教育幻想 クールティーチャー宣言 (ちくまプリマー新書 134)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 28
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  • Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480688354

作品紹介・あらすじ

学校の目的は「すばらしい人を作る」ことではなく、「社会に適応できる人」を育成すること。自由も管理も理想も現実も、こと教育となると極端に考えがち。問題を「分けて考えて」、より「マシな」解決の道筋を見つけよう。

感想・レビュー・書評

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  • 教育に関する考え方のベースを作ってくれた一冊。
    先生は生徒の記憶に残らなくていい。というフレーズが印象的でした。
    生徒の自立(自律)が教育の目的である以上、「先生のおかげ」と感謝されるよりも、「自分だってやればできるじゃん」と思ってくれた方が、教育は成功していると言えるんだろうねー。

  • 有無を言わさぬ関係のみが上下関係ではなく、上下関係は必要なものである。この認識に立って、親密性と信頼感に基づく上下関係へ転換する必要がある。
    感情的で主観的な人柄志向だけでなく、事実に基づき客観的な事柄志向も必要であるが、学校現場では人柄志向に偏重している。
    管理教育と自由主義教育の間をいくような教育論が必要とされる。
    学校はルーティンの場であり、座学を含めた連続性に耐えうる身体性を保つ能力(欲望の統御の作法)を養う場である。
    知識よりも体験重視の学習は、知識の軽視であり、学校の非日常感を強調し、教員の属人的なプロデュース能力に依存してしまう。
    主体性の尊重と規制や制限はバランスをとるのが難しく、二者択一ではなく、これもまた間を取らなくてはならない。
    生徒からの信頼を得るためには、ぶれずに「真善美」(本当・良いこと・心地よいと考えること)を伝える必要がある。

  • 2023年度【国際学部】入学前知トラ「課題図書」推薦作品

    OPAC(附属図書館蔵書検索)リンク
    https://opac.lib.hiroshima-cu.ac.jp/opac/volume/314026?locale=ja&target=l

  • ううむ。難しい内容ではなく、とても読みやすく、かつ具体的だった。大まかに要約すると、誰であっても、いけないことはいけない。それについて最近の教師はできていない。ということだった。ルールを甘んじているため、みたいな。確かに、児童生徒との軋轢を避け、ルールを恣意的に解釈する教師、ともだち先生もいる。しかし、それは保護者からのクレームを避けたい、何故なら、勤務時間内に全てを終えるためには、モンペのクレームなどもったいなさの代表だから、そのため、叱るのを、指導するのをやめるということも知っておいてほしい。教師という職が、ここまで落ちぶれてしまったことはとても残念だ。誰かが変えなければいけない。そのように考えるのではなく、自分で変えていきたい。

  • 人柄志向から事柄志向へ。それも極から極へ振れるのではなく、ニュートラルなスタンスで教師のあり方、さらには教育のあり方を捉え直そうという本。
    「人柄志向」ではなく、あくまで「事柄志向」へ。ハートは熱く、頭はクールに。

  • 人間関係を分けて考えるところがおもしろかった。

  • 欲望を統制する作法の身体化を子どもたちに伝授する。
    理想と現実の折り合いをつける。
    事柄志向と人柄志向のバランスを見極める。

    子どもと接する上で、
    常に考えなくてはならないことばかりだった。
    あまり難しい言葉はなく、すらすらと読むことができた。


    美(心地よさ)・善(よいか)・真(正しいか)

    これは、人間の発達段階に沿って書かれてきたが、
    一年間の学級経営と見立てても生かせる考え方だと感じた。

    また、
    生成段階の沸騰期は、集団意識が高くなる。
    しかし、安定期に入ると低くなる。

    という考えは忘れてはいけない。
    油断して大丈夫という思いが学級崩壊につながりかねない。
    集団づくり・学習課題にも当てはめて考えていきたい。

  • 田川一希先生 おすすめ
    17【専門】370-K

    ★ブックリストのコメント
    「いい先生」とはどんな教師なのでしょうか?そんな疑問に社会学から答える一冊です。

  • 著者の作品「友だち幻想」に共感したため拝読。現代の教育の根底にある、人柄志向、心の教育を重視し、ともすれば教育は上から目線ではなく、子どもたちをの人格を尊重し、同じ立場で指導するという自由主義的風潮に疑問を呈し、かつての管理教育のような立場をとるわけではないが、起きた事柄についてしっかり指導する、教育は上の立場をしっかり保った上で行うという立場で論じている。
    教育を社会学の観点からとらえ、論述も素人にも非常にわかりやすい、良書だと思う。

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著者プロフィール

1960年生まれ。東北大学大学院文学研究科社会学専攻博士課程単位取得。東北大学文学部助手などを経て、現在、宮城教育大学教育学部教授・学長特別補佐。専攻は社会学(社会学思想史・コミュニケーション論・地域社会論)。著書に『友だち幻想』『教育幻想』(ちくまプリマー新書)、『ジンメル・つながりの哲学』(NHKブックス)、共著に『社会学にできること』(ちくまプリマー新書)などがある。

「2018年 『愛の本』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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