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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784480688439
感想・レビュー・書評
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仕事がら文章を読む機会が多く、少しでも良い読み手、書き手になりたいと願いつつ、なかなか思うようにいきません。
それだけに、ふと目にした文章に感心したり感動したりすると、その日一日、幸せな気持ちになります。
このブクログでも、感想だけでなく読んだ時の感動や、その人の息遣いが伝わってくる文章を読むとうれしくなります。
本書の筆者は大学で文章理解を専門とする研究者。
世にある文章論とは趣を異にし、文章を理解するうえで、読者の「予測」が大切だということを主張されています。
例えば、司馬遼太郎さんの『国盗り物語』冒頭。
▼ 落ちついている。
声が、である。
その乞食は、御所の紫宸殿のやぶれ築地に腰をおろし、あごを永正十四年六月二十日の星空にむけながら、夜の涼をとっていた。
読者は、何が落ちついているのか? 誰の声なのか? この乞食はどこの誰で、なぜ御所にいるのか?
と読み進めていくうち、のちに油売りから戦国大名に成り上がる男の物語に引き込まれていくのだと説明されます。
文章論といえば、比喩などのレトリック、文章構造(AとBの対比)、接続詞の使い方とかが中心だと思いますが、
「予測」を手掛かりに、文章をとらえるという指摘は新鮮です。
底流には、筆者独自の考え方があって、次の個所に典型的に表れています。
▼ 文章理解は文章を媒介にした読み手と書き手の疑似対話だと考えています。
その対話は問いと答えによってすすめられます。問いを発するのは読み手です。
答えを出すのも読み手ですが、問いの手がかりや答えのヒントは、書き手によって文章のなかに埋め込まれており、それにもとづいて対話が起こります。
認知心理学で文章理解を問題解決過程ととらえる見方がありますが、私の考えもそれに近いものです。
逆にいうと、書き手には、読み進むためのエンジンを埋め込む作業が求められていて、本作でも、漱石から三島由紀夫、村上春樹まで、達人たちの実作をもとに、その工夫を解説してくれます。
残念ながら今は絶版になってしまっているようですが、文章に対する新しい見方を与えてくれる一冊だと思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
著者の名前で買った一冊。文章読解における「予測」について、基礎的なことがかなり丁寧に書いてある。
本書の「予測」とは、直線的に進行する文章の、その先の展開を限定させることをいう。本書の例を引けば、ボウリングでストライクを狙うのが予測ではなく、子供用レーンにあるガーターの溝がふさがれた状態のように、幅を限定するもの、ということになる。
正直、文章を読み慣れている人からすると、当たり前のことが丁寧に書いてあるだけで、かったるい印象を持つと思う。私もそうだった。
しかし、それは本書が低いことを意味するのではない。本書のように、当たり前のことを、丁寧にきちんと記してくれている本というのは意外に少ない。本来の想定読者層である中高生や、文章読解に自信の無い大人が、読解とは何かを知る上で本書を丁寧に読むことは非常に有益である。また、文章読解力がある、文章を読み慣れていると思っている人も、基本事項の確認として一読する価値は十分ある。
派手な面白味は欠けるが、基礎的なことを実直に、省略無く丁寧に書かれた本書は「滋味溢れる本」と言える。そして、「予測」は読解だけでなく、文章を書く際にも必要になってくる能力である。下手な文章読解本や文章読本を読む前に、本書で本当に必要な基礎が自分についているかを確認する方が有益であろう。 -
2023.9.27市立図書館
プリマー新書で書いそびれていたものを図書館で借りた(大人向け文庫/新書レーベルの類書は手元にあって積読になっている)。
人は文章を読むときに、次の展開をゆるく予測して内容をしぼっているからこそある程度のスピードで正確に文章の内容を理解できるのだという仮説から、読むコツやひきこまれる文章を書くコツなどを指南していく本。「文章理解は文章を媒介にした読み手と書き手の疑似会話」という著者の考えは、わたしも同感(一文ずつあいづちを打ったりツッコミを入れたりしながら読めば、そう間違ったり迷子になったりはしない)。
掌編小説や文学作品の一場面を実際に読みながら、どういう「予測」がそこにあるのか示してくれるのもわかりやすくおもしろかった。
読むのが得意な人ならたぶん無意識にできているいわずもがなのことのようにも思えるが、現代文の読解が苦手な高校生あたりにとっては、こうしたコツの伝授はずいぶん助けになるのではないかと思った。 -
人は文章を読むとき、自分では意識せずとも後続文脈を予測し展開を想定しながら、流れに乗って読んでいるということを説明した本。
本書では主に「読む」技術に重点を置いて説明されており、実際に文章を読むときには、ほとんどの人は著者の言うように自然と予測をしていると思う。だから逆に、予測の仕組みを理解して読解力を上げるという恩恵よりも、むしろ書く際の心得として役立つ気がする。
読む人の予測を裏切らない(あるいは良い意味で裏切る)ように意識すれば、理解しやすい文章が書けるようになるのではないだろうか。 -
《一つに決まるのが予測ではなく、(…)あとに続く展開の幅を限定するのが予測だと考えているのです。》(p.10)
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正直、私には少し難しく感じた。分かったのか分かっていないのか、なんとなく分からないまま最後まで読み進めた。
しかし、最後の筆者の言葉に救われた思いがした。
「本書で紹介した予測という考え方を、みなさん自身の今後の読書に活かしてくださることを…」と。
”そっか〜予測という考え方を知っただけでも大きな進歩だったのでは”と。それで改めて、本書の予測の定義に戻って読み直してみると、実に明解に記載されていた。
「予測とは、今読んでいる文をとおして感じられる理解のモヤモヤと、そのあとに続く文脈で解消しようという期待する読み手の意識こと」だと。
これで、すっきりした。要は、読書を受け身ではなく能動的に読む姿勢を持つことが、まず必要だということだ。モヤモヤが出てきても、その答えを主体的に見出す力を身に付けるようにして読んでいこうと思う。 -
2013/09/11に紹介された本
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勉強になりました。
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本を読むことは、おそらくここに出てくるような「予測」を無意識にやっているのだろう。それを意識的に行うことは大変だけど、読解にはつながるような気がする。
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うまく活用できれば「読むこと」「書くこと」の
レベルアップができそう。
【内容】
<著者について>
文章論を専門にする大学の教授。
<この本でいう予測とは>
文章を読みながら「後に続く展開の幅を限定する」こと。
※これにより効率よく文章理解ができる。
<内容>
予測を活用して「読み上手」「書き上手」になるために、
著書にあげた具体例を通して予測の威力を体感していく。
【コメント】
文章を読解するときには無意識に予測を行っている。
この予測を活用して
1. 効率的に文章をよんだり
(推論を働かせながら読解すること)
2. 読者の立場にたった文章を書く
(理解を促すような推論を誘う文章を書くこと)
という内容は興味深い。
【メモ】
<キーワード>
・トップダウン処理
- 内容のスキーマ
- 形式のスキーマ
・予測の種類
- 問いの予測
- 深める予測
- 進める予測
- 順接の展開
- 逆説の展開
- 答えの予測
- 予測が当たって怖くなる
- 予測が外れて可笑しくなる
- 予測が外れてホッとする
・書くことと予測
- 構成を予告する
- 意味のまとまりを作る
- 文章のタメを作る
- 行間を読ませる
- 文章世界に引き込む
<文章理解とは>
文章理解は、文章を媒介にした読み手と書き手の疑似対話。
<予測とは>
今読んでいる文を通して感じられる理解のもやもやを、
その後に続く文脈で解消しようと期待する読み手の意識。
言葉の足りない部分を論理的に導き出し、読むという
コミュニケーションを円滑にする推論の一種。
<文章世界に引き込む>
「深める予測」では足りない情報を知りたいという気持ちが、
「進める予測」では次の展開を知りたいという気持ちが、
予測という形で表れる。
読み手が予測をする背景には、続きを知りたいという衝動がある。
その衝動が強ければ強いほど、その文章から目が離せなくなっていく。 -
一回さくっと読んでいたけれど昨日再読。
読書のメカニズムが解る本。 -
● そこで、文章を書くにあたって「謎」が大切になってきます。文章理解とは問題解決過程、すなわち「謎」を解く過程だからです。
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「予測」して読むことに重点を置いた本。「予測」に特化して書かれた本を読んだことがないので斬新だった。
だが主にフィクションに関してのことが多いような気がしたので、そこが残念だった。 -
「読んで心地のよい本というのは、予測の当たり外れのバランスが絶妙なのである」(小飼弾氏 http://j.mp/cm9wdU)
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実現しなかった予測は、行間の存在を示唆し、読みを深め、余韻を感じとるきっかけを与えてくれる。
予測というのは推論の一種。
予測もまた言葉の足りない部分を論理的に導き出し、読むというコミュニケーションを円滑にする推論の一種ですので、文法論ではなく語用論で扱うべき問題。
文章理解とは問題解決過程、すなわち謎を解く過程。 -
例題豊富な小説レトリックガイド
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要するに、次にくる内容を予測しながら読書をする事によって、本を理解をするスピードが格段に早まるという事。
また、予測の精度が高ければ、当たった部分は読み飛ばせるので、読了するまでの時間も大幅に短縮できる。(速読のコツは大きくこの部分に集約されている気がした)
もちろん当たる事もあれば外れる事もある。この外れた部分こそ読者がなるほどと思える部分なのだ。また著者の文章術で、効果的に予測を外す事も考えられる。そうすれば、読者に対しその先にある答えをより印象的に読ませる効果も期待できる。
「怪談話」「論文」「笑い話」などの文章において、私たちが知らず知らずのうちに行ってしまっている予測が、内容を演出する為のテクニックであるという話がとても面白かった。 -
ボトムアップ処理:一つ一つの要素の意味や機能を考え、それを順々に組み立てて、文の内容を徐々に理解していく方法。
トップダウン処理:その文章に何が書かれているか、先行文脈などからあらかじめ見当をつけ、それを利用してここの分の内容を理解していく方法。
アメリカでの70年代の人工知能の研究で性能の低い当時のコンピュータに効率よく文章を理解させる実験を重ねた結果、スキーマを組み込んだトップダウン処理の研究が飛躍的に発展した。
読書における予測は、①深める予測、②進める予測があり、それぞれ、①読んでいる文に情報の不全感があって、「いつ」「どこで」「誰が」「何が」「何を」「どう」「なぜ」などと言った疑問視を使って、文の情報の不完全な部分を補おうとする予測と②今読んでいる文章は理解できたので、「それから」「すると」「それで」「だから」「しかし」といった接続詞を使って、次の展開を四郎とする予測です。これらは車の両輪になります。
それで予測というのは、次ぎにくる内容を一つに決定するのではなく、ある程度限定することが予測の基本的な働き。
その他助として言語コーパス等がある。それは、「たしかに〜かもしれない」のあとには何パーセントの確率で逆説の接続詞が入るといったものです。
それらの予測によって意味の箱のようなものを頭の中に作り、その箱が埋まったら片付け、また別の意味の箱を作るという作業を繰り返して文章を理解している。パソコンのフォルダのように階層になっている。
文章を「書く」にあたっては、「謎」がキーとなります。というのも、文章理解とは問題解過程すなわち「謎」を解く過程だからです。優れた文章は縦走性のある問いが有機的に関連してできています。そしてその問いを解き明かそうと予測を重ねるうちに、その文章世界に引き込まれ、読みが広がっていくのです。
タイトルには「読解」のみの表現であるが、文章を作る方にも有用であると、考える。欧米のビジネス文書で進められているのはトップダウンであると思うが、昔の性能の低いコンピュータで研究もなされたところが説得力があるように思えた。
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