の独学学修法はとても役に立つと思った。
    先生のいわれる独学とは、教科書・テキストをまずはとにかく読むことから始まる。
    そこには読み方の工夫もあるし、読んできた中での失敗も有用な点にも触れられている。

    読み進める中で、直面する失敗や苦悩というものも大方共通しているし、みんなこのようにして学修スタイルを築き、取り組むのだな、と溜飲がさがる思いもあった。

    そして、本書で参考になったのは、テクニックなどの話ではなく、真摯に誠実丁寧に勉強・学修をしていきたい、と考える人にうってつけの内容であるという点。
    それでいて我慢や忍耐を前面に押し出すような話ではなく、創意工夫というものがみてとれた。

    個人的には人生で出会った良かった、と感嘆した一冊となった。

    そこには、海外の教育制度とも照らし合わせた日本の教育論への著者の考えに共感したことも大きい。
    いずれにせよ、通信生大学で学ぶ皆さんには是非紹介したい一冊だと思った。

  • [ 内容 ]
    高校へは行かずに、独学で大学へ進む道もある。
    通信課程の大学で学び、学者になる方法もある。
    レールはひとつではない。
    世界の価値観は多様だ。
    自分のペースで学び、生きていくためのヒントと勇気をくれる一冊。

    [ 目次 ]
    第1章 道はたくさんある―高校へは行かないという選択(高校へは行かない生活 ブラジルでの独学のスタート 独学時代の一日の過ごし方 ほか)
    第2章 こんな勉強をやってきた―大検合格法(ノートは作らない マーカーは引かない テキストを二回読むようになる ほか)
    第3章 いつでもやり直せる―通信大学から研究者の道へ(慶応の通信で経済学を学ぶ 自分に合った本を探すことが大事 大山道広先生との出会い ほか)

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    [ 参考となる書評 ]

  • 筆者の生き方は痛快で本当にすごいと思った。

    本書でも触れられているが、彼の経歴は「慶應義塾大学経済学部卒、東京大学大学院経済学研究科博士課程修了」と記載されている。

    しかし、この本を読むと、慶大卒は通信過程卒だったことが分かる。高校も卒業していません。正直、とても驚いた。

    東大の准教授になる人物の奇想天外なキャリアに。そして、もっと驚いたのが筆者の勉強のスタイル。

    筆者が、いい論文を書いて、学会で認められていき、それが社会へ還元される様を見て私も胸が熱くなった。

    本書の内容はすばらしく、筆者の生き方に憧れるが、私は自由に生きることの代償は既存のレールから外れるということを読んでいて逆にとても強く感じた。

    一方でやはり個としてもっと強く生きたいとも思ったのだが、、、

    筆者の具体的な勉強法も書いてあるので「独学」(個人的には勉強にとどまらずもっと広義の意味のように感じる)に興味がある人は楽しめると思います。

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著者プロフィール

1963年生まれ。東京大学経済学部教授。中学卒業後、父親の海外転勤にともないブラジルへ。
ブラジルでは高校に行かずに独学生活を送る。大検を受け慶応義塾大学経済学部通信教育課程へ入学。
大学時代はシンガポールで通信教育を受けながら独学生活を続ける。
大学を卒業後、東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。経済学博士(東京大学)。
主な著書に『法と企業行動の経済分析』(第50回日経・経済図書文化賞受賞、日本経済新聞社)、『契約と組織の経済学』(東洋経済新報社)、『東大教授が教える独学勉強法』(草思社)など。

「2018年 『東大教授が教える知的に考える練習』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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